ウォルバーハンプトン【17位】×ウェストハム【16位】

安全圏の17位キープ
17位と16位だが、現実的な降格の危機感は薄い両チームの一戦。それでも両チームはスタートからアグレッシブ。高い位置からボールを捕まえにいくのはウェストハム。ウルブスのバックラインに強気にプレッシャーをかけていく。
一方のウルブスもプレスからテンポを掴む。ウェストハムはショートパスから時間を作りにいくが、なかなかウルブスのプレスを逃しきれず、捕まるシーンが多かった。
高い位置でのプレーを増やしたウルブスはアグバドゥの鋭い縦パスから先制点をゲット。最後はラーセンが仕留めて、前半のうちにリードを奪う。
このゴールをきっかけに試合のボルテージはいきなりアップ。中盤での小競り合いからヒートアップし、以降はセットプレーでもいざこさが起きるなど荒れ模様の試合となる。
そうした中でも主導権を握ったのはウルブスの方だろう。中央へ差し込む縦パスからの連携はウェストハム陣内に効果的に侵入。ウェストハムはクロスバーに救われるシーンが出てくるなど苦しい戦いに。攻撃においても、序盤は見られたボーウェンのスピードを生かしたひっくり返すアクションは徐々に消失してしまう。
ポゼッションもウルブス、シュートまで持っていくことができるのもウルブス。終盤にウェストハムは保持から落ち着く時間を作ることはできていたが、ウルブスのように脅威を持って敵陣に迫ることはできず。試合は内容に沿ったスコアでウルブスのリードのままハーフタイムを迎える。
後半頭、ウェストハムは3人の選手交代とシステム変更を敢行。4-2-3-1にシフトし、テンポを変えにいく。
しかしながら、すぐには試合の流れは変わらず。前半のウェストハムの課題だった中央ブロックの甘さに変化はなし。中央に縦パスを通されることでウルブスがチャンスを作っていく。
ウェストハムが試合の主導権を徐々に取り戻してきたのは70分くらいだろうか。左右のサイドのオーバーラップが機能することでサイド攻撃の厚みがアップ。それにポッターはさらなる選手交代で後押し。エメルソンが決定機を仕留めることができれば、ポッターのこの一手は試合の流れを完全に変えるものになっていたかもしれない。
終盤はカウンターで2点目を取るチャンスを逃してしまったウルブス。だが、最後までリードを手放さず。17位のウルブスがさらに地位を固める勝ち点3を重ねた。
ひとこと
後半にウェストハムは多少巻き返しを見せたが、基本的にはウルブスの勝利が妥当な90分だった。
試合結果
2025.4.1
プレミアリーグ 第30節
ウォルバーハンプトン 1-0 ウェストハム
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:21′ ラーセン
主審:トニー・ハリントン
アーセナル【2位】×フラム【8位】

エースの帰還とCLに向かう不安要素
レビューはこちら。

フラムはFA杯ではクリスタル・パレスに完敗。ウェンブリー行きが絶たれてしまったことで、今季の目標はリーグ戦での欧州カップ戦出場権の確保になるだろう。一方のアーセナルはついにサカが帰還。CLとの天下分け目の一戦に向けてリーグ戦で弾みを付けたいところだろう。
フラムは5-4-1でのスタート。自陣でのゆったりとしたビルドアップからアーセナルのハイプレスを外しに行く。中央にパスを通しに行くとアーセナルはパスを引っかけることが出来たのだが、ポジトラの足がやたら重たいことでなかなか前向きの矢印を仕掛けることが出来ない。
時間の経過と共にアーセナルはボールを保持するように。出足が鈍いところにスペースレスな展開は一見アーセナルには向かなそうではあるが、アーセナルにとっては悪くない盤面。後方からキャリーできるSBからボールを前に進めると左サイドのマルティネッリから勝負を仕掛けていく。
サイドにポイントを作ることが出来ているアーセナルに比べると、フラムのカウンターは決め手に欠ける。ミドルゾーンから加速するというところはトラオレに託して何とかなっていたが、仕上げのところでは攻め手にかけている印象。横断からの左サイドの連携でアーセナルの守備ブロックを壊すことが出来なかった。
