サウサンプトン【20位】×マンチェスター・シティ【3位】

既視感あるシティと見たことのないセインツ
残りは3節。シティとしては徐々にCL出場権という残り目標を固めている形。FA杯というタイトルに向けて、徐々に勢いを出していければなという感じだろう。
サウサンプトンは5-4-1で受ける選択。前に残されたスレマナはロングボールのターゲット用ではあるが、10人がボックス内に入っていくような守備を組んでいるようでは周りのサポートは期待できない。ましてやスレマナはそういったタイプの選手というわけでもない。
押し込むシティは大外から横パス→ポケットという王道の形は悪くはないものの、やや横パスは各駅停車で単調。サウサンプトンがかなり幅も圧縮して守っているということもあるが、縦にパスを入れるとかそういったアクセントが少ないのは気がかりでもある。
シティは時間経過とともに徐々に対角パスを入れていくように。ポジトラでのファストブレイクからのファウル奪取や最終局面でのファークロスからチャンスを作っていく。
一方のサウサンプトンも序盤はシティのハイプレスには苦戦していたが、さすがにデ・ブライネとハーランドでは常時ハイプレスというわけにはいかない。即時奪回の危険性さえ排除してしまえば、後方からつなぐ余裕はありそうな展開だった。
サウサンプトンの繋ぐ展開での崩しはそこまでではあったが、シティの猛攻から機会を取り上げるという意味では悪くない。試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。
後半、シティはドクを投入。攻めても攻めても攻め疲れないドクのような選手はひたすら殴るしかないこういうゲームには向いている。期待に応えて左サイドからガンガン仕掛けていく。
しかし、サウサンプトンが保持に回った際のゆるさは看過できないレベルに。シンプルに中央に縦パスを刺されての前進を許すなど、冬以前の脆さに戻ってしまった感がある。
脆いシティ相手に年1の集中力を引いた感があるサウサンプトンの守備。「え、それできるの?もう降格決まってるけど!遅いんだけど!」と言いたくなるような集中力でシティの攻撃を次々と跳ね返す。70分台にはそこはかとなくサウサンプトンに勝ち点獲得の可能性が香ってくることとなった。
続々と投入されるアタッカーに対しても脅威の集中力で守り切ることに成功したサウサンプトン。マルムシュ、ハーランドのカウンター対応で並走できるベドナレクの姿には舌を巻いたどころの話ではない。最後までサウサンプトンの牙城を崩せなかったシティは痛恨の1ポイントとなった。
ひとこと
今季ここまで何度も見たことがあるのっぺりとしたシティと、今季見たことのないセインツの試合だった。
試合結果
2025.5.10
プレミアリーグ 第36節
サウサンプトン 0-0 マンチェスター・シティ
セント・メリーズ・スタジアム
主審:ティム・ロビンソン
フラム【11位】×エバートン【14位】

長いチェックの末のゴールで流れを引き寄せる
序盤からボールを動かしていったのはフラム。ワイドに広がるCBからボールを動かしていく。エバートンは序盤のテンポの速い攻撃をトーンダウンさせられた格好でポゼッションを譲る。
エバートンはプレッシングからテンポを探りにいく。同サイドに誘導してからの封鎖で高い位置からボールを奪いにいく。フラムは誘導に抗えるか否かがポイント。横断からのチャンスメイクに成功すると、もう一度フラムが押し込むペースを掴む。
安定したサイドから敵陣に入り込んだフラムは先制ゴールをゲット。スミス・ロウのクロスをヒメネスが仕留めて先行。パワーヘッダーらしい一撃で試合を動かす。
リードをえたフラムは中央のポストから左右に振るアクションなど変化をつけながら敵陣に。エバートンは失点直後には前から守備に行けず、サイドでの圧力も上がらない苦しい展開。イウォビがサイドでタメを作ったところからのミドルでチャンスを作る。
ドゥクレの潰しからエバートンは少しずつペースを掴みひとまずは押し返していく。だが、ピッチを広く使えずに苦戦。押し込んだところからシンプルな攻撃は跳ね返されてしまう。
そんな苦しい状況でもなんとか同点ゴールをもぎ取ったエバートン。前半追加タイムにマイコレンコのディフレクトから試合を振り出しに戻す。
