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「僕が鹿島戦を好きな理由」~2020.11.14 J1 第27節 鹿島アントラーズ×川崎フロンターレ BBC風オカルトプレビュー

 このプレビューは対戦カードの過去の因縁やジンクスを掘り起こして、試合をより一層楽しむための物です。

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第27節
2020.11.14
鹿島アントラーズ(5位/15勝3分10敗/勝ち点48/得点43 失点37)
×
川崎フロンターレ(1位/22勝2分2敗/勝ち点68/得点70 失点22)
@県立カシマサッカースタジアム

戦績

近年の対戦成績

図1

直近5年間の対戦で鹿島の4勝、川崎の9勝、引き分けが4つ。

鹿島ホームでの成績

図2

直近10試合で鹿島の2勝、川崎の6勝、引き分けが2つ。

Head-to-head

<Head-to-head①>
・直近13試合の公式戦における川崎戦において、鹿島が90分で勝利したのは一度だけ。
・直近9試合のリーグ戦において川崎は鹿島に負けなし(W6,D3)

 以前は川崎の初めてのタイトルに立ちふさがる鹿島という構図が一般的だったが、今では立場は逆転。近年のリーグ戦では明らかに川崎が優位に立っており、むしろ川崎が鹿島を乗り越えることをきっかけにタイトルに手をかけたり、鹿島が川崎にタイトルを邪魔されたりなど風向きが変わっている。

 川崎は鹿島にとって5年間リーグ戦で勝利がない相手であり、J1所属チームの中で唯一通算成績で負け越しているチーム。鹿島はタイトルがかからずともモチベーションは高いはずだ。

<Head-to-head②>
・リーグにおけるホームでの川崎戦において、鹿島が最後に勝利したのは2014年のこと。
・川崎は直近4年間のカシマスタジアムでのリーグ戦で無失点。

 鹿島が川崎戦において特に苦手なのはホームであるカシマスタジアムの一戦。この地では6年間勝利がない。最後の勝利は赤﨑秀平が鹿島所属として得点を決めた2014年である。

 ちなみにホームのリーグ川崎戦において鹿島は4年連続無得点。最後の得点は2015年であり、これも赤﨑秀平が決めたもの。鹿島は最後にカシマスタジアムの川崎戦で得点を決めてから390分が経過しており、この間に川崎は6得点を決めている。

<Head-to-head③>
・首位でこのカードに臨んだチームは直近6試合勝ちがない(D3,L3)
・土曜開催においては川崎が鹿島に4連勝中。

 このカードはタイトルがかかったチームにとってブレーキになることが多い。2018年の川崎はなんとか乗り越えたが、それもギリギリの引き分けによるもの。阿部浩之が2枚目のイエローカードと引き換えにカウンターを止めていなかったら、その試合の勝敗だけでなくリーグタイトルの行方すら変わっていた可能性も全くないわけではない。首位にとっては鬼門。例年と異なりここで勝たなければいけないプレッシャーがあるわけではないものの、鹿島はやはり乗り越えておきたい相手である。

 川崎に有利な情報を最後に一つ付け足すとすると、土曜開催の試合は川崎が4連勝中。川崎は連勝を伸ばすことができるだろうか。

スカッド情報

【鹿島アントラーズ】

・和泉竜司は左膝内側側副靭帯損傷で離脱中。
・白崎凌兵は右大腿二頭筋損傷で出場不可。

【川崎フロンターレ】

・大島僚太、長谷川竜也は練習合流済み。
・小林悠はハムストリングの肉離れで負傷中。

予想スタメン

画像3

Match facts

【鹿島アントラーズ】

<鹿島のMatch facts①>
・直近17試合のリーグ戦で4敗のみ。
・直近16試合は引き分けがない。

 「今季、降格がなくて鹿島はよかったね」、「ザーゴはまだまだ辞めないで!」なんて他チームのサポーターから言われていたのはわずか4カ月前。今ではすっかりそんなことを誰も言わなくなって久しい。それもそのはずで直近の17試合ではわずかに4敗。それ以前の11試合で6敗していることを考えれば大幅な改善といっていいだろう。

 引き分けがないのも今季の鹿島の特徴。直近の16試合は白黒はっきりした結果になっている。うち12試合は勝利を挙げており、中期的に上り調子であることは確かだ。

<鹿島のMatch facts②>
・今季ホームで敗れた試合はいずれも無得点負け。
・同一シーズンで同じ相手にカシスタで2敗すれば2014年の神戸以来6年ぶりのこと。

 敗れた試合の特徴を見てみると無得点ということが共通事項として挙げられる。ホームで負けたリーグ戦3試合はすべてこれに該当。アウェイで負けた7試合のうち6試合も無得点に終わっている。唯一の例外は第2節。2-1で敗れた等々力の川崎戦。この試合を除けば今季の鹿島は得点を奪った試合で必ず勝ち点を得ていることになる。

