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「Catch up Premier League」~Match week 34~ 2025.4.22-5.1

目次

マンチェスター・シティ【5位】×アストンビラ【6位】

見応えある組み合いを手練れが制する

 互いにFAカップの準決勝という舞台を控える両チーム。今季、彼らが唯一タイトルを狙えるコンペティションではあるが、悩ましいのはCL出場権争いでも彼らは瀬戸際にいるということ。FA杯タイトルでは辿り着けない舞台に向けて、直接対決の大一番を迎える。

 立ち上がりに奇襲を仕掛けたのはアストンビラ。中盤での競り合いを制したティーレマンスからラッシュフォードにラストパスが通ると、このシュートはポスト。あわや秒速での先制ゴールを得るシーンを作り出す。

 この奇襲以降はシティがゆったりとボールを持つ展開に。4-4-2でSHは大外の低い位置をケアするアストンビラのコンパクトなブロックをどのように動かすかを考える状況に流れていく。

 シティは大外に広げつつ、背後を狙いながらアストンビラの守備ブロックをつっついていくイメージ。先制点は左の大外をとったマルムシュがきっかけ。大外からの折り返しがやや引っかかったところをボックスの内に入ったベルナルドが仕留めてシティが先制する。

 しかし、アストンビラもすぐに反撃。左サイドに流れるラッシュフォードでの陣地回復をすると、ボックス内に飛び込んだラムジーがPKを獲得。このPKをラッシュフォードが仕留めて同点に。

 アストンビラは右のロングボールのターゲットはロジャーズ、左の裏抜けはラッシュフォードとサイドと役割を分けながらボックスに迫っていく。

 シティもサイドを見せ球にコバチッチの列上げなど中央に工夫を凝らすことでポゼッションから対応。アストンビラはこの保持に対してもサイドに追い込みながら列を上げてボール奪取位置を高くするためのアクションをしていく。

 タイスコアで迎えた後半、シティは前半と同じくボールを動かしていくスタート。ビラもきっちり受けるというよりは中盤がジリっと前に出ていきながら保持の時間を増やすことで対抗していくという前半の終盤の文脈を引き継いでいく。それによって、シティも攻撃の手段がファストブレイクによる形になっていくのは興味深かった。

 試合の終盤はオープンな縦に速いアクションに終始ていく流れ。ファウルを増えて攻撃がぶつ切りになり、なかなか流れを掴みきれない状況のまま試合は後半追加タイムに。この状況で決め手になったのは大外→大外アタック。ドク→ヌネスのパスは美しい軌道を描き大外を貫通。角度のないところからヌネスが冷静に沈めた。

 直接対決の大一番はシティに軍配。経験値で勝るシティがアストンビラ相手に大きな勝ち点3を稼いだ。

ひとこと

 組み合うアストンビラもあくまで勝ちに行った感があって見応えがあった。

試合結果

2025.4.22
プレミアリーグ 第34節
マンチェスター・シティ 2-1 アストンビラ
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:7′ ベルナルド, 90+4′ ヌネス
AVL:18′(PK) ラッシュフォード
主審:クレイグ・ポーソン

アーセナル【2位】×クリスタル・パレス【12位】

蓄積疲労が目立ち勝ち点2を落とす

 レビューはこちら。

 試合が落ち着く前に動かすことに成功したのはアーセナル。セットプレーからエンケティアのマークを外したキヴィオルがゴールを決める。

 ただし、セットプレーでチャンスがハマりそうなのはパレスも同じ。CKからのこぼれ球をファーのムニョスに合わせる形は期待感があった。

 以降はアーセナルがボールを動かしながらブロックを崩しにいく。しかしながら、インサイドを起点にすることでなかなかポイントを作ることができない。この日好調だったのはパレスのワイドのCBの潰し。積極的に前に出ていくことでここをカウンターのポイントにしていく。

 ボールを奪った後は広く攻めていくパレス。対角のパスで広くボールを動かしていきアーセナルを押し込んでいく。パレスはセットプレーから同点に。バイタルエリアに立つエゼからのミドルでアーセナルに並ぶ。

