セットプレーでの殴り合いはオーストリアに軍配
ベスト8、最後の椅子をかけた一戦は伏兵対決。死の組を逆転での首位通過を果たしたオーストリアとグループFでポルトガル以外の2チームに勝利して悠々と突破を決めたトルコの一戦である。
試合は開始1分でスコアが動く展開。セットプレーからデミラルが豪快にネットを揺らすことでトルコが試合を動かす。以降は直線的な攻防が進む試合。追いかけるオーストリアもリードを得たトルコも前に前に進むことでオープンな展開となる。
オーストリアは中央にどっしりと構えるアルナウトビッチがボールを受けることで中央に起点を作ってシュートまで持っていく。一方のトルコはコクチュとギュレルという偽9番がライン間にひたすら降りることでポイントを作っていくという対照的な動きとなった。
時間が経過すると押し込むのはオーストリア。サイドからボールをあっさり運ばれてマイナスに折り返されるシーンなどは往年の脆い守備のトルコを思い出したが、後ろに重くシフトして手当を行う。SHが素直に下がる6バックに加えて、CHのアイハンがバックラインに入ることで5バックに変化することも。SHのユルマズが前に出ていくと、連動してそのスペースを埋めるようにスライドするなど柔軟性とオートマティズムを兼ね備えた仕組みはあまりトルコらしいものではない新鮮なものだった。
後ろに重たい布陣を敷くトルコに対して、ゴール前での仕上げができないオーストリア。トルコはアイハンのサリーによる3バック化で徐々に保持の時間を取り戻し、前半をリードで軟着陸させる。
後半のオーストリアは4-4-2にシフト。トップにグレゴリッチュを入れたツインタワーの構成でより前の圧力を強めていく。左右に流れる2トップを起点に押し下げていくオーストリアは後半を優勢に進める。しかしながら、左のハーフスペースに降りるアクションからカウンターの始点となったギュレルからトルコは反撃。そして、またしてもセットプレーからのデミラルが追加点を奪う。
ツインタワーを生かしてこちらもCKから1点差にするオーストリア。ニアフリックからファーに抜け出すグレゴリッチュというハメ技チックな動きから1点差に追い上げる。
以降はオープンな展開で殴り合いとなった試合。細かいことはいいからボックス内に枚数を揃えてクロス!という方針となったオーストリアが優勢となったが、終了間際のバウムガルトナーの決定機をギュノクがスーパーセーブするなど、シュートがゴールに結び付かず。終盤は苦しい戦いになったトルコだが、セットプレーでのスコア合戦を制してオランダの待っている準々決勝に駒を進めた。
ひとこと
セットプレーでの圧力はオーストリアの方が高そうだったので、トルコがオープンプレーも含めて圧力に耐え切ったのは意外だった。
試合結果
2024.7.2
EURO 2024
Round 16
オーストリア 1-2 トルコ
ライプツィヒ・アレナ
【得点者】
AUS:66′ グレゴリッチュ
TUR:1‘ 59′ デミラル
主審:アルトゥール・ディアス