マンチェスター・シティ【6位】×クリスタル・パレス【11位】

デ・ブライネが変えた空気はターニングポイントになるか?
CL出場権確保とFA杯のタイトル。残る2つの目標に対して、シティは全力で走る残りの2ヶ月となる。今節の対戦はそのうちの1つであるFA杯のファイナルで対戦する可能性があるクリスタル・パレスとの一戦だ。
シティは序盤からボールを持つ立ち上がりとなったが、初期の配置を崩さず外循環するビルドアップに終始。なかなかパレスのブロックを揺さぶることができない。
パレスは保持に回ると横断からシティの守備の薄いところに繋いでいく形。ロングボール一辺倒ではないというところを踏まえても、一方的にボールを持たれる往年のシティ戦とは異なる形となった。
特に効いていたのは左サイドから右に横断する形。そこから右の奥を取るフリーランを生かすことでシティのバックラインを一気に押し下げる。この形が刺さってパレスは先制点をゲット。エゼのゴールでパレスが先行する。
保持からフォーマットを作り、押し下げることができたパレスはセットプレーから追加点。マテタにブロックされているエデルソンが前に出てこれない状態を作り、リチャーズがゴールを決める。
さらに右の背後を狙う攻撃からシティを追い立てるパレス。このまま一方的な展開を作っていくかと思われた試合の流れを変えたのはデ・ブライネ。直接FKでゴールを決めてエティハドの空気を一気にシティモードに引き寄せる。
するとこのゴールからあっという間にシティは反撃。サイドでマカティーがキープするとフリーのデ・ブライネにボールがわたり、最後はマルムシュがゴールを仕留める。ワンサイドだった空気は前半終了間際にはだいぶ和らぐこととなった。
流れを引き戻したシティは後半早々に勝ち越し。左サイドのオライリーのバックドアから背後をとると、マイナスのボールからシュートチャンスを仕留めたのはコバチッチ。早くも試合をひっくり返す。
すると、その直後には絵でルソンからのタッチダウンパスが炸裂。マカティーの抜け出しから一気に最終ラインの背後をとることでそのままゴールまで一直線というプレーだった。
前半と異なり、ボールを持つターンがやってこないパレス。シティのラインブレイクに耐えるという時間が延々と続くこととなる。
さらには右サイドからの押し下げに中央から豪快なミドルを決めたオライリーがゴール。終わってみれば大量5得点。シティが豪快な逆転勝利で勝ち点3を手にした。
ひとこと
CL争いを線で見た時にターニングポイントになりかねない逆転勝利だと思う。
試合結果
2025.4.12
プレミアリーグ 第32節
マンチェスター・シティ 5-2 クリスタル・パレス
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:33′ デ・ブライネ, 37′ マルムシュ, 47′ コバチッチ, 56′ マカティー, 79′ オライリー
CRY:8′ エゼ, 21′ リチャーズ
主審:ジャレット・ジレット
ブライトン【9位】×レスター【19位】

勝者のいないアメックス
欧州カップ戦、残留争い。目標は違えど、それぞれの目標に対してはかなり厳しい情勢となっている両チームの一戦。
序盤からボールを持つことになったのはブライトン。左のCBに入ったバレバのキャリーからレスターの4-4-2のブロックの外からボールを動かしていく。大外のアディングラ、ミンテが仕上げ役となり、ボックス内にクロスを上げていく。
縦方向に進んでいき、押し込むと敵陣からボール奪取を狙っていくブライトン。レスターは序盤はなかなか前に起点を作れなかったが、3-2-5の保持からズレを作ってポゼッション。徐々にCFがボールを収められるようになると、サイドを脱出口に敵陣に。特に左サイドのマヴィディディが突破力を生かして勝負をしていく。ブライトンは急造のDFラインが対応に苦慮することとなった。
押し込まれるブライトンだったが、左サイドのキャリーから大外へ展開すると、遅く入ってきた味方にマイナスのパスをつけることでレスターのハンドのPKを誘発。このPKをジョアン・ペドロが沈めて先制する。
