【ベスト16】イタリア
コンセプトを実装しきれなかったスカッド
やっちまったぜーーーー。アルバニア相手にずっこけ先制点を献上しながらもコツコツ押し込んで逆転勝ち。スペインには屈したけども、クロアチアには土壇場で勝ち越しゴールを決めることでギリギリでノックアウトラウンドの切符をゲット。ここまでは悪くはなかった。
しかしながら、そのノックアウトラウンドではスイス相手に手も足も出ずに敗戦。カラフィオーリの出場停止やディマルコのベンチスタートによりメンバー選びの時点で痛手があったのは確か。だが、Round16の他のカードを見渡せば、ジョージアなどの小国も敗退しながらも見せ場を作っている。後半早々の失点で意気消沈したイタリアは16強の中では最も悪いイメージで大会を去ることになってしまったかもしれない。
バストーニ、カラフィオーリ、ディ・ロレンツォからなるバックラインには所属チームで彼らが与えられている自由度を存分に発揮してもらうことを優先したコンセプト。保持ベースでの破壊力重視。従来の受けて耐えるというプレーモデルから明らかに保持で支配して壊すという形にモデルチェンジを見せようというのが今大会のイタリアだった。
実際のところ、このモデル自体の成果が全くでなかったわけではない。後方から+1としてバックスが支援する形は要所で得点に結びついている。アルバニア戦のディ・ロレンツォの攻め上がりや、クロアチア戦でチームを救ったカラフィオーリの持ち上がりなどはこのDFラインを採用したからこそ生まれた得点があることは間違いない。
その一方で中盤より前がこのコンセプトの中で期待に答えられたかというと微妙なところ。中央に立つスカマッカは味方のサポートを得ることができずに徹底的に孤立し続けたし、キエーザはキレこそ見せるものの、対面相手を選ばないと優位は取れないし、味方を生かして突破をするタイプではないのでフィーリングを合わせるのは難しそうだった。
突破力のあるWGに加えて中盤にもよりクオリティが高い選手が欲しかった。バレッラを前に集中させられる相方はもう少し中盤に求めたかったところでもある。
総じて中盤と前線には物足りなさがあった。それでもベンチを見渡して人がいなければ仕方ないのではあるが、試合後に出てくる名前が呼ばれてすらいないロカテッリやポリターノというのはなかなか寂しさを感じるところでもある。
スパレッテイは続投の模様。今の代表シーンを見ると好き放題やって後方からビルドを頑張りましょうというインテルオマージュのような枠組み。従来とは違うが、今のタレントを見ても方向性的には悪くないように思える。保持での後方押し上げをベースに中盤や前線などにもう少し役割を託してもいいのかなと思う。IHに前線とのつなぎ役を入れることができれば、途方に暮れるスカマッカをもう見なくてもいいのかもしれない。いずれにしてもこの枠組みの中でまだ伸びしろはありそうなチームに見えるが。
Pick up player:ジャンルイジ・ドンナルンマ
ふがいないチームの中でセービングに奮闘。「全部止めないのが悪い」という無茶ぶりな意見をスイス戦の後に見たけども、あれはある意味誉め言葉だと思う。
【ベスト16】デンマーク
エリクセンのゴールが大会のピークに
開幕戦のゴールでエリクセンにまつわる4年越しの物語を完結させたデンマーク。エモーショナルなスタートを切ったデンマークのEURO2024だったが、このゴールを分岐点としてややピークアウトしてしまった感がある。
この開幕節で先制点以降も主導権を握ったのはデンマークだったが、セットプレーから同点ゴールを決められると一気に流れを持っていかれることに。不完全燃焼のまま開幕節をドローで終えることに。
以降は対戦相手がイングランドだったり、突破条件がそもそも引き分けでOKだったりと無理をしなくいいシーンばかり目立つ大会に。のらりくらりとしのぎながらグループステージはなんとか突破したが、その先に待ち受けているドイツに屈してしまった。
