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「Catch up Premier League」~Match week 35~ 2025.5.2-5.5

目次

マンチェスター・シティ【4位】×ウォルバーハンプトン【13位】

立て直し成功組決戦を制して地位固め

 冬の立て直しに成功し、徐々にCL出場権を手中に収めつつあるマンチェスター・シティ。立て直して尻上がりのシーズンを送るという点では先輩のウルブスが今節の相手となる。

 ウルブスは5-2-3という非常にコンパクトな陣形を組みつつ、縦に鋭いプレスを繰り出す形でシティのバックラインに積極的にプレスを仕掛けていく。シティがバックラインでのやり直しからサイドのマークを外せるかはまちまちであり、縦に強引に行こうとするアクションを引っ掛けてしまうこともしばしばだった。

 保持では相手のバックラインを手前に引き寄せつつ、前線への長いボールで対抗するウルブス。特に狙いをつけていたのは左サイド。ギャップに入り込むクーニャは通常運転だが、大外を駆け上がるトティ・ゴメスのキャリーもなかなかに見応えがあった。

 この左サイドからウルブスは決定機。クーニャのタメから逆サイドへの展開で抜け出したセメド。折返しがきっちりと決まれば無人のゴールに押し込むだけだった。続く、アイト=ヌーリのシュートもポストに叩かれてしまい、ゴールを決めることができない。

 苦しい流れを変えたのはまたしてもデ・ブライネ。カウンターで左サイドを駆け上がったドクからの折り返しをデ・ブライネが決めて先制。パレス戦と同じくレジェンドのゴールで勢いをつけたシティはオライリー、ヌネスといったSBの積極的な攻撃参加で攻撃を切り拓いていく。

 リードをしているシティは後半も保持ベースでのスタート。ウルブスはプレスのラインを上げることができずに苦戦する。ただし、保持の局面が変わればプレスが苦しいのは相手も同じ。シティも前に出ていけず、ウルブスはショートパスからきっちりとライン間にボールを差し込みながらゴールに向かっていく。シティのカウンターもドクの単騎などやや単発な面があり、試合はどちらのものともいえない状況が続いていた印象だ。

 そうした展開を落ち着かせたのはシティのポゼッション。やり直しながら前半よりは勢いが減退したウルブスのプレスをいなすような動かし方ができるように。

 ウルブスは前線を続々と投入していくが、なかなかプレスの勘所を掴めない後半に。あわや、アイト=ヌーリが退場になるなど冷や汗をかく展開だった。

 ゴールチャンスは迎えられなかったが、強かに逃げ切ったシティ。一番欲しい3ポイントをがっちりキープし、CL出場権の地位固めに成功した。

ひとこと

 悪い時期のシティは保持で落ち着かせるなんてできないので、やはり冬での立て直しはうまく行ったように見える。

試合結果

2025.5.2
プレミアリーグ 第35節
マンチェスター・シティ 1-0 ウォルバーハンプトン
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:35′ デ・ブライネ
主審:ピーター・バンクス

アストンビラ【7位】×フラム【8位】

強度とスキルと臨機応変さで虎の子の1点を守る

 CL出場権争いへの生き残りをかけてギリギリの戦いが続いているアストンビラ。ホームに迎えるのはフラム。残留争いとは全くの無風で中位力を年々高めている厄介な相手との一戦だ。

 立ち上がりに勢いよく入ったのは是が非でも勝ち点が欲しいアストンビラ。高い位置からのプレスでフラムのボール保持を阻害していく。強烈なプレスがやってきたフラムは無理にボールをつなごうとはせず、ヒメネスへのロングボールの落としをイウォビにキープさせるなど少ない手数からの確実な前進を試みる。

 序盤はロジャーズのいる左サイドからのファストブレイク寄りだったアストンビラ。12分にはティーレマンスが先制ゴールをゲット。積極的な姿勢は早くもスコアに結びつく。

 得点を決めたことでアストンビラは徐々に保持局面ではゆったりとした展開にシフト。GKのマルティネスを絡めたボール保持からポゼッションを増やしていく。非保持においてもハイプレスにジリっと出て行くことはやめず支配的な振る舞いを増やす。フラムのミドルゾーンにスペースが出来れば、すかさずティーレマンスがスルーパスを差し込んでいくことでさらに追い込んでいく。