だが、レスターも効いていたサイドから反撃に成功。左サイドのマヴィディディが攻撃を完結させた。ブライトンは雑なバックパスにダンクの雑な処理などが重なり失点を呼び込んでしまった感がある。
取り返そうとブライトンは中央への縦パスとサイドへのパスを駆使しながら敵陣に迫っていく。だが、シュートはいずれも枠を捉えることができず。ブライトンの決定力に助けられて、レスターはなんとかタイスコアで前半を終える。
後半に入っても流れは変わらず。左サイドの攻撃を軸に延々とブライトンは決定機を作っていく。特にサイドの相手の守備の前後のギャップは活用できる。ハーマンセンの仕事は後半になっても減ることはないという状況だ。
そうした中でレスターは左サイドでPKを献上。なぜ、主審は見逃したのか?と言えるくらいの豪快な引っ張りはもちろんOFRをレコメンド。この日2つ目のPKをジョアン・ペドロが決める。
しかし、このPKは前半と同じ展開の引き金に。レスターはサイドを起点に押し込むと、守備の怪しさが先行するブライトンに対して、ガンガンゴールに迫る。前半よりも後半はこの時間に突入するのは早く、多くのチャンスを迎えることとなった。
74分にオコリが同点ゴールを決めると展開はさらに加速。レスターは左サイドから次々と決定機を作り出したが、いずれも枠を捉えることができない。
最終盤には再び攻勢に出たブライトンだが、こちらもハーマンセンがゴールを許さずに追加点をシャットアウト。文字通りドローという結果はフォロワーの2チームにとっては痛み分け。アメックス・スタジアムは勝者がいないという結末になった。
ひとこと
ブライトンらしい格下相手への爪の甘さが見えた一戦だった。
試合結果
2025.4.12
プレミアリーグ 第32節
ブライトン 2-2 レスター
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:31′(PK) 55′(PK) ジョアン・ペドロ
LEI:39′ マヴィディディ, 74′ オコリ
主審:ダレン・ボンド
サウサンプトン【20位】×アストンビラ【7位】

こじ開けに苦労も視界良好の3ポイント
今季の降格第一号となってしまったサウサンプトン。しかしながら今節も特には変わらず、いつも通りの振る舞い。オヌアチュへのロングボールからスタート。前からワンサイドに閉じ込めたいところアストンビラだが長いボールの制限までは難しい状態だった。
一方、サウサンプトンはアストンビラのバックラインには特にプレスをかける様子はなし。ビラは保持をベースに戦うことが十分にできる状態。CHの脇にポイントを作りながら前進。時間の経過とともに少しずつポゼッションの時間を増やしていく。
相手がサウサンプトンということもあるかもしれないが、ラムジーのドリブルなどアクセントをつけながらボックスに迫るあたりはバリエーションが増えた印象。パスワークにこだわらないあたりは押し込んだ後の手札不足というビラの課題に対する改善策の提案としては面白い。
サウサンプトンは左右のサイドから駆け上がりつつ反撃に打って出る。WBの攻め上がりからクロスからオヌアチュに合わせる形でゴールに迫っていく。だが、多くの時間はアストンビラのもの。押し込む彼らがこの試合の前半の主導権を握ったということで間違いないだろう。
後半も保持へのトライを続けるビラ。ゆったりとしたポゼッションからサウサンプトンのブロックを切り崩す。サウサンプトンはCFを入れ替えたものの中央に当ててこじ開けにいくアクションは同じ。ターゲットを入れ替えても中央に押し込んでいく。
試合を動かしたのは交代選手のワトキンス。左のハーフスペースからの抜け出しでファウルを誘発。だが、このPKはアセンシオが失敗。先行することができない。
しかし、直後に同じ左のハーフスペースの裏抜けからワトキンスがリベンジに成功。今度は自らゴールを決めて試合を動かす。先ほどのPKも含めてどちらも対応したのはベドナレクだ。
左サイドの抜け出しから再現性を見せたアストンビラ。今度は右サイドからの裏抜けで怖さを見せることができていたマレンが追加点。3ポイントを確実にする。
後半ATにはアセンシオにPKのリベンジのチャンスが訪れたが、このPKは再びラムズデールがストップ。だが、こぼれ球をマッギンが押し込んで結果的にはゴール。マッギンより前方にいたステフェンスのようなプレーをされると、PKを止めた甲斐がないというもの。
