ブライトン【9位】×ボーンマス【6位】

これぞプレミア!と言える中盤の鍔迫り合い
常に前にアグレッシブな姿勢を辞さないスタイルでファンを魅了するスタイルを持っている両軍の一戦。その看板に恥じないような高い位置からのプレスの応酬で試合はスタート。文字通りテンションの高い立ち上がりである。
まずチャンスを作ったのはボーンマス。左サイドのユニット、セメンヨとケルケズのコンビから一気に縦に進んでいく。一方のブライトンも左サイドから反撃。エストゥピニャンのボール奪取からの攻め上がりや、三笘のバックドアからチャンスを作っていく。
どちらも前線に武器はある。ミドルブロックの激しいボール奪取が自分の元に転がってくればチャンスメイクをきっちりとできるという展開。先にものにしたのはブライトン。バレバ、ゴメスのボール捌きからジョアン・ペドロの裏抜けからPKを獲得。先制点を奪い取る。
いかにもプレミアリーグというハイテンポな展開からチャンスを作る流れは少しずつ落ち着くように。よく考えればそれでも問題なくチャンスを作れるのは前線の力とそれより手前の組み立て力があるからだろう。ボーンマスのセメンヨ主体のユニットはやや目立ってはいたが、スコアを動かすところまでには至らず。試合はブライトンのリードでハーフタイムを迎える。
後半の両チームの応酬は前半のスタートに巻き戻ったのかのよう。ハイテンポなやり取りからブライトンとボーンマスがチャンスを互いに構築。中盤が前を向くことができたチームが主導権を握るということをバチバチのデュエルで繰り返す格好だ。
後半頭の主役になったのはクライファート。豪快なミドルで主導権の綱引きから同点ゴールを奪う。
だが、すぐにブライトンはリカバリーに成功。中盤での激しいデュエルを制するとラターのパスに抜け出したウェルベックが勝ち越しゴールをゲット。再びリードを奪う。ボーンマスはラターへのケアが一歩間に合わなかった感があった。
ボーンマスが喫した失点はいずれもCBの間を割られたもの。そういう意味では出場停止真っ最中のザバルニーの不在になるCBコンビの再編成の影響が失点シーンにも響いていると言ってもいいかもしれない。
再び追いかける展開となったボーンマスはエヴァニウソンの投入からもう一味を入れにいく。だが、追撃は実らず。試合はブライトンがボーンマスに競り勝つ形で勝利を収めた。
ひとこと
見ていて気持ちがいいこれぞプレミアリーグ!という強度の試合だった。
試合結果
2025.2.25
プレミアリーグ 第27節
ブライトン 2-1 ボーンマス
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:12′(PK) ペドロ, 75′ ウェルベック
BOU:61′ クライファート
主審:マイケル・オリバー
クリスタル・パレス【13位】×アストンビラ【8位】

らしくないドつきあいをパレスが制する
3バックでスタートしたアストンビラだが、前からプレスをかけてこないパレスに対して、GKを絡めて4バックに変形することでボールを動かしていくスタート。パレスはいつも通りやや構える形から試合を始める。
珍しかったのはアストンビラの振る舞いだ。高い位置から捕まえにいくアクションはこのチームの普段のスタンスにはあまりないもの。噛み合わせがいいわけでもないパレスのバックラインに対して前から枚数を合わせて捕まえにいく。
いつもと異なるアストンビラの振る舞いに、試合のテンションは少しずつ上昇。激しい中盤のデュエルの応酬というあまりこのカードらしくない展開に転がっていく。
そうした中で先にネットを揺らしたのはアストンビラ。カウンターを加速させるティーレマンスの縦パスをスイッチに裏抜けをしたラムジーが最後にシュートを決めたがこれはオフサイド。ピンチを凌いだパレスはセットプレーから正真正銘の先制点を奪い取る。ウォートンのクロスをファーで折り返したリチャーズ、最後はサールが仕留めてリードを奪う。
得点によりオープンな展開が誘発されることとなったこの試合。特にその恩恵を享受したのはパレス。エゼが加速装置となり、シュートチャンスは増加。得点前よりもさらにホルダーは自由な状態でシュートを打つことができていた。
劣勢のビラは40分過ぎにロジャーズがネットを揺らすが、こちらもラムジーの時と同じく崩しのキーになった抜け出しでオフサイドで取り消し。わずかなギャップでパレスは同点になることを回避する。
後半も先に攻め込んだのはホームのパレス。押し込んでシュート機会を作り、さらにはFKからもチャンスを迎える。しかし、ビラはGKのフィードからワトキンス→ロジャーズで抜け出す形から同点。ラインブレイクからの三度目の正直に成功し、試合は振り出しに戻る。
スコアが動いたのは同点ゴールから7分後。高い位置からチェックに行ったリチャーズからのボール奪取で最後はマテタがゴールを決める。
アストンビラは前節チームを作ったアセンシオとラッシュフォードの傭兵コンビを投入。だが、それでも流れは変わらず。違いを作り続けたのはパレス。WBの背後をとるアクションを続けることで押し下げると、最後はサールのボレーでリードをさらに引き離す。
最後のゴールを飾ったのはエンケティア。ついに生まれた移籍後初のリーグ戦のゴールは試合の結果を大きく左右するものではなかったが、多くのファンとチームメイトから祝われる素晴らしいゴールとなった。
思わぬゴールショーとなったセルハーストパーク。悪い時の守備の淡白さが大きなしっぺ返しとなってしまったビラだった。
ひとこと
ビラによくある悪い流れを延々と取り返せないパターンの試合だった。
試合結果
2025.2.25
プレミアリーグ 第27節
クリスタル・パレス 4-1 アストンビラ
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:29′ サール, 59′ マテタ, 71′ サール, 90+1′ エンケティア
AVL:52′ ロジャーズ
主審:サム・バロット
ウォルバーハンプトン【17位】×フラム【10位】

