ブレントフォード【11位】×ブライトン【10位】

10人で食い下がるブライトンを振り切る
前からプレスに出ていく形を見せるブライトンに対して、ブレントフォードはらしいショートパスのボールの動かし方でハイプレスを破るポイントを探す。狙いを定めたのは左サイド。シャーデの抜け出しから一気に背後を狙ったウィサがいきなり決定機を迎える。
以降も前からのプレスの積極性を見せていたブライトンをひっくり返し続けるブレントフォード。同じようにシャーデが抜け出すシーンも見られたが、違いを見せたのはその一列後ろのルイス-ポッター。ワンツーからフリーになると、背後に入り込んでムベウモに先制ゴールをお膳立て。ハイライン破りから試合を動かす。
ブライトンはハイラインをキープしつつ、WGを起点としたサイド攻撃から打開を図る。ファーサイドのミンテの飛び込みはやられてしまったサイドにおける取り返そうという意気込みが伝わってくるものだった。
ペドロとウェルベックのハイプレスから決定機を迎える形もあったが、このチャンスは自らフレッケンが尻を拭く。以降もエストゥピニャンのバックドアなどサイド攻撃に工夫を仕掛けていく。
ブレントフォードは押し込まれる時間が長引くが、シャーデへのロングボールからチャンスメイク。前線4人で完結する形でゴールに迫る。地上戦だけでなく、空中戦でも戦えることを示したシャーデは前半の攻撃の核となっていた。
サイド攻撃の応酬となっていた前半はサイド攻撃で終幕。ミンテのタメを活かしたウィーファーのクロスからウェルベックがゴールを決めて振り出しに戻す。
後半、ブライトンはショートパスからボールをつなぎつつ、押し込むトライでスタート。ブレントフォードのハイプレスに真っ向から立ち向かっていく。
だが、このマッチアップを制したのはブレントフォード。ファン・デン・ベルフのハイプレスでの潰しからのカウンターでムベウモの2点目をゲット。ゴールシーン直後にもハイプレスからの潰しを再現していたファン・デン・ベルフはこの時間に明らかに輝いていた。
さらには自陣に押し下げた形からロングカウンターでブレントフォードは追加点。右サイドの裏を取る形から一気にひっくり返すとウィサがさらにリードを広げるゴールを決める。
苦しくなったブライトンはジョアン・ペドロがイラつきを爆発させるような一発退場で10人に追い込まれることに。三笘とマーチの両WGを投入してまだ勝負していく姿勢を見せるが、ブレントフォードの圧力を逃すのにはさらに苦労することとなる。
そんな苦境でも根性を見せたのは三笘。右サイドのウィーファーからのクロスに飛び込んでゴールを脅かすと、中央を縦に抜ける形からゴールを生み出すことに成功。斜めのランからギャップに入り込んで追撃弾を確保する。
このゴールから攻勢に出るブライトンは右サイドにアディングラを投入。三笘を最前線に置く形からさらに勢いを強めていく。
しかし、セットプレーからブレントフォードが4点目を確保してブライトンの追撃は終了。10人の中で意地を見せたブライトンだが勝ち点を手にすることはできなかった。
ひとこと
10人になってからも見ごたえを見せたブライトンの意地は見えた試合だった。
試合結果
2025.4.19
プレミアリーグ 第33節
ブレントフォード 4-2 ブライトン
G-techコミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:9′ 48′ ムベウモ, 58′ ウィサ, 90+5′ ノアゴール
BHA:45+3′ ウェルベック, 81′ 三笘薫
主審:ティム・ロビンソン
ウェストハム【17位】×サウサンプトン【20位】

叩き続けた右サイドから勝ち点をもぎとる
降格がすでに決まっているサウサンプトン。今節対戦するのはウェストハム。17位ながらもすでに残留争いは決着しており切羽詰まらないままの着地に成功したチームとの一戦だ。
立ち上がり、ボールを動かしていたのはサウサンプトン。3バックという数的優位の状況を使いながら、幅を取りつつ斜めのパスを織り交ぜてアンカーを解放する。
もしくは縦の鋭い攻撃の展開も視野に入っていた。2トップ脇にポイントを作り、ウェストハムのSHを手前に釣ったところから右サイドから縦に進んでいく形を実装。雑にプレスにきたところはきっちりと咎めてのポゼッションを行なっていく。
