構造の妙がない数的不均衡
残留争い中の京都。後半戦は猛チャージで来季もJ1で戦うために順調に勝ち点を重ねている。今節の相手の鳥栖は敗れれば降格決定という崖っぷち状態だ。
序盤は京都のロングボールからスタート。福岡が最終ラインの右に入るなど、落ちる位置に工夫を見せながら後方でフリーになり、前線にロングボールを送る。鳥栖がこれを跳ね返す形でスタートする。
しかし、先に結果を出したのはロングボールはロングボールでも鳥栖のロングボール。ヒアンに向かうロングボールにソンユンが飛び出して一発退場。ややDFのリアクションが遅れたようにも見えたが、ゴールに向かうボールではな炒め、目測を見誤った感がすごかった。出ていくという判断自体のミスだろう。
10人になった京都は4-2-3という大胆な布陣。鳥栖は3-1-6のような形で大外にフリーマンを置きつつ前線に人を置けるような形で京都に対抗する。
しかしながら、こうした構造の妙で鳥栖が主導権を握るということはなかった。一応低い位置からボールを動かしてはいるのだけども、京都の守備に対してどこにボールを動かせば相手が嫌なのかを測りかねている様子で、結局ロングボールを蹴ることもしばしばであった。
ただ、ロングボールで縦に速い攻撃という点では明らかに割り切った京都の方が精度が上。トゥーリオとエリアスの2人のターゲットマンに加えて前線に飛び出す川﨑が加わり、少ない人数で攻撃を完結させるイメージがきっちりとついていた。
鳥栖は10人でもハイラインを厭わない京都のプレスをひっくり返すことができず。むしろ、引っ掛ける恐怖に怯えながらボールを動かすことしかできていなかった。
後半はまだ大外を効果的に使いながら押し下げるシーンができていた分、鳥栖の攻撃はマシだったように思う。だが、相手のロングボールへの対応の甘さは依然として存在。京都の先制ゴールはいかにもその甘さが出たシーン。トゥーリオは特にプレッシャーもなくボールを収めると、ミドルからあっさりと先制点を決めた。
以降も鳥栖は意地を見せることができないまま、ピンチの場面を重ねて京都に対して劣勢の展開を覆すことができない。89分には畳み掛けられる攻撃で福田に追加点を許して万事休す。最後にはヒアンが報復行為で退場と悲劇が積み重なる。
大きな勝ち点を積み上げた京都とは対照的に鳥栖は降格決定。13年間在籍したJ1の舞台とひとまずお別れをすることが決まった。
ひとこと
いや、苦しい。10人相手の京都にここまで苦しめられるとなると、やることはあまり整理できていなかったのかなと思う。退場とか失点とかそういう局面的な問題ではなく、90分間ずっと鳥栖には混乱が見られた。
試合結果
2024.10.19
J1リーグ
第34節
京都サンガF.C. 2-0 サガン鳥栖
サンガスタジアム by KYOCERA
【得点者】
京都:65′ マルコ・トゥーリオ, 89′ 福田心之助
主審:福島孝一郎