 以降はパレスがリトリートすることでミドルからローブロックを組むことで自陣にコンパクトな守備を構築する。序盤に比べると裏抜けが減ったアーセナルはなかなか攻め筋を掴むことができずに苦戦する。

 しかしながら、アーセナルは前半のうちにこじ開けに成功。ティンバーのきっかけを作ったところから横パスをつけることでチャンスメイク。わずかな隙をついたトロサールが仕留めてゴールを決める。再びアーセナルがリードを奪ったところで前半を折り返す。

 後半もパレスはコンパクトな守備でアーセナルを迎撃。そうした中でアーセナルは再びセットプレーからチャンスを迎えることに。だが、これは押し込むことができず。味方同士が交錯したパレスの守備陣の隙をつくことができなかった。

 以降は試合が膠着。パレスはきっちりと構えていたし、アーセナルはティンバーを後方に残すことでカウンターのバランスを保っていたため、パレスが反撃に出ることができなかった。

 均衡した展開においてゲームチェンジャーとなったのはマテタ。サイドに流れてのチャンスメイクでも存在感は抜群のエースの登場で試合はパレスのペースとなる。

 そして、パレスはサリバのミスをつく形で同点に。マテタの素晴らしいシュートで試合を振り出しに戻す。

 ブレントフォード戦と同じく再び後半に追いつかれてしまったアーセナル。この試合でも最後まで追加点を狙いにいくが、スコアを動かすことができず。勝ち点2を落とす形でのドロー決着となった。

ひとこと

 内容的にはドローが妥当。アーセナルの蓄積疲労が目立つ試合だった。

試合結果

2025.4.23
プレミアリーグ
第34節
アーセナル 2-2 クリスタル・パレス
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:3′ キヴィオル, 42′ トロサール
CRY:27′ エゼ, 83′ マテタ
主審:マイケル・サリスベリー

チェルシー【6位】×エバートン【13位】

エースのゴールを守りCL出場権確保に望みをつなぐ

 CL出場権をめぐる5位争いではやや後手を踏んでいるチェルシー。ここから先の厳しい日程を踏まえてもホームのエバートン戦はきっちりものにして上が取りこぼすのを待ちたいところだろう。

 グストを筋肉系の怪我で欠くチェルシーはSBにカイセドを置くプランを選択。当然ながら保持の際にはカイセドが絞る形が頻発。WGに大外レーンで張れる選手を左右に置いたことで3-2-5はやや固定カラーが濃い形となった。

 一方のエバートンはコンパクトな4-2-3-1で対応。ドゥクレとベトは縦関係となり、中盤色の濃いチェルシーの布陣に対して枚数を揃える形で対応する。

 降りるジャクソンに対しては割と締め出すことができていたエバートンだったが、チェルシーは左サイドで旋回やドリブルを挟むことで味変。徐々にライン間への侵入に成功する。エバートンが保持に転じた時に攻め手がなかったこともあり、主導権はじんわりとチェルシーに向かう。チェルシーは右サイドの守備の連携が怪しかったので、この点を前面に押し出せればもっとチャンスは作れたはず。

 チェルシーはシンプルな長いボールを咎めるところから先制点をゲット。ベトへのロングボールを咎めたチャロバーからエンソがボールを引き取るとジャクソンへの縦パスで一気に仕留める。隙を見逃さなかったエンソは見事。ラインを下げていたエバートンにとって、ピックフォードの低い弾道でのベトへのフィードはラインを回復する時間を稼ぐには不十分だった。

 先制されたエバートンは以降はほんのり反撃に出るが、サンチェスを脅かすには不十分。前半はビハインドで試合を終える。

 後半も前半と陸続きの立ち上がり。定点攻撃からWGのネトをターゲットとして攻撃を仕掛けていく。

 一方のエバートンもCKのカウンターから反撃。HTに交代で入ったアルカラスからチャンスを作っていく。このカウンターはジャクソンに阻まれたが、前半よりもオープンな展開の中でエバートンはファストブレイクに活路。この日はやたらとすれ違うコルウィルのところからカウンターに出て行けることになっていた。

