仕掛けるサウジを尻目に大人の試合運び
9月シリーズで出遅れたら有力国たち。日本はここで勝利をすれば、2位以下に3ポイント以上差をつけることができる。日本の独走を許さないためにも、サウジアラビアにはここで日本を止めなければという意識があるはずだ。
サウジアラビアは4-3-3でのスタート。予想と少しずれがある形のフォーメーションになった。3バック、2人のIHで日本のバックラインに強気でプレスを仕掛けていく。ボールを奪ったらサイドにボールをつける。特に左サイドのアッ=ドーサりーのところでは日本の右サイドに優位を取れそうな状況。まずはここに預けるということでコンセンサスは取れていたようだ。
日本はハメられていることを察知したため、素早く中盤で噛み合わせを外しにいく。バックラインに落ちる遠藤と中盤ともう1つ前を行き来する守田の2人でサウジアラビアがどこまで出ていくかを観察する。
遠藤は相手のプレスを落ち着かせるイメージで、守田は攻撃を加速するためのスペースメイクがさらに上乗せされているイメージ。引いた守田に食いつくサウジアラビアの中盤の背後を南野が使う形は定番化。頻度は多くないが、前半の重要な攻め手になっていた。
日本はこの縦パスから先制点をゲット。右に目線を集めてからの左に振って三笘!という形は直前にも見たシーン。日本はこの三笘からの折り返しからの攻撃を最後は鎌田が締めてリードを奪う。ズラしてルートを探して進むというのを非常に簡単にやってのけた。
サウジアラビアの攻撃に対しては日本はミドルゾーンでは三笘と堂安の高さを変えたアシンメトリーの4-4-2に見えた。ただ、サイドの攻撃では後手を踏むことに関しては日本は自覚的だったのかワイドのCBの迎撃が早め。特に町田はかなり目立ったように見えた。
どちらかというと日本のアクションがバタバタしたのはボールを奪った後。ボールを奪った後にボールを失ってしまったり、あるいは捨ててしまったりなどでサウジアラビアからリズムを奪い返せない。背負っている選手に強く当たってボールを回収するメカニズムを順調に動かすサウジアラビア。そして、奪ったとは相変わらずアッ=ドッサリーを軸とした攻撃から日本のゴールを脅かしていく。
ピンチもあった鈴木の大きなファインセーブもあり、日本はなんとか無得点で凌ぐ。守田が攻撃のテンポを落ち着けて試合を制御しつつ、南野への縦パスから反撃を視野に入れるといったところでハーフタイムを迎えることとなった。
後半も前半と変化のない展開でスタート。ボールを持つサウジアラビアに対して、日本は5-4-1で受けるスタートに。右のWBに伊東が入った分、守備ブロックは手当てをされている。
サウジアラビアは押し込むものの、武器となりそうなところがはぶつ切り。前半の左のアッ=ドーサリー以外は単発感が否めない。特に前線へのロングボールは日本のCBには競り勝てるところもありそうな感じなのに、どこに落とすかなどのチームとしての狙いが見えにくかった。3バックへのシフトも瞬間的に見られたサウジアラビアだが、これはU字ポゼッションを誘発するだけで有効打にはならず。
守田がボールを落ち着かせようとする展開は後半も見られたが、日本は前田の投入とともにカウンターにフォーカスする形にシフトチェンジ。長い距離を走る攻撃から一気に盤面をひっくり返そうとする。
選手交代を絡めて4バックに戻したサウジアラビアだが、交代で入った選手が結果を出したのは日本。小川航基のセットプレーからのゴールで日本はリードを広げる。サウジアラビアはゾーン気味に構えるセットプレーの守備が前半から怪しかったが、ついにここで決壊をしてしまったイメージだ。
サウジアラビアは4-4-2からSHも前線寄りでパワープレーにシフト。最後の総攻撃を仕掛けていく。だが、これも日本はなんとか対応。一度危うい場面を作られた以外は屈さず、最後に逆に決定機を作り返す。
前回は勝てなかったサウジアラビアのアウェイゲームを克服した日本。完勝で最終予選3連勝を果たした。
ひとこと
結構、仕掛けを見せてくる相手だったと思うが、それを受け止めて壊し切るという日本の試合運びは成熟したチームの振る舞いだった。
試合結果
2024.10.10
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
アジア最終予選 グループC 第3節
サウジアラビア 0-2 日本
キング・アブドゥッラー・スポーツ・シティ
【得点者】
JPN:14′ 鎌田大地, 81′ 小川航基
主審:キム・ジョンヒョク