Fixture
明治安田 J1リーグ 第31節
2024.9.22
名古屋グランパス(9位/12勝4分14敗/勝ち点40/得点36/失点38)
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川崎フロンターレ(14位/9勝10分10敗/勝ち点37/得点45/失点42)
@豊田スタジアム
戦績
近年の対戦成績
直近5年間の対戦で名古屋の4勝、川崎の6勝、引き分けが3つ。
名古屋ホームでの戦績
直近10戦で名古屋の3勝、川崎の4勝、引き分けが3つ。
Head-to-head
- 前回対戦の勝利で川崎が3戦未勝利をストップ。
- 直近の公式戦6回の名古屋遠征で川崎は1勝のみ(D3,L2)
- 川崎の直近4回の名古屋での勝利はいずれもクリーンシート。
- 1ステージ制において30節以降にリーグ戦で対戦するのは初めてのこと。
スカッド情報
- 小野雅史は左前十字靭帯断裂により長期離脱中。
- 山岸祐也は左太もも肉離れにより離脱。
- ジェジエウは一時帰国し、肉離れの治療中。
予想スタメン
Match facts
- 直近8試合の公式戦は負けと勝ちが交互にきている。
- 順番的には次は負けの番。
- ホームでのリーグ戦は直近4試合で3勝。唯一の負けは2位の広島戦。
- 負ければ町田に続き、2つ目のシーズンダブルを食らうことになる。
- 対戦時に13位以下のチームとのホームゲームは4戦無敗(W2,D2)
- キャスパー・ユンカーが今季挙げた4つのゴールはいずれもホームゲーム。
- 直近13試合の出場(うちスタメン6試合)で1ゴールのみ。
- ミッチェル・ランゲラックが名古屋所属として川崎相手に挙げた4つの勝利のうち、3勝はホームで挙げたもの。いずれもクリーンシート。
- 公式戦4試合無敗(W3,D1)
- 勝てば今季2回目のリーグ戦連勝。
- 直近3試合の公式戦で2回後半追加タイムにゴールを決めている。
- 今季のリーグ戦のアウェイゲームの勝利はすべて関東で挙げたもの。
- 湘南、柏、FC東京。
- リーグ戦で勝利している直近4試合はすべて山田新がゴールを決めている。
- 最後に山田がゴールを決めずに勝った試合は6月の名古屋戦。家長昭博の2ゴールでの勝利。
- マルシーニョがゴールを決めた9試合の公式戦の内、リーグ戦の6試合ではここまで勝利がない。
予習
第28節 湘南戦
第30節 FC東京戦
第29節 新潟戦
展望
バラツキを経て気になる前線の人選
蔚山の地で初勝利を挙げたという歴史的なACL-Eの開幕戦から休む間もなく川崎は中3日でリーグ戦を迎える。対する名古屋も同じく中3日。台風で延期していた新潟との試合を組み込まれており、単純な試合間隔だけで見れば同じ条件で戦うことになる。
蔚山戦での整備された4-4-2でのプレッシングを見て川崎ファンが感じるところは「いつもこれくらいやればいいのに」だろう。アスリートのピーキングの大変さも知らないファンたちの勝手な意見であるが、安定しないリーグ戦の戦い方にやきもきしている故の不満が出るのは自然なことでもある。
同じく、今節の相手である名古屋も非常に直近の出来がばらついているチームである。すごくいい出来の試合もあれば、バラバラにプレスを仕掛けるような試合もある。直近の試合でもっともよかったという点では川崎と一致しており、もしかすると「いつもこれくらいやればいいのに」と思っている名古屋ファンもいるのかもしれない。
チェックした名古屋の3試合の中でもっとも出来が悪かったのはスコア通り4-1で敗れたFC東京戦である。この試合ではちょうど川崎との等々力の試合と同じように守備意識がバラバラで、1人の選手が誘導した方向にほかの選手がいない事態が続出。前から運動量を使ってプレスに行っているのに、空振りが続くという状況を作った上に、放っておくと一番面倒くさい荒木をフリーにしてしまい、彼を起点に仲川のドリブルで切り裂かれ続けるというのが大まかな内容であった。
翻って、直近の新潟戦ではCBには深追いしないというメリハリをつけて、インサイドにつけるパスに対しては鬼のように囲い込むことを徹底。インサイドを活用したい新潟を手玉に取って、ボールを刈り続けてカウンターでチャンスを作った。
うまくいった理由の1つはキャストだろう。前線から重量級の外国籍選手を外して永井、和泉、森島と働き者が多かったことは大きな変化ではあった。和泉は2点目の永井のカウンターにつながるボール奪取を見せるなど、シャドーでのスターター起用に応えた。