 それでもチェルシーは前半よりもギリギリの対応をボックス内でエバートンに強いてはいた。ゴール付近まで運ぶことができればエバートンよりできることが多い分、ゴールに迫ることができてきた。

 70分以降のオープンな展開からはエバートンが攻め込む時間が増えたが、2トップがややブレーキに。特にシェルミティは存在感がない中でオフサイドにかかるなど今季もプレータイムが伸びない要因が明らかになる展開となってしまった。

 サンチェスのセーブにも助けられたチェルシーは逃げ切りに成功。CL出場権確保に向けて望みを繋いだ。

ひとこと

 後半はやや精彩を欠いたチェルシーだったが、一番欲しいものを持ち帰ることに成功した。

試合結果

2025.4.26
プレミアリーグ 第34節
チェルシー 1-0 エバートン
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:27′ ジャクソン
主審:クリス・カヴァナー

ウォルバーハンプトン【15位】×レスター【19位】

シャープさで見せつける格の違い

 多少シーズンの入りが悪かろうとシーズン終盤にはリカバリーが成功しているウルブス。今季の序盤戦は昇格組とともに残留争いに巻き込まれるのでは?というフォームであったが、降格チームはすでに決定。ウルブスは15位まで浮上し、終わってみれば危なげないシーズンを示したと言えるだろう。今節の相手はその差を見せつけたレスターだ。

 序盤から互いにゆったりとボールを持つ展開。ウルブスは3バックで相手のSHを釣りつつ、CHをサイドに浮かせることでその背後を狙っていく。流れるサイドは基本的には左。CHが抜けたところにクーニャが降りてくるなど、サイドに流れる選手を使う以外にも豊富なパターンから前進を狙う。

 レスターは前節と同じく3-2-5ベースの組み方。右サイドの可変が大きめなのだが、効果がイマイチ見えてこないというのも前節と同じ。ジリっとウルブスがプレスを強めてくると抵抗が難しい展開となる。

 ともに丁寧にズレを作っていきながらブロックを崩す作業に終始した前半。結果を出したのはやはり地力に勝るウルブス。左の大外に立ったアイト=ヌーリからのピンポイントのクロスをクーニャが沈めてネットを揺らす。

 この時間帯以降、主導権はウルブスに。レスターは高い位置でボールを奪おうとプレスを強めるが、この動きはややウルブスの思いのツボ感。動いたところを逆に利用しながらスマートに前進する。

 前半終了間際からHTまでで怪我人も含めて合計4人を入れ替えたレスター。ただし、仕組みとしては何かを変えたというわけではなく、あくまで3-2-5をベースとしたブロック崩しが中心ということになる。

 後半の立ち上がりはエル・カンヌスなどライン間で前を向ければなんとかしてくれそうなアタッカーが前を向くことができるようになった。ジリジリと攻め筋を作っていくが、最後の1/3のところで味方同士の息が合わないことによるパスズレが見られたのが残念だった。

 ウルブスはミドルブロックで我慢しつつカウンターに移行できれば理想。1回目のチャンスはラーセンが仕留めきれなかったが、数分後のカウンターでリベンジに成功。今度は見事に流し込んでリードを広げる。

 レスターはヴァーディの巧みな裏抜けからPKのチャンスを得られるが、このPKを失敗。ジョゼ・サはヴァーディに釣られたミスを自ら取り返す格好だ。

 迫られるピンチを凌いだウルブスはカウンターから追加点。猛ダッシュで前線のクーニャのタメにキャッチアップしたリカルド・ゴメスがダメ押しゴールを決める。

 シーズンだけでなくこの試合でも格の違いを見せたウルブス。堂々3得点で勝ち点3を積み重ねた。

ひとこと

 特にファストブレイクのシャープさが両チームの分かれ目になったように思う。

試合結果

2025.4.26
プレミアリーグ 第34節
ウォルバーハンプトン 3-0 レスター
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:33′ クーニャ, 56′ ラーセン, 85′ リカルド・ゴメス
主審:サム・バロット

