MENU
カテゴリー

「Catch up Premier League」~Match week 14~ 2020.12.19-12.21

 さて今節も。

目次

①クリスタル・パレス【12位】×リバプール【1位】

画像1

■課題の『谷間』で大勝を飾る

 直近は安定した戦いぶりが目立つクリスタル・パレス。そのチームを支えるのが中盤の2枚。ミリボイェビッチとマッカーサーの2枚はいぶし銀の活躍でチームを引き締め、相手を苦しめている。

 この試合でもここ数試合と同様にクリスタル・パレスは4-4-2で守る。それに対してリバプールはSBから一気に最終ラインを揺さぶる裏へのボールで、相手のDFを下げさせる。中盤を飛ばして最終ラインを直接攻略するアプローチで、慌てるクリスタル・パレスの守備陣を尻目に得点を決めたのは南野拓実。今季初得点は開始直後の3分に生まれたものだった。

 クリスタル・パレスもリバプール陣内に攻め込むことができれば、チャンスはあった。特にエゼの縦方向のパスは武器。しかし、この試合ではリバプールがきっちり押し込んで攻撃を終わるために、カウンターの開始位置がどうしても低くなってしまうこと。そして、重心を上げたタイミングでカウンターを食らう危険があることなどエゼを活かすうえでの懸念も多かった。

 そして、この試合ではその懸念が的中してしまう。取りも取ったり7得点。直近の好調を支える中盤をすっ飛ばしてダイレクトに最終ラインを強襲し、根こそぎ大量得点。強豪との合間の試合で淡白に勝ち点を落としてしまうこともある今季のリバプールだが、この試合では前節の流れをさらに強める大勝を果たした。

試合結果
クリスタル・パレス 0-7 リバプール
セルハースト・パーク
【得点者】
LIV:3′ 南野, 35′ マネ, 44′ 68′ フィルミーノ, 52′ ヘンダーソン, 81′ 84′ サラー
主審:ジョナサン・モス

②サウサンプトン【3位】×マンチェスター・シティ【9位】

画像2

■健闘も決め手勝負では分が悪い

 カウンター型だがボール保持でも徐々に落ち着きを出してきているサウサンプトン。それに対してマンチェスター・シティがボール保持でどこまで支配力を発揮できるかどうかがまずはポイントになる。

 そういう意味では決してシティは完ぺきではなかった。展開という意味では両チームは互角な部分が大いにあった。むしろ、サウサンプトンの方が押し込んだ後の縦方向の揺さぶりが十分にできていたし、アダムスとイングスにもボールは収まっていた。

 シティは相変わらずWGが孤立気味。彼らは個でこじ開けるパフォーマンスを見せない限りは輝けないというのが今のシティのチームの構造のように思える。それでも一発回答を示せる選手がいるのは大きい。デ・ブライネにどうボールを渡すか?というのが実質今のシティの攻撃の命題になっている。レパートリーとしては外で受けながらクロスを上げるか、パス交換でスルスル縦方向に入ってくるか?というパターンが主体。この日はハーフスペース抜け出しからのクロスで結果を出した。

 サウサンプトンは内容は悪くなかったものの、アダムスとイングスが共に退いてからはだいぶ苦しくなってしまった。ここまでほぼ手番のなかったヌルンドゥルとテラではシティ相手に中央に存在感を示すことには至らなかったし、同じく交代で入ったレドモンドも切り札にはならず。

 内容では健闘を見せていたサウサンプトンだったが決め手に欠けた。圧倒的な「決め手」になったデブライネを擁するシティにこの日は一歩及ばなかった。

試合結果
サウサンプトン 0-1 マンチェスター・シティ
セント・メリーズ・スタジアム
【得点者】
Man City:16′ スターリング
主審:マイク・ディーン

③エバートン【5位】×アーセナル【15位】

画像3

■正当化できるか否か

 チェルシー、レスターを撃破し好調な勢いで絶不調のアーセナルを迎え撃つエバートン。ただ、試合の内容だけ見ればそこまで直近のチームの勢いは反映されなかった。

 その理由はエバートンの好調の要因にあると思う。彼らは守備における中盤のマンマークを主体としたアプローチと受け渡しの整理で上昇気流に乗った。チェルシーはWGのビルドアップ関与が甘くインサイドハーフがマンマークを振り切れない限りは活路が見いだせず、レスターはWGがエバートンが網を張っている内側にカットインする動きが崩しの主体。中央を回避する傾向が強いアーセナルに対しては奪いどころが定めにくい。攻撃においても、ボールを奪取してから素早くSBの裏をとることがベースになるので、ボール奪取でいい形が出せなければ停滞が目立つことになる。

