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「潰したい強み、避けたい強み」~2020.12.27 天皇杯 準決勝 川崎フロンターレ×ブラウブリッツ秋田 プレビュー

目次

Fixture

天皇杯 準決勝
2020.12.27
川崎フロンターレ
×
ブラウブリッツ秋田
@等々力陸上競技場

予想スタメン

画像1

展望

■秋田のプレッシングのスキーム

 福山シティとの準々決勝を見ることができたので簡単にプレビューを。秋田を少し見たというHaruくん曰く、この試合の秋田は通常営業ということで福山シティ戦はいつも通りの秋田の試合を見ることができたという判断でよさそうである。

 チームカラーとしてはめちゃめちゃ特化型。プレッシングからのカウンターが主体となる4-4-2ベースのチームだ。福山シティはアンカーに舵取りを頑張ってもらう4-3-3だったのだが、立ち位置的には余りやすいアンカーに対しては2トップの一角が降りてついていく。そしてインサイドハーフには両センターハーフがぴったりという形である。

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 ハイプレスがベースということで積極的に前に出てくるのは前線の2枚だけではない。ボールサイドのSHが第三の矢として非常に積極的にプレスに出てくることが特長である。このサイドハーフのプレスを開始の合図として後方のCH、SB、時にはCBもラインをあげて同サイドで囲い込む。

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 福山シティが苦しんだのはこの先の局面のところ。縦を切られたSBからボールをCBに戻すパスが出れば、ここから秋田がワンランクプレスを上げる。マイナスのパスが更なるプレスのエネルギーになっていくイメージである。

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 川崎にとっては登里が天皇杯の欠場が決まりビルドアップの脱出という強みが消えてしまったのは懸念。車屋も可否が微妙なところなので、おそらく旗手が先発をすることになるだろうが、詰まって戻すような福山シティと同じ状況に苦しむ可能性はある。

 さらに苦し紛れに内側にパスを出すとカウンターの餌食になる。福山シティはCFの吉井への依存度が高かったので多少無理筋でもSBから内側へのパスを狙う。このパスは奪われてしまうと、そこからスムーズにカウンターに転じることができる。秋田に対してラインを下げてポゼッションするチームにとっては好ましくないパスミスだ。

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 ただ、プレッシングに関しては整備はされているもの、呼吸ができないというほどではない。むしろ、怖いのはセットプレーである。15番の江口は非常に優秀なプレースキッカーである。秋田はセットプレーからの得点が多く、この試合でもそのプレースキックから得点を演出している。受け手もパワーがあり、攻め負けない。J1相手だとどこまでフィジカルのアドバンテージがあるかは怪しいが、隙を作ればそれをつくキッカーがいるということは肝に銘じておきたいところである。

■90分で考えるならば・・

 川崎が終盤に勝ち点を落とした相手は札幌、大分、清水、鳥栖。いずれも中盤でのマンマークを主体に試合に臨んて来たチームばかり。そういう意味では今回の秋田も大まかな非保持のスタイルとしてはこのカテゴリーに入るといっていいだろう。

 川崎に逆転負けをした浦和は中盤での守備において序盤でのクオリティが維持できなかった点が大きかった。浦和の2トップが走って守備に貢献するタイプではなかったことも効いていた。

 前提としては秋田はおそらくこれらのチームに比べればアスレチック能力では劣る。なので90分間プレスに走らせ続けるのは効果的である。早めに縦に入れてダミアンやWGの個のパワーやスピードで戦うやり方もあるが、基本的には90分で勝負することを考えると、保持で攻め立て続けるのがベターか。

 秋田のストロングポイントであるセットプレーを未然に防ぐためにはボールが行きかう展開よりも、ボールを握りながら秋田を川崎の陣地から遠ざけたい展開を目指したい。秋田はボール保持での前進の手段は豊富ではないし、ロングボールに関しても谷口やジェジエウにアドバンテージを取れるほどの前線の収まりがいいとは思わない。攻め手をなくすことを考えてもこのアプローチが妥当に思う。

 先述したようにプレスは激しいが、川崎が全く太刀打ちできないものとは思わない。圧縮してくる相手に対してまずは狭いところを打開するアプローチから入ってもいいだろうし、王道で言えば逆サイドへの展開の駆使して秋田に横スライドを強要する展開を続けさせればいい。福山シティはこの逆サイドへのロングキックがレパートリーとしてなかったのも、立ち上がりに苦戦した要因の一つでもある。

 一方でプレスを落ち着かせればつなげる相手であるのも確か。逆サイドに一発で展開できるキック力はなくとも、ポゼッション時の周囲のサポート能力が非常に高い福山シティは前半途中からボール保持の時間を作ることができた。

 ブロック守備を組む状況を作らせれば、DF陣のアジリティとスペース管理には難がある。前に引き出すように餌をまけば、最終ラインの裏にはアタックをかけることができる。

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 押し込んだ後の間と裏の駆け引きではおそらく優位に立てるのではないか。プレスに対する張り合いを制すれば、川崎には一気に優位な状況にある。秋田のプレスは確かに強みだが、ここは個人的には勝負をかけるべきだと思う。

■真っ向からぶつかるべきポイントは

 より対策に寄るのならば柏戦でのアプローチは参考になる。中盤でのプレスへの対応策という意味では柏戦ではその一端を垣間見ることができた。中盤は空洞化させて、時折入り込んでパスをいったん経由する場所として使う。基本は外と相手のプレッシャーラインの手前からDFラインに張る前線に楔を打ち、そこからコンビネーションで打開するというやり方であった。

 このやり方の課題は楔が入った後に少ないタッチ数でのプレーが続きやすいところ。高い相互理解での連携と技術が必要になりやすく、柏戦のスタメンはここで躓いた。

 もう1つの課題はダミアンがCFの際に顕著なのだが、楔を受けるときに縦横無尽に動きまわるのでゴールから離れた位置でのプレーになりやすく、得点に絡みにくくなってしまうことである。

 この両面を解決できるのがSHの特性である。球持ちがいい三笘はダミアンとの連携も良好。中盤戦以降は独走というよりは味方に上がりを促すような速度でボールを運ぶ場面が増えた。ダミアンのポストをうけて前を向きつつ、ダミアンが上がる時間を稼げるうえに相手の注意を引き付けるドリブルをすることもできる。

 家長も同様にボールを持ちながら味方の上がる時間を稼げる選手。彼ら2人が健在ならばという条件付きだが、中央を経由せずに縦パスをスイッチにした加速のメソッドは機能するだろう。

 いくつかやり方は考えられるが、プレスに対してロングボールを使ったアプローチよりはグラウンダーのパスと大きなサイドチェンジを駆使しながら、真っ向にぶつかっていく方が90分を戦うというフレームで考えると適しているように思える。あと、来年のACLも含めたより長期的な視点においてもね。

 秋田の長所はプレスとセットプレー。前者は真っ向から対抗、後者は回避のスタンスで臨みたいところだ。

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