ニューカッスル【4位】×イプスウィッチ【18位】

2試合連続の前半退場で最後の希望が絶たれる

 グレードエスケープを達成するにはウェストハムの5連敗と自身の5連勝が最低条件となるイプスウィッチ。そんな彼らにはCL出場権争いに真っ最中のニューカッスルとのアウェイゲームは1つ目の関門としてはあまりに狭すぎるようにも思う。

 立ち上がりにセットプレーでチャンスを迎えたのはイプスウィッチ。いきなり敵陣でゴールを脅かすシーンを作り出す。ニューカッスルはカウンターでこれに反撃。縦のシャープさで勝負。ただし、序盤はやや淡白さが先行する形となった。

 時間が少し経てばボールを持つニューカッスルが相手を押し込む展開に。この状況が非常に苦手なイプスウィッチはCHをボックス内に総動員して防衛。デラップ、エンシソのどちらかにボールを預けてカウンターのチャンスを掴めるかの望みに賭ける展開。あわやというシーンはすぐに訪れたが、なんとか首の皮一枚で凌ぐ序盤戦に。

 しかしながら、ジョンソンがシミュレーションに加えて、文句なしの2枚目のファウルであっさりと退場。前節に続き、イプスウィッチは前半のうちに10人での戦いを強いられることに。

 押し込む攻撃に当然拍車がかかるニューカッスル。イプスウィッチは一世一代のクロスの跳ね返しからなんとか跳ね返す時間が続く。ウールフェンデンは2回に渡りゴールを救うクリアを見せた。

 だが、エンシソのファウルが前半ATに咎められてついにニューカッスルに先制点。リードと数的優位を相手に渡してハーフタイムを迎える。

 こうなってしまうと後半モノトーンになってしまうのは必至。ボールを持つニューカッスルが一方的にイプスウィッチを押し込みながらチャンスを伺っていきたいところになるだろう。

 当然前からは追っていけないイプスウィッチはボールを跳ね返すことにフォーカス。なんとか凌いでいくが、右サイドからのクロスをバーンに押し込まれてしまい追加点。このゴールで完全に試合は決着することとなった。

 以降は試合のテンションは大幅にダウン。勝ちに行くのは難しいイプスウィッチはもちろんのこと、リードをしているニューカッスルも簡単なミスから流れを手放すことも。このスタジアムにいる誰もがどちらに勝ち点を得るかをもう知っていたかのようなゆったりとした空気が流れる。

 交代で入ったオスラがプレミア初ゴールを掴むまで試合は動かなかった。主力から順当に休ませながらプレータイムを完全にマネジメントしたニューカッスル。2試合連続で数的不利に苦しんだイプスウィッチを寄せ付けず、CL出場権確保に一歩前進だ。

ひとこと

 イプスウィッチのようなチームでプレミア経験者がああいうミスをするのは本当に辛いものがある。

試合結果

2025.4.26
プレミアリーグ 第34節
ニューカッスル 3-0 イプスウィッチ
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:45+4′(PK) イサク, 56′ バーン, 80′ オスラ
主審:マイケル・サリスベリー

ブライトン【10位】×ウェストハム【17位】

凱旋を彩る痛烈な恩返し

 グレアム・ポッターのアメックス帰還となったこの試合。序盤から後方の陣形をいじりつつ保持の方策を模索する両チーム。ショートパスによりこだわりが見えたのはホームのブライトン。5-3-2で構えるウェストハムに対して、3センターの脇から前進するルートを探っていく。

 ウェストハムもサリー等で後方でフリーマンを作りにいくが、出口としてはロングボールが多かった。高い位置から枚数を合わせに行ってボール奪回を狙うブライトンと異なり、ウェストハムは相手のCBにはボールを持たせてOKという考え方。徐々に保持はブライトン中心の展開に傾いていく。