やや、押し込まれるスタートとなったウェストハムだが、10分過ぎを境に徐々に陣地回復。中盤をプレスのスタート位置にするサウサンプトンに対して、即時奪回を含めたボール回収を行うことで一方的な試合展開に持っていく。
ウェストハムも狙い目はサイド。枚数をかけて大外レーンからの飛び出しを狙う。3列目も前線に出ていくなど枚数をかけた攻勢が目立っていくように。サウサンプトンは左サイドのスレマナとマニングを軸に反撃に出てくる。横断すれば逆サイドにはウォーカー=ピーターズ。どちらのサイドも攻撃もWBが攻撃に参加することができればチャンスを生み出すことができていた印象だ。
タイスコアで迎えた後半、試合はあっという間に動く。右サイドのボーウェンがカウンターを完結。ウェストハムが先制点を生み出す。以降もボーウェンは右サイドで加速。ギャップで受けてシャープな縦への抜け出しからチャンスを作っていく。
サウサンプトンは後半も攻め筋は同じ。左サイドのスレマナを中心とした保持からサイドに深さをとって枚数をかけた攻撃を仕掛けていく。
失点以降、保持の局面が増えることとなったサウサンプトン。大外を軸とした攻撃からクロスを放つが、ウェストハムの跳ね返しは安定。逆にスピード豊かな両サイドのSHのカウンターから失点のピンチを迎えてしまう。
なおも攻撃を続けるサウサンプトンは右サイドにディブリングを投入。切り札登場で右サイドを強化することで機械の増えた保持局面をさらにテコ入れする。
この執念が実ったのは後半追加タイム。フェルナンデス、ウォーカー=ピーターズ、ディブリングの右サイドからの攻撃から深さを作ると、最後にゴールを仕留めたのはウゴチュクのミドル。叩き続けた扉を最後に開けたサウサンプトンが勝ち点1を手にした。
ひとこと
ウェストハムは先制点後にうまく試合をハンドリングできなかった。
試合結果
2025.4.19
プレミアリーグ 第33節
ウェストハム 1-1 サウサンプトン
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:47′ ボーウェン
SOU:90+3′ ウゴチュク
主審:アンドリュー・キッチン
エバートン【13位】×マンチェスター・シティ【5位】

モデルチェンジ成功のシティが駆け上がる
終盤戦に向けて冬のモデルチェンジが効いていた感があるシティ。与し易い相手が多いこともあり、ここはシーズン最後まで駆け抜けたいところだろう。
立ち上がりは空中戦を仕掛けていくなど、縦に速い展開を生み出すことでシティに挑むエバートン。ここに関しては平常運転と言えるだろう。前からのチェイシングのカラーが強いのもいつも通り。高い位置からのプレスをベースに、シティのバックスに圧力をかけていく立ち上がりのエバートンだった。
エバートンのプレスに対して、シティはショートパスで交わしながら対応していくトライ。左サイドはオライリーが引きちぎるように前進していったし、逆サイドは絞るヌネスによって生み出されたスペースにデ・ブライネやベルナルドが降りてくることで起点を作る。
徐々にテンポを掴むシティは押し込むフェーズでも安定感。バックドア等のオフザボールの工夫も多く見られていたし、深い位置を取った後のミドルなどバリエーションも豊富。エバートンの守備は人を捕まえにいく色の濃いものであったが、それに先手を打つような対応で押し込んでいく。
保持に回った際のエバートンはショートパスでの繋ぎを好む前節のフォレスト戦と同じテイスト。ただ、結局はセットプレーからのハイボールが一番刺さっていたことを見ると、この日のエバートンが保持でやりたかったこととシティに効くことには乖離があったかもしれない。
後半もシティはエバートンのハイプレスを外していくスタート。順調に試合に入れたように思えたシティだったが、エバートンはデ・ブライネのパスが大きくなったところからエンジアイがトランジッションで押し込むと、彼らが押し込む時間帯を確保、悪くないひっくり返し方を見せるが、ターコウスキの負傷でバックラインに欠員が出てしまう。