 ルヴァンカップで勝利している川崎にとって、土曜日は鹿島の地で同年で2勝をあげるチャンス。6年前の神戸以来のチームとなる。

<鹿島のMatch facts③>
・今季の48得点中76分以降の得点が20。
・ビハインドから得た勝ち点が18でリーグ最多。

 鹿島の調子が出てきた理由は終盤の得点増加に尽きる。公式戦全48得点中、75分以降に生まれたものが20。全体の42%にものぼっている。最後の15分に限れば川崎と鹿島は同じ得点力である。

 さらにビハインドから得た勝ち点も18でリーグ最多。ただ、これにはそもそもビハインドの機会が多いという側面も。鹿島よりビハインドの機会が多いのは3チームだけ。清水、仙台、神戸以外に鹿島よりビハインドの機会が多かったチームは存在しない。

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch facts①>
・リーグ戦における連敗を喫すれば2018年以来2年半ぶり。
・今季敗れた公式戦3試合はいずれも無得点。

 だいぶ冷や水をぶっかけられた感のある札幌戦から10日余り。優勝を楽観視する向きも出てきてはいるが、選手たちはそれよりも目先のことを考えているだろう。ふがいなかった昨シーズンのリーグ戦すら連敗はなし。直近2年半で一度も連敗はない。大崩れをしないというのが鬼木フロンターレのアイデンティティの1つ。いろいろあった秋だったが、まずは立て直しを図りたいところ。

 ちなみに負けた試合が無得点ばかりというのは鹿島との共通項である。点さえとれば負けないチーム同士の一戦になる。

<川崎のMatch facts②>
・関東アウェイでの試合は12戦負けなし(W9,D3)
・11月開催のリーグ戦は2連敗中。

 特に得意なのは関東アウェイ。2018年の埼スタ以来、2年以上負けていない。直近では9連勝中で1年以上勝ちっぱなしである。

 相性の悪いデータを引っ張り出すと11月のリーグ戦というくくりで見たときに連敗中。共に等々力での横浜FM戦と札幌戦というトラウマになりそうな負け方である。ちなみに最後に11月に川崎が勝利したのが今回の舞台であるカシマスタジアム。前回の鹿島戦である。

<川崎のMatch facts③>
・長谷川竜也は直近2試合のリーグ戦の鹿島戦で得点を決めている。
・このカードにおいて現役で最も得点を決めているのは6得点の中村憲剛。

 当初のリリースにあった全治期間を経過しても一向にベンチ入りもトレーニングの続報もなかった長谷川竜也だったが、今週ようやく無事にメニューを消化している様子が報じられた。開幕からのハイパフォーマンスを披露できれば、WG戦線に割って入ることは十分に可能。直近のリーグ戦では2戦連発と相性のいい鹿島戦が彼の復活の舞台となるだろうか。

 相性がいいといえばこのカードでの現役最多得点者である中村憲剛。6得点を決めているが、実はこれはいずれも等々力で決めたもの。カシマスタジアムでの得点はキャリアを通じてない。やり残したことをもう1つ達成できるだろうか。

展望

■前線の配置で異なる色

 鹿島の試合は名古屋戦と横浜FM戦の2つを見たのだが、結構性格の違う試合だと感じた。具体的には攻撃のルートのところ。おそらくこの部分は前線のメンバー構成に依存するものと思われる。まずは名古屋戦。先発は以下のメンバーだった。

画像4

 この試合のコンセプトは中央合体。SHは内側に絞ることを求められて4-4-2の形にこだわらずにポジションチェンジを繰り返す。エヴェラウドのポスト以外はやや均質的で狭いところを通して崩すことを狙うやり方である。土居、アラーノ、和泉はいずれもこのやり方に適応できるテクニックを有している。

画像6

 交代で出てくる荒木や遠藤も同様。プレイヤーの個性はそれぞれ異なりはするが、いずれも絞ってプレーすることを得意としている選手が多い。もしかしたらプレイヤー特性で考えたら和泉は張った方がいいかもしれないけども。荒木は狭いスペースでも前を向くのがうまい。ゴールにも向かえるしいい選手だなぁ。

 大外のスペースはSBがほぼ占有する。使うプレイヤーがはっきりしていても手が打ちにくいのは内側でパスが回っているから、そして大外から上がるクロスの受け手と出し手の質が優れているからである。出し手の永戸はピカイチだし、受け手であるエヴェラウドとのPA内での勝負を好むチームはJにはいないはずである。