 ブライトンが3センターの脇から前進のルートとして定めたのはやはりサイド。大外から深さをとり、相手を広げることと押し下げることを両立する。先制点はまさにこの形が奏功した格好。深さを作った状況を生かしたアヤリがブロックの外側からミドルを打ち込んで強引に試合を動かす。

 テンポを握りなおしたいウェストハム。後方はやり直しをするパスワークからブライトンのプレスを外していきたいところだが、マイナスのパスに合わせてきっちりと圧力を上げるブライトンのプレスに苦戦。ボールを奪ってからは先制点の形となるサイドからの押し下げとミドルのコンボからテンポを掴んでいく。

 ウェストハムは受けに回った状況で相当後手に回っていた。幻の2点目を押し込まれたシーンは相手のオフサイドに助けられたとはいえ、いくらなんでもこぼれに対するリアクションが鈍すぎるのは目にとまる。ウェストハムとしてはなんとか1点差をキープしてハーフタイムを迎えたと言える前半だろう。

 後半、ブライトンは前半と同じく押し込んでいきたいスタート。しかしながら、ウェストハムは中央でもサイドでも攻撃の起点となるボーウェンが大立ち回り。ボールをキープして時間を作り、サイドを抜け出す仕掛けでクドゥスのゴールをお膳立てする。

 勢いに乗ったボーウェンは主に右サイドの裏抜けから躍動。一方的にウェストハムペースというのは言い過ぎだろうが、少なくとも互角には展開を引き戻す。

 ブライトンは三笘、ミンテのWG陣を投入。ファーサイドのクロスを中心にウェストハムにギリギリの対応。ブライトンが選手交代できっちりと巻き直すのはさすがレギュラー組のWGという感じだろう。

 ともにサイドでの起点ははっきりしていた両チーム。次にスコアを動かすゴールを決めたのはアウェイのウェストハム。右サイドからまたしてもボーウェンのクロスをソーチェクが仕留めて逆転に成功する。

 決着したかと思われた試合を引き戻したのは三笘。前節と同じくゴール前でのストライカーよろしくヘディングでゴールを奪い、AT前に試合を振り出しに戻す。

 どちらにも転んだ試合を最後に手元に引き寄せたのはホームのブライトン。バレバの豪快なミドルで同点の勢いをそのままに決勝ゴールをゲット。元指揮官に痛烈な恩返しとなる逆転劇を演じた。

ひとこと

 最後まで非常にスリリング。見応えのあるエンタメ度の高い試合だった。

試合結果

2025.4.26
プレミアリーグ 第34節
ブライトン 3-2 ウェストハム
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:13′ アヤリ, 89′ 三笘薫, 90+2′ バレバ
WHU:48′ クドゥス, 83′ ソーチェク
主審:ダレン・イングランド

サウサンプトン【20位】×フラム【9位】

綱渡りでのこじ開けに成功

 降格は決まってしまっていたが、サウサンプトンはいい意味でも悪い意味でも変化はない。降格を早い段階で受け入れていたからいつも通りやれているのかなとも思うし、そもそも悪くなる余地も残していないくらいしんどかった1年間だったとも言えるかもしれない。

 試合はフラムの一方的なポゼッションでスタート。外に広げながらライン間に入れていく形で勝負を探っていく。陣形としてはCBにプレスをかけてこないサウサンプトンに対して後方に人数をかける必要はないので、3-1-6のような陣形というイメージだろうか。

 シンプルなスチュアートへのロングボールという前進手段しかないサウサンプトンだが、この前進手段からワンチャンスを生かして先制。セットプレーからステーフェンスがネットを揺らしてまさかの先制ゴールを奪う。

 先制してもフラムのテンションは変わらず。高い位置から奪うアクションにスイッチが入るわけでもなく、縦への鋭さを見せるわけではない。イウォビ、ウィリアンのタメを使っての遅攻を軸にブロック攻略に挑むが、クロスやシュートの前に立つ人垣を退かすことができずに苦戦。なかなかシュートをラムズデールに届かせることができない。