こじ開けるまでには時間がかかったが、終わってみれば完勝のアストンビラ。順調に勝ち点3を積み上げた。
ひとこと
プレミア経験しているDFが年間を通してこんなプレーを続けているチームが残留を勝ち取れるわけがない。
試合結果
2025.4.12
プレミアリーグ 第32節
サウサンプトン 0-3 アストンビラ
セント・メリーズ・スタジアム
【得点者】
AVL:73′ ワトキンス, 79′ マレン, 90+4′ マッギン
主審:トーマス・ブラモール
ノッティンガム・フォレスト【3位】×エバートン【15位】

痛恨の連敗でCL出場圏に暗雲
CL争いでアドバンテージを得ているフォレスト。ビラ・パークでは足踏みをしたが、終盤に向けて再びリスタートが必要な状況。エバートンをホームに迎える一戦で再点火といきたいところだろう。
序盤はロングボールの応酬からスタート。どちらかというとボールを持つのはエバートン。堅実にハイプレスから追い込みつつ、サイドからクロスを上げてのチャンスメイク。圧力をかけてのスタートとなる。
フォレストは中盤に人を噛み合わせる形で守備。フォレストが珍しく人基準で守っているなという感想を持った。バックラインにはプレスをかけることをしないフォレストによって、エバートンはバックラインが余裕を持ってボールを動かしていける形となった。
エバートンはボールをゆったりと持って押し下げると意外と繊細な技術が目立つなという感じだった。ハーフスペースに突撃するガーナーに対しても、少しずつチャンスを作っていくのだけども、背後を使うパスワークで丁寧に崩していく印象だった。
だが、この流れはセルスのファインセーブでフォレストがカット。守護神の活躍でスコアレスをキープすると、少しずつサイドで高い位置で止めることでペースを引き戻していく。
フォレストの保持の時間は少しずつ増えていくが、一度スローダウンをすると保持から崩すのは苦しい感じ。そういう局面を動かすことができるギブス=ホワイトはブランスウェイトが徹底して潰しており、簡単に中盤の起点を作らせない。
後半もよりペースを握っているのはエバートン。ブロヤにボールを当てながらサイドに展開することでチャンスメイク。ロングボールのターゲットをブロヤを囮にエンジアイをターゲットにするなど長いボールからチャンスを作りにいく。
やはり、互いにリトリートをベースにしていくと堅い感じ。むしろ、互いのブロック崩しを咎めたところからのカウンターで反撃を狙っていく展開に。差し合いであればユナイテッド相手に鮮烈なゴールを決めたエランガがいるフォレストの方が優位になりそうなものだが、この試合ではそのエランガは不発。なかなか試合を動かすことができない。
すると、試合が動いたのは後半追加タイム。ムリージョのパスミスを咎めたところからカウンター。外のドゥクレがこのカウンターを仕留めて決勝点を決める。
フォレストはここにきて急ブレーキ。連敗でCL出場圏争いに暗雲が立ち込めることとなった。
ひとこと
文字通り、フォレストは手痛い一敗となった。
試合結果
2025.4.12
プレミアリーグ 第32節
ノッティンガム・フォレスト 0-1 エバートン
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
EVE:90+4′ ドゥクレ
主審:クレイグ・ポーソン
アーセナル【2位】×ブレントフォード【12位】

唯一の勝ち筋を逃したアーセナル
レビューはこちら。

CLの間に挟まれたリーグ戦を迎えるアーセナル。当然ながらこの試合は大幅なターンオーバーを敢行。照準はあくまでブレントフォード戦を見据えての一戦となる。
アーセナルは左SBにティアニーを起用。絞るアクションに関しては不得手な彼がスターターに起用されたということでアーセナルのバックラインは従来よりも明らかに固定傾向に。そのため、後方のパス回しで相手のプレスをいなすというフェーズは迎えることなく、シンプルにアウトサイドへの突破力に委ねるような振る舞いとなった。