優勢をフイにしてしまう後半頭のミス
冬の移籍市場閉幕によるクーニャの移籍の噂の沈静化あたりからようやくエンジンがかかってきた感のあるウルブス。暦の移り変わりとは裏腹に春はまだ遠そうな昇格組がモタモタしているうちに残留争いにさよならを告げたいところだろう。
しかし、そんなウルブスの願いを打ち砕くように先制点を決めたのはフラム。開始直後から際立っていたアンデルセンの組み立てから攻撃を組むと、あっという間に抜け出したセセニョンからゴールをゲット。1分もかからずにフラムはゴールを奪う。ウルブスはCHの脇がやたら空いてしまうという序盤の構造の欠陥を修正することができなかった。
先制点を奪ったこともあり、フラムのプレスは沈静化。押し込む機会が増えたウルブスはサイドの突破力とセットプレーからチャンスメイク。守備に回ると相手の横断を制御できないのはフラムも同じということだった。18分にはファーで待ち構えていたジョアン・ゴメスが同点ゴールを奪い取る。
以降も押し込む機会を掴んだのはウルブス。同点ゴールの流れから左右のWGを生かした突破力で攻撃に打って出る。フラムはカウンターに打って出るが、なかなか反撃に出ることができない。ルキッチが警告でサスペンションを受けるなどこの試合だけでない負債も貯まっていく展開となる。
しかし、停滞感のあるフラムは後半早々にゴールを生み出す。中盤で前を向いたイウォビから背後に走り出したムニスが抜け出してゴールをゲット。前節は勝ち点獲得に大いに貢献したジョゼ・サだったが、この場面では不要な飛び出しで失点に絡んでしまった。まぁ、この波こそが彼らしいと言えばそうなのかもしれないけども。
このゴールでフラムはだいぶ落ち着いた感がある。5枚で構えるボックスの守備の安定感は増加。さらには保持に回った時の落ち着きがそこに重なり、フラムが少しずつ試合を掌握するように。
最後は4バックにシフトしたウルブス。前線の枚数を増やして攻撃に打って出るが、効果の方は限定的。むしろ、カウンターからゴールに向かうことができていたフラムの方が得点の可能性という意味では高かったかもしれない。
試合はそのままフラムが逃げ切りで勝利。後半頭のワンミスから流れを手放してしまったウルブスにとっては勝ち点0という結果は厳しいものとなった。
ひとこと
1つのミスをきっちり逃さず勝ち点を積んだフラムの強かさが際立つ展開だった。
試合結果
2025.2.25
プレミアリーグ 第27節
ウォルバーハンプトン 1-2 フラム
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:18′ ゴメス
FUL:1′ セセニョン, 47′ ムニス
主審:ピーター・バンクス
チェルシー【7位】×サウサンプトン【20位】