 サウサンプトンに反撃の機会は許さないが、押し込むところからの解決策も見えなかったフラム。前半はビハインドでハーフタイムを迎える。

 交代で2枚の選手を投入したフラム。前線に選手を追加して、さらに攻勢を強めにいく。右サイドのアダマ・トラオレはボールを細かく動かしながら味方の抜け出しを促すが、なかなか穴を開けることはできず。

 一方のサウサンプトンも反撃には出て行けず。1トップ頼みのロングボールはフラムに跳ね返され続ける。

 苦しんだナロースペースの攻略に成功したのは74分。左サイドの抜け出しに成功したスミス・ロウが相手に当てながらもシュートを決め切って同点。ハーウッド・ベリスが不用意に動いて開けてしまった穴を見逃さず。試合はここで振り出しに戻ることとなった。

 最後は2トップでひたすら放り込みに出たフラム。サウサンプトンはなんとか食らいついていく展開となったが、後半追加タイムに決壊。クロスを仕留めたのはヒメネスでもヴィニシウスでもなく、SBの位置からボックス内に入っていったセセニョンだった。

 瀬戸際で勝ち点3を手にしたフラム。セント・メリーズでなんとか勝ち点3をもぎ取った。

ひとこと

 ギリギリ綱渡りでフラムは勝ち点3を手にした。

試合結果

2025.4.26
プレミアリーグ 第34節
サウサンプトン 1-2 フラム
セント・メリーズ・スタジアム
【得点者】
SOU:14′ ステフェンス
FUL:72′ スミス・ロウ, 90+2′ セセニョン
主審:トニー・ハリントン

ボーンマス【8位】×マンチェスター・ユナイテッド【14位】

握った主導権を退場で手放す

 勢いに乗って出ていくのはホームのボーンマス。マグワイアを列上げし、オナナ+ショー、ヨロの3枚でのビルドアップを行っていくユナイテッドのボール保持を高い位置から阻害していく。

 一方のユナイテッドは非保持に回るとまずはブロックを組むことにフォーカス。5-4-1のラインを綺麗に引き、ボーンマスのバックラインにボールを持たせることを許容する。

 ユナイテッドはプレッシャーをサイドに逃しつつ、細かいパス交換でプレスの脱出を狙う。1列前にスライドするメイヌーと自由に動き回るブルーノによって、ポイントを多く作ることで細かくベクトルを変えていくポゼッション。

 ボーンマスはハイセンのキャリーから相手の中盤を動かしていく。ジリジリと自陣に下がるユナイテッドに対して穴を開けながら縦にパスを入れていく。

 時間の経過とともに主導権を握ったのはボーンマス。高い位置からのプレスでユナイテッドを自陣から脱出させることなく封印。一方的に敵陣でのプレータイムを増やしていく。

 するとショートカウンターから先制。ハイプレスが機能したところからセメンヨがフィニッシャーとなり、前半のうちにスコアを動かす。

 失点しても流れを変えることができないユナイテッド。自陣から脱出できずに苦戦する状況は依然として脱することができない。そんなユナイテッドを尻目にボーンマスは横断から次々とチャンスメイクしていく。

 前半の終盤にようやくユナイテッドはリズムを掴む。外への長いボールでプレスを逃がすなど大きな展開で徐々にボーンマスの圧力を分散。降りて受けるブルーノがここでは大きな武器になっていた印象。ガルナチョの抜け出しなど決定的なチャンスを作っていく。

 これによってボーンマスのプレスは沈静化。展開力の点でブルーノを助けられるメイヌーのサポートもありながら、広くピッチを使うユナイテッドが少しずつ反撃の兆しを見せていく。

 後半はボーンマスの決定機からスタート。左サイドの抜け出しからセメンヨ、エヴァニウソンが次々とチャンスを迎える。ファストブレイクも含めて再び主導権を握りなおした印象だ。

