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「EURO 2024 チーム別まとめ」~アルバニア代表編~

目次

代表メンバー

▽GK
エトリト・ベリシャ(エンポリ)
12 エルハン・カストラティ(チッタデッラ)
23 トーマス・ストラコシャ(ブレントフォード)

▽DF
イバン・バジウ(ラージョ)
3 マリオ・ミタイ(ロコモティフ・モスクワ)
エルセイド・ヒサイ(ラツィオ)
5 アルリンド・アイエティ(クルージュ)
ベラト・ジムシティ(アタランタ)
13 エネア・ミハイ(ファマリカン)
18 アルディアン・イスマイリ(エンポリ)
24 マラシュ・クンブラ(サッスオーロ)
25 ナセル・アリイ(ボルンタリ)

▽MF
8 クラウス・ジャスラ(ダルムシュタット)
10 ネディム・バイラミ(サッスオーロ)
14 カジム・ラチ(スパルタ・プラハ)
15 タウラント・セフェリ(バニーヤース)
20 イルベル・ラマダニ(レッチェ)
21 クリスチャン・アスラニ(インテル)
22 アミール・アブラシ(グラスホッパー)

▽FW
7 レイ・マナイ(スィバススポル)
9 ヤシル・アサニ(光州)
11 アルマンド・ブロヤ(フルハム)
16 メドン・ベリシャ(レッチェ)
17 エルネスト・ムチ(ベジクタシュ)
19 ミルリンド・ダク(ルビン・カザン)
26 アルベル・ホッジャ(ディナモ・ザグレブ)

GS 第1節 イタリア戦

立ち上がりの失態を保持ベースで巻き返しての逆転勝利

 前回王者、イタリアの開幕戦はアルバニア。同じ組にスペインとクロアチアがいることを踏まえれば、この初戦は必勝という構えになるだろう。

 だが、そんなイタリアの青写真に待ったをかけるかのようにアルバニアは開始1分で先制点をゲット。ディマルコのスローインのミスに漬け込んだバイラミが右サイドを破壊してあっという間にアルバニアにリードをもたらす。

 以降の前半はイタリアの保持がほとんど。先制点がもたらした展開への影響はわからないが、おそらくゴールがあってもなくてもイタリアがボールを持ちながら支配的に振る舞うことになったのではないかと思う。

 イタリアの保持のベースになるのは3-2-5。大外をディマルコ、キエーザの2人に託し、スカマッカの後ろにペッレグリーニとフラッテージが控える形になる。アルバニアは4-4-2で2トップがイタリアのCHであるジョルジーニョとバレッラが基準。

 大外のSHはWBロールのディマルコとキエーザに合わせて位置を下げて後ろ重心で守る。このSHの対応もThe Athleticのプレビューには書いてあったので、少なくともキエーザに対してセフェリが下がる形はスコア推移に関わらずアルバニアの頭の中にはあったように思える。

 イタリアの3-2-5はここからさらに変形する。ボールサイドの後方支援役としてアルバニアの2トップの脇にボールサイドのCBがサポートに入る。左であればカラフィオーリ、右であればディ・ロレンツォが後方からの供給役としてCH、WB、シャドーの3枚をサポートする格好である。余談だがバストーニを含めたバックラインはイタリアの系譜の中ではかなりチャラい部類になりそうだ。

 サイドに枚数を十分かけたイタリアは圧力をかけて押し下げることができるように。純粋に枚数を使った崩しもあるし、右の大外にはキエーザもいるため1on1での仕掛けから剥がしてズレを作ることも見込める状態だった。

 すると、イタリアはセットプレーから追いつく。大外に構えていたバストーニがフリーで合わせて先制点の10分後に試合は振り出しに戻ることとなった。

 さらにはその5分後にイタリアが追加点。右サイドの後方支援役のディ・ロレンツォがナポリでの日常のようにサイドからボックス内に突っ込んで深さを作ると、その恩恵を受けたのはバレッラ。見事なミドルでゴールを打ち抜き、イタリアはリードを奪うことに成功する。

 アルバニアが比較的ショートパスから繋ぎたい意思を見せたので、ボールをロストしたら即時奪回ガンガンモード!という感じのイタリアだったが、リードをしたことでアルバニアにボールを持つ時間を少し与えるように。先制点以降、ガンガンモードのイタリアに対して保持の局面では息を吐く間もないという感じであったが、ビハインドになったことで少し余裕が出る展開となった。