タイスコアで迎えた後半は互いにボールが行ったり来たりするオープンな展開。エバートンとしては望むところだろうが、フラムもアダマ・トラオレを投入することでドンとこいという姿勢を見せる。
互角な後半にスコアを動かしたのはエバートン。CKからキーンが勝ち越しゴールをゲット。長いポッシブルファウルのチェックも無事にクリアし、逆転に成功する。
勢いに乗るエバートンはアルカラス→ベトのファストブレイクであっという間に2点差に。まさしくゴールから試合を動かした格好だ。
フラムはウィリアンを投入し、左サイドの連携を強化するが、クロスは跳ね返されてしまうなど本気でブロックを組むエバートン相手にきっかけを作ることはできず。それならばとショートパスで繋いでも相手の守備ブロックの人の多さに阻まれる。ロングボールでの回避が機能するエバートンは波状攻撃に遭うこともなく問題なく跳ね返すことができた。
後半追加タイムにはマイコレンコのハンド疑惑もあったが、OFRまでやりながらもダレン・イングランドは判定を覆さず。エバートンがゴールから得た勢いに乗り、逆転勝利を収めた。
ひとこと
ゴールからきっちりと流れを引き寄せたエバートンだった。
試合結果
2025.5.10
プレミアリーグ 第36節
フラム 1-3 エバートン
クレイブン・コテージ
【得点者】
FUL:17′ ヒメネス
EVE:45+3′ マイコレンコ, 70′ キーン, 73′ ベト
主審:ダレン・イングランド
ウォルバーハンプトン【13位】×ブライトン【10位】

涙のグルダが決着のゴールを仕留める
序盤は高い位置からプレスをかけていくブライトン。WGのミンテがプレスのスイッチ役となり、前からのチェイシングを行っていく。
このブライトンのプレスに対して、ウルブスは左右に揺さぶりながら相手のプレスを壊していく。ウルブスの攻撃の主役はクーニャ。惜しいキックからゲデスのチャンスを演出したり、自身が左サイドから抜け出すなどアシストやきっかけ作りは彼に託されていた感がある。
一方のブライトンは右サイド。ランプティのトランジッションにおける馬力が目立つ展開。そのランプティからの右サイドからのクロスでウェルベックがネットを揺らすが、これはわずかにオフサイド。ブライトンは先制点のチャンスを逃してしまう。
しかし直後にブライトンのハイプレスが成功。おりてレシーブするクーニャを潰すアクションからPKを誘発。このPKをウェルベックが仕留めてリードを奪う。
ウルブスは時間経過とともにポゼッションの機会を増やす。サイドからの押し込みは安定し、ゴールに迫るシーンが増えていく。高い位置でのボール奪取も機能しており、この時間のウルブスはポゼッションチームのそれという振る舞いだった。
前半終了間際には色濃くゴールに迫ったウルブスだったが、ファン・ヘッケのスーパークリアがチャンスを阻止。前半はブライトンのリードでハーフタイムを迎えることとなった。
後半は前半よりもフラットな展開。ウルブスがボールをもてばポゼッションに移行するのと同じように、ブライトンもボールを持つターンでは大事にするように。縦パスに相手を食いつかせながらチャンスを伺っていく。
ウルブスの60分手前での4枚交代はハーフタイム明けの流れが芳しくないことの証拠だろう。この交代も一気に流れを掴むというよりは展開をオープンに変化させながらも互角の状況を引き続き作る形だ。
やや、オープンになった展開はアディングラの緩急をつけたドリブルで決着。抜け出したグルダは嬉しいプレミア初ゴール。感激の涙を流すシーンにはみているこちらもグッとくるものがあった。
以降もWGをベースとしたサイド攻撃から緩やかにチャンスを作りつつゲームをクローズしにいくブライトン。完全に主導権を握り続ける90分とはいなかったが、強かに勝ち点3を手にしてみせた。
ひとこと
ウルブス、前半のうちに追いついておきたかった。
試合結果
2025.5.10
プレミアリーグ 第36節
ウォルバーハンプトン 0-2 ブライトン
モリニュー・スタジアム
【得点者】
BHA:28′(PK) ウェルベック, 85′ グルダ
主審:マイケル・オリバー
イプスウィッチ【18位】×ブレントフォード【9位】