 フラムは大外からのバックドアで背後を取るなどブロックを一発で攻略する手段を模索する流れ。逆に言えば、インサイドにボールを付けるタイプの攻撃はうまくアストンビラに跳ね返されていたということになる。中盤ではロジャーズが攻守に粘り強さを見せつけて、球際で優位に。はねかえすところからカウンターでシャープな攻撃を繰り出し、フラムを逆に追い込んでいく。

 よって、フラムは先に挙げた外循環から背後を狙う形やヒメネスへのロングボールなど安全策が中心となる。スコアも内容もアストンビラが優勢な状態で試合はハーフタイムを迎える。

 後半、いきなりアストンビラはチャンス。大外の裏抜けからキャッシュがチャンスを作っていく。フラムは後半もロングボール中心の構成。デュエルでも前半以上にアストンビラと張り合う姿勢を見せる。

 これを見たアストンビラは堅実さ重視のシフトに移管。ロジャーズを左のWBの位置まで下げるなど5バック気味にブロックを組むことでフラムの攻撃を受けに行く。

 終盤はなりふり構わずハイプレスに出て行くフラム。だが、そこからの攻撃も含めて基本的にはアストンビラの対応は間に合っている状況。逆にスペースが浮いた時にはライン間に素早く差し込む縦パスからの陣地回復で反撃するシーンもあった。

 試合はそのまま終了。前半のゴールを守り切り、ビラが逆転でのCL出場権確保に望みをつないだ。

ひとこと

 基本的には何か懸かっているチームとそうじゃないチームとの差を感じる内容だった。

試合結果

2025.5.3
プレミアリーグ 第35節
アストンビラ 1-0 フラム
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:12′ ティーレマンス
主審:ロベルト・ジョーンズ

レスター【19位】×サウサンプトン【20位】

来季のライバルに先勝したレスター

 ともに残留を目指すシーズンとなったはずの昇格初年度。しかしながら、すでに35節の段階で命運は喫してしまい、来季もともに同じカテゴリーでサッカーに臨むチーム同士の戦いだ。

 序盤からボールを持つのはレスター。3-2-5に変形することでビルドアップを行うというのはここ数試合のレスターが踏襲している流れ。この日、ポイントにしていたのは右の大外のマカティア。1on1での仕掛けに加えて、降りるアクションからフリーになっていく。

 構造的にこちらのサイドを使うこともしばしば。シャドーのスレマナを手前に引き出しつつ、出来上がったギャップを使って敵陣に入っていく。レスターは保持から順調にサウサンプトンの守備のズレを引き出していった印象だ。

 一方のサウサンプトンも勝負をかけたのは右サイド。こちらも大外のウォーカー=ピータースが縦方向に揺さぶるポジショニングを取りながら勝負を仕掛けていく。

 サイドのギャップ勝負となったこの試合で先制点を手にしたのはレスター。サイドのズレのギャップからクロスを上げると、ヴァーディが先制点をゲット。サウサンプトンのCB陣の浮いた選手の管理が苦手なところを見事についたヴァーディがレスターにリードをもたらす。

 先制点を奪ったことで、レスターは勢いに乗る。途中、主審が負傷するというトラブルもあったが、依然としてリードをしているレスターが主導権。前からのプレスからサウサンプトンのポゼッションを阻害すると、逆にサウサンプトンのプレスを掻い潜っての進撃に成功する。

 順調に試合を運ぶレスターはセットプレーから追加点。FKからの跳ね返りをアイェウ自ら押し込んで前半のうちにリードを広げる。

 後半、サウサンプトンは選手を2枚入れ替えることでプレスを強化していく。しかしながら、レスターはゴールキーパーを経由する保持から相手のプレスをいなしていく。後半早々の出鼻を見事に挫いた格好だ。

 以降もペースを握ったのはレスター。エル=カンヌスを軸としたカットインやカウンターなど前がかりに攻めていきたいサウサンプトンの管理が甘くなっているライン間から進撃していく。

 終盤はサウサンプトンに押し込まれるレスターだったが、なんとか防衛に成功してのクリーンシートを達成。来季の昇格争いのライバルに一足早く悪いイメージを植え付けた。

ひとこと

 ヴァーディが笛を吹くシーンはプレミアの今季の名場面の一つ。

試合結果

2025.5.3
プレミアリーグ 第35節
レスター 2-0 サウサンプトン
キング・パワー・スタジアム
【得点者】
LEI:16′ ヴァーディ, 44′ アイェウ
主審:デイビッド・ウェブ→サム・バロット