序盤はブレントフォードもアーセナルも縦に速い展開を意識したものとなったが、時間の経過とともにアーセナルはゆったりとポゼッションからゲームを進めるように。サイド攻撃は押し込みながらの3人目の抜け出しを意識。左はジンチェンコ、右はジョルジーニョを後方支援役とした組み立てでブレントフォードのブロックに細かい穴を開けにいく作業を進めていく。
ブレントフォードは22分の横断からアイエルがチャンスを迎えるが、これ以外のところに関してはチャンスらしいチャンスはなし。チャンスは少ないが、その中でどちらがペースを握っていたかと言えば、それはアーセナルと答えるのが妥当な前半となった。
押し込まれるブレントフォードだが、後半もプレス位置の設定が定まらずに苦戦。アーセナルは前半以上に中央の移動を増やすことでブレントフォードに先手を打ってプレスを回避していく。
先制点は前半から狙っていた形からトランジッション。ラヤがキャッチしたところからライスとトーマスの速攻を見事に完結させる。
リードを奪われたブレントフォードはファストブレイクを軸に反撃を狙うが、なかなかチャンスを作れずに苦戦。トーマス・フランクが劣勢の中で勝負をかけたのは右サイド。SBにカヨーデを入れたこちらのサイドからアーセナルを苦しめる。セットプレーの流れから味方を追い越したカヨーデによって上げられたクロスをウィサが仕留めてブレントフォードは同点に追いつく。
反撃に出たいアーセナルだが、ジョルジーニョが負傷交代したことで10人で残り時間を戦うことに。こうなってしまうとどうにも反撃の機運は高まらず。試合はそのままドローで決着することとなった。
ひとこと
アーセナルとしては1-0しか勝ち筋がなかった試合ということになるだろう。
試合結果
2025.4.12
プレミアリーグ
第32節
アーセナル 1-1 ブレントフォード
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:61′ トーマス
BRE:74′ ウィサ
主審:サイモン・フーパー
チェルシー【4位】×イプスウィッチ【18位】

ハマった沼から脱しきれないチェルシー
ワルシャワ帰りとなるチェルシーだが、CL出場権をめぐる国内での争いは依然としてハード。ホームに昇格組を迎える一戦ということになれば負けるわけにはいかないだろう。
序盤から試合を支配するチェルシー。非保持になればエンシソがSH、ジョンソンがWBになり5-4-1にシフトするイプスウィッチを押し込んでいく。
チェルシーはまずはサイドから攻撃を模索。旋回が多めの左とシンプルに大外のマドゥエケを活かす意識が強い右という異なるカラーで攻撃を仕掛けていく。ニアのハーフスペースの突破とファーサイドを狙ったクロスという人海戦術における抑えなければいけない基本にイプスウィッチは詰めの甘さがある。
イプスウィッチはビルドアップでミスが出るなど反撃に出ることができず。チェルシーは押し込みながらも悠々と攻撃を続けることに。
しかし、ハーストがようやく収めたボールから生まれた前進の機会でイプスウィッチは先制。右サイドのジョンソンは抜け出しきれなかったと思ったが、なんとかクロスを上げ切ると、インサイドのエンシソにこのボールがピタリ。確率の低い一本道をやり切って先制点を奪う。
さらにはイプスウィッチはまたしてもハーストのポストから追加点。相手を蹂躙する速攻から2点目を奪う。
点取れそうな状況をうだうだ過ごしてしまい、流れが悪くなるという沼にチェルシーはあっさりハマってしまった感がある。アタッキングサードでのラストパスやシュートはずれ始めてしまい、序盤ほどイプスウィッチのツボを抑えることができない展開に。
結局前半はイプスウィッチ相手に得点を奪うことができなかったチェルシー。3ポイントを積めるかは残り45分で少なくとも3点を奪えるかにかかることとなった。
積み上げたリードを守りきれないことが定番化しているイプスウィッチ。気をつけなければいけない後半の頭にミスが出ることに。右のマドゥエケの突破に対するデイビスのフォローはあまりにも遠すぎる。これによって生まれたスペースを破られ、飛び込んだククレジャによってオウンゴールを引き起こされる。