プレミアの先輩の貫禄を見せつける
高い強度で勝負する両チームらしい激しい立ち上がり。ブレントフォードのハイプレスに対抗するように、イプスウィッチはデラップめがけてのロングボール。イプスウィッチも守備に回れば前からのマンツーで捕まえにいくなど、高い位置からのプレスを意識してのスタートとなった。
そうした中で試合を落ち着かせる意識を相対的に感じたのはブレントフォード。ヤルモリュクのサリーなど、陣形をずらしながら相手のテンポを壊すことでショートパスからのポゼッションの要素を付け加えていく。
押し込む機会が出てきたブレントフォードはその流れのまま先制点をゲット。左サイドからのクロスにニアで合わせたシャーデが美しいゴールを決める。
ゴールを決めたブレントフォードは手を緩めることなくハイプレスをキープ。イプスウィッチはこちらもショートパスから相手のプレスを振り切りにいくが、なかなか自陣を脱出することができない。
押し込む機会こそ増えたイプスウィッチだが、効果的にゴールに迫る手段に繋げることができていたかは微妙なところ。縦に速い攻撃からダイレクトに背後を狙うブレントフォードの方が有力。45分に中盤でのダムズゴーの見事な入れ替わりからムベウモのシュートまで持っていった形は非常に見事だった。
後半もペースを握ったのはブレントフォード。プレスの出足が鈍いイプスウィッチを尻目に存在感を増しているファン・デン・ベルフの高い位置でのカットからのカウンターやノアゴールのサイドチェンジから敵陣でのプレータイムを順調に増やしていく。
攻守に圧力の高いブレントフォード相手にイプスウィッチは苦戦。ハッチンソンの脱出など、部分的に個人が対抗できるシーンは作り出せてはいたが、それでもブレントフォードのファストブレイクに苦しめられるシーンが増えていく。
セットプレーでもホールディングを取られかねないプレーが目につくなど、失点の可能性があらゆるところに転がっているイプスウィッチ。押し込まれる展開からオープンな展開に流れる形になったブレントフォードだが、最小失点差ながら彼らの余裕を見ればどちらも問題ないということだろう。
終盤まで余裕を見せたブレントフォードは華麗に逃げ切り勝利。プレミアの先輩としての貫禄を見せつけ、勝ち点3を手にした。
ひとこと
どの局面でもきっちりブレントフォードの方が上だった。
試合結果
2025.5.10
プレミアリーグ 第36節
イプスウィッチ 0-1 ブレントフォード
ポートマン・ロード
【得点者】
BRE:18′ シャーデ
主審:サム・バロット
ボーンマス【8位】×アストンビラ【7位】

10人に追い込まれつつもCL出場に望みをつなぐ
CL出場権争い名物となっている譲り合いによって徐々にボーダーが下がりつつある5位以内の勝ち点。すでに蚊帳の外に放り出されたと思われていたビラにもここにきてチャンスが巡ってくることとなった。
支配的に勝負に出ていこうという風にしそうな両チームだが、この試合は非常に慎重な入り。ロングボールを起点としてボールを収められる状況を探っていく立ち上がりとなった。
少々、気がかりだったのはボールを奪った後のボーンマスに推進力がなかったこと。前に矢印を向けることができるボーンマスらしいカウンターに出ていくことができるボールの奪い方はできていたのに、ボールを奪ったところから縦への鋭さを出すことができない。
逆にアストンビラはオナナが長いリーチを生かしたボール奪取から一気に縦に進んでいくが、ボーンマスはなんとかカウンターに対応する。縦へのシャープさという意味では立ち上がりはビラの方が手応えは良かったかもしれない。
だが、この試合の前半はそうした競技面よりもとにかく負傷や小競り合いによってプレーが止まることが多かった。結果的に6分の追加タイムとなった前半だが、時計の針が止まっていた時間はもっと長かったように思う。
やや試合の流れを掴みにくい展開でチャンスを生かしたのはアストンビラ。直前の決定機は逃してしまったが、前半終了間際にカウンターでゴールをゲット。安直な縦への進撃に失敗したセメンヨのところからひっくり返すと、ワトキンスがクロスの軌道を変える技ありのゴール。ギリギリで先制点を生み出してハーフタイムを迎える。