エバートン【15位】×イプスウィッチ【18位】

有終に近づくグディソンに冷や水

 グディソン・パークでのプレミアリーグは残り2試合。例年は終盤までもつれる残留争いもすでに今年は縁がなくなり、残る今季の目標は愛着あるこのスタジアムで素晴らしい試合で観客たちを笑顔にすることくらいだろう。

 立ち上がりはこの2チームらしいバタバタとしたロングボールの応酬。特にエバートンはハイプレスで敵陣に追いかけていく意識も高いチーム。イプスウィッチには長いボールでの対応を強いる形となる。

 イプスウィッチはベン・ジョンソンの出場停止でやや右サイドの用兵に変更はあったが、守備の方向性に変化はなし。トップ下に入るチャップリンはやや右のシャドー寄りで、右の大外のハッチンソンがWBにシフトする5-4-1気味の形にシフトする。

 押し込んでシンプルなクロス攻撃に興じるのはエバートン。跳ね返しに対しても中盤の広い守備範囲が助けとなり、ワンサイドゲームを展開。すると、左サイドからのクロスをベトが押し込んでエバートンが順当に先制する。

 リードしてなお一方的にイプスウィッチを押し込むエバートン。さらには右サイドからのマクニールのミドルが相手に当たり追加点を決める。ここまでは理想的なスタートとなった。

 苦しいイプスウィッチはかなり前進の機会が限られてしまうなど苦戦は避けられない展開。限定的な攻撃の機会で孤軍奮闘していたエンシソが奪ったゴールは後半に向けてのイプスウィッチに差し込んだ一筋の光といえるだろう。

 後半は追いかけるイプスウィッチがボールを動かしていくイプスウィッチ。ただし、押し込むことがそのまま優位につながるわけではなく、右サイドからマクニールがカウンターを打ち込むことが出来ていたエバートンの方が得点の可能性が濃いのは前半と変わらない情勢だ。

 さらにエバートンは時間の経過と共にハイプレスにシフト。ゴール前に徐々に迫っていきながら敵陣での時間を少しずつ戻していく。オープンでボールが行ったり来たりという状況ではあったが、シュートチャンスを作るという点ではどちらのチームも満足いくところまでたどり着くことができなかった。

 そうした状態を切り拓いたのは交代選手。イプスウィッチのハースト。終盤戦はデラップと肩を並べる存在感を見せてきたストライカーの一撃でイプスウィッチは試合を振り出しに戻すことに成功する。

 終始エバートン優勢の展開をひっくり返したイプスウィッチ。グディソン・パークの和やかムードに冷や水を浴びせて、勝ち点1を持ち帰ることとなった。

ひとこと

 エバートン、勝ち試合を落としてしまった印象。クロス対応にいつもほどの安定感がなかった。

試合結果

2025.5.3
プレミアリーグ 第35節
エバートン 2-2 イプスウィッチ
グディソン・パーク
【得点者】
EVE:26′ ベト, 35′ マクニール
IPS:41′ エンシソ, 79′ ハースト
主審:ルイス・スミス

アーセナル【2位】×ボーンマス【10位】

セットプレーで2つでクラブ史上初のダブル

 レビューはこちら。

 CLの準決勝のパリ戦を控えるアーセナルだが、メンバーの入れ替えは最小限。あくまでこの試合で勝ち点70に乗せるための布陣を組んできた。

 ボーンマスは高い位置からプレスに出ていくなどエネルギーを全面に押し出した積極策。アーセナルはライスとトーマスの2人のフリーランから少しずつマークを外していく。

 しかしながら、アーセナルは前線の収まりどころがない状況。中盤でも相手のマークは厳しく、あまり調子が良くなさそうなトロサールやウーデゴールにとっては苦しい展開だった。

 だが、時間の経過とともにアーセナルは中盤でスペースを得ることができるように。時間をもらえるようになったウーデゴールから背後に走り込んだライスが先制ゴールをゲット。いい流れをゴールに繋げた。

 ボーンマスの保持は立ち上がりからサリーで幅取りに成功したCBからの配給が効く展開。サイドを広く使いつつ、インサイドへの縦パスを駆使することで内と外を効果的に使い分ける。ホワイトとキヴィオルの守備対応が怪しかったアーセナルに対して、ボーンマスは狙い目をきっちりと絞っていた印象。