前半よりも縦に速い展開となった後半。サヴィーニョの単独ファストブレイクをはじめ、マルムシュや交代で入ったドクもこれに順応していく。縦のシャープさではこの日はシティの方が優勢だった。
重い試合をこじ開けた先制ゴールは84分。右サイドからのクロスを仕留めたオライリーがゴール。ピックフォードは痛恨のクロスカットミスとなってしまった。
終盤には左サイドから深さをとったところをコバチッチがミドルで仕留めてシティは完勝。グディソン・パークの牙城も崩したシティが終盤に向けて勢いを強めている。
ひとこと
シティ、冬の再建に成功した感。
試合結果
2025.4.19
プレミアリーグ 第33節
エバートン 0-2 マンチェスター・シティ
グディソン・パーク
【得点者】
Man City:84′ オライリー, 90+2′ コバチッチ
主審:サイモン・フーパー
クリスタル・パレス【12位】×ボーンマス【8位】

寝技に持ち込み痛み分け
ともに中位で問題なく過ごしている両チーム。ゆったりとした流れで入る序盤戦で押し込むことになったのはボーンマス。セカンド回収に加えて、後方からのSBの攻め上がりで前に枚数をかけていく。パレスの守備は無理にバックスを追い回すようなものではなかったため、ボーンマスの保持の時間が長くなることはすんなり受け入れられた印象。
しかしながら、ボックスに迫るもう一工夫までは序盤にたどり着くことができなかった。クライファートの復帰による左サイドの活性化、CHに起用されたスコットが1つ前に入り込む動きを見せるなど努力の跡は見えたが、それでもゴールチャンスには至らず。
一方のパレスはファストブレイクからの陣地回復がベース。エゼを主体としたカウンターは10分過ぎからちらほら見られるようになり、ボーンマスに押し込まれる展開が主ながらも反撃の武器をきっちりと備えて縦への鋭さを出していく流れとなった。
前半は基本的には一進一退。ボーンマスが押し込む機会の中でエヴァニウソンへのファークロスといった紙一重のものもあったりしつつ、カウンター対応から2人のCHにカードを出させたパレスも悪くはないなという感じだろう。
だが、HT直前にカードトラブルが起きたのはパレスの方。クライファートのカウンターを慌てて止めてしまったリチャーズが2枚目の警告で退場に。パレスは残りの45分を10人で戦うこととなった。
10人となったパレスは選手交代も含めて5-3-1へのシフトチェンジ。ただし、後半の序盤はどちらのチームもファウルが嵩む展開となり、あまり支配感がない流れとなった。
ボーンマスがボールを持つ展開になってもあまり相手が10人であることを生かすようなボールの動かし方ができていない。ミドルを打つ心意気があるのはわかるけども、じゃぁ今度はそれをフリに使うことができるか?というとそうでもない。
前進のフェーズでもアバウトなボールが先行し、相手のズレをつくようなショートパスでの組み立てもない。パレスは無理なく時計の針を進めることができているという状態だ。
終盤はさすがに押し込むフェーズが目立っていたボーンマスだが、パレスの受けはすでに慣れてしまった感があり、なかなか有効打を打つことができない。退場者を出したパレスの寝技に抵抗できなかったボーンマスは数的優位を活かせず、勝ち点は1止まりとなった。
ひとこと
後半のボーンマスの引き出しの少なさは気になるところ。
試合結果
2025.4.19
プレミアリーグ 第33節
クリスタル・パレス 0-0 ボーンマス
セルハースト・パーク
主審:サム・バロット
アストンビラ【7位】×ニューカッスル【3位】

交代的中で大爆発のビラ・パーク
CL出場権争いを占う重要な一戦。フォロワーとなっているビラはCL優勝ルートが消滅。リーグ戦で5位以内に入るしかない。ニューカッスルを逃さないことと、この前の時間帯で勝利を挙げているシティにキャッチアップするという意味でも絶対に負けられない。
そんな意気込みを反映するかのようにビラは早々に先制点をゲット。深い位置までボールをおったトナーリの判断ミスからボールを奪うと、すぐにティーレマンスがスルーパスを発動。ワトキンスが相手に当てながらも決め切って先制ゴールを得る。
このゴールで勢いに乗ったアストンビラ。ニューカッスルのプレスを引きつけてはいなし、加速してゴールに向かい、ワトキンスで仕上げるというサイクルでニューカッスルのゴールに迫る。それに付帯するセットプレーも含めてアストンビラは大きなチャンスを続ける。
