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「Catch up 日本代表」~2024.11.14 アメリカ・メキシコ・カナダW杯 アジア最終予選 グループC 第5節 インドネシア×日本 ハイライトレビュー

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自由になる遠藤と待ち続けたライン間待機隊

 サッカー熱の大きさが話題になっているインドネシア。勝てばグループCで完全に抜け出す日本にとっても厄介なアウェイゲームということになる。さらには降りしきる雨も日本にとってはイレギュラーな要素となる。

 インドネシアのスターターは5-4-1。ストゥライクとオラットマングーンのどちらがトップに入るかは試合次第という今予選のインドネシアであるが、この試合ではオラットマングーンがCF。ややニッチな側のケースを日本は引き当てたことになる。

 日本は引き気味のインドネシアの5-4-1に対してボールを持つスタート。日本は3バック+遠藤が組み立ての軸。遠藤の相棒である守田は遠藤の隣に立つこともあったが、1列目前に入る頻度も高く3-1-6をベースに遠藤の相方を流動的に変えているイメージであった。CHとしても機能する鎌田が1列前にいるからこそという自在な配置だろう。左の大外役の三笘も含めて、日本の左サイドにはMF役が多かった感がある。

 その分、三笘は受ける位置がいつもよりは浅い位置になりがちであった。そのため、1枚を剥がすことがすぐにラストパスに直結するような形にはなりにくい。逆サイドの堂安も手前に入ることが多く、アーリー気味のクロスからのチャンスメイクが目立つ前半となった。

 インドネシアの守備がうまく機能していたかどうかは微妙なところ。ライン間を閉じるという意味ではきっちりやることはできていたが、アンカー役の遠藤はやたらとフリーになっていた。ここをフリーにしてしまうと、日本はスムーズに左右に揺さぶることができるし、サイドと中央のどちらに差し込んでいくかのトライを遠藤を軸にやりやすい。一見コンパクトには見えても、日本にそれなりに試行回数を与える類のものだったと思う。よって、守田や鎌田が粘り強くライン間で供給を待つという駆け引きも成り立ちやすい。

 ややジリジリとする日本の攻撃であったが、むしろ誤算だったのは個人的にはカウンター対応かと思う。初手でオラットマングーンの1on1を許してしまった板倉のように、この試合の日本は90分を通してバックラインが明確にインドネシアの前線に対して優位に立てているという感じではなかった。初手で鈴木が決定的な仕事を果たしていなければ、試合はまた違う景色を見せていたかもしれない。サイドの背後に流れるアクションなど、攻撃的なWBの背後を取る形で日本の3バック相手にインドネシアは起点を作り続ける。

 自陣からでもショートパスから動かしていく形もトライするインドネシア。日本の波状攻撃に持ち込ませないようにできる限り周到に試合を運んでいた印象だった。

 しかし、それでもこじ開けられるのは日本の強み。アンカーの遠藤のタメから1列前に進んだ町田が起点となり、守田→鎌田と繋いで小川へのラストパスがオウンゴールになる。日本の繋ぎはとても見事。遠藤が自由を享受しているというこの試合の序盤の傾向ははっきりとしたフリになり、遠藤が対面を固定したところに侵入した町田からライン間で待ち構える守田と遠藤にボールが入るという流れだった。

 日本は続くゴールも左から。低い位置に下がった鎌田から三笘のバックドアに合わせる裏パスが通り、最後は南野が追加点。左サイドでの駆け引きの勝利を最後は攻撃よりなシャドーの仕事を果たした南野が締める。

 2点のリードを得た日本は左サイドからバランスをとることに専念。落ち着かせて時間を使いハーフタイムを迎える。

 迎えた後半、インドネシアはハイプレスに来るリスク覚悟のスタート。日本もこれに応酬。守田と遠藤が1列前に入る形でプレスに加わり、前への圧力を強めていく。どこまでが狙ったものかはわからないが、WBに前田が入ったことで日本はプレスバックが強化されることになったこともプラスに働いていたように思う。

 前半とは違う流れの展開で先にミスが出たのはインドネシア。GKのパエスのパスミスを受けた守田は落ち着き満載のシュートでさらにリードを広げる。

 しかしながら、局面としてインドネシアがハイプレス合戦に劣勢だったというわけではない。日本のバックスのデュエルのクオリティが怪しかったし、ハイテンポな中で日本のロングボールの効果も微妙なところ。それなりに押し込む機会を得たインドネシアはファー狙いのセットプレー由来のクロスからチャンスを作りにいく。アルハンのロングスローなど交代選手も味を出すアクセントになっていた。

 しかし、決め手になったのは日本の交代選手。右サイドでのパス交換で伊東のサポートを受けて抜け出した菅原が追加点。クロスを基本線に狙いつつ、空いたニアを撃ち抜くという冷静さは見事。久しぶりの出場で結果を出して喜びを 爆発させたゴールパフォーマンスとは対照的なクールなフィニッシュだった。

 苦しい時間帯もあったが、要所で得点を重ねた日本が大勝。最終予選突破に大きな1勝を手にした。

ひとこと

 遠藤の隣をどう使うか?という観点における守田と鎌田の2人の工夫が見事。個人的にはこの2人と初手でのピンチを防いだ鈴木がこの勝利の立役者かなという感じ。

試合結果

2024.11.15
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
アジア最終予選 グループC 第5節
インドネシア 0-4 日本
ゲロラ・ブン・カルノ・スタジアム
【得点者】
JPN:35′ ハブナー(OG), 40′ 南野拓実, 49′ 守田英正, 69′ 菅原由勢
主審:ムード・ボニーアディファード

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