 失点しても保持でのいい部分をいかす流れは変わらず、むしろ増していく方向に。前半の終盤はリードしているアーセナルがなんとか凌ぐ展開となった。

 後半、ボーンマスが仕掛けたアップテンポなタイミングにうまくアーセナルは流れに乗ることができた感がある。ハイセンのボールカットからのカウンターで前に進んでいくと、サカがヘディングで決定機を迎える。

 ボーンマスはライン間が間延びしてしまっており、ウーデゴールへの縦パスなどでそのゾーンを使われるように。縦に鋭い攻撃でアーセナルはゴールに迫る。

 しかし、ボーンマスはセメンヨの陣地回復でCKを得ると、ここから同点に。うまくマークを外したハイセンがヘディングで押し込む。

 さらには12分後にも同じくセットプレーで追加点。ニアのすらしに反応したエヴァニウソンが逆転のゴールを叩き込む。

 リードをひっくり返されたアーセナルにもう反撃の勢いは残っておらず。試合はアーセナルの目論見を打ち破ったボーンマスの逆転勝利。クラブ史上初のアーセナルへのシーズンダブルを達成した。

ひとこと

 セットプレー2つでの逆転負けは安すぎる。

試合結果

2025.5.3
プレミアリーグ
第35節
アーセナル 1-2 ボーンマス
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:34′ ライス
BOU:67′ ハイセン, 75′ エヴァニウソン
主審:ジャレット・ジレット

ブライトン【9位】×ニューカッスル【3位】

ゴードン登場で変化した流れ

 CL出場権をめぐって邁進するニューカッスル。終盤戦はややシビアな相手が続くが、勝ち点的には現状は安全圏。ブライトンに勝利して地位固めといきたいところだ。

 ニューカッスルはコンパクトな4-5-1を選択。縦方向の陣形を圧縮しながらスペースを消していく。ブライトンはオーソドックスな配置でボールを動かしていくが、自軍不利なミスマッチとなる右サイドへのロングボールを繰り返していたのは印象的。セカンド回収前提なのだろうけども、それにしても賭けに出た感があった。

 ニューカッスルはジリジリとプレスのテンポを上げていったことで試合は少しずつ縦に速い展開に。左サイドはウィロックが外に流れて、バーンズがインサイドに入り込むなどこちらもレーン的にはやや珍しい配置。右サイドはより枚数をかけた攻め筋で中盤が流れるケースも多々見られた。

 攻めのバリエーションの多さではややニューカッスルペースかと思われたが、先制点はブライトン。左サイドからのクロスが流れたところにいたミンテがボールを拾ってカットイン。2人のマーカー相手に見事に間合いを作り出して先制。特に2人目のトナーリは手玉に取られた格好だ。

 ビハインドととなったニューカッスルは攻める時間を増やしていく。中央のレーンから右にやや流れるようなボールプレーが増えたバーンズがキレを見せるが、ブライトンを崩しきれず。また、ブライトンも両SHのスピードを生かしたカウンターから勝負をかけようとするが、こちらも不発。試合はブライトンリードでハーフタイムを迎える。

 後半、ブライトンはゆったりとボールを持つところからスタート。少しテンポを落としながら主導権を保持から握り返そうという算段だろう。

 ニューカッスルとしては縦に鋭い攻撃に移行したいところだが、後半の頭はややブライトンに絡め取られた印象。なかなかテンポアップすることができない。

 ターニングポイントとなったのはゴードンの登場だろう。ここで一気に勢いを掴んだニューカッスル。結果的には位置が外でFK判定になるが、際どいシーンでPKを宣告されるなどゴードンは非常にうまく試合に入ることができた。

 この交代で試合は縦に速い展開に。アタッカーのシャープさ的に今度は苦しいのはブライトン。前半からWGの馬力をうまく活かせない場面が続くことに。

 それでも逃げ切りは視野に入りそうであったが、FKからアヤリがいらないハンドを犯してしまいPKを献上。このPKをイサクが仕留めて同点に。それでもなんとか1ポイントを守り切ることに成功したブライトン。ニューカッスルから勝ち点を奪ってみせた。

ひとこと

 ブライトンの縦へのシャープさのなさは気がかり。

試合結果

2025.5.4
プレミアリーグ 第35節
ブライトン 1-1 ニューカッスル
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:28′ ミンテ
NEW:89′(PK) イサク
主審:クレイグ・ポーソン