 とはいえアーセナルがサイドに固執することが機能していたら、彼らは15位に沈んではいない。単調な攻撃同士の一戦になったが、決定的だったのはエリア内の優位だろう。キャルバート=ルーウィンがいるエバートンはただのハイクロスさえ正当化が可能。相変わらずやっていることを正当化できないアーセナルはまたしても勝ちなしの試合を伸ばすことになる。

試合結果
エバートン 2-1 アーセナル
グディソン・パーク
【得点者】
EVE:22′ OG, 45′ ミナ
ARS:35′(PK) ペペ
主審:アンドレ・マリナー

④ニューカッスル【14位】×フルハム【18位】

画像8

■立ち位置のギャップも数的優位も生かせない

 4バックでスタートしたニューカッスル。ボール保持の局面はフルハムの方が多い前半であり、フルハムは3バックでのビルドアップ。確かにニューカッスルは4-4-2では迎え撃ちにくい。少なくとも形の上では。

 ただ、この日のフルハムは前進にだいぶ苦労していたように見える。理由はわからないのだけど、ミトロビッチへのロングボールを使うタイミングが結構早かった。確かにそこで勝負するのもアリなんだけど、そもそも後方でニューカッスル相手に一つずつずらしながら戦うことは難しくなかったのでは?と思ってしまう。直線的なロングボールはニューカッスルにとっては相対的に対応しやすいはずである。

 ニューカッスルは十分守れていたように思うのだが、途中からリッチーをWBに下げた5バックにシフト。おそらく、念には念をということでハーフスペースと大外を棲み分けるルックマンとロビンソンコンビを潰しやすくしたのだろう。ただ、先述のようにそこまで4-4-2でやられていなかったので、そこまでやるのは結構意外だった。

 前進がうまくいかなくてもなんとかセットプレーから先制したフルハム。うまくいかないのに得点につながるのはこのチームにとっては結構珍しい。ただ、この日は後半にアンデルセンがPKと退場のコンボ。アイナが足を滑らせたことが非常に高くついてしまった。

 数的優位を得たものの、ニューカッスルは思ったほど支配力を発揮できず。シュートが入らないとかではなく、波状攻撃を仕掛けて攻め立てるまでそもそも至ることができなかった。当然フルハムも10人ではなお前進に苦しむので、共に苦しい試合終盤になった。

試合結果
ニューカッスル 1-1 フルハム
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:19′(PK) ウィルソン
FUL:42′ OG
主審:グラハム・スコット

⑤ブライトン【16位】×シェフィールド・ユナイテッド【20位】

画像4

■勝ちそうだったのはブライトンだけど

 前半はブライトンの方がペースを握っただろうか。ボール保持の局面が多く、前5人の根性でなんとか守ろうとするブレイズのプレスをかわし、ボールを前に進める。

 しかしながら、この日のブライトンはそこからが不調。相手のブロックを外から抉るような大外からの攻撃がこの日は不発。ブレイズと対戦するときは最終ラインの裏をとることが得点への近道なのだが、この日はこの相手の最終ラインを後退させるパスがバチっとハマらなかった。

 ブレイズもブレイズでミドルプレスをかわされた一瞬での怠慢さは気になる。高いラインを敷いて前から何とかしよう!という割にはフリーズをしてしまう状況が散見されるのが気になるところである。中盤より前のプレスもそこまで整備されているわけではないし。そういう中で危険なタックルでランドストラムが退場。ブレイズは苦しい展開になる。

 ただし、一瞬の怠慢さはブライトン側の守備でも見られるところ。押せ押せイケイケになるブライトンはプレスを脱出されるとプレスバックがやや弛緩する。先制点のシーンはジャハンバクシュのプレスが空転し、ビスマがカバーをサボりという流れでブレイズがボール運びに成功。途中出場のボーグルが先制点をゲット。ボーグルはエリア内での動き直しでブライトンの守備陣を翻弄。得点につながるまでのしっかりとしたボール運びは久しぶりにビルドアップができるブレイズを感じた。

 得点場面以外でも要所で敵陣にボールを運べるブレイズだったが、シュート機会はさすがにブライトンの方が多い。セットプレーからの同点弾のウェルベックはどことなくアーセナルファンとしてはレスター戦を思い出すエモいゴールだった。