押し込むアーセナルは右サイドの攻撃から先制。ティンバー→ヌワネリのバックドアからの折り返しをメリーノが仕留める。インサイドでシュートコースを作る動きはストライカー顔負けといったところだろう。
ビハインドとなったフラムは後半にヒメネスへのロングボールを仕掛けることで手早い陣地回復を狙っていく。トラオレのスピードに対して、キヴィオルが手を焼く場面もあったアーセナルだが、フラムは限られたチャンスを仕留めることが出来なかった。
アーセナルはサカの投入でブーストをかける。後半は一貫してボールを奪ってサイドへの展開から仕上げというスキームが効いていたアーセナルはサカの登場でこのスキームを仕上げることに成功。マルティネッリの見事なキャリーとアシストでサカが自らの復帰を祝うゴールを決める。
終盤はフラムが優勢。左のイウォビ、右のセセニョンという異なるカラーの交代選手が幅を利かせることでアーセナルを追い詰めていく。刺さったのは右サイド。ルイス=スケリーの背後を取ったセセニョンのクロスを何とかムニスがねじ込んで見せた。
しかし、反撃はここまで。首位を追走するアーセナルを前にフラムは勝ち点を伸ばすことが出来なかった。
ひとこと
ガブリエウの負傷は痛い。大一番を前にCBが揃っていない意味は相当大きいと思う。
試合結果
2025.4.1
プレミアリーグ
第30節
アーセナル 2-1 フラム
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:37′ メリーノ,73′ サカ
FUL:90+4′ ムニス
主審:ジョン・ブルックス
ノッティンガム・フォレスト【3位】×マンチェスター・ユナイテッド【13位】

ムリージョがラストプレーで守り切り大目標に前進
チャンピオンズリーグの出場権獲得に邁進するノッティンガム・フォレスト。シティ、アーセナル相手にシャットアウトするなど徐々にその夢は現実味を帯びている。
ミドルブロックに構えるフォレスト。守備ブロックは左右アシンメトリー。左側サイドに強めのプレスをかけるような形。ユナイテッドはありがたくボールを持たせてもらう展開に。外循環でボールを押し込んでいく。
押し込まれる状況を逆手に取ったフォレストはカウンターから先制点。自陣でボールを拾ったエランガが独走から敵陣まで運び込み、そのままシュートを仕留めて先行する。
先制点もあり、フォレストは引き続き守備でブロックをきっちりと組むスタート。シャープなカウンターをベースに切れ味で勝負しにいく。
ボールを持つユナイテッドは苦しむパターンのように思えるが、前進のきっかけは十分にできていた。アンダーソン、ダニーロの背後のスペースに縦パスを入れて一気に前進。降りるザークツィー、ガルナチョがボールを引き取るとそのまま前を向くことで一気に前進していく。
前節のシティ戦もそうなのだが、フォレストの前の守備の非対称性はあまりうまくいっていないと思う。横断からチャンスを作っていたユナイテッドだったが、大外からクロスを上げてもフォレストの強靭なローブロックにボールを跳ね返されるばかりだった。最後で収支を合わせるのがフォレストだ。
保持に回るとフォレストはゆったりと落ち着くことができる。前からはめていく手応えがないのかユナイテッドがなかなか前から捕まえにいく様子はなし。非保持の機械削減までフォレストの思い通りのような前半だった。
後半もフォレストが勢いに乗る展開。前半は効いていた降りるユナイテッドの前線の動きもフォレストは押し上げて封殺。保持においては左サイドからのコンビネーションから陣地回復を行う。思い通りに展開が進まないのかユナイテッドはガルナチョやカゼミーロなどのイライラが募るばかりである。
終盤は再びフォレストが引く流れに。5バックにシフトしつつ、足を残すエランガからカウンターにフォーカスする形から追加点を狙う。ユナイテッドは長いレンジからの仕掛けで勝負。ガルナチョからの長いレンジのカットインからシュートを狙うなど悪くない強引さを見せていく。
マグワイアがパワープレーに出るユナイテッドは最終盤にクロスを増加。明らかにギアが上がって効果が上がっているのが面白い。ラストプレーはマグワイアの決定機。だが、これをムリージョがカット。勝ち点2相当のスーパープレーでリードを守り切ったフォレストはユナイテッド撃破で3位をキープした。