 ユナイテッドは左サイドのオーバーロードから反撃に出るが、もう一つサイドの推進力が足りていない印象。決め手に欠いて押し込まれてしまう。

 そんな状況を変えたのはエヴァニウソンの退場。10人に追いやられたボーンマスに対して、ユナイテッドは保持から幅を取る形を復活させることができるように。ピッチを横断する形から深さを作っていく。

 ボックスでの跳ね返しで耐えていたボーンマスだが、最後はユナイテッドの左サイドからのクロスに屈してしまう。ホイルンドが生み出したゴールにより、ユナイテッドは後半追加タイムに1ポイントを掬い取ることに成功した。

ひとこと

 退場があった分、押しきれなかった印象のユナイテッドだった。

試合結果

2025.4.27
プレミアリーグ 第34節
ボーンマス 1-1 マンチェスター・ユナイテッド
ヴァイタリティー・スタジアム
【得点者】
BOU:23′ セメンヨ
Man Utd:90+6′ ホイルンド
主審:ピーター・バンクス

リバプール【1位】×トッテナム【16位】

ホームで決めた悲願のタイトル

 追いかけるチームとの勝ち点差を考えれば、すでに優勝は確実と言えるリバプール。だが、本拠地のファンの目の前で優勝を決めるということにこだわるのであれば、絶対にここで決めたいところだろう。トッテナムを撃破し、アンフィールドで歓喜の美酒に良いしれたいところだろう。

 トッテナムの前ズレ気味の4-4-2からのプレスをものともしないリバプール。サイドに振りながらまずはトッテナムのプレッシャーを振り切りにいく。だが、CL敗退してからのリバプールは少し重たさがあるのも否めない。この日もアレクサンダー=アーノルドの雑なパスミスなど、高い位置で勝負に出る手前のところで少しつまづいてしまっている印象だった。

 縦に速い攻撃もシャープさはなかなか出せないリバプール。ファン・ダイクからガクポのバックドアで相手のバックラインを崩す工夫を見せていたが、相手に刺さるところまでは辿り着くことができない。

 一方のトッテナムはサラーの背後からのキャリーなどポイントを作りながら前進。オープンプレーからのチャンスはそこまで多くなかったが、セットプレーから先制点をゲット。ソランケが競り合いに勝利して先にアウェイチームが試合を動かす。

 しかしながら、リバプールはすぐに同点。右のハーフスペースから抜け出したショボスライがディアスのゴールをお膳立て。あっさりとゴールを奪い取る。トッテナムはグレイがケアについていったものの、外されてしまう形。トッテナムは対策は打ったが、個人が実装しきれずに失点につながるチャンスを与えてしまった。このハーフスペースを抜ける選手の抜け出しは直後にも。サラーがオフサイドで助かったが、トッテナムとしては防ごうとして防げていないプレーが続くこととなる。

 結果的にこの右サイドの奥行き作りからリバプールは勝ち越し。深さを作るとマック=アリスターのミドルで試合をひっくり返す。だらっとしたラインアップの遅さはトッテナムの守備のルーズさをよく表している。

 さらにはセットプレーからガクポが追加点。このシーンでもトッテナムの守備はすれ違いの嵐。ヴィカーリオの怒号も虚しく、あっさりとガクポのシュートコースを開けてしまった。

 3-1からは反撃に出ていくトッテナムだが、オフザボールの動きが噛み合い切らず。左サイドから深さを作るクロスは効きそうな気もしたが、スコアは動かせず。リバプールのリードでハーフタイムを迎える。

 後半、リバプールは容赦のないハイプレスから相手を制圧。トッテナムを自陣から全く脱出させない。押し込むリバプールはマック=アリスターから中盤を縫うようなチャンスメイクでガクポに決定機。トッテナムの守備を後手に回してシュートチャンスを作り出す。

 4点目となったのはファストブレイクからのサラー。ショボスライのフリーランで得たカットインのスペースからミドルを放ち、試合を決定づける追加点をゲット。自撮りに使ったスマホの所有者にはこの上ない思い出になったはずだ。