右サイドはHTに交代したグストによってだいぶ風通しが良くなった感がある。その一方で長いボールに対する防衛はイマイチ。カイセド周辺に縦パスを通されてしまうと一気に前進。追撃弾で得た勢いをなかなかキープできる展開に持ち込むことができない。
前線にサンチョを入れることで展開を引き寄せにいくチェルシー。だがこちらも交代で入ったタウンゼントの守備からクロスをカットに成功する。
それでもセットプレーからのサンチョのミドルから追いつくチェルシー。しかしながら、この得点で押せ押せムードには持ち込めず。終盤には互いのチームにチャンスがある展開となった。どちらのチームも終盤のチャンスは活かせず。試合はどちらのチームも目標に前進できないドローとなった。
ひとこと
チェルシー、2失点はともかくとして点を取ったらもう少し試合の支配に結びつけたい。
試合結果
2025.4.13
プレミアリーグ 第32節
チェルシー 2-2 イプスウィッチ
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:46′ トゥアンゼベ(OG), 79′ サンチョ
IPS:19′ エンシソ, 31′ ジョンソン
主審:スチュアート・アットウェル
ウォルバーハンプトン【17位】×トッテナム【14位】

さらに上を巻き込んでいくウルブス
もう残留争いの心配はないウルブス。残りのシーズンでやるべきことは少しでも高い順位でシーズンを終えることだろう。そうなれば彼らの少し上にいるトッテナムは格好のターゲット。直接勝ち点を奪いたいところだ。
試合はそのウルブスの思惑通りにスタート。左サイドのベルガルドのファウル奪取からセットプレーでアイト=ヌーリがゲット。あっという間にウルブスが試合を動かす。
この先制点を持って、試合は落ち着きを取り戻すことに。互いにゆったりとしたポゼッションからボールを動かしていく。だが、ボール保持のクオリティには差があったように思う。4バックへの可変から手慣れた様子でボールを動かしていくウルブスとは異なり、トッテナムはバックパスの処理でもたつくなど慣れない形となっている。トッテナムはプレス強度が不十分であり、ボール奪回の目処が立たない。
時間経過とともにボール保持からリズムを作っていくトッテナム。セットプレーの流れからビスマがミドルでネットを揺らすが、このゴールは認められず。
押し込む展開を作り出すトッテナムだが、ウルブスはその隙を見つけて追加点。左サイドからアイト=ヌーリのクロスからオウンゴールを誘発。にしても、トッテナムはボックス内のCBのマークが甘くなってしまっているのが気になるところ。クロス対応でいちいち詰めの甘さがあるのが辛いところだ。
後半、トッテナムはボールを持つところからスタート。後ろの7枚で流動的な布陣をしきながらボールを動かしていく。だが、ウルブスはスペンスを捕まえたところからポジトラでカウンター、ムネツィのシャープな抜け出しでチャンスを作り出す。
後半も苦しむトッテナムだが、右サイドのラインブレイクからファーのテルがゴールを決める。クロス対応で空ぶってしまったセメドにとっては痛恨。しかし、6分後にはまたしてもアイト=ヌーリのクロスからラーセンが追加点。セメドのエラーを帳消しに。試合は再び2点差だ。
ゴールシーン以外はいいところがまるでない後半のトッテナム。セットプレーからなんとか1点差に追いつくことができたが、ベリヴァルの甘さをついたファストブレイクからゴール。トラブルが多いシーズンとなってしまったクーニャに謝罪の機会を与えることとなった。
点を重ねようとも2点差が縮まらなかったこの日のトッテナム。ウルブスに手玉に取られ、ストレスフルな敗戦を喫した。
ひとこと
ちょっと、あまりにもげんなりとする敗戦だった。
試合結果
2025.4.13
プレミアリーグ 第32節
ウォルバーハンプトン 4-2 トッテナム
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:2′ アイト=ヌーリ, 38′ スペンス(OG), 65′ ラーセン, 86′ クーニャ
TOT:59′ テル, 85′ リシャルリソン
主審:アンソニー・テイラー:
リバプール【1位】×ウェストハム【16位】

優勝に必要な劇的勝利