ブレントフォード【11位】×マンチェスター・ユナイテッド【14位】

重さを見せつつ決定機を逃さない

 メンバー構成を見てもうすでにユナイテッドの興味はPLの細かい順位にはないのだろう。全てを注ぐのはCL出場圏への一本道となるELの優勝。タフさが売りのブルーノまでベンチに座らせる徹底的な構成でブレントフォードのホームスタジアムに乗り込む。

 前半から圧力をかけるプランでスタートしたブレントフォード。ユナイテッドのビルドアップを飲み込むプレスで敵陣からプレッシャーをかけていく。

 ユナイテッドはあわやというミスを犯すなど、危うい立ち上がり。それでもショートパスからボールを動かすことは諦めず、この日はバユンドゥルが守るGKを絡めてサイドを変える保持からゆったりと前に進んでいく。

 ユナイテッドにとって有り難かったのはこの日のブレントフォードのファストブレイクはイマイチだったこと。ムベウモを生かした右サイドからのリカバリーは序盤シャープさに欠けており、ユナイテッドの保持は相手に引っ掛ける形でもリカバリーを見せることができなかった。

 先制したのはユナイテッド。左サイドからのキャリーで進撃に成功したガルナチョからのクロスをマウントが仕留めて14分にネットを揺らす。

 ブレントフォードは一旦はユナイテッドの保持に対してリトリートモードのスイッチが入ったが、再びプレスで巻き直すことで反撃に打って出る。ユナイテッドのプレスに対しても、落ち着いた左右への揺さぶりでいなすと再び敵陣でのプレータイムの回復に成功する。

 すると、ブレントフォードはロングスローから同点。右サイドのロングスローから投げたカヨーデが再びサイドの奥を取ると、ショウのオウンゴールを誘発する。

 再びユナイテッドがプレスのスイッチを入れるが、このプレスを安定してかわすブレントフォード。押し込む流れからデ・リフトが負傷して蹲っているところを強かにシャーデが沈める。押し込むところの右サイドからの進撃に手応えを得たブレントフォードはカヨーデの積極的な攻撃参加でウガルテに警告を誘発するなど、以降も試合を優位に進めることに。

 迎えた後半、2枚を代えたユナイテッド。再びブレントフォードのプレスを左右を使って回避し、ゆったりとしてポゼッションで勝負を仕掛ける。サイド攻撃の肝は交代で入ったディアロ。右の大外からの仕掛けでユナイテッドは押し込んだ後の手札が増えた感があった。

 左サイドもガルナチョを軸に勝負を仕掛けていくユナイテッド。左サイドから配った時間でチド・オビがチャンスを迎えるが、これを決めることができない。

 後半もカウンターの切れ味にかけるブレントフォードだったが、徐々にポゼッションを盛り返すことで反撃。すると右サイドからのクロスをシャーデが仕留めてリードを広げる。このゴールでほぐれたブレントフォードは簡単に右サイドからのバックドアで4点目をゲットする。

 試合はこれで決着。終わってみればユナイテッドは1点差まで迫り意地を見せた言えなくもないが、アクティブな時間に勝ち点獲得の可能性も見せたかはまた別の話だ。

ひとこと

 らしくない重たさを見せながらもチャンスは逃さないブレントフォードだった。

試合結果

2025.5.4
プレミアリーグ 第35節
ブレントフォード 4-3 マンチェスター・ユナイテッド
G-techコミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:27′ ショウ(OG), 33′ 70′ シャーデ, 74′ ウィサ
Man Utd:14′ マウント, 82′ ガルナチョ, 90+5′ ディアロ
主審:アンソニー・テイラー

ウェストハム【17位】×トッテナム【16位】

低迷の名門対決は決め手を欠いたドロー

 長年プレミアに君臨するロンドンの名門同士の一戦だが、今季は両チームとも苦戦。この一戦は16位と17位を争うというもの悲しい一戦になってしまった感がある。

 ともに悪い流れを断ち切るべく、高い位置からのプレスでスタートする両チーム。ハイプレスで手応えを得たのはウェストハムだろう。押し込むフェーズから、トッテナムの不安定なバックスのパスワークを狙い撃ち。自陣への釘付けに成功する。

 トッテナムのプレスも高い位置から捕まえにいく意識が強かったが、捕まえきれずに縦への進撃を許してしまうことに。攻守両方の局面で優位に試合を運んだのはホームのウェストハムだった。