だが、これを跳ね返したニューカッスルは18分に同点に。左サイドからのクロスをセットプレーで前残りしていたシェアが仕留めてゴール。イケイケのビラの足元を見るかのようなゴールを決めて試合は振り出しに戻る。
ニューカッスルは右に流れるイサクを加えたコンビネーションで敵陣に押し込んでからの選択肢を作っていく。だが、優勢なのはアストンビラ。シャープなカウンターから反撃のルートを作ると勢いを持ってシュートまで。ニューカッスルはマイナスのパスからのシュートがやや詰まり気味になっているのが気がかりであった。
優勢なのはアストンビラ。だが、ハーフタイムは1-1で折り返しとなると、体力面で多くの力を使ったビラの方が苦しい結果と言えるかもしれない。
引き分けでも悪くないニューカッスルは慎重に試合の展開を制御。ゆったりとしたポゼッションと、プレスだけでなくリトリートも組み込むことでアストンビラの加速を許さず。ビラもまた、前からのプレスで主導権を握れるタイプではないのでこの展開に逆らうことができなかった。
それでもセットプレーからチャンスを迎えるビラ。押し込みながら勝ち越しゴールを狙う。ジリジリと主導権を引き寄せていくとビラがニューカッスルの制御を逃れたのが64分。自陣からのボールを動かす局面に人についてきたニューカッスルを一手ずつ上回り、最後は大外のマートセンが角度のついたところからシュートを仕留めた。
得点をとりにいく必要が出てきたニューカッスルだが、なかなかギアを上げることができず。逆に2枚の交代を行ったアストンビラがブーストに成功。オナナ、ラムジーで左サイドを制圧すると、1列前に移動したティーレマンスが追加点を決める。
さらにはシェアのパスミスからカウンターに移行すると、オナナが豪快なミドルで仕留めて4点目。一度はポープに防がれたボールを叩き込み、試合を完全に決めてみせた。
交代をきっかけにブーストをかけたアストンビラ。ビラ・パークで大爆発を起こし、CL争いを混戦に導く結果を手にした。
ひとこと
交代、まさかここまで当たるとは。
試合結果
2025.4.19
プレミアリーグ 第33節
アストンビラ 4-1 ニューカッスル
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:1′ ワトキンス, 64′ マートセン, 73′ バーン(OG), 75′ オナナ
NEW:18′ シェア
主審:ジャレット・ジレット
イプスウィッチ【18位】×アーセナル【2位】

盤石の4得点で2位固め
レビューはこちら。

イプスウィッチは高い位置からのプレスに出ていく形。積極策からアーセナルのバックラインを咎めにいく。アーセナルはパスワークでまずはこれをいなすスタート。相手を片方のサイドに引きつけつつ、サイドチェンジすることでWGにボールをつけていく。
サカ、マルティネッリの2人のWGにまずはボールを預けることによってイプスウィッチはリトリートする形に追いやっていく。
イプスウィッチはカウンターからエンシソが前を向くことで加速するが、なかなかこの形を作るのに苦戦。アーセナルからいい形でボールを奪うことができれば問題がないが、そうした形を作るには強引に中央のパスワークでこじ開けにアーセナルが来てくれるミス待ちの様相。そのミスを待っている間にアーセナルは先制点をゲット。中央のトロサールが強引にこじ開けることに成功した。
勢いに乗るアーセナルは追加点。右サイド起点の攻撃からさらに得点を重ねる。メリーノのボックス内でのアシストは秀逸。華麗なポストから逆サイドのマルティネッリがゴールを決めてリードを広げる。
イプスウィッチはハーストが奮闘するが、デイビスの退場で10人に。これでイプスウィッチは一気に不利に追い込まれる。5-3-1の左右不均一な陣形で、なぜかアーセナルのストロングの右サイドを開けてしまったイプスウィッチ。さらにサカに攻め込まれる機会を自ら与えてしまう。
というわけで後半も一方的なアーセナルペース。前半とは異なり、左サイドでもポイントを作りながら相手のバックラインを攻略していく。