まず気になったのはウェストハムの守備のスタンス。5-3-2は基本的には中央を破られては困るという布陣だと思うが、あっさりと中央に入り込まれてリバプールにサイドへの展開を許してしまった。
というわけで序盤からボールを持つのはリバプール。左右のサイドを軸にまずは小手調べ。右サイドはサラーを生かすシンプルな形が多かった一方で、左サイドはディアスやジョタの入れ替わりにマック=アリスターが流れるアクションを見せるなど、多くの人数が流動的に攻撃に絡むこととなった。
先制点に繋がったのはシンプルな右サイド。サラーがあっさりと抜け出しから背後を取り、ラインブレイクから一気にゴールに。ファーのディアスが難なく合わせて先行する。ウェストハムはほんのりマンツー気味のハイプレスに出たシーンだが、前から追い込む形も後方を同数で受ける覚悟も足りていなかったように思う。
ソレール、ワン=ビサカの右サイドの連携から背後をとるアクションを見せていたウェストハムだが、基本的には優勢なのはリバプール。中央を意識したコンビネーションを使いつつ、同数で受けてくれるサイドにDFラインから対角でパスを飛ばすことでチャンスメイクしていく。ボックス内にクロスを入れることが精一杯のウェストハムとは対照的な攻め筋の手段。ウェストハムは前半ATのマヴロパノスのセットプレーからのチャンスを除けば、ゴールに迫るシーンは数えるほどだった。
後半、ビハインドのウェストハムは少しずつ保持の時間を増やしていくスタート。前半には見られなかった中央のコンビネーションも見られるように。リバプールはもともと中央のガードが固いチームではないのできっちりボールを持って呼吸をすることができればこれくらいはできるということだろう。
高さのない2トップも背後を狙うアクションから盛り返しを見せていく。クドゥスとボーウェンのアクションには前半にはなかったつながりが見られるようになった。リバプールも左サイドからマック=アリスターがチャンスメイクをしていくが、少しずつ前半よりは旗色が悪くなっている印象。
ウェストハムの反撃はトーンダウンし、リバプールは押し込まれる局面を凌ぎ切ったかのように思えたが、86分に左サイドからの突破でロバートソンのオウンゴールを誘発。土壇場で同点に追いつかれてしまう。
しかし、全てを帳消しにしたのはファン・ダイク。頼れるキャプテンの一撃で劇的な勝ち越しゴールを決めたリバプール。再びアーセナルとの勝ち点差を離し、優勝争いの決着をさらに濃くした。
ひとこと
優勝をするのにはこういう試合が必要!という感じの試合展開だった。
試合結果
2025.4.13
プレミアリーグ 第32節
リバプール 2-1 ウェストハム
アンフィールド
【得点者】
LIV:17′ ディアス, 89′ ファン・ダイク
WHU:86′ ロバートソン(OG)
主審:アンディ・マドレー
ニューカッスル【5位】×マンチェスター・ユナイテッド【13位】

CL出場権確保に大きな一勝
今週は延期分を含めて2試合をホームで戦うニューカッスル。CL出場権確保に向けて重要な1週間を迎えることになる。
ELにシフトしつつあるマンチェスター・ユナイテッドとはリーグにフォーカスするリソースの差があることを示したいニューカッスル。立ち上がりから右サイドのマーフィーを軸とした攻撃からいきなりバユンドゥルの守るゴールマウスを攻め立てる。
ニューカッスルは敵陣からの守備でも気合の入ったスタート。マイナスのパスに合わせてユナイテッドのバックラインにプレッシャーをかけながらジリジリと圧力をかけていく。結局はほとんどのプレーでニューカッスルは敵陣でのボール回収に成功。そのままカウンターでバユンドゥルを脅かすという流れを作り出す。
マンチェスター・ユナイテッドはザークツィーのポストまで辿り着けば一気に攻勢に出れそうな展開だが、そこまで持っていけるのは稀。効果的な攻め筋を作ることができずにニューカッスルのプレスに屈する時間帯が続く。
きっちりとペースを握ったニューカッスルは順当に先制。イサクのポストはややコントロールが浮いたが、これを利用することでトナーリに見事なアシスト。綺麗なフィニッシュで攻撃を完結させた。