3バックで外をWBに任せつつ、中央ではMFが躍動する3-4-3と3-5-2のハーフのような布陣はとてもバランスが良かった。エリクセン、ヒュルマンド、ホイビュアを軸に組まれる中盤はイングランド戦のようにポジションを動かしながら相手の守備の基準点をずらすことができていたし、ドイツ戦でも直線的なカウンターから後半の頭には見せ場を作っており、ゆったりとした保持ベースでもカウンターベースでも戦うことができる好チームである。
少し物足りないところを挙げるとすれば決め手だろうか。大外のメーレは4年前の大会ではより決定的な働きをしていたように思うが、この大会では比較的大人しめ。前線の柱として期待されていたであろうホイルンドも結構引っ張らずに下げてしまう場面があり、シーズン終盤のコンディションを少し引きずっているように見えたのは気がかりだった。
代わりに入ってくる前線の選手も起爆剤になれず、追い込まれた時のもう一押しが足りなかった感があったデンマーク。変わった流れに押し流される格好となり、ベスト16で姿を消すこととなった。
Pick up player:クリスティアン・エリクセン
起きた時にはもうすべてが終わっていて、エリクセンへの祈りがTLにあふれていたのが3年前。デンマークはあの大会ほど主役にはなれなかったけども、エリクセンがEUROの物語を完結させることができたということには大きな意味があるように思える。
【ベスト16】スロバキア
強豪のケツを叩く役回りを完遂
大混戦のグループEを通過したスロバキア。そもそも波乱が多いグループではあったが、その中では最も落ち着きがあったチームといえるだろう。
この大会では目立ったのは強豪のケツを叩くような役回りである。開幕戦の相手となったベルギー、そしてRound16で激突したイングランドは程度こそ違えど、どちらもスロバキア以降の試合では勢いを持ち直すことに。効能がある温泉のような不思議な働きを見せていた。
ベルギーとの初戦は快勝と相手の不甲斐なさばかりが取りざたされる風潮だったが、スロバキアの立ち上がりのバタバタ感も相当なものだった。WGの外切りプレスにインサイドが呼応せず、縦パスをバシバシ通されることを許し、ルカクとのラインの駆け引きには完敗。ドクが自陣でリスクだけが高い謎のドリブル突破を試みていなければ、あっさりと失点したまま沈没していた可能性もある。
それでもそのベルギー戦で先制点が入ると息を吹き返した感が出てくるように。中盤でのマークを外さないことを前提に、3トップは高い位置からのチェイシングを繰り出すことができるなど以降は実直さを武器にした試合運びを生かして、強豪たちを苦しめる試合を演出する。
特にアンカーのロボツカのパフォーマンスは秀逸。苦し紛れにデ・ブライネが適当につけた縦パスや、ライン間の住人ばかりを並べてきたイングランドに対して、きっちりとパスを回収。タイトなスロバキアの中盤のリーダーとして見事に君臨した。
カウンターに打って出るところに関してもクオリティは十分だろう。CFのストレレツはイングランドのCBコンビ相手でもボールを収めることができていたし、3得点でちゃっかり大会の得点王も獲得している。
左のWGのハラスリンもインパクトを残した。果敢なドリブル突破は得点に絡んでいく匂いを十分に感じさせるもの。撤退ベースのチームの中で少ない手数で攻め切る武器としてきっちりと存在感を見せたといっていいだろう。
ボール保持ではシュクリニアルの対角パスによって相手を広げるアクションがかなり効いていた。この対角パスから広げて外から縦関係で勝負するのは自陣からの保持の流れとしてテンプレ化していた。
比較的弱点が少ないチームだなと感じたが、あえて気になるところを指摘するとしたら撤退守備の強度だろうか。左SBのハンツコはルーマニア戦であっさりとPKを与えてしまったし、ベルギー戦とイングランド戦では成功したといってもこの2試合は相手のパフォーマンスがいくら何でも悪すぎる。ロボツカより前で回収できたことが大きな要素なので、ここより先に進めるチームであれば、クオリティが問題になってくる可能性もある。総じて万能で弱みが少ないチームだと思うが、耐久性にはやや未知数なところを残したまま大会を去ってしまった。