後半、左サイドから先にチャンスに辿り着いたのはアストンビラだが、コンスタントにチャンスを作ったのはボーンマス。左サイドのセメンヨのクロスからクライファートがチャンスを迎えるが、相手を交わしきれず。
以降もこの左サイドからボーンマスは攻めていく。先制点における失態を取り返したいセメンヨと交代で入ったクライファートからアストンビラを殴っていく。
やや制裁を欠くWGは左右の入れ替えを敢行。ボーンマスは膠着した展開を動かしにいくが、なかなか決め手となるチャンスを掴むことができない。
しかし、ラムジーが不用意な警告で退場。アストンビラは10人に。これを見たボーンマスは可能な限りのアタッカーを前線に投入して勝負をかけず。
だが、この形は前線多く船山に登ってしまった印象。数的不利でも頼りになるGKとしては世界でもトップクラスのマルティネスの落ち着きある振る舞いも助けとなった。
ひとこと
アストンビラにとっては大きな大きな一勝。CL出場権争いの望みを繋いだ。
試合結果
2025.5.10
プレミアリーグ 第36節
ボーンマス 0-1 アストンビラ
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
AVL:45+6′ ワトキンス
主審:スチュアート・アットウェル
ニューカッスル【4位】×チェルシー【5位】

文字通りくっきり明暗となった大一番
CL出場権をめぐる直接対決に挑む大一番。CL出場権獲得に邁進するニューカッスルは残り3試合が全て大一番のチェルシーとの一戦に挑む。
ニューカッスルのフォーメーションは5-4-1。あまり、フォーメーションをいじらないエディ・ハウらしくない奇策でチェルシーを迎え撃つ。
チェルシーの保持を咎めると、ニューカッスルは左サイドの大外から縦に鋭いカウンターで襲撃。前に入られかけたゴードンのバックドアはカイセドがギリギリのところで対応するが、ここから繋いだボールをラヴィアのところでニューカッスルが狙い撃ち。ハイプレスから一気にトナーリがゴールを決める。
以降も基本的にはニューカッスルはローブロック×ポジトラでチャンスメイク。2-3-5でボールを動かしてくるチェルシーのボール保持に対して、5レーンを全て埋めることでチェルシーの保持を封鎖。ボールを奪うとライン間に差し込むことで一気に縦に鋭いカウンターを放っていく。押し込んだら押し込んだで右サイドからのパスワークから抜け出す選手を作り出してチャンスメイクする。
アーセナルのSJPでの負けパターンを思い出すかのような立ち上がりのチェルシー。左サイドのマドゥエケの抜け出しは苦しい形における光明。この形からなんとか勝ち筋を探していく。
しかし、そんなチェルシーにさらに頭を悩ませる問題が。もちろんジャクソンの退場である。これでチェルシーは残りのシーズンで9番を失うこととなった。
ただ、この数的不均衡がニューカッスルに有利に働いたかは微妙なところ。きっちり守って、鋭く攻めるという決戦仕様の5-4-1の意味づけが曖昧になり、ただオープンな展開に。懐かしのSBロールからボックス内に突撃していくバーンが見られたのは10人相手ならではなのだが、間延びした展開の中でチェルシーもチャンスメイクに成功。WBの位置まで下がりながら、攻撃の際には一人で陣地回復するネトの存在はチェルシーにとってはありがたいことこの上なかったはずだ。
HTを挟んだチェルシーはマドゥエケをジェームズにスイッチし、5-3-1の陣形を整理する。チェルシーとしてはワイドの足が残っているうちに勝負をかけたいところ。左のククレジャ、右のネトになんとかボールを届けて解決策を見つけたい。
後半の立ち上がりのニューカッスルはチェルシーにある程度持たせつつ、左のゴードンからカウンター狙いのスタート。こちらもやり方を整理したかと思えたのだが、徐々に前半のようなワーワー合戦に展開が移行。
それならば通常の4-3-3に戻してしまおう!として陣形を組み替えるが、別にそれでも普通に10人相手を押し込むという展開を作ることができず。5-4-1でスタートしたゲームプランと数的不利のチーム相手にリードしているというギャップの大きさを埋められずに試合を進めてしまった印象。アタッキングサードまで持ち込めても、ぬるっとミスをしてしまうなどシンプルに出来が悪い。