 しかし、この試合では鹿島は名古屋を攻略することが出来なかった。そんな中で続く横浜FM戦はこちらのメンバー。

画像5

 この試合では名古屋戦に比べると前の選手がピッチを広く使うやり方が多かった。目を引くのはエヴェラウドのサイド起用。これにより高さでサイドで起点を作ることが可能になる。そしてトップには裏へのスペース感覚に優れる上田綺世。これによりチームに奥行きが出る。

 より広くというコンセプトにはいくつか考えられる要因がある。1つは名古屋戦で退場したアラーノの出場停止、もう1つは裏にスペースを与えてくれる横浜FMという対戦相手の要素。理由ははっきりとはしないが、エヴェラウドでサイドにミスマッチを作り起点を作りやり方というのは川崎相手にも応用が効く。上ではアラーノと荒木の両SHを予想してみたが、エヴェラウドを左に流して山根とぶつけるやり方も考えられる。

 鹿島の攻撃の色を見るにはまずエヴェラウドをどこで起用するか、そして2トップの組み合わせにどのような特色の選手を起用してくるか。具体的には上田や伊藤など、裏を狙う職人系ストライカーが起用されるかが1つポイントになりそうだ。

■FC東京と似ているところ、似ていないところ

 守備面においてはより狙いははっきりしている。4-4-2でサイドに閉じ込める思想が強い。ということ想像するのは直近の相手でいえばFC東京だろう。確かにSH、CH、SBの3枚で外に押し出していく様子は重なる部分がある。

 FC東京と明確に異なるのはCBの行動範囲だ。FC東京はCBがまずPA内に留まることを優先し、最終的に攻略にかかるであろうエリアをプロテクトすることが求められる。つまり、CBの行動範囲は狭い。なので動かないことを利用し、ダミアンで高さを規定して深さを作るやり方が効果的だった。

 一方の鹿島のCBがサイドや前に出ていって潰しにかかることが多く、持ち場を離れてでもその場で相手の攻撃を止めることが求められる。なのでざっくりいえば1つずつずらしてしまうのが最も楽である。横浜FM戦の40分付近の崩し。永戸と町田をつり出しておいていなすようにPA内に侵入する動き。これが単純で川崎に向いている鹿島のブロック崩しだと思う。

画像7

 したがってニアサイドのパスコースを作る動きがキーになる。特に右の家長は1人か2人引き付けてのボールキープが可能な選手。間違いなくスペースメイクできるので、ここに合わせて山根やIHの選手がいかにボールを引き出せるかがカギとなる。

 ただ、鹿島の選手もただただつり出されてばかりではない。当然ボールをとれる公算が強いと判断してのこと。体が強いCBはファウルも辞さずに攻撃を止めることが出来るし、内側のパスは三竿やレオ・シルバが虎視眈々と狙っている。

 鹿島のここ2試合を見るといずれも攻守にテンポが速いし、鹿島相手の試合で優劣を決めるのはいつだって中盤のマッチアップである。ここで優位に立った方が主導権を握る。札幌戦では中盤で完全に後手を踏んだことで相手の波状攻撃を防ぎきれなかった。かかってくる目の前の相手を振り切れなかったのである。

 鹿島と札幌はフォーメーションは違えど、ボール保持時の中盤に求められることは近い。名古屋戦でトップで起用されていた土居聖真は、4-4-1-1のような形で中盤をかみ合わせるように低い位置までプレスバックをする役割もこなすが、守備の過程でポジションを取り直してカウンター狙いにシフトすることが多い。中盤でロストした場合は鹿島に対する被カウンター対応に苦しむこと請け合いである。下手なパフォーマンスをすれば札幌戦の二の舞だ。

 ただ、鹿島の被カウンター対応も狙い目。まず近いところから人をつぶすことがカウンターにおいても優先事項なので、人の配置のバランスはセット時以上に無茶苦茶になることが多い。縦一辺倒だけではなく、横パスを1,2本挟んで大きな展開を入れてみても面白いかもしれない。

■あとがき的な

 さて、いろいろ書いてきたのだが、自分は鹿島との対戦が好きである。理由はいくつかあるけども一番はなんだかんだ勝った方が強かったなと思える試合が多いからだ。敗れた天皇杯決勝では「鹿島がこれだけの過密日程なのに走れたというのは彼らの方が強いチームだったんだな」と思ったし、勝った試合においては確かな手ごたえを感じることが出来る。

 そして、応援しているチームが「今の鹿島よりも強い」と感じることが出来るのは、いつだって名誉なことである。今の自分が川崎に達成してほしい夢は「鹿島とのカップ戦ファイナルを制しタイトルを獲得すること」だ。この試合の舞台はこの夢とは異なるものだが、鹿島相手に年間3勝することが出来たならばより今のチームを誇りに思う気持ちが強まることだろう。

【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)

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