ひとこと
フォレスト、全然いっちゃいそうだな。
試合結果
2025.4.1
プレミアリーグ 第30節
ノッティンガム・フォレスト 1-0 マンチェスター・ユナイテッド
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
NFO:5′ エランガ
主審:ジャレット・ジレット
ボーンマス【10位】×イプスウィッチ【18位】

前線のポストから始まるパターン攻撃が刺さる
ともに縦への鋭さで勝負をかけていく両チーム。序盤はロングボールの応酬で探っていく展開だったが、時間の経過とともに主導権を握ったのはボーンマス。相手のバックラインに無理にプレスに行かないイプスウィッチに対して、ボーンマスはCBのドリブルからボールを運んでいく。
イプスウィッチは受け止めてチャンスを作っていきたいところだが、ファストブレイクの起点を早めに潰されてしまうことでなかなか前進がままならない状態に。
押し込むイプスウィッチは大外のレーンからゴールに向かっていく手段を持っているチーム。ワッタラ、セメンヨの両翼から強引に突破を図りながら長いレンジのシュートを軸に押し込んでいく。
優勢だったのはボーンマスだが、イプスウィッチも少しずつSBの背後を取る2人のSHから押し返すきっかけを作る。すると30分過ぎには先制点をゲット。左サイドのポストで押し下げるきっかけを作ったデラップから、エンシソを起点に横断すると、逆サイドのブロードヘッドがフィニッシュ。ケパの股下を抜く冷静な一撃でリードを奪う。
以降も両サイドからボーンマスがチャンスを作っていくが、イプスウィッチはなんとか凌ぎながらの防衛。リードを奪ったままハーフタイムを迎える。
追いかけなければいけないボーンマス。ラインを上げて高い位置でイプスウィッチを迎撃することで反撃に向かう。しかしながら、そんな状況をひっくり返したのはイプスウィッチ。またしてもきっかけになったのはデラップ。左サイドに流れる形でポストプレーに成功すると、そのまま旋回することでフィニッシュにも顔を出して追加点。起点と終点の両方をこなすデラップのバイタリティという持ち味が全面に出たゴールとなった。
このゴールをきっかけにイプスウィッチはリトリートに専念。ボーンマスの攻撃を受けながら、自陣できっちりとスペースを埋める仕事に舵を切る。
なかなかきっかけをつかめないボーンマスだが、左サイドからの何の変哲もないクロスをジョンソンがうまく処理することができず、最後はエヴァニウソンが押し込んでゴール。つまらないことで悪い流れを引き寄せてしまういつもの失点を喫することでイプスウィッチには暗雲が立ち込める。
しかし、いつもと異なりこの試合では最後までボーンマスのシャットアウトに成功。チームの士気が上がる大きな勝利を手にすることとなった。
ひとこと
前線のポストからのパターンがハマればイプスウィッチは強い。
試合結果
2025.4.2
プレミアリーグ 第30節
ボーンマス 1-2 イプスウィッチ
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:67′ エヴァニウソン
IPS:34′ ブロードヘッド, 60′ デラップ
主審:ロベルト・ジョーンズ
ブライトン【7位】×アストンビラ【9位】

フォロワー争いはビラに軍配
欧州カップ戦争いではフォロワーに甘んじている両チーム。しかしながら、どのチームも不安材料はあるためまだ大逆転チャンスも残されている。その道を残すには直接ライバルを叩く必要がある。
積極策が目についたのはブライトン。高い位置からのプレスでアストンビラのビルドアップを封殺することで押し込んでいく。だが、アストンビラもボールを奪うとすぐに縦に進んでいく。中盤のフィルターが効かないブライトンはあっさりと自陣まで運ばれてしまう。
序盤はオープンな展開だったが、徐々に時間経過とともに試合はクローズドに。ミドルブロックに構える4-4-2をどのように崩すかに展開が移行する。
中央に起点を作りつつワイドの三笘で勝負をかけたブライトン。中央ではCH陣の展開力かジョアン・ペドロに頼ることで前進をしていく。