チェルシーはとにかくど根性。ホルダーが相手を背負いながら根性でマークを外して前進するという形。これがそれなりに機能しており、チェルシーは後半も互角に勝負を挑むことができていた。
ニューカッスルは再び5バックに戻すなど迷走気味な後半であったが、追加タイムに入ってすぐにトドメをさすことに成功。FKでファーサイドに叫び続けたバーンがボールを呼び込むと、そのバーンのオーバーラップを囮にカットインしたギマランイスがミドルで追加点。試合を完全に決める。
雌雄を決する直接対決はニューカッスルに軍配。目標に大きく近づく勝ち点3を手にした。
ひとこと
チェルシー、ここから2試合はジャクソン抜き。大きな痛手を背負うこととなった。
試合結果
2025.5.11
プレミアリーグ 第36節
ニューカッスル 2-0 チェルシー
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:2′ トナーリ, 90′ ギマランイス
主審:ジョン・ブルックス
マンチェスター・ユナイテッド【15位】×ウェストハム【17位】

失った主導権は最後までリカバリーできず
リーグ戦では厳しいシーズンとなったマンチェスター・ユナイテッドだが、ELルートからのCL出場のルートは残っている。そういう意味ではリーグ戦の方のモチベーションは少し難しい状況となっている。
序盤のロングキックの応酬から試合は時間が経たずに落ち着く展開に。バックスにはプレスに行かないウェストハムの判断により、ボールを持つ時間が増えたのはユナイテッド。サイドを迂回させながら勝負を仕掛けていく。
勝負できるポイントはやはり右のディアロ。今季のユナイテッドで躍動した若武者の復活は大きな意味を感じさせる。逆サイドはマウントとブルーノのコンビネーションから抜け出すアクションを織り交ぜながら攻撃の糸口を探っていく。
守備でも非保持で高い位置に捕まえにいくマンチェスター・ユナイテッド。だが、GKを絡めるウェストハムのパスワークに対して、徐々にプレスラインを下げていくように。
マンチェスター・ユナイテッドの左サイドと同じく、ウェストハムの左サイドも抜け出すチャンスを作ってのチャンスメイク。ワン=ビサカのインサイドに入り込む動きに抜け出したクドゥスがインサイドにラストパス。このクロスがアマスのオウンゴールを誘発し、ウェストハムは先制ゴールを奪う。
ゴールを奪ったことでウェストハムはさらなるハイプレスに着火。敵陣でのプレータイムを増やす。先制ゴールのきっかけとなった3人目の抜け出しからチャンスを作っていくシーンも。
逆にユナイテッドは攻撃がやや淡白に。直線的な動きからはチャンスを生み出すことができず、反撃のきっかけを掴めないままハーフタイムを迎える。
後半もウェストハムはハイプレスに出ていく形でのチャンスメイク。ショートパスからマンチェスター・ユナイテッドはリカバリーを図るが、ヨロが負傷後退をしてしまうなど、流れは良くない状況を変えられない。
そうした中でもディアロが根性を見せる展開は続く。右サイドからファーを狙うクロスは後半のユナイテッドの生命線だった。
ウェストハムはハイプレスから追加点。ウガルテのところを狙い撃ちにした潰しからのカウンターで一気にゴールまで。バタバタするユナイテッドのDFを尻目に冷静にボーウェンが沈めた。
右サイドからのファークロスを軸にリカバリーを図っていくユナイテッドだが、立ちはだかったのはアレオラ。ファインセーブの連発でユナイテッドの壁になり失点を許さない。
試合はウェストハムが逃げ切りに成功。国内では調子の上がらないマンチェスター・ユナイテッドを下して勝ち点3を積み上げた。
ひとこと
ユナイテッド、粘り腰の弱さが気になる。
試合結果
2025.5.11
プレミアリーグ 第36節
マンチェスター・ユナイテッド 0-2 ウェストハム
オールド・トラフォード
【得点者】
WHU:26′ アマス(OG), 57′ ボーウェン
主審:ジャレット・ジレット
ノッティンガム・フォレスト【6位】×レスター【19位】

手放した5位の運転席
この前の時間帯で最終節に直接対決をするチェルシーが敗れたため、5枠目のCL出場権争いの運転席にはフォレストが着座。残りの試合に全て勝てばどのチームも彼らのCL出場権を阻むことができない。