 しかし、先制点を手にしたのはトッテナム。左サイドへの苦し紛れな背後へのボールに対して、キルマンが処理ミス。ここを見逃さなかったテルからオドベールへの折り返しが決まりトッテナムが先制点を奪い取る。トッテナムは以降もこの左サイドを軸に攻め筋を展開。ここまでボールを届けることができるかが生命線となっていた。

 反撃に出たいウェストハムだが、この日はファウルの基準に苦しんでいる感。コンタクトが簡単にファウルになる様子にフラストレーションを溜め続けた。

 それでもウェストハムは前半のうちに同点にすることに成功。左サイドからの横断で逆サイドへの展開に成功するとワン=ビサカ→ボーウェンへのパスから同点ゴールをゲット。見事な抜け出しから試合を振り出しに戻す。

 同点にしてからも右サイドを起点としたウェストハムが優勢となった前半。押し込まれるトッテナムは再び自陣から出ることができない苦しい時間帯を迎えることに。

 終盤には先制点の場面で対応にミスが出たキルマンが名誉挽回のパスカットを見せるシーンも。タイスコアながらいい流れでハーフタイムを迎えたのはウェストハムの方だった。

 後半頭に勢いを持って入ったのはトッテナム。大外に振りながらサイドの奥を取る形から進軍。前半の頼みの綱だった左サイドのテルも後半も存在感を発揮。低い位置では右サイドのグレイがドリブルでインサイドにカットインするなどアクセントとなるアクションを披露。ウェストハムの守備網の間に入り込んでいく。

 序盤はペースを握られたウェストハムだが、時間の経過とともにリカバリーに成功。フュルクルクのロングボールなど手早い手段から主導権を奪い返しにいく。トッテナムにとってはカウンターのチャンスも生まれる展開となったが、トランジッションからの縦パスでリシャルリソンがあっさりとオフサイドにかかるなど、もったいない形でチャンスを失うケースも。

 押し込むウェストハムはセットプレーから得点のチャンスを迎えるが、ニアのボーウェンに合わせたこのボールはヴィカーリオのファインセーブに遭ってしまいノーゴール。トッテナムは最後の最後で踏ん張る。

 結局試合はそのまま終了。優勢に進めていたのはウェストハムだったが、トッテナムもなんとか粘り勝ち点1を分け合う形で幕を閉じた。

ひとこと

 トッテナム、トランジッション局面で流れを掴めそうな時は簡単に手放したくないのだけども。

試合結果

2025.5.4
プレミアリーグ 第35節
ウェストハム 1-1 トッテナム
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:28′ ボーウェン
TOT:15′ オドベール
主審:マイケル・オリバー

チェルシー【5位】×リバプール【1位】

王者撃破でCL出場権に猛進

 スタンフォード・ブリッジではガードオブオナーで王者を迎えたチェルシー。敬意は払っているが、試合となれば話は別。リバプールだろうが勝ち点を絶対確保したいところだろう。

 いきなり先制攻撃を決めたのはチェルシー。カイセドSB起用時のお馴染みと言える3-2-5の形から縦にパスを入れ続けて先制。サイド側への誘導に失敗したリバプールの裏をかき、遅れてボックスに入っていったエンソのゴールで早々にチェルシーはリードを奪う。

 反撃に出たいリバプールだが、オフサイドとはいえ直後にアリソンが際どい対応をするなど危うい場面が目立つ。保持の時間は増えてはいるが、サイド攻撃は途上。左サイドはガクポが2枚のマークを惹きつけられる状況を生かすことができなかった感がある。右サイドのローテは悪くはなかったが、チェルシーは食らいついており、偶発的な跳ね返し以外は明確に外されるシーンは少なかった。

 こうしたサイド攻撃を操る遠藤も苦しいところ。広く長いレンジのパスを通すという観点からも物足りなさがあったと言わざるを得ない。

 攻め切ることができないリバプールに対して、チェルシーは前半の終了間際に反撃。WGを起点とした攻撃で奥行きを取りつつ、ハイプレスを敢行。リバプールのバックラインに一気にプレッシャーをかけながらボールを奪い取る。

 前半の終盤は再びチャンスが訪れたチェルシー。前半45分は彼らが優勢だったということで間違い無いだろう。

 迎えた後半、リバプールは高い位置から相手を捕まえにいくことでテンポを掴みにいく。やや様子を見ていたチェルシーだが、ハイプレスに出ていくことを決意。縦に早くスピーディにボールを動かすが、ややタイミングの息が合わずにオフサイドとなる。