Pick up player: ダヴィド・ストレレツ
ストーンズとグエイであれば背負えちゃうので、今大会でプレミア印の認証を受けることができたかもしれない。
【ベスト16】ジョージア
ローブロックの要件を満たした誇り高きアウトサイダー
サプライズ枠といえる本大会出場に加えて初のRound16進出まで決めるなどジョージアの国民にとっては今回のEUROは夢のような大会になっただろう。ネームバリューだけ見れば驚きではあるが、中身を紐解くとジョージアにはきっちりアンダードックとしての資質があったことは述べておきたい。
ベースとなるのは5-3-2での構える守備。バックスにはプレスに行かず、中盤を固めることを優先する。サイドにボールを誘導できた時には大胆なチャレンジが奨励されており、バックスから降りていく選手へのチェックでボールを奪うアクションを見せる。
ローラインで受けるチームは少ない人数で出て行く手段があるかが重要と普段から多くの記事で述べているが、その点ではこのジョージアは満点といっていいだろう。クワラツヘリアとミタウカゼのデュオは少人数で相手を壊し切るということにおけるユニットの完成度としては相当上位に来るはず。ボールを運ぶだけでなく、共にフィニッシュに関与する力も充分ある。下手なカウンターは命取りになることをアントニオ・シウバは痛いほど理解したはずである。
決定力という点で凄みがあるのはこの2人がメインになるが、ドリブルで間合いを図りながら速度をコントロールしつつ味方の攻め上がりを待つというスキルはほぼ全員が標準装備。割と希少価値の高い能力かなと思ったら中盤より前は全員出来ちゃうのだから、陣形の押し上げも自在。自陣からのポゼッションも含めてボール保持に関しては十分にRound16レベルにあったように思える。
ママルダシュヴィリという最後の砦は相当強力ではあったが、ボックス内の守備での強度はやや不安要素だったことは否めない。中盤より前で跳ね返してボールを前に送るというメカニズムが機能しないスペインに対してはなかなかシュートまでたどり着くようなボールの奪い方ができなかった。
それでもスペインほどの保持のクオリティのチームは欧州ではレアであることは今大会を見れば明らか。どちらかといえば自分たちの長所が多くのチームに通用することを堂々と示す誇り高い大会になったはずである。
Pick up player:フヴィチャ・クワラツヘリア
代理人と父親とクラブが移籍をめぐって大会中にケンカを始めるという謎の逆風を乗り越えて、ジョージアのエースたるパフォーマンスを見せた。ほんと、わけわかんない逆風過ぎたのでめっちゃ応援した。
【ベスト16】ベルギー
最終節が3回あったグループステージ
GSは平たく言ってしまえば全試合クライマックスだった。初戦は負ければGS敗退の危機に瀕しているチームがプレッシャーに押しつぶされてしまったかのようなパフォーマンス。
手始めにドクが自陣で意味不明なドリブルをした結果、あっさりとロストしてゴールを割られると、そこからベルギーの出来はガタガタに。バックス、CHが互いに位置関係を見ずにそれぞれが好き勝手にプレーをするため、ボールは一向に前進せず。見かねたデ・ブライネが下がってボールを受けると、後半はバックスにブチギレながら公開立ち位置指導が始まるといった有様だった。
前線もドクは単調な仕掛けに終始し、ルカクは抜け出した後のボールコントロールがバタバタして、まったくゴールが枠に飛ばず。何とかネットを揺らしたと思ったら劇的なゴールの取り消しになるなどワールドカップの悪夢がよみがえるような敗戦だった。