一方のアストンビラは2トップ脇のカマラからキャリーしていく。ブライトンは一度加速を許すとどうにも相手を抑えることができずに苦戦。スピードアップの選択が刺さっていたこともあり、ブライトンの中盤にはファウルが嵩んでいくように。
アストンビラはラムジーの抜け出しからあわやPKというシーンを作ることができたが、これもVARはOFRをレコメンドせず。ブライトンもアヤリのFKがアストンビラのゴールを脅かすが、こちらもゴールには至らず。試合はスコアレスでハーフタイムを迎えることとなった。
後半の頭はブライトンペース。インサイドで起点を作りつつ、外の三笘という形は後半も有効。アストンビラも自陣に釘付けに。
だが、その状況をワンプレーでひっくり返したアストンビラ。エストゥピニャンのCKをキャッチしたところからのリスタートでロジャース→ラッシュフォードのタッチダウンパスから先制ゴールをゲット。文字通り、一発で状況をひっくり返してみせた。
失点してなお押し込んでいくブライトン。左サイドのアヤリ→三笘の抜け出しからアディングラがネットを揺らすが、これは三笘のハンドを取られてしまいノーゴール判定。同点の機会を掴むことが出来ない。
追いつくことが出来ないブライトンは大胆に4枚交代。どこまでタクティカルでどこからが負傷なのかの線引きがわからないが、バックラインを含めて多くの選手を入れ替えていく。
攻撃に出て行こうというヒュルツェラーの意気込みは見えるが、この判断は結果的には裏目に。連携もままならない左のCBに入ったカシンのところでやぶられてしまい、あっさりと失点。アセンシオがアストンビラに勝利を大きく手繰り寄せる追加点を決める。
最後に途中交代のマレンが再びネットを揺らしたアストンビラ。3得点の快勝でブライトンを下し、欧州カップ戦出場圏のフォロワー争いでやや前に出ることとなった。
ひとこと
CKからの先制点。即リスタートという感じではなかっただけにラッシュフォードにあの抜けられ方をしてしまうのは軽率なように思える。
試合結果
2025.4.2
プレミアリーグ 第30節
ブライトン 0-3 アストンビラ
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
AVL:51′ ラッシュフォード, 78‘ アセンシオ, 90+10’ マレン
主審:スチュアート・アットウェル
サウサンプトン【20位】×クリスタル・パレス【12位】

久しぶりな組み合えた内容も勝ちきれず
すでに残留争いに関しては実質的な白旗。サウサンプトンの残りシーズンはいかに意地を見せることができるかという異なる切り口が重要になる。
パレスは序盤からボールを動かしていくスタート。サウサンプトンの2CHの脇に選手を落とすことでボールを引き出して攻撃を加速させていく。中盤に守備基準を設定するサウサンプトンを保持で揺さぶっていく。
だが、保持に転じればサウサンプトンの手応えも十分。左はスレマナ、右はウォーカー=ピータースのカウンターからチャンスを作っていく。この試合ではファストブレイクの機会もそれなりにあり、決してパレスに対して力負けをしているわけではない立ち上がりと言っていいだろう。
悪くない流れ作りに成功したサウサンプトンはそのまま先制点をゲット。右サイドの連携からオヌアチュの先制ゴールをゲットする。パレスは徐々に守備で迷いが出る。ワイドのCBの迎撃のポイントに迷いを感じる部分がある。ハイプレスの機能性の悪さが失点まで尾を引いてしまった印象だ。
前半の終盤は引いて受けることにしたサウサンプトン。ラムズデールのファインセーブで凌ぎつつ、フェルナンデスのカウンターからチャンスを伺いにいく。押し上げる局面が増えてきたパレスだが同点ゴールまでは手が届かず。試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。
後半、再びリードをしていることを意識せずにアグレッシブな潰しをしにいくサウサンプトン。追いかけるパレスも当然高い位置から勝負に出ていくが、なかなか相手を捕まえることができず。実はこの試合の前にすでに次節のM23ダービーを見てしまっていたのだが、この試合のグエイの出足の悪さを見るとダービーでの退場は非常に合点がいくという感じ。攻撃においてもライン間のエゼのターンに依存する部分が高く、なかなか反撃のきっかけを作ることができない。