 この時間帯に不安定なパフォーマンスを見せてしまったのはファン・ダイク。敵陣に出ていくタックルから警告を受けると、その直後には軽率なクリアがオウンゴールを呼び込んでしまう。つられるようにクアンサーも危険なタックルから警告を受けるなど、この試合の後半はとにかくCBの不安定なパフォーマンスが目立った。

 終盤は少しずつ押し込んでいくリバプールと縦に鋭いカウンターに出ていくチェルシーの応酬。85分のファン・ダイクのゴールは再び王者に流れを引き込んだように見えたが、終盤まで高い位置でのボール回収を諦めなかったチェルシーはショボスライのパスミスを誘ってPKを獲得。前に出ていったカイセドに特大のご褒美が与えられる。

 ダメ押しゴールは日照りが続いていたパーマーによって。王者を下し、CL出場権争いにさらに突き進んでいく勝ち点3を手にした。

ひとこと

 1試合ずつ上昇気流に乗る材料を集めながら進んでいくチェルシー。ようやく終盤に噛み合ってきた感がある。

試合結果

2025.5.4
プレミアリーグ 第35節
チェルシー 3-1 リバプール
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:3′ エンソ, 56′ クアンサー(OG), 90+6′(PK) パーマー
LIV:85′ ファン・ダイク
主審:サイモン・フーパー

クリスタル・パレス【12位】×ノッティンガム・フォレスト【6位】

内容的には万々歳、勝ち点的には苦境に

 順位は6位まで降下し、CL出場権争いではフォロワーとなったフォレスト。なんとかしてこの試合で勝利を重ねて希望を繋ぎ止めないといけない。

 序盤は縦に速い展開となったが、徐々に状況が落ち着くとボールを持つのはフォレスト。前からプレスに行かないパレスに対して、バックラインからボールを動かしていく。

 あまり得意ではない局面を迎えたフォレストだが、こじ開けなければいけない状況は必至。左サイドのボールの動かし方から打開策を模索していく。だが、カウンターからパレスは躍動。サールがファウルを奪い取るなどボールを持たないフォレストの方がリズムを掴んでいた。

 15分が過ぎたところでパレスは少しずつボールを持つ側になっていく。フォレストは4-4-2をベースに守っていくが、SHが高い位置にプレスのスイッチを入れていっていたので、4-2-4のようになる場面もあった。

 前半の中盤以降はボール保持が行ったり来たりという展開。保持の所有権は入れ替わっていく。フォレストは左サイドのユニット、パレスは横断からのムニョスを積極的に使うことで打開策を探っていく。

 だが、結局はどちらもスピードアップして相手をやり込めるような攻撃でなければ有効打にならないという展開。限られたチャンスでゴールを奪うことはできず、試合はスコアレスでハーフタイムを迎えることとなった。

 後半、主導権を握ったのはホームのパレス。押せ押せの立ち上がりの中心人物となったのはCFのマテタを軸としたコンビネーションからフォレストの守備網をつっついていく。

 押し込む状況を作り出すことができたパレス。ミッチェルの飛び込みからPKを獲得。このPKをエゼが仕留めてパレスは先制。試合を動かす。

 しかし、すぐにフォレストもやり返し。セットプレーからの流れでニコ・ウィリアムスのミドルがムリージョに当たりゴール。大きな一発で試合を振り出しに戻すことに成功する。

 勝ち点3の足がかりとなる同点ゴールを手にしたフォレスト。しかしながら、ここから終盤にむしろ得点のチャンスが多かったのはパレスの方。ファストブレイクはもちろんのこと、セットプレーの流れからグエイがターゲットになるボックスでのキープなど手段は多様。

 その中でも最も惜しかったのはエンケティアがネットを揺らしたシーン。後半追加タイムのワンプレーはオフサイドで得点に繋げることができず。

 勝ち点3が欲しかったフォレストだが、展開的には引き分けは上々という格好。勝ち点1を敵地でなんとか確保した。

ひとこと

 フォレスト、内容的にはよくやったがCL出場権的には苦しくなった。

試合結果

2025.5.5
プレミアリーグ 第35節
クリスタル・パレス 1-1 ノッティンガム・フォレスト
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:60′(PK) エゼ
NFO:64′ ムリージョ
主審:アンディ・マドレー

今節のベストイレブン

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