以降もペースを握ったニューカッスルだが、マンチェスター・ユナイテッドも隙をついて同点に。抜け出したガルナチョが珍しく冷静に流し込むフィニッシュでタイスコアに持ち込み、ハーフタイムを迎えることとなった。
後半早々にニューカッスルは追加点。左サイドでオーバーラップしたリヴラメントがファーにクロスを送ると、この折り返しをバーンズが決めて勝ち越し。見事な視野リセットから試合を動かす。
再びビハインドとなったマンチェスター・ユナイテッドはザークツィーを負傷で失うなど試練のスタート。この負傷交代に伴う3枚交代で流れを変えにいく。
だが、ニューカッスルはお構いなし。ハイプレスでマズラヴィを仕留めたバーンズが一気に加速し、この日2点目をゲット。スピードで完全にユナイテッドの守備陣を振り切って見せた。
完全に意気消沈したマンチェスター・ユナイテッド。オナナに代えて抜擢したバユンドゥルのミスを仕留めてニューカッスルにダメ押しのゴールを許す。
大量4得点のニューカッスルは見事に完勝。ホームの客と勝利を確信した残り時間を過ごした。
ひとこと
初めから最後の瞬間までニューカッスルの試合だった。
試合結果
2025.4.13
プレミアリーグ 第32節
ニューカッスル 4-1 マンチェスター・ユナイテッド
アセント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:24′ トナーリ, 49′ 64′ バーンズ, 77′ ギマランイス
Man Utd:37′ ガルナチョ
主審:クリス・カヴァナー
ボーンマス【10位】×フラム【8位】

これぞ、プレミアリーグ
試合の幕を上げたのは電光石火のオープニングゴール。ボーンマスが縦に速い攻撃からセメンヨがゴールを決めてあっという間に先行する。ロビンソンは一度処理したように思えたボールをゴールから遠ざけられなかったという点で悔いが残るだろう。
このゴールに象徴されるように縦に速い攻撃がこの試合を表すキーワード。得点が決まっても両チームは非常に縦に速い展開からボールを動かしていく。
どちらかといえばこの展開を作り出したいのは追いかけていくフラム。ロングボールのターゲットは中央のムニスよりもサイドのセセニョンの方が機能的なように思えた。
一方のボーンマスはハイプレスからボールを取り返すとゆったりとポゼッションしたい気配も見せるように。この辺りはリード故だろう。ボールを持ち直すと逆サイドに展開するなどピッチを広く使っていく。中央でポストプレーの起点となるエヴァニウソンもピッチを幅広く使うためのいい手段だ。
それでもハイプレスを緩めないという点でボーンマスは試合のテンポを完全に落としたいわけではなかった。主導権争いは保持で落ち着かせる手段を持っていたボーンマスが握った感がある。CBが被ったところからムニスが抜け出すなど、チャンスがないことはなかったが限られていたのは事実。コントロールする展開だけでなく、縦に早くつけていく際の攻撃のテンポでもボーンマスの方が主導権を握ったと言っていい前半だった。
後半も展開は大きく変わることなく縦にスピーディーな展開。エネルギーは落ちることはなく、アタッカーによるカウンターの応酬から両チームとも鋭くチャンスを狙っていく。
そうした中で前半よりもジリっと押し返していく姿勢が見えたのはフラム。敵陣でのプレータイムをほんのり増やしていく。
ただし、試合を完全に押し返したかというとそれは別の話。いかにもという形の縦の応酬に原点回帰した終盤戦。フラムはロビンソンという新しいロングボールの的を活用しながら進撃していく。
左サイドをメインターゲットとするフラムはウィリアンを投入することでこちらのサイド攻撃を強化。このサイドを起点とした横断も見せるようになり、終盤はゴールに迫っていく。
だが、なんとかフラムの攻勢を凌いだボーンマス。開始1分のゴールを守りきり、低調なチームの連続未勝利記録に歯止めをかける勝利を挙げた。
ひとこと
これぞプレミアリーグ!という90分だった。
試合結果
2025.4.14
プレミアリーグ 第32節
ボーンマス 1-0 フラム
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:1′ セメンヨ
主審:マイケル・オリバー
今節のベストイレブン
