救世主・谷川が崖っぷちのなでしこを救う
負けてしまえば決勝トーナメントへの扉がかなり狭まってしまう日本。ブラジルを前に序盤から3-4-3でのミラーゲームを仕掛けて高い位置からボールを奪いに行くスタート。ブラジルもこれに応戦。ハイテンポに付き合う形の序盤戦となった。
ブラジルのロスト後の即時奪回はなかなかに強烈だったが、日本のハイラインを破るスピードもなかなかのもの。最後方を守る山下のリスタートも含めて、手早く攻略してブラジルの背後を狙うというプランは共有されているように見えた。
10分も経つと直線的な応酬はいったん終わりを迎える。ブラジルは巧みなファウルの奪取とゴリゴリとしたドリブルからのチャンスメイクが目立つ展開に。だが、ボックス付近の精度が伴わず、ゴールを奪うところまでは至らない。
一方の日本は間延びした感のあるブラジルの中盤の守備に対して、前線が降りるアクションからサポートを見せる。縦パスを預けるポストから前向きの選手を作り、裏を狙うことでチャンスを作っていく。
先制点の絶好機もこの裏抜けからだった。浜野→宮澤の裏抜けから一気にブラジルのラインを押し下げると守屋のシュートがハンドを誘発。PKのチャンスを得る。だが、田中のシュートはロレーナががっちりとキャッチ。先制の絶好機を逃すこととなる。
迎えた後半にまったりと互いにプレスをかける中で優位に立ったのはブラジル。降りるアクションから熊谷を釣りだすと、高橋の背後を狙って加速。最後はジェニファーが仕留めてスコアを先に動かす。このDFラインの釣りだしから背後を狙う一連の流れはブラジルの攻撃のパターンとして日本を苦しめる。
日本は交代で入った植木の左サイドからの飛び出しからチャンスを作っていくがマイナスの折り返しが合わず。ハイプレスと自陣からの前進の二刀流から反撃を狙うが、巧みに時間を使うブラジルを前に徐々に旗色が悪くなる。
そんな絶望的な状況を救ったのが交代で入った谷川。右サイドからのドリブルで存在感を見せると後半AT直前にはドリブルで滑らせた相手のハンドを誘発して、熊谷の同点のPK弾をおぜん立てする。
慌てるブラジルは縦にパスを強引に入れていくが、自陣付近でミスが続き日本にボールを渡してしまうと、狙いすましたロングシュートを決めたのはまたしても谷川。交代選手が終了間際にブラジル相手に逆転勝利をもぎ取る大活躍。新たなヒロインが牽引した逆転勝利でなでしこは一転決勝トーナメント進出に王手をかけた。
ひとこと
たぶん、むこう20年くらい語り継がれる勝利になるだろうこれは。
試合結果
2024.7.28
パリオリンピック
グループステージ 第2節
日本 2-1 ブラジル
パルク・デ・プランス
【得点者】
JPN:90+2’(PK) 熊谷紗希, 90+6‘ 谷川萌々子
BRA:56‘ ジェニファー
主審:レベッカ・ウェルチ
