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「ボールと共に前進できるか」~2020.11.29 プレミアリーグ 第10節 アーセナル×ウォルバーハンプトン プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第8節
2020.11.29
アーセナル(12位/4勝1分4敗/勝ち点13/得点9 失点10)
×
ウォルバーハンプトン(9位/4勝2分3敗/勝ち点14/得点9 失点10)
@エミレーツ・スタジアム

戦績

近年の対戦成績

図1

直近10戦でアーセナルの6勝、ウルブスの1勝、引き分けが3つ。

アーセナルホームでの対戦成績

図1

直近10試合でアーセナルの7勝、引き分けが3つ。

Head-to-head from BBC sport

・アーセナルは直近23回の公式戦でのウルブス戦で1回しか負けてない
・ウルブスは1979年の9月の対戦以降、直近9回のアーセナルホームでの試合で勝ちなし
・しかしながら、直近3試合のエミレーツでのリーグ戦は全て1-1。これより長らくエミレーツでの試合で負けていないチームはシティだけ。
・アーセナルは1979年以降25試合連続ウルブス戦で得点中

スカッド情報

【Arsenal】

・二コラ・ペペは出場停止。
・ブカヨ・サカは打撲から復帰の見込み。
・トーマス・パーティとウィリアンは当日判断。
・セアド・コラシナツとモハメド・エルネニーはCOVID-19から復帰。

【Wolverhampton Wanderers

・コナー・コーディはCOVID-19の自己隔離から復帰予定。
・ロメイン・サイスはCOVID-19の陽性反応により隔離中。

Match facts from BBC sport

【Arsenal】

・無得点で敗れれば1908年以来ホームでの無得点での3連敗
・現在9節消化で勝ち点13。プレミアになってから10節消化時点でもっとも少なかった勝ち点は92-93,94-95の勝ち点14
開幕10戦のリーグ戦で4敗以上したのは83-84が最後
9節までの得点が2桁に乗らなかったのは34年ぶり

Wolverhampton Wanderers

勝てば79-80以来のトップリーグでの開幕10戦で5勝を達成。
・トッテナムに次いで失点が少ないが、トップハーフの中では最も得点が少ない(9)
・2020年のプレミアリーグにおいて13個のクリーンシートを記録。リーグ最多。
ロンドンでの試合は10戦無敗が続いたあと、2連敗中。合計スコアは6-0。

予想スタメン

画像6

展望

■フォーメーションで微妙に変わる色

 前節のサウサンプトン戦は今季初めての4-3-3を採用。中盤の守備参加が強く求められており、間のスペースで受けるサウサンプトンの選手を封殺している。一方でこのやり方はWGのスタートポジションが低くなってしまい、攻撃に転じた時の破壊力が足りないという難点も露呈した。

 ただ、おそらくこのフォーメーション変更はCOVID-19の自己隔離を行っていたコーディの不在が大きな影響を与えていると考えるべきか。コーディの復帰が予定されているアーセナル戦では再度5バック回帰の可能性が高いと見る。

 5バックを採用するウルブスは堅い展開で試合を進めることが多い。失点も得点も少ないという傾向はアーセナルと同じ。得点も失点もアーセナルと全く同じ数字である。ローラインで構えるときのアーセナルほどではないが、ウルブスもWBが高い位置まで出ていってプレスをかけるような機会はそんなに多くはない。

 攻め手は前の3枚が中心になる。ヒメネス、ポデンス、ネトの3人が前線を形成することが多い。5-2-3の場合はヒメネスを中央に、他の2人を両サイドに置く。この場合はよりピッチの横幅を使って広く攻めてくる傾向が強い。したがって、中央にあるサイドへの供給源をまずは断つ必要がある。出し手になるのはネベス。クリスタル・パレス戦以降調子を上げている彼には要注意。まずはここを封じることで左右に振ることを未然に防ぎたいところ。

 並びを5-3-2のようにしてネトにインサイドハーフとFWの2役を任せることも多い。この場合はより直線的。FW3枚の連携を活かして一気に攻略する。

 ウルブスのアタッカー陣はFW同士の横の連携は良好なのだが、一方で後方のオーバーラップを使った厚みのある攻撃はあまり得意ではない。どちらかといえば、早く完結させてしまうダイレクトな攻撃の方が彼らにはあっている。

 なので、撤退守備をどう崩す!?というのがウルブスの攻撃にとってはネックになることが多い。今季のアーセナルも撤退守備時は容赦なく人数をかけてリトリートするので、ウルブスは押し込む展開になったら手を焼くだろう。もちろん、アーセナルのDF陣がヒメネスとのハイクロスの競り合いをシャットアウトできればの話だが。

■少ない機会の質をあげる

 リーズ戦は10人になってからの方がよかったと感じるアーセナルファンは多いだろう。理由を考えると真っ先に挙げられるのはサカの躍動。それ以外の点だとSBがマンマークを外して持ち上がれた点が挙げられる。

 マンマークを外して攻めあがれることのメリットは、相手に次の動作の選択を迫れること。ウルブスはアグレッシブなオールコートマンツーを採用するリーズとは異なるチームだが、後方が堅い守備のチーム相手こそ選択肢を迫る動きで相手にスペースを空けさせることは重要である。

 前回のウルブスとの対戦時はまさしくそれができていたからこそ勝てた。3バックの右を務めるムスタフィが2トップ脇から運ぶ動きができたということが非常に大きかった。正直言って華麗な動きとはいいがたいボール運びだったが、慣れない動きをトライし続けることで道が拓けた試合であった。

図1

図2

 そしてもう1つ昨季のウルブス戦でできていたことがある。それはボールと共に前進するということ。先制点のシーンだが、この場面においては縦に進んだあと、セドリックからティアニーへの大きなサイドチェンジを挟むことで、低い位置にいたサカが最終局面まで顔をだせるようになっている。

図3

 思えば、パフォーマンスがよかった昨季終盤のアーセナルは相手のプレスを外してカウンターにおいても、大きな展開を1つ挟むことで中央での味方の攻め上がりを待つことができている。いわば、ボールと一緒にチームの重心も押し上げているイメージ。なので、今季と同じ少ないチャンスでもより厚みのある攻め上がりができた。

 逆に今季のアーセナルはこのような前線でのタメを作ることができておらず、『ボールだけ』先に進んでいる。互いにどうボールを進めるかが共有できていないようなシーンが多く、個人個人が進めるところまで進んでいってどん詰まってしまう。

 得点の機会はこの試合ではそう簡単に多くならないだろう。相手は堅さのあるウルブスだ。それでも前回対戦では愚直に課題に取り組み続けたからこそ結果を得ることができた。なので、今回も愚直に取り組みたい。まずはチャンスの質をあげること。そのためにはボールと共に進むこと。限られた機会をストライカーに届けて、沈黙が続いているオープンプレーからの無得点記録を何とか止めたいところだ。

 ちなみに準レギュラークラスの控えアタッカーが苦しんでいるのも両チームの共通点。交代選手が打開の一手を繰り出せるかも注目だ。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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