それでも徐々に圧力を上げることで敵陣にサウサンプトンを押し込んでいくパレス。中央に構えるベドナレクは攻守において不安定な流れを作り出していたが、ラムズデールのセーブでなんとかリードをキープする。このまま逃げ切ることに成功するか?と思われたが、後半追加タイムにボックスに侵入したフランサがゴールを仕留める。
悪くない内容の90分を過ごしたサウサンプトンだが勝ち切ることはできず。試合はドローで決着となった。
ひとこと
サウサンプトン、この内容ならば勝ち切るチャンスだったのだが。
試合結果
2025.4.2
プレミアリーグ 第30節
サウサンプトン 1-1 クリスタル・パレス
セント・メリーズ・スタジアム
【得点者】
SOU:20′ オヌアチュ
CRY:90+2′ フランサ
主審:アンディ・マドレー
ニューカッスル【6位】×ブレントフォード【11位】

トリッキーなシュートで相手を振り切る
純粋なポイントではやや後手を踏んでいるものの、消化試合は少ない分、目に見えないアドバンテージがあるニューカッスル。試合数が並ぶ段階でCL出場権にいるということが当面の目標となるだろう。
早速ゴールに襲いかかったのはニューカッスル。左サイドのクロスでチャンスメイクに成功。マークすべきイサクをピノックが外してしまい、いきなり大ピンチを迎える。
ニューカッスルは大外を生かした形から続けてチャンスメイク。ハーフスペースの突撃も組み合わせながら素早くチャンスを作っていく。ブレントフォードはローブロックをベースにSH、SB、CHでローテーションをしながら対抗していく。クロスに対しては絞りながら跳ね返しにフォーカス。体を投げ出しながらなんとか守っていく。
ブレントフォードは自陣からボールを持っていくスタイル。ニューカッスルは高い位置からチェイシングに出ていくかと思いきや、ローブロックのリトリートを使い分けることでメリハリをつけていくというのが意外だった。
保持をベースにいいリズムを作り出すことができたブレントフォード。守備でもプレスに出ていくことでガンガン得点を狙っていくことに。ニューカッスルは自陣でボールを引き寄せつつの横断からチャンスを作りにいく。
前半終了間際にニューカッスルは先制。直前ではバーンズとの速攻のタイミングが合わず落胆していたイサクが先制ゴールを決める。
迎えた後半、ニューカッスルはファストブレイクからチャンスメイク。構えてから出ていくというスタイルからチャンスを作っていく。一方のブレントフォードは高い位置をとるニューカッスルのサイドアタックの裏をとることで盛り返していく。
互いにチャンスを作る中で試合を動かしたのはブレントフォード。右サイドの抜け出しからチャンスを作ったムベウモが抜け出しからPKを獲得。これを自ら決めて同点にする。
しかし、ニューカッスルは全く異なる形から勝ち越しゴール。左サイドの角度のないところからトナーリがトリッキーなゴールを決めてさらにリードを広げることに。
むしろ終盤にチャンスを作っているのはリードしているニューカッスル。バイタリティを見せていたバーンズを軸にファストブレイクからチャンスを作っていく。ブレントフォードはボールの奪いどころを掴むことができないままだ。
試合はそのまま終了。すぐに勝ち越したニューカッスルが逃げ切りに成功した。
ひとこと
トリッキーなシュートで相手を振り切ることに成功したニューカッスル。
試合結果
2025.4.2
プレミアリーグ 第30節
ニューカッスル 2-1 ブレントフォード
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:45+2′ イサク, 74′ トナーリ
BRE:66′(PK) ムベウモ
主審:ピーター・バンクス
マンチェスター・シティ【5位】×レスター【19位】

なつかしの覇王感
ハーランドが離脱中のシティ。残りのシーズンを戦い抜くために試行錯誤が続いている。トップにはマルムシュをおいて、2列目にドリブラーを並べる形を採用する。