その状況を知らされていたかは不明だがフォレストは勢いを持ってこの試合に入ったのは確かだ。左右のクロスからいきなりウッドが決定機を迎えるなど、立ち上がりからゴールチャンス。だが、どちらのシュートも枠に飛ばすことができず。簡単にマーカーをフリーにしてしまうレスターの守備の甘さを生かせなかった。
レスターが保持に回ると、フォレストはいつものように変則的な中盤に段差をつけるような4-4-2。サンガレがアンカーでアンダーソンとドミンゲスを押し出していくような陣形となった。
ゆったりとボールを持つ時間を与えられたレスターのバックラインはサイドから抜け出すアクションまでは辿り着くことができる感があった。押し込むことができた状況を作ると、セットプレーから先制。ロングスローからエル・カンヌスのミドルをコーディが押し込んでゴール。ストライカー顔負けの抜け出しが先制ゴールを呼び込む。
フォレストは先制点を受けてややトーンダウン。直前の試合のチェルシーのようにシャープさが欠けた時間帯となってしまった。
それでもセットプレーからギブス=ホワイトがニアに入り込んで同点。試合を振り出しに戻す。勢いに乗りたいフォレストは前からのチェイシングで勢いをつけたいが、レスターに交わされてしまうなどイマイチリズムに乗り切ることができない。ひっくり返すことできないままタイスコアで試合は後半に。
迎えた後半、フォレストは前半と同じくサイドからのクロスでチャンスメイク。しかしながら、前半のウッドを彷彿とさせるドミンゲスの決定機逸でなかなか試合を動かすことができない。
この状態のフォレストを救ったのは前半に決定機逸の呪いにかかったウッド。ギブス=ホワイトのピンポイントクロスを沈めて逆転に成功する。
レスターの反撃もトーンダウン。このまま穏便に事を済ませば終わるはずだったのだが、レスターは一瞬の隙をついて同点。ブオナノッテの華麗なステップワークであっさりとモラートが翻弄されて再び試合は振り出しに戻る。
ゴールをこじ開けたいフォレストだが、焦りからか気持ちと裏腹に終盤のチャンスはレスター。モーンガーにあわやというゴールを決められるのをセルスがなんとか防ぐという苦しい展開に。
結局最後まで勝ち越しゴールを手にすることはできず。試合は引き分けに終わった。
ひとこと
決着のついた降格組に邪魔されるのだからCL出場権争いは本当に怖い。
試合結果
2025.5.11
プレミアリーグ 第36節
ノッティンガム・フォレスト 2-2 レスター
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
NFO:25′ ギブス=ホワイト, 56′ ウッド
LEI:16′ コーディ, 81′ ブオナノッテ
主審:トニー・ハリントン
トッテナム【16位】×クリスタル・パレス【12位】

カップ戦に流れをつなげたのはアウェイチーム
シーズン終盤までカップ戦でのタイトル獲得の可能性を残している両チーム。リーグ戦ではボトムハーフに沈んでいる状況でどのようにカップ戦までつなげていくかを問われる一戦となる。
序盤はきっちりとブロックを組むパレスに対して、トッテナムは横断から縦に進んでいく立ち上がり。パレスはカウンターから勝負を仕掛けていく。トッテナムはバックラインにプレスをかけるが、一方でパレスはそこに関して積極的ではないことが見えた立ち上がりだった。
構図に変化があったのは早い時間。トッテナムのハイプレスに綻びが見られたところから。ハイプレスにおいてサイドの封鎖が遅れる、もしくは間に合っていても距離が遠いという状況になってしまい、パレスは難なくトッテナムのハイプレスを回避できるように。8分のサールのゴールなどは典型的で自陣から淀みなく敵陣まで加速することができていた。
手応えを感じたパレスはプレスにおいても前に出ていく形を作るように。トッテナムはこのプレス回避に苦戦。中盤でのパスミスから相手にボールを渡してしまい、序盤のような押し込む形自体を作れなくなってしまった。
中盤でのボール奪取に成功したパレスは3トップ+ムニョスの速攻からチャンスメイク。中央で起点を作り、右から押し下げて仕上げる形からゴールに迫っていく。