2戦目は負けたら終わりという崖っぷちクライマックス。だが、パフォーマンスはこの試合では安定。ルーマニアに対してはWGとCFできっちりポイントを作れることがアドバンテージになり、深さを作ったところを中盤が攻略するというパターンがハマった。
3戦目は文字通りのクライマックス。引き分けで突破可能という状況に対して、勝たなければいけないウクライナのハイプレスを食らうことになるが、デ・ブライネの列落ちから淡々と平定すると、落ちついて勝ち点1というミッションをコンプリートして見せた。
クオリティで勝てるルーマニア、引き分けでOKだったウクライナの2試合で立て直したかと思われたベルギーだったが、Round16ではフランスにオウンゴールで敗戦。立ち上がりはズレを作ってデ・ブライネを使うという形が刺さりかけていたが、展開が重くなるにつれて選手層と後ろの堅さで優るフランスに流れを引き込まれてしまい屈してしまった。
初戦を外れ値としてもクオリティ的には厳しい大会だった。バックスの質は攻守ともに列強の中ではかなり見劣りする方で、新しい柱が必要なフェーズにきている。ルカク、デ・ブライネを追い落とすスケールのタレントも見られないうえに、両サイドには面倒見が必要なクセスゴアタッカーがズラリとなれば、すぐにはスカッドのゆがみは解消することはないだろう。
Pick up player:ケビン・デ・ブライネ
シティからの落差に耳がキーンとしたのではないだろうか。彼のようなタレントが落ちるのは普通の試合では反対なのだけども、これだけどうにもならなかったらそうなるのも仕方がない。
【ベスト16】スロベニア
ビッグトーナメントでの手強さを見せた16強入り
デンマークと同じく、こちらもすべて引き分けできっちり揃えることでグループCを突破。ベスト16でもドローゲームに持ち込み、いけるで!と思ったところをGS引き分け突破の大先輩であるポルトガルにのされてしまい、惜しくもこの段階で大会を去ることとなってしまった。
基本的なフォーメーションは4-4-2。2トップへの長いボールが前進の大きな原動力となっている。スポラル、シェシュコの2トップは軽い動きから縦横無尽に駆け回りつつ、ロングボールを引き出す「動」の2トップ。ボックス付近にどっしりと構えて相手を背負いながら長いボールを待つというセルビアのミトロヴィッチ、ヴラホヴィッチといったFWとは好対照な軽さを見せている。
行動範囲が広い分完全に捕まえきるのは難しく、落としも綺麗となればスムーズなカウンターは約束されたようなもの。前にボールが収まると、今度は右サイドの縦関係から敵陣に迫っていく。前にスペースがあるときのカルニッチニックとストヤノビッチはスムーズに敵陣にボールを運びつつ、自らがボックス内に入っていくダイナミズムも兼ね備えている。動き回る2トップの相性の良さを感じさせるユニットである。
ロングボール一辺倒ではなく、後方からの持ち上がりもスムーズ。相手のプレス隊の逆をつく配球を後方から行うなど器用さも見せた。
セルビア戦では高さに屈してしまった感もあったが、ポルトガル戦ではロナウドへの単調なクロスを跳ね返し続けるなど押し込まれる展開への耐性も感じさせる内容。我慢して我慢してチャンスが来るのを待つことができるスキルは代表戦のビッグトーナメントが勝ち上がるための素養のように思える。ポルトガル相手にあと一歩まで迫ることができたのは大きな経験になるはずだ。シェシュコがゴールを決めていたら、ディオゴ・コスタという悪魔がいなければとたらればをいえる時点で勝ち上がりに肉薄したとrいっていい。
1勝もできないまま大会を去ることとなったが、裏を返せば1敗もしなかったということでもある。ポテンシャルも多くの局面への対応力も見せた今大会のスロベニア。今後の成長が楽しみなチームだ。
Pick up player: ヤン・オブラク
ロナウドのPKを止めて涙を流させたシーンは間違いなくベスト16におけるハイライトの1つ。それより大きなハイライトがそのあとのコスタにやってくるのだけども!