 保持時のアルバニアは4-4-2からCHが移動をスタートする。ラマダニが2CBの右に降りて、アスラニが中央に残りつつ必要であればサリーで列を落とすという感じ。これでイタリアのプレス隊に対応を強いるという感じである。

 しかしながら、前線にボールをとりあえず預けておけばOKという選手も居なそうであり、ボールを落ち着いて持てる時間はイタリアが後方のスペースを管理することを優先していた感があるので、あまり移動自体が効果を生むことはなかった。キエーザの仕掛けからスカマッカの背後に飛び込んだペッレグリーニが決定機を迎えるなど、保持での支配力を多少落としても試合の主導権は依然としてイタリアにある前半だった。

 迎えた後半も前半と陸続き。ハーフタイム明けの入りということでもう一度CHをプッシュアップしたプレスからイタリアが保持で試合を支配するところからスタートした序盤となった。IHの前線への飛び出しの積極性から見ても、この時間帯に追加点を取るのが理想という感じだろう。

 アルバニアもゴールが欲しいのは当然同じ。前への意識が強いイタリアのIHの背後からボールを運べば理想的であるが、なかなかそうした局面は訪れない。ということでSHが後方のスペースを埋めるのではなく、高い位置に出ていくことでボールを奪う位置を高くしようとするアプローチが見られた。

 イタリアはこれを受けてボールを落ち着かせる方向性にシフト。60分以降は試合展開が再び落ち着き、保持側に時間が与えられる展開になっていく。SHの入れ替えを行いプレスの運動量を回復しようとしたアルバニアに対して、イタリアはクリスタンテを投入。より後方の安定感を担保。左サイドのユニットに後方重心の選手が増えたことで、大外のディマルコの抜け出しがアクセントになるという展開となった。

 終盤はプレスから流れを活性化しようとするアルバニアに対して、イタリアが保持でそれを抑制する綱引きのような展開に。どちらかといえばこの綱引きはイタリアが主導権を握っていたと言えるだろう。降って湧いたムラニの抜け出しからのアルバニアの決定機は少し角度のないものながら、先制点以降最もゴールに近づいた瞬間だったが、シュートはゴールマウスを逸れていった。

 立ち上がりにミスからバタバタしたイタリアだったが、ボールを動かしながらきっちり主導権を握り返しての逆転勝利。まずはミッションである3ポイントを手にする初戦となった。

ひとこと

 イタリアのバックラインの特性を生かした保持での攻略だったように思う。アルバニアは後ろに重ためのチームだったし、より前線の破壊力があるチームに対しては少し強度面で不安がある気もするので、2節目以降のバックスの人選と役割の持たせ方に注目していきたい。

試合結果

2024.6.15
EURO 2024
グループB 第1節
イタリア 2-1 アルバニア
BVBシュタディオン・ドルトムント
【得点者】
ITA:11‘ バストーニ, 16’ バレッラ
ALB:1‘ バイラミ
主審:フェリックス・ツバイヤー

GS 第2節 クロアチア戦

目まぐるしくスコアと主導権が入れ替わる一戦に勝者はなし

 互いに初戦は敗れてしまっているチーム同士の一戦。最終節がそれぞれイタリアとスペインであることを考えれば、ここは生き残りのために必勝と言ったところだろう。

 立ち上がりにボールを持ったのはクロアチア。大外にSBを置いてWGはやや絞りつつSBと大外をシェア。その分、中盤が下がってビルドアップに関与するといういつものスタイルであった。

 アルバニアはSHとCHがかなり後ろ重心でのスタート。時折6バックになるような形にもなっており、これで陣地回復は望めるのか?というような陣形になっていた。

 ところが、アルバニアはボールを奪った後にクロアチアをきっちり押し込むスキルがあることを証明。中盤のパスワークでクロアチアのユニットを翻弄して、サイドにボールを預けてリポジションの時間を稼ぐ。右サイドでボールを動かしつつ、インスイングでボールを入れる形は鉄板。先制点以外のところでもこの形はボックスに迫る必殺パターンとなっていた。

 アルバニアはマナイへのロングボールも収まるなど、陣地回復の手段が複数あることを証明。先制点をとって以降はSHの位置を時折高く見せるなど、自信を持って守れているのだろうなという挙動が際立つこととなった。

 クロアチアとしてはやはりネガトラの遅れから後手の連鎖が始まっている。気になるのは3センター。ボックス突撃、サイドへのヘルプ、そしてビルドアップと多岐に渡るタスクのせいでロスト時にかなり陣形が間延びしている。やり切れるのであればそれでもいいけども、この日のクロアチアは中盤起因のミスもそれなりにあり、自分たちでアルバニアの反撃を受けるトリガーを引いていたのが印象的だった。

