MENU
カテゴリー

「Catch up 日本代表」~2025.6.5 アメリカ・メキシコ・カナダW杯 アジア最終予選 グループC 第9節 オーストラリア×日本 ハイライトレビュー

目次

ベビッチのリベンジでオーストラリアが本大会に大きく前進

 まさに両者の現在のアジア予選の位置づけがくっきりとわかるメンバー構成だった。突破をすでに決めた日本は初招集を含め、従来と入れ替えたメンバーがスターターに多く名前を連ねるスタメン。決戦仕様で勝ち点を積み上げていかなければいけないオーストラリアとは事情の違いが感じられる。

 突破は決まっていないとはいえ、オーストラリアは2位争いではリーダーの立場。日本戦ではまずはポイントをきっちりと取ることが優先となる。3-4-3で互いに噛み合うフォーメーションながらバックラインにプレスをかけず、中盤中央を固める前線守備を見せたオーストラリアは日本にボールを持たせることを許容する立ち上がりとなった。

 日本はまず左サイドの鎌田の降りるアクションから相手の出方を探っていく。左サイドはWBの俵積田に勝負の土台を整えられるかが重要だが、大外からの仕掛けでは2人のマークを引き連れていたり、バックドアでの裏へのランとパスが合わなかったりなど、左サイドのフィーリングはあまりいいものではなかった。

 大外が2人を引き付ける場合は、それはそれで周りが空くのだが、そういう浮いたスペースを味方も活用できなかった。この辺りは従来と違うメンバーを登用した上の不具合という感じだろう。

 CHもやや不具合が感じられたといっていいだろう。佐野と藤田はどちらか1人が中央にとどまり、オーストラリアのブロックの中で幽閉される役割をこなし、相方がサリーやサイドフォローで顔を出すという静と動の使い分けが見られた。

 このポジションの第一人者である守田と比べてしまうと高い位置に出て行ったときに影響力を発揮する頻度がもう少し足りないなという感じ。瞬間的な切れ味は両者ともに感じるけども、影響を与えられる頻度の面では守田の偉大さを感じる内容だった。

 左サイドからの攻撃が組み上げきれず静的な局面を動かせない日本。それでもハイプレスの視野は良好。オーストラリアの左サイドのベヒッチのところにボールを追い込み、縦を切ってロングキックを蹴らせる形で回収というパターンが非常に目立った。鈴木や平河といった日本の右の追い込み方はとてもよかったと思う。

 ライアンの長いレンジのキックが俵積田とミラーのマッチアップに毎回正確に飛ぶのであれば、オーストラリアのロングキックの効き方は変わったように思えるが、実際は日本のCBと正面から向き合う場面もあった。この局面では町田と渡辺の空中戦の強さが目立ち、簡単に前進はさせない意思を感じさせた。

 攻守に日本が押し込める局面を安定的に作り上げる展開に変化が訪れたのは30分過ぎ。少しずつオーストラリアが前からのプレスで日本のバックラインにプレスをかけるようになる。

 個人的にはこの試合で一番クオリティがもったいないなと思ったのはオーストラリアが速い展開を仕掛けてきたこのタイミング。アジリティの面では特にオーストラリアのバックラインには日本は優位を取れそうだったと思うのだが、ファストブレイクにおけるパスワークでも主導権を引き寄せられず。まぁ、即興に近いメンバーならば仕方ないのかなという感じはしたが、あまり今後に向けたアピールにはならなかった出来かもしれない。

 迎えた後半は前半の頭と同じ文脈。日本はボールを持ちながら崩しを探っていく。左サイドからは町田に代わって入った瀬古が縦パスから展開を加速させたり、大外を回ってオーバーラップをかましたりと、イメージと異なるプレーにトライしていたのが印象的だった。

 縦パスとオーバーラップについては悪くないフィーリングだったが、対角パスのトライあたりは有効だったかは微妙。細かい繋ぎのミスなどを含めるとトライする心意気は買いたいけど花丸という感じではないかなというパフォーマンスだった。

 前半はやや左傾倒だった日本だが、中央の縦関係を使ったパスや右サイドを使ったパスなどルートは多様な形を意識するようになった。右サイドでは鈴木と平河の二人称での攻撃が多め。CHはもちろんだが、ここにSB色が強い関根が絡んでくればより面白かったように思えた。

 左の大外、右のコンビネーションという2つの要素を強化するために日本は中村と久保を投入。大外で暴れまわる中村と密集攻撃の基準の役割はお手の物!という久保はそれぞれのサイドでアクセントとなる動きは見せることはできていたように思う。特に中村のアイソレーションでの引き出しの多さは印象的だった。

 オーストラリアは日本のポゼッションをひっくり返した後も加速が出来ずに苦戦。空中戦のターゲットとしてミッチェル・デュークの登場はロングボール攻勢で日本を苦しめた感がある。

 日本のサイド攻撃に耐え続けるオーストラリアにご褒美が訪れたのは後半追加タイム。右サイドのハーフスペースの裏を取る動きに瀬古がついていけず、突破を許すと折り返しを仕留めたのはベヒッチ。日本戦では前回の予選で悔しい思いをしたワイドアタッカーがW杯出場に大きく近づく決勝点を生み出す。

 長年日本に泣かされ続けてきたオーストラリアだが、この日は劇的な勝利を確保。W杯への切符獲得に向けて視界は良好だ。

ひとこと

 従来のメンバーに比べてうまくいかないのは当たり前ではあるのでそこはいいとして、その中で何を残せたかというところでいうと、なかなかこの試合の中で目に見える実入りはあまり多くなかったのかなというのが正直なところ。個人的にはチャレンジ色が強かったワイドよりもCHコンビの方が気になった。

試合結果

2025.6.5
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
アジア最終予選 グループC 第9節
オーストラリア 1-0 日本
パース・スタジアム
【得点者】
AUS:‘ べヒッチ
主審:カシム・アルハトミ

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次