端的に言えばこの日のシティは往年の強さを見せる展開だった。2分のゴールは高い位置からのプレスが機能したことが要因。パッと見ればシティのシャープなカウンターが炸裂したととることができるけども。レスターのただ少ないタッチ数でテンポよく回すところだけで相手を動かすことができなかったという形だった。
怖くないレスターの保持に対しては高い位置から相手を咎めることができているシティ。高い位置からの潰しが機能するということはすなわちポゼッションでも安定しているということの裏返しでもある。ニコ・ゴンサレスを軸とした組み立てでレスターを左右に揺さぶっていく。
バックスにボールを持たせてOKというスタンスは先制されても同じなレスター。単にサイドの圧力が下がる形で受けに回るシーンが延々と続いていく格好だ。
シティの攻め筋はどうにでもなるという感じ。サイドを起点に中央に差し込むパスも自在に使いながらレスターを蹂躙。追加点はディアス→マルムシュのタッチダウンパス。前半にリードを広げたことも踏まえて、シティは充実の前半だったと言えるだろう。レスターはラインを上げたいのだろうと意思は見えるが、なかなか高い位置でシティの保持を捕まえることができず。逆に前がかりなSHが背中を取られて前に進むきっかけを与えてしまう。この点ではグリーリッシュのフリーマン気味の起用が刺さっていたように思う。
逆にシティは高い位置からのボール奪取が機能。試合は2-0という内容をきっちり反映したものでハーフタイムを折り返すこととなった。
後半も流れは全く変わらずシティが一方的に押し込んでいく展開。レスターはヴァーディを下げての5-3-2への移行をしたが、あまり効果は見られず。シティの敵陣までのキャリーは安定しており、あとはアタッカーを一枚剥がせるかどうか。
試合の展開は非常にモノトーン。最初から最後まで一方的にシティがレスター陣内でプレーする時間帯が続く。ブオナノッテのハイプレスは終盤に点としてのレスターの反撃にはなっていたが、ゴールには届かず。シティは危なげなく逃げ切りに成功した。
ひとこと
久しぶりに覇王感があるシティ。これが復調か、相手との力関係起因なのかはすぐに答えが出るだろう。
試合結果
2025.4.2
プレミアリーグ 第30節
マンチェスター・シティ 2-0 レスター
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:2‘ グリーリッシュ, 30’ マルムシュ
主審:ダレン・イングランド
リバプール【1位】×エバートン【15位】

ミラクルは許さず優勝に邁進
前回の対戦では試合後に退場者を出すなどなかなかに物議を醸す内容となったマージー・サイド・ダービー。宿敵の優勝ロードにエバートンが立ちはだかることができるかどうかの一戦となる。
負傷者が増加しているリバプール。特に人が少ない右のSBにはカーティス・ジョーンズが起用されるテストが行われることに。もちろんインサイドレーンに入ることもあったが、それはリバプールの右のSBにとっては自然なこと。特別に彼のロールが与えられていた感じはしなかった。
出口となっていたのは左サイドのディアス。左右のサイドに振るアクションからチャンスメイクを行うというスタイルはいつも通りだが、右のサラーではなくディアスに偏っていたのはこの日の特徴でもある。SBの台所事情に関連するところなのかもしれないが、個人的にはサラーのコンディションが少し落ち気味なのかな?と思ったり。
エバートンはハリソンがバックラインに入り込むことで5バックにシフト。自陣をきっちりとプロテクトする。反撃に出る手段はロングボール。ベトへの長いボール一本槍で反撃に出る。オフサイドではあったがネットを揺らすなどこの一本槍はそれなりに効果があった。直後にもポストにボールを当てるなど、少ないながらもチャンスは作れている。
リバプールはディアスからのファークロスに傾倒。中央のブロックに差し込むようなアクションはあまり見えなかったが、長いレンジからのシュートを打ち切る形など入り込まなくてもやり切る形に特化するというのはある意味リバプールらしさを感じるモノだった。