 サイドの仕掛けの成功率も低い。単純に崩しにおけるポケットを取る動きが少ないし、あったとしても手前を作れないから簡単にバレてアルバニアに先に潰されてしまう。1on1で打開できるWGはペリシッチより上のクオリティの選手がおらず、そのペリシッチにはアルバニアはダブルチームで警戒を払っていた。

 ブロックを組んでからの守備もまずいなという感じ。先に挙げたアルバニアの右ユニットのクロスには完全に後手に回ってしまっているし、インスイングのクロスに対するCBの対応も混乱気味。先制点の場面もサイドに流れるヒサイに釣られたグバルディオルのカバーをブロゾビッチが仕切れなかったのが要因である。

 保持でも非保持でも完全に後手を踏んでいるクロアチア。唯一の救いはリヴァコヴィッチの奮闘で先制点以降の失点をなんとか食い止めたことくらいだろう。まるで悪夢のような45分でなんとか1点差でハーフタイムを迎えることとなった。

 後半、クロアチアはスチッチとパシャリッチを投入。ともに右サイドにセットで組み込まれる交代となった。ブロゾビッチを削ったのはビルドアップ隊にかける成分を前線のオフザボールとハイプレスのエネルギーに変えましょうという判断だろう。

 右サイドは彼ら2人にユラノビッチを加えたユニットを後方からモドリッチが操る形。保持のベースポジションは4-3-3にも見えたが、モドリッチが右に流れる頻度が増えたため、コバチッチと左右対称の4-2-3-1と見ることもできるなという感じだった。非保持はスチッチをトップ下に置く4-2-3-1だったけども。

 右サイドはこのユニットの活用で一気に活性化。奥行きを取るアクションができるようになり、クロスに一気に殺傷性が生まれることとなった。左サイドに顔をだすグバルディオルも含めて、両サイドから総攻撃を仕掛けていく。

 クロアチアのプレスが強まる中でアルバニアは前半ほどロングボールが刺さらず。トップのマナイがオフサイドを連発していたことを踏まえると、ここはラインコントロールの局面でクロアチアが上回ったということだろう。

 このロングボールが60分を過ぎたあたりで収まるようになり、少しずつアルバニアにも攻撃の目が出てくる。しかしながら、攻撃を焦ってしまったのか前半ほどフリーランで動き回る味方を使うことができない場面がちらほら。攻撃を完結できないとコバチッチのキャリーなどクロアチアからのしっぺ返しが待っているので、二重の意味で地獄である。

 クロアチアの同点ゴールのキーになったのはコバチッチのキャリー。アルバニアの守備陣を切り裂くように行われたドリブルを起点にブディミルを経由したボールは逆サイドのクラマリッチに。簡単ではないシュートだったが、見事股下を抜いて仕留めてみせた。アルバニアは直前の攻撃で簡単にキャッチされる選択をしてしまったことが悔やまれる。

 このゴールで勢いに乗るクロアチア。ブディミルのポストで手前にフリーの選手を作り、裏抜けの破壊力を増幅させるパターンからチャンスを量産。逆転となるオウンゴールを誘発する。

 4-5-1へのシフトで中盤の飛び出しにケアをしたが間に合わなかったアルバニア。苦しくなった後半だがグヴァルディオルではなくシュタロにつっかけることでなんとか前線に起点を作り、ここから左サイドに流して攻撃に打って出る。終盤のキーになったのは交代で入ったホッジャ。マーカーを2枚引きつけつつ、エリア内にラストパスを送ることでチャンスメイクを行う。

 すると、この左サイドの集中攻撃が実ったのは後半追加タイム。ギャスラのゴールで試合を振り出しに戻す。

 終盤まで息つく間もなくチャンスが生まれたスリリングな展開は痛み分け。直接対決を控えるイタリアとスペインにとってはありがたい結果となった。

ひとこと

 シンプルに面白い試合だった。欧州ならアンダードックでも止まって味方を解放できるドリブラーがいるのだなと思った。

試合結果

2024.6.19
EURO 2024
グループB 第2節
クロアチア 2-2 アルバニア
フォルクスパルク・シュタディオン
【得点者】
CRO:74′ クラマリッチ, 76′ ギャスラ(OG)
ALB:11′ ラチ, 90+5′ ギャスラ
主審:フランソワ・ルティグシェ

GS 第3節 スペイン戦

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