 どちらが勝ちそうか?といわれればブライトン。ただ健闘を見せたのはブレイズの方というのが個人的な印象である。

試合結果
ブライトン 1-1 シェフィールド・ユナイテッド
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRI:87′ ウェルベック
SHU:63′ ボーグル
主審:ピーター・バンクス

⑥トッテナム【2位】×レスター【4位】

画像5

■中盤カチカチ、後ろは薄い

 共に引き締まったパフォーマンスを見せた試合だった。非保持は4-4-2気味で中央を締めたブロック守備で互いを迎え撃った両チームであった。より積極的なプレッシングを敢行したのがトッテナム。中央だけでなくレスターのビルドアップで大外からの運び役になることが多いSBの2人にも高い位置からプレス。中盤より手前で止める意識が強かった。

 レスターの方が引いて受ける意識が強く、これは引いた相手に対するトッテナムの相性を考慮しての物だろう。トッテナムはエンドンベレが中央で受けることくらいしか撤退守備に対する攻撃の手がなかった。

 共に決め手を欠いている中の試合。ファウルによるセットプレーしかチャンスがない展開において、先制を許したのはPK。オーリエの対応は軽率だったと言わざるを得ない。

 リードを奪い後半になったことでレスターは中盤を飛ばして割り切った裏狙いを積極的に行うように。トッテナムは中盤より前は守備において強力なのだが、後ろはやや薄い。後半早々のマディソンのオフサイドのシーンも中盤を省略した一発の形。試合を決定づけた追加点のシーンも、レギロンが簡単にボールホルダーを離してしまったり、クロス対応にも怪しいところもあったりなど、まずいところをレスターによってさらされた形。

 トッテナムは保持においては引き続き強みが出ず、カウンターに関しても普段に比べれば精度不足。トッテナムの最終ラインを苦しめ続けたレスターのロングボールよりも、相手にダメージを与えることはできなかった。

試合結果
トッテナム 0-2 レスター
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
LEI:45+4′ ヴァーディ, 59′ OG
主審:クレイグ・ポーソン

⑦マンチェスター・ユナイテッド【6位】×リーズ【13位】

画像6

■強みを強みで滅多打ち

 試合は早々に決着がついてしまった。3分までの2得点。マクトミネイの今季初ゴールは得点感覚の覚醒を促したのだろうか。3分での同一選手の2得点はプレミアで初めての記録らしい。

 しかし、このゴールはたまたま決まったというよりもユナイテッドの改善が見られたという方が正しいだろう。特に縦関係での攻撃の連携が良くなっている。先制点のシーンはブルーノ・フェルナンデスのタメがマクトミネイの上がりを促している。

 この中央でのタメやポストからの追い越しはユナイテッドの新しい攻撃の形。ブルーノ・フェルナンデスだけでなく、マルシャルもこのレパートリーを習得しており、これがラッシュフォードの裏抜けやフレッジやマクトミネイの上りを促していた。

 このパターンの確立により、ポグバやブルーノ・フェルナンデスのタッチダウン以外にもパターンが見えてきたマン・ユナイテッド。コンディションも良好でリーズのマンマークをオフザボールの動きで積極的に振り切っていく。

 リーズは自分たちよりもインテンシティが高い相手にぶつかってしまい、全然良さが出なかった。相性としてもやりようがない感じ。運動量とタメ&裏抜けのコンビネーションというリーズの得意のフィールドでこの日のマン・ユナイテッドは躍動。3分で2点が入ったのはあたりが先に来た感じがあるものの、内容を見ても完勝。この日のマン・ユナイテッドは完全にリーズの上位互換だった。

試合結果
マンチェスター・ユナイテッド 6-2 リーズ
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:2′ 3′ マクトミネイ, 20′ 70′ ブルーノ・フェルナンデス, 37′ リンデロフ, 66′ ジェームズ
LEE:42′ クーパー, 73′ ダラス
主審:アンソニー・テイラー

⑧ウェスト・ブロム【19位】×アストンビラ【11位】

画像7

■泥だらけの初陣

 マンチェスター・シティに引き分けという奇妙なタイミングでスラベン・ビリッチを解任するという決断を下したウェストブロム。ファンからは昇格の立役者を変な時期に解任したなという意見を多く見かける。

 そして後任はサム・アラダイス。この人選を見る限り、徐々にボール保持を頑張る方針にシフトするビリッチに対してあまりいい印象をフロントが持っていなかったのではないか?と思ってしまう。