前半終了間際のエゼのゴールは45分の集大成。甘いトッテナムのプレスを掻い潜り、一気に加速したゴールに向かったパレスはエゼのゴールで勝ち越しに成功する。
ベンタンクールに代えてビスマを投入するトッテナムだが、早々にそのビスマがカードをもらうなどいまいち流れに乗ることができず。そんなトッテナムを尻目にパレスは見事なロングカウンターで追加点。エゼ→サール→エゼと繋いだ縦に鋭い攻撃から追加点を奪う。
このゴールでトッテナムの心をへし折ったパレス。一方的にトッテナムを自陣に押し込むことで延々と攻撃のターンが続く。後半になってもトッテナムはプレスの精度が戻ってこず、なかなかきっかけを掴むことができない。
追加点以降も展開に抵抗できなかったトッテナム。FA杯制覇に向けてパレスが弾みをつける勝利を手にした。
ひとこと
プレス局面の弱さはオープンな展開での今のトッテナムの主導権の握れなさにそのまま繋がっている感がある。
試合結果
2025.5.11
プレミアリーグ 第36節
トッテナム 0-2 クリスタル・パレス
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
CRY:45′ 48′ エゼ
主審:クリス・カヴァナー
リバプール【1位】×アーセナル【2位】

無敗記録は今季も破られず
レビューはこちら。

勝てばCL出場権確保という状況を前節逃したアーセナル。王者の庭が舞台とはいえ、なんとか速い段階で来季のCL出場権を獲得したいところだろう。
だが、勢いをもって試合に入ったのはホームのリバプールの方。高い位置からのプレスでアーセナルの降りる前線に対して厳しくチェック。アーセナルのバックラインに時間を与えない。
アーセナルは左サイドの位置交換から前進を狙うが、フリーでボールを持てる形をもらったキヴィオルのところからなかなか前に進みきることができず苦戦。押し込むことができても、ボールをロストすればリバプールの4枚のアタッカーたちが一気呵成に攻め込みながら敵陣に入っていくロングカウンターの形に怯えるように。
一方のリバプールの保持もきっかけは左サイド。こちらのサイドも配置を交換しながらアーセナルのハイプレスを交わしていく。特にガクポでホワイトを釣り出すことができれば理想。ジョーンズやロバートソンといった面々がこの形から一気に前進することでアーセナルを追い込んでいく。
リバプールの先制点もこの形から。リスタートへの対応が遅れたアーセナルを尻目に、ロバートソン→ガクポのラインから一瞬でゴールを掠め取る。さらには1分後には右サイドのラインブレイクに成功したショボスライからディアスにラストパス。立て続けにゴールを奪う。
テンポが落ち着き、引いて受けるリバプールに対して、アーセナルは攻めあぐねる展開。ホワイトが攻め上がりを自重した分、カウンター対応は安定したように見えたが攻撃における活路はまるで見えない展開だった。
後半、アーセナルは位置交換して左サイドに流れたトロサールからマルティネッリへのクロスで同点に。早々に反撃の狼煙をあげる。
前半に力を使ったリバプール。1点差に追いかけられた展開においては何か手を打ちたいところではあるが、もうエネルギーはない状況。アーセナルは押し込む時間帯を増やしていく。
ライン間が間延びしているリバプールに対して、アーセナルはライン間にガンガン選手を侵入させていく。インサイドに侵入したウーデゴールがミドルを放つことで生まれたこぼれ球をメリーノが押し込む。
一気に逆転に行きたいアーセナルだが、攻勢の最中でメリーノが退場。10人に追い込まれる。
終盤はなんとか冷や汗をかきながら勝ち点1を守ることが精一杯だったアーセナル。それでも2点のビハインドを追いつくことでビッグ6の無敗記録は24-25シーズンも破られずに終わった。
ひとこと
片道切符のリバプールに後半きっちり反撃したアーセナル。意地を見せて引き分けに持ち込んだ。
試合結果
2025.5.11
プレミアリーグ
第36節
リバプール 2-2 アーセナル
アンフィールド
【得点者】
LIV:20′ ガクポ, 21′ ディアス
ARS:47′ マルティネッリ, 70′ メリーノ
主審:アンソニー・テイラー
今節のベストイレブン