後半も再び押し込んでいくリバプール。前半と僅かな変化を見せたのはジョッタ。外と中央をシームレスに繋げる抜け出しからチャンスメイク。外と中を繋げる役割というのはガクポが負傷して以来はなかなかうまくこなせていなかった印象なので、ここでジョッタの目処が立つようだと今後の展望も明るい。
前半以上にゴールに迫るリバプールはそのジョッタが先制ゴールをゲット。中央のパスでこじ開けてゴールを沈める。ギリギリの対応が続いていたエバートンだったが、後半頭に決壊してしまった。
エバートンも前半よりはカウンターを打ててはいた。ベトの長いボールだけではなく、右サイドの繋ぎからアルカラスが前に進むなど異なる前進の仕方でゴールに迫る。
リバプールもエバートンの前に出てくる意識を利用するように攻めに出る。ジョッタ→ヌニェスの入れ替わりでより直線的になった攻撃は少ない手数で完結するような形が増えることとなった。
終盤にピックフォードの攻め上がりからのセットプレーもあったエバートンだが、グディソン・パークのミラクルは再現することはできず。リバプールが逃げ切りに成功し、優勝にまた一歩近づいた。
ひとこと
大きな3ポイント。ダービーでの勝利で残り1つの目標にリバプールは邁進している。
試合結果
2025.4.2
プレミアリーグ 第30節
リバプール 1-0 エバートン
アンフィールド
【得点者】
LIV:57′ ジョッタ
主審:サム・バロット
チェルシー【4位】×トッテナム【14位】

3ポイントは求められた側に
リーグ5位以内を狙うチェルシーとELルート一本に絞っているトッテナム。ともにCL出場権という求めるものは同じでもプロセスが異なる両チームの一戦だ。
序盤、勢いのいいハイプレスから入ったのはトッテナム。チェルシーはひっくり返すアクションで対抗。やはり大聞いのは前線のジャクソンの復帰だろう。裏抜けもOK、ボールも収まるなど前線の起点としては非常に優秀。押し込みながらサイド攻撃でぶん殴っていくスタートとなった。
トッテナムは押し込まれる展開となったが、細かいところで巻き返しに行く。ソンのファストブレイクから縦に速い攻撃を意識したり、あるいは低い位置でのローテから相手を動かしてのプレス回避などいくつかの形からの巻き返しを図っていく。
守備においてもリトリートとハイプレスの使い分けでチェルシーの保持に対応。全体的に悪くはないのだけども、高い位置にカジュアルにボールの預けどころがないのがチェルシーとの違い。この日のソランケの出来ではなかなかジャクソンに張り合うのは難しい。その分、ベンタンクールの前方移動などリスクを犯してのポジションからチャンスを作っていく。
押し込む機会が多くなるチェルシーはWG→WGのクロスから決定機。内外レーンを入れ替えてボックスに侵入したククレジャを囮にファーに余ったサンチョがチャンスを迎える。
このチャンスは生かすことができなかったチェルシーだが、後半はクロスからゴール。ニアとファーに置かれた選手によって作られたエアポケットに入り込んだエンソが先制ゴールを生み出す。
このゴールでチェルシーは保持ベースで試合を支配するように。セットプレーからさらにカイセドが追加点を決めたかに思われたが、これはオフサイドで取り消し。それでもジャクソンを軸とした陣地回復も絡めながらあらゆる局面から前進を仕掛けていく。
トッテナムはソン→ウドジェといった縦に速い展開から反撃。サールがネットを揺らすが、これはOFRで取り消し。その上、サールに警告が与えられるなどトッテナムにとっては踏んだり蹴ったりな裁定となった。
終盤、もう一回ボールを握り直すチェルシーに対して、トッテナムは右サイドのファストブレイクで反撃。ゴールに迫るが、最後に立ちはだかるサンチェスの牙城を崩すことができず。試合はチェルシーが逃げ切りで勝ち点3を積み上げた。
ひとこと
CLに向けてリーグのポイントが欲しい方がきっちり積み上げに成功。だけども、トッテナムはそこまで悪くなかったように思う。
試合結果
2025.4.3
プレミアリーグ 第30節
チェルシー 1-0 トッテナム
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:50‘ エンソ
主審:クレイグ・ポーソン
今節のベストイレブン