【ベスト16】ルーマニア
第1節の主役に君臨
EUROをグループステージ第1節に限定すれば、この大会はルーマニアの大会だったといってもいいだろう。それくらい、初戦のウクライナ戦のインパクトは大きかった。
近年では国際大会での躍進が目立つウクライナを初戦で撃破し、瞬く間に大会の注目を集めることなった。
そのウクライナ戦で目立ったのはとにかくトランジッションの鋭さだ。ボールを奪った直後はとにかく縦に出て行くことで素早く陣地を回復。前線はもちろんのこと、後方から颯爽と出てくるSBのラティウは存在感抜群。青髪という個性的な髪色も含めて、今大会でもっともアイコニックな選手の一人といってもいいかもしれない。CFではドラグシュがボールを収めてそうした後方の選手の攻め上がりを促すことができたのもそうした後方の選手の攻め上がりを待てるという点で大きかった。
後方ではプレミアに移籍して半年の訓練を積んだドラグシンが躍動。壁として君臨し、ウクライナの攻撃のシャットアウトに貢献した。
3-0と完全に勢いに乗る勝利を挙げたルーマニアだが、その後はやや苦戦が先行。CFのドラグシュががっちりと収める形で相手のバックスに対して優位を取ることができたのはウクライナ戦が唯一。以降は存在感をなかなか見せることができなかった。
それでも歴史的な予選突破を決めると、Round16ではオランダと激突。だが、インサイドのルートを締め切ることができず、シャビ・シモンズにあっさりとライン間を使われ続けて、一方的な劣勢に。守備での対応は中盤が下がることしか見つけられなかったルーマニア。全体の重心を後ろに下げられたまま、押し上げが効かずに敗れてしまった。
少し話はそれるが、スロバキアとの最終節の姿は非常に良かった。引き分けで結果をにぎれば互いに突破は決まる状況ではあったにも関わらず、両軍は同点の終盤追加タイムまでバチバチにデュエル。知らなかったらまず引き分ければこのまま両チームが次のラウンドに進む試合だとは到底思えないだろう。ウクライナ戦での閃光のような光が見えなかったのは残念だが、黙っていれば突破確定の90分をバチバチで戦う姿もまた輝いていた。
Pick up player: アンドレイ・ラティウ
トランジッション爆速青髪野郎。ダンフリースとかもそうだけど、ビッグトーナメントにおけるオーバーラップバカ早SB大好き。
【ベスト16】オーストリア
解釈一致のスタイルで大会の盛り上げ役に
「なんでそんなところに!」感満載だったマンチェスター・ユナイテッドでの仕事を終えて、解釈一致といえるオーストリア代表監督というポストに就いたラングニック。この大会ではラングニックのチームらしいアグレッシブなスタイルが終始見られたといえるだろう。
最近の代表戦のトレンドといえるのかもしれないけども、とにかくハイプレスから流れを引き寄せられるチームが少ない。フランスとかポルトガルのように前に大駒がいるチームは仕方ない気もするけども、イングランドとかクラブでバリバリやっているやんけ!というような前線のメンツでもなかなか前からのプレスを基調とした流れの持ってき方はしない。おそらく短期決戦では体力面で懸念があるということなのだろうけども。
その点、オーストリアはそのリスクを負った稀有なチーム。2トップの制限に呼応するようにCHとSHがスライドして高い位置からプレスを仕掛けていく。エムバぺとデンベレがいるフランスにこれができるのだから、非常に勇気を感じる。サリバとカンテの保持での落ち着きがなければあるいはプレスで押し切ることができたかもしれないという展開だった。
こうした行ってこい!の精神は突破のかかったオランダ戦でも存分に発揮されることになる。2列目のスライドでオランダを同サイドで咎めつつ、素早く縦に攻撃。オランダを乱戦に巻き込んで打ち合いを制してみせた。
ただただアップテンポなだけでなく、このオランダ戦の前半に見られるように中盤のマンツーの先にいるアルナウトビッチへの縦パスから一気に前に進むなど、噛み合わせの妙を使った前進もちらほら。そうした静的な局面の幅の広さはバックスにアラバがいればさらに際立つ形になった可能性もあるだろう。
トルコとのRound16はアルナウトビッチにグレゴリッチュを入れるツインタワーで最後までゴールに迫っていたが、セットプレーの2失点を跳ね返すことができなかった。内容的には十分圧力をかけられていたし、同点までは持っていけてもおかしくはなかっただけに悔やまれる敗戦となった。それでも、今大会屈指の盛り上げ役としてオーストリアはEUROに花を添えたといっていいだろう。
Pick up player:ダビド・アラバ
この大会にこの選手がいたらランキングいまのところ1位。いやー、みたかったよねーー。