 そういう中で迎えた新監督の初陣は散々たるものだった。確かにリバモアの一発退場で糸口を完全に失ってしまったのは間違いない。しかしながら、彼の退場前の段階でどこまでできていたかといわれると答えに困ってしまう。とにかく前進の手段がない。収まらないロングボールか、味方に前を向かすことができない楔ばかりでアストンビラに対して攻撃の活路を見出すことができない。

 アストンビラが長いボールから無理なく先制点を得てからは、控えている過密日程を意識してか試合は沈黙。アストンビラが無理なくボール保持で時間を消費し、最後は仕上げの追加点で試合は完結。1点のリードと1人の数的優位の2つを駆使して、ビックサム・バギーズの出航に泥を塗りたくった。

試合結果
ウェスト・ブロム 0-3 アストンビラ
ザ・ホーソンズ
【得点者】
AVL:5′ 88′ エル・ガジ, 84′ トラオレ
主審:マーティン・アトキンソン

⑨バーンリー【17位】×ウォルバーハンプトン【10位】

画像9

■空を飛び交うボール

 ウルブスにとってはボール保持の局面で苦しみ続けた90分だった。試合の展開は終盤を除けば、ボールが空中にある時間が多く、ウルブスが主導権を握って攻め立てるというよりはバーンリーの得意な体のぶつかり合いが得意な局面が多く存在することになった。ウルブスもこの分野が苦手なわけではないのだが、さすがにバーンリーに対しては分が悪い。前線がポデンスとネトならば長いボールでの前進は難しいし、オタソヴィくんは特徴がわからないまま終わってしまった感である。

 その分、バーンリーは生き生きしていた。シンプルなロングボールだけでなく、動き出しで裏を狙う動きで一気にウルブス相手に決定機を創出する場面も。特に前半はウルブスよりも好機を生み出しており、試合を優勢に進めたといっていいだろう。先制点の場面はテイラーのクロスとファーに逃げながらもヘディングを叩きこんだバーンズのフィニッシュが見事。2点目のセットプレーを仕留めたことも含めてバーンリーにとっては今季最もうまく試合を運べたのではないか。

 ウルブスはファビオ・シルバとアダマ・トラオレを投入し、前線にタッパとパワーとスピードを注入するが、終盤に押し込む局面まで行ってもなお、決定機を多く作るには至らず。バーンリーの面々は投入直後にPKを与えたベンソンを除けば、満足度が高い内容になったのではないだろうか。

試合結果
バーンリー 2-1 ウォルバーハンプトン
ターフ・ムーア
【得点者】
BUR:35′ バーンズ, 51′ ウッズ
WOL:89′ シルバ
主審:リー・メイソン

⑩チェルシー【7位】×ウェストハム【8位】

画像10

■速い展開に光を見つけたチェルシー

 仮にまだこの試合の結果を知らないチェルシーファンがいたとしたら「いい話と悪い話、どちらから聞きたい?」と思わず問いかけてしまいたくなるような立ち上がりだった。

 悪い話はチルウェルの負傷。新戦力の中でいち早くフィットし、不動のSBとして君臨しているチルウェルの過密日程における負傷交代は全てのチェルシーファンをぞっとさせたはずである。次節のアーセナル戦には出れていたので大してことなくてよかったけども。

 いい話というのはそんな展開にも関わらず、先制点をセットプレーからゲットできたこと。この日のこの後の展開を考えると早い時間に先手を取れたことは非常に大きかった。

 得点を除けば前半は一進一退の攻防になる。共に相手陣までには運べるが、リトリートした相手のブロックを崩すことはできず。サイドからのクロスは互いに跳ね返し続ける。速い攻撃ではエイブラハム、アレという両チームのCFにボールが収まらず、なかなかシュートチャンスまで持っていくことができない。どちらかと言えばチェルシーにチャンスはあったが、フィニッシャー役になるヴェルナーは湿りがちであった。

 後半になると両チームの速い展開に少しずつ差が出てくる。徐々にエイブラハムがボールを収められるようになると、チェルシーが速い展開からシュートを生み出せるように。是が非でも結果が欲しかったヴェルナーにとっては2点目のアシストは大きかったはず。仮にそれが狙っていなかったものであったとしても。

 速い展開からエイブラハムが2点の追加点を奪って試合はクローズ。ウェストハムはマスアクとアントニオがいなくなってからカウンターの質や保持の落ち着けどころがなくなってしまった印象。やや停滞気味の結果は内容をリアルに反映しているように見える。

試合結果
チェルシー 3-0 ウェストハム
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:10′ チアゴ・シウバ, 78′ 80′ エイブラハム
主審:クリス・カバナフ

   おしまいじゃ!!

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次