イプスウィッチも10人ながら反撃に。根性でボールを繋ぎながらハーストが裏抜けを行うことでなんとかチャンスメイク。ただし、アンカーが自ら反転するというリスクつき。そうでもしなければ前を向くことができないということかもしれないけども。
機会が限られたイプスウィッチの反撃をアーセナルはいなして追加点。左サイドからトロサールが角度のついたところから3点目を奪い取る。
さらにアーセナルは右サイドのヌワネリから4点目をゲット。最後は強度を落としながらも得点を重ねて相手を突き放していく。
CL明けでコンディションが気がかりだった一戦だが、イプスウィッチを問題にしなかったアーセナル。大量4得点で2位がために成功した。
ひとこと
ブロック守備の強度がイプスウィッチは物足りないという感じ。
試合結果
2025.4.20
プレミアリーグ
第33節
イプスウィッチ 0-4 アーセナル
ポートマン・ロード
【得点者】
ARS:14′ 69‘ トロサール, 28’ マルティネッリ, 88’ ヌワネリ
主審:クリス・カヴァナー
マンチェスター・ユナイテッド【14位】×ウォルバーハンプトン【16位】

均衡の13位集団決戦を一振りで制する
もはやフォーカスはEL一本。来季のCL出場権につながる一本道を狙う状況となっているユナイテッド。そんな状況で好調気配のウルブスというのは非常に厄介な相手である。
互いにフォーメーションは3-4-3。ミラーということもあり、隙があればハイプレスに出ていくこともできる。だが、そこは慎重な両チーム。常にマンツーということはなく、時には5バックにシフトして自陣をプロテクトする。
もちろん、常に後ろ重心ということはなく前に出ていく姿勢も見せていた両チーム。先に仕掛けた感があるのはウルブス。高い位置からサイドに追い込む形で相手に圧力をかけていく。
だが、ユナイテッドはウガルテの配球力を使うことで徐々にこのプレスを回避。サイド誘導を脱出しウルブスを押し込んでいく。このプレスの攻防がこの時間帯の優劣を分けた感。少しでもラインを上げようとするウルブスのバックラインを急襲しつつ、セットプレーの高さを生かした攻撃を織り交ぜてユナイテッドはウルブスのゴールに少しずつ迫っていく。
ウルブスは陣地回復がままならない非常に苦しい展開。しかしながら、なんとか自軍のブロックをプロテクトすることには成功。ジョゼ・サのハイボール処理はヒヤヒヤするものであったが前半をスコアレスで乗り切る。
迎えた後半、ボール保持をベースとするのはユナイテッド。前半と陸続きの展開からブロック攻略に挑む。しかしながら、前半と同じくなかなかこじ開けには苦戦。ややサイドのシャープさが足りていない印象だ。
ウルブスはアグバドゥの大胆な左サイドでの攻撃参加から縦に抉っていくと、ここから保持でテンポを取り戻していく。今度はこちらがユナイテッドを自陣に釘付けにする番。セットプレーでチャンスを生み出していく形を含めて、前半のユナイテッドの攻撃をそのままやり返していく。
ブルーノをはじめとする3人交代でリカバリーを図るユナイテッド。一進一退の攻防になった試合を決めたのは交代選手の一振り。途中交代で入ったサラビアの直接FKからスコアを動かしていく。
ビハインドに陥ったユナイテッドはサイドから勝負を仕掛けていく。特に左サイドを深く抉った形からグラウンドのマウントにクロスを合わせるパターンはゴールを捉えそうな匂いはあった。
だが、最後までゴールを生み出すことはできず。逃げ切りに成功したのはウルブス。13位集団同士の争いを制して3ポイントを手にした。
ひとこと
どちらが勝ってもおかしく無い試合を一振りで決めたサラビアがMOMで間違いない。
試合結果
2025.4.20
プレミアリーグ 第33節
マンチェスター・ユナイテッド 0-1 ウォルバーハンプトン
オールド・トラフォード
【得点者】
WOL:77′ サラビア
主審:ロベルト・ジョーンズ
フラム【9位】×チェルシー【6位】

劇的な勝利でCL出場権に上昇気流
CL出場権争いではフォロワー扱いになっているチェルシー。ウェストロンドンダービーを制して、上位勢のミスを待ちたいところだ。
序盤からロングボールの応酬となったこの試合。先にチャンスを掴んだのはフラム。対角のフィードを放ったアンデルソンからチャンスを迎え、ネットを揺らしたがこれはオフサイド。先制ゴールは認められなかった。