 最後はオウンゴールを誘発することで大量5得点を決めたリバプール。トッテナムを粉砕し、見事ホームでプレミアリーグのタイトルを手にした。

ひとこと

 序盤少し雑さが見えた分、苦しいところはあったリバプールだが、一度リズムを掴んでからは一変。トッテナムを寄せ付けなかった。

試合結果

2025.4.27
プレミアリーグ 第34節
リバプール 5-1 トッテナム
アンフィールド
【得点者】
LIV:16′ ディアス, 24′ マック=アリスター, 34′ ガクポ, 63′ サラー, 69′ テル(OG)
TOT:12′ ソランケ
主審:トーマス・ブラモール

ノッティンガム・フォレスト【3位】×ブレントフォード【11位】

手痛い一敗で主導権を手放す

 チェルシー、シティ、ニューカッスル。安泰だと思っていた3位の座は追っ手のチャージによって危うくなっている。ホームゲームを制し、なんとかフォレストはこの差をキープしたいはずだろう。

 きっちりと強度を出すことができる両チームらしい激しい立ち上がりで試合はスタート。先に主導権を握ったのはブレントフォード。ダムズゴーの右のハーフスペース抜け出しからチャンスを迎えたシャーデからチャンスを迎える。

 この攻撃を皮切りにクロスでギリギリの対応を誘発すると、セカンドボール回収からさらなるゴールを狙いにいくことで波状攻撃に出るブレントフォード。フォレストとしてはなかなか自陣から脱出することができないスタートとなった。

 それでも簡単に屈しないのが3位の実力。ハイプレスに出てくるブレントフォードに対して、強引に左右に揺さぶりながらプレスを外し中盤に運んでいく。非保持においてもかなりブレントフォードの保持に振り回されていたが、なんとか食らいついていけるのが今季の彼らの強度。普通のチームであればやられている状況でもボールを取り返し、少しずつ保持の時間を取り返す。

 15分過ぎからはブレントフォードが保持で押し下げる時間が続いていたが、30分くらいにはフォレストは保持でもだいぶリカバリーするように。どちらもアグレッシブであるが、ゴール前では変な崩れ方はせず、互いにチャンスを迎えるのはなかなか難しい状況だった。

 そうした中でワンチャンスをものにしたのはブレントフォード。シャーデがロングボールに対して華麗な身のこなしからゴールをゲット。アイナを出し抜いてロングボールを見事に得点に変える。ブレントフォードが貴重な決定機を生かし、ハーフタイムをリードで迎える。

 後半、追いかけるフォレストは押し込みながら崩しにいくかと思われたスタート。だが、ブレントフォードはこれに抵抗。押し込まれたところから右の大外のムベウモでのロングカウンターは彼らの鉄板パターンと言えるだろう。

 フォレストもそれに触発されるようにサイドからドリブラーがデュエルを挑む行ったり来たりの展開に。豪雨に見舞われるザ・シティ・グラウンドの天候もドラマチックな展開にさらに輪をかけていた。

 アウォニィ、ウッドの2トップへの移行でパワープレーに出るフォレストだが、結果を手にしたのはブレントフォード。ロングボールに対してムベウモと組んで縦に抜けたウィサがそのままゴールをゲット。完全にフォレストのCB陣を手玉に取って追加点を奪う。

 最後まで奮闘が見えたフォレスト。特に左サイドのニコ・ウィリアムズの突破はかなり心を打つものがあった。だが、ブレントフォードに一矢報いるゴールを生み出すことはできず。手痛い一敗を喫することとなった。

ひとこと

 この一敗でCL出場権争いは一気に雲行きが怪しくなったフォレストだった。

試合結果

2025.5.1
プレミアリーグ 第34節
ノッティンガム・フォレスト 0-2 ブレントフォード
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
BRE:44′ シャーデ, 70′ ウィサ
主審:ダレン・イングランド

今節のベストイレブン

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