非保持での献身的な働きだけでなく、保持でのライン間に顔を出す動きでも新潟の4-4-2に嫌がらせを続けており、ボールを奪う狙いを絞らせない活躍を見せた。攻守両面で快勝に貢献したといえるだろう。
ユンカーが起用されている際も大きく運動量が落ちる(和泉の方が走れるのは確かだろうが)というよりは個々の動きがバラバラな方が影響としては大きく、おそらく倍井あたりもこの点で少し存在感を下げている印象だ。単純なターンオーバーととらえるのであれば、少なくともパトリックかユンカーのどちらかはスターターとなり、森島と永井or和泉と3トップを組むことになるだろうが、快勝の新潟戦の流れを汲むのであればリピートの可能性も否定できない。名古屋の3トップの人選には注目だ。
異なる顔での強みを打ち出せるか
名古屋の前線以外のポジションは直近では比較的レギュラーがはっきりしている。CHの椎橋、稲垣とCBの三國、河面は鉄板。WBとCBを入れ替えたりしているが、野上と内田もスターター起用が濃厚。おそらく、マルシーニョ対策を考えると野上が後ろを守るのではないかと予想しておく。左のWBは徳元か山中のどちらか少し読めないところがあるが、大まかにはスタメンはこんな感じの3-4-2-1だろう。
川崎との4-2-3-1との噛み合わせは互いに悪く、保持側は自然に立つだけで相手のフォーメーションに対してズレを作ることが出来る。逆にいえば、非保持側はずらしながら対応する必要が出てくるということである。
名古屋も川崎も問われる部分は同じで、非保持に回った時にこのズレをいかにシームレスに解消することが出来るかどうかだろう。新潟戦で名古屋の非保持が効いたポイントの1つとしては、相手のCBにボールを持たせてOKという割り切りが挙げられる。この割り切りが効いたのは新潟のCBがボールを運ぶアクションを見せずに縦パスだけを狙っていたからだ。
佐々木と高井のスターターセットを連投するのであれば、川崎が新潟と同じ状況に陥る不安は少ない。ボールを運ぶアクションを織り交ぜて角度を変えながら守ることを強いるのであれば、名古屋の中盤には縦パスの受けどころを潰す以外の仕事も出てくる。CBがクリーンに1列目を越えて、2列目の穴の空いたところを使えれば、形勢は一気に有利になるだろう。
川崎が非保持の際は3バックに対してどのようにプレスをかけるかがポイントになる。蔚山戦では後方が3枚に変形した際にはWGが前に出て対応していたが、CFの小林の巧みな舵取りと、二度追いができる脚力があるWG。後方を橘田に任せて問題のない立場となった河原の助太刀などミドルプレスがうまくいく要素を並べた感がある。
山田やエリソンがスタメンであれば、前から追うときの連動は取れないし、家長がWGであればプレスバックの二度追いの脚力には不安が残る。橘田ではなく大島が相棒ならば、河原が前に出るのを躊躇する可能性もある。
ならば、蔚山戦のリピートを!となるかもしれないが、あの試合では90分を通してそこまで多くのチャンスを作れてはいなかった。守備面での貢献は大きい小林と瀬川は保持に転じた時における前線の起点としては物足りなく、マルシーニョのゴールはとても再現性があるスキルだったとは思えない。彼のカウンター以外にも相手のゴールにリーチする手段は欲しい。また、蔚山戦で効いたプレスはピッチの悪化など外的要因の手助けがあったことも肝に銘じる必要がある。
町田のように決まったスタイルの中で多くの陣容を回すのであればそれでいいと思うけども、今の川崎は誰が出ても同じような戦い方にはならない。大島や家長が出ている時は保持に振らないといけないし、瀬川や小林が出ている時は非保持をベースに組むことの優先度が高まる。週2でメンバーをある程度入れ替えて戦うことを意識するのであれば、変化が起きることは受け入れるべきだと思う。スカッド的に。
一発勝負ではこうした戦い方の揺らぎはうまく使い分けられればいい方向に転がったりもするが、リーグ戦だと軸が二転三転してうまくいかないことも結構ある。なので今の川崎は割と難しい方向に突っ込みつつあるなというのが正直なところではある。それでもそういうスカッドなのだからやるしかない。
名古屋の前線と川崎のバックスのデュエルなど局面の見どころはたくさんある試合だが、一番の気になるポイントは川崎の見せる表情。おそらく、家長と大島をスターターに組み込むセットで来ると思うが「だから、蔚山戦のセットでいいのに」ではなく、「こっちもこっちで悪くないね」となるような90分を期待したい。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)