左サイドではややチェルシーの右の守備ブロックの怪しさからショートパスを繋いでいく展開。フラムは押し込みながらスタートする。
チェルシーのロングボールのターゲットになっているのはジャクソン。左に流れながらターゲットマンとしてボールを収めるがやや攻撃としてはその先を作ることができずに単発で終わってしまった感がある。
15分もすればチェルシーは押し込む時間帯を取り戻しサイドから押し込んでいく。布陣としてはジェームズが絞る3-2-5の形。右サイドはマドゥエケのアイソレーション。左サイドはコンビネーションからの抜け出しを狙っていく。
だが、フラムはこの絞るジェームズを咎めるところから先制。ショートカウンターを仕留めてイウォビが先制ゴールをもたらす。25分も中央エリアのカイセドを潰したテテからチャンスメイクをするなど、この中盤中央はかなり狙っていた感。ボールを奪った後に預けどころになるイウォビもありがたい存在となる。
チェルシーはゆったりとしたポゼッションで押し込む時間を増やしていくが、アタッキングサードでの手応えはなし。跳ね返しの対応が安定しているフラムに対してなかなか得点のきっかけを掴むことができない。
迎えた後半もチェルシーの一方的な保持から解決策を探る展開。WGという勝負のポイントを作り、大外からつっつく形で仕掛けを続けていく。
一方のフラムも左サイドから縦にスムーズに進むことで反撃。低い位置から縦に進んでいく手段を見つけることで追加点を狙いにいく。
後半の展開もチェルシーのブロック攻略に集約された感のある試合。動かしたのは伏兵のジョージ。ネトのキープから繋いだボールを豪快なミドルで叩き込み、終盤に同点に持っていく。
さらにはそのネトが振り向きざまにシュートを仕留めて後半のATに勝ち越しゴールをゲット。負ければ一気に情勢が悪くなりそうな情勢だっただけにこの1勝は大きい。逆転でのCL出場権確保に勢いに乗れそうな勝利を確保した。
ひとこと
典型的な勝ち点を落とすパターンを凌いだのは大きいように思う。
試合結果
2025.4.20
プレミアリーグ 第33節
フラム 1-2 チェルシー
クレイブン・コテージ
【得点者】
FUL:20′ イウォビ
CHE:83′ ジョージ, 90+3′ ネト
主審:アンソニー・テイラー
レスター【19位】×リバプール【1位】

最後の望みを首位が断ち切る
わずかに残された残留の可能性を次節に繋ぐためにはレスターはもう一つも勝ちを逃すことが許されない。そんなレスターに立ちはだかるのはよりにもよって優勝に向けてひた走るリバプール。リーグの一番上にいるチームを相手に可能性をつなぐためのチャレンジに挑む一戦だ。
レスターの立ち上がりのフィーリングは悪くなかった。サラーの背後をとることによって一気に前進するトーマスなど、ガッツリハイプレスにくるリバプールの逆を取ることはできていた。エル・カンヌスとトーマスの連携で左サイドから起点を作ると、そのまま縦に進む形と逆サイドに展開する形を併用しながら敵陣に迫る。大外のマヴィディディもブラッドリー相手に止まった状態からおいていく形を作ることもできていた。
しかしながら、リバプールはそのホットなサイドから反撃。右の大外のサラーを起点に中央へのパスを差し込みつつ、抜け出す形を作ってチャンスを迎える。レスターは保持時にRSBのリカルド・ペレイラがインサイドに入り込むことで3-2-5となっていたのだけども、非保持時のポジションがチグハグ。リカルド・ペレイラがRSBの正位置に戻っているのに、右に押し出される格好になっているンディディが右の大外を埋めたままなのでバイタルが不審なくらいスカスカになっている。
やや怪しいところがあるレスターの非保持に対して、リバプールは保持の時間を増やしながら対抗していく。だが、右サイドの攻めの精度が少し雑。サラー、グラフェンベルフの年間を通じて稼働してきた選手たちのトーンダウンが激しく、パスが繋がらない部分がだいぶ出てくる。こちらも決め手に欠いたままハーフタイムを迎えることとなった。
後半、先制攻撃を仕掛けるのはリバプール。左サイドのタメからファーへのクロスを使うことで先にチャンスを作りにいく。前半はやや精度不足が目立った右サイドも裏抜けの選手の利用がスムーズ、奥行きを使いながら前半以上にゴールに迫ることができていた。
レスターは陣地回復に苦しむ展開ではあったが、セットプレーの流れからネットを揺らすことに成功。だが、これはアリソンへのダカのコンタクトがファウルを取られてしまいノーゴール。コンタクト自体はソフトだっただけにレスターとしてはゴールを認めて欲しいところだったはずだ。
セットプレーの流れからのチャンスを活かしたのはリバプールの方。幾度かゴールを捉えるシュートをものにできなかったが、チャンスが終わったかと思われたタイミングで左サイドに立っていたアレクサンダー=アーノルドの左足がネットを揺らして先制。試合をついに動かす。
このリードを守ったリバプールが最小得点差で勝利。レスターは降格が正式に決まることとなった。
ひとこと
渋い試合だったがきっちり勝ったリバプール。アーセナルはこういう試合を増やしたいシーズンだったなぁ。
試合結果
2025.4.20
プレミアリーグ 第33節
レスター 0-1 リバプール
キング・パワー・スタジアム
【得点者】
LIV:76′ アレクサンダー=アーノルド
主審:スチュアート・アットウェル
トッテナム【15位】×ノッティンガム・フォレスト【4位】

受けると脆いトッテナムを粉砕し、CL出場権に再点火
ここにきてやや勢いが途切れつつあるフォレスト。CL出場権争いのライバルたちはここにきて勢いを伸ばしているだけにトッテナム相手に巻き返しを図りたいところだ。
トッテナムのスタンスはいつも通り支配的なもの。ハイプレスでボールを奪い、きっちりとブロックを組むフォレスト相手にボールを動かしながら解決策を探していこうという形だった。
だが、そんな思惑をひっくり返すように先制点を挙げたのはフォレスト。左サイドからブロックに入り込んでセットプレーをもぎ取るとアンダーソンのミドルでこじ開けに成功する。
この日のフォレストのポイントは中盤の4枚が非常にナローに構えているということ。インサイドに多くパスの中継点を作り、テンポよく少ないタッチでボールを動かしながらトッテナムの即時奪回を回避するというプランだった。
優位に進めるフォレストはクロスから追加点。ポロのサイド守備の遠さとロメロ、ファン・デ・フェンのクロス対応はどちらも拙く、ウッドが余裕であわせられるボールを簡単に入れさせてしまった印象だ。
以降も優位なのはフォレスト。抜け出すところ、プレス回避、トッテナムに攻め込まれたタイミングでのサイド裏をベースにしたカウンター、前線の裏抜けを活かすロングボールなど豊富な攻め手からトッテナムを追い立てる。
2点のビハインドとなったところでトッテナムは保持の時間を増やすが、試合の主導権はあまり変化はなし。サール、リシャルリソンのクロスの被りや、ロメロの雑な警告などポゼッションは回復しても流れは悪いままだった。
後半、両チームはバックラインを入れ替え。2点のリードを意識したフォレストが5バックにシフトする一方で、トッテナムは4バックをキープしたままCBを両方交代するという大胆な采配を行う。
フォレストは前半以上に引いて受ける意識は強くなったが、ウッドとギブス=ホワイトの速攻から抜け出すシーンを作るなどチャンスメイクは問題なし。後方に重心を置いた陣形でも前に出ていけることを示した。
逆になかなか攻めのきっかけを作れないトッテナムはソランケの投入で2トップへと移行。ボックス内に手早くクロスを入れることで空中戦から揺さぶりをかける。
一度は似た形の決定機を決めることができなかったリシャルリソンだったが、87分に追撃弾となるチャンスを仕留めて1点差に。しかしながら反撃もここまで。フォレストとしては大きな勝ち点3を手にすることとなった。
ひとこと
トッテナムの立ち上がりの悪さ、特に相手の勢いを受けきれないところの難が出てしまった試合だった。
試合結果
2025.4.21
プレミアリーグ 第33節
トッテナム 1-2 ノッティンガム・フォレスト
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:87′ リシャルリソン
NFO:5′ アンダーソン, 16′ ウッド
主審:ピーター・バンクス
今節のベストイレブン