懸念棚上げのゴールラッシュ
なかなか調子が上がらないチェルシー。一時は4位以内を確保していた順位もいつの間にか7位まで降下。相手を考えてもここでなんとか踏みとどまりたいところだろう。
チェルシーのボール保持は3-2-5がベース。インサイドに入るのはククレジャがエンソが1つ前にスライドする形であった。中盤から始まるサウサンプトンのプレスに対して、数的に優位があるバックラインから縦パスを狙っていく。
ジャクソンという基準点がない分、レーン移動は柔軟になっている感があるチェルシー。サンチョも大外固定というわけではないし、パーマーやエンソといった選手が低い位置に下がることが多い。多少重心が重くなることもあるが、低い位置にサウサンプトンが引き寄せられるケースが生まれれば、それはそれで縦横無尽に動いてオフザボールを生かしたいCFのネトにとっても悪いことではない。
サウサンプトンの保持はいつも通り低い位置からのポゼッションがベース。しかしながら、チェルシーのプレスを上回るショートパス回しが刺さらず、なかなか押し下げることができない。ワイドのCBが攻撃参加できれば悪くないのだが、そこに至る機会が足りていないという形である。
先制点が欲しいチェルシーは中盤で浮きやすいエンソからパーマーへのラストパスでチャンスを迎えるが、ここはパーマーのフィニッシュの精度が甘くゴールは決まらず。代わりにセットプレーからファーに構えていたエンクンクがゴールに押し込み、チェルシーがリードを奪う。
ゴールを奪いたいサウサンプトン。直後にはオヌアチュがクロスに合わせて決定機を迎えるが、これはヨルゲンセンのセーブに遭ってしまい、スコアを動かすことができない。
するとチェルシーは追加点。トランジッションの応酬を制してカウンターを発動させると、ネトが左足を振る豪快な一撃でリードを広げる。終盤にはセットプレーで3-0。チェルシーは前半でほぼ勝負を決めてしまった。
後半も試合の大きな流れは変わらず。リードを得ているチェルシーがポゼッションで押し込む展開。後半もラムズデールはとても忙しそうにしていた。
サウサンプトンは反撃の機会を掴むどころか、ウォーカー=ピーターズが負傷交代してしまうなど苦しい状況が重なる展開に。
問題なく試合を進めていくチェルシーは後半にも大量得点を彩る追加点を奪う。カウンターからボックス内に余裕を持って侵入したククレジャは落ち着いてゴールをゲット。右サイドからアシストを決めたジョージにとっても嬉しい得点となったことだろう。
ジャクソン不在のソリューション探しやパーマーの精度不足など気になることはあるチェルシーだが、サウサンプトン相手には問題なし。クオリティで差を見せるゴールショーで勝ち点3を上乗せした。
ひとこと
こういうどうにもならない試合が多すぎて、サウサンプトンに関してはコメントがとても難しい。
試合結果
2025.2.25
プレミアリーグ 第27節
チェルシー 4-0 サウサンプトン
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:24′ エンクンク, 36′ ネト, 44′ コルウィル, 78′ ククレジャ
主審:トーマス・ブラモール
ブレントフォード【11位】×エバートン【14位】

交代直後の隙をついて引き分けに持ち込む
序盤はロングボールの応酬でスタート。互いの頼りになる前線にボールをガンガン放り込んでいくという落ち着かない立ち上がりとなった。
落ち着いたところでショートパスを織り混ぜ始めるのはブレントフォード。エバートンのプレスを誘引しつつ、あくまでショートパスでの打開にこだわるスタンスは最近の彼らの日常とも言える。
エバートンもすぐにハイプレスを自重し、ブレントフォードのバックラインにボールを持たせてOKという考え方にシフト。試合は徐々にブレントフォードがボールを持つ時間を増やしていく。
試合は基本的には堅い展開。どちらかと言えばチャンスが多かったのはブレントフォード。比較的高いラインをキープしたがるエバートンに対して、右サイドを軸に攻撃。サイドに流れるウィサからのファストブレイクが速攻、大外からインスイングでクロスを上げるムベウモが遅攻と攻め筋を使い分けながら勝負を仕掛けていく。
だが、前半最大の決定機を迎えたのはエバートンの方。ピノックのスリップにより完全に抜け出したベトが1on1を迎えるがコントロールが大きくなってしまい痛恨のミス。
逆に前半追加タイムにウィサが跳ね返りを仕留めて先制したのはブレントフォード。ストライカーの決定力の差をきっちりと見せつけた前半となった。
後半はセットプレーのエバートンの大チャンスからスタート。前半終了間際の自陣でのセットプレーはピックフォードが処理しきれなかったが、フレッケンがこれは問題なく処理してみせた。
それ以降はかなり堅い展開。なかなかチャンスは生まれず、ルイス-ポッターとダムズゴーのコンビで左サイドを切り裂いたシーンくらいがチャンスという感じだった。
そういう意味ではオブライエンの得点はワンチャンス。見事にファーサイドへの飛び込みから同点ゴールを生み出す。ブレントフォードは交代直後のマゴーマがオブライエンを逃してしまったのが痛恨だった。
このゴールで優勢となったのはエバートン。押し込む展開からのチャンスはもちろんのこと、前半のリベンジのような抜け出しをみせたベトが決定機を迎えるが、またしてもフレッケンに阻まれてしまいゴールを決めることができない。
終盤まで見応えがあった試合はドローで決着。勝ち点1を分け合う結果となった。
ひとこと
フレッケン、文句なしのMOMではないか。
試合結果
2025.2.26
プレミアリーグ 第27節
ブレントフォード 1-1 エバートン
G-techコミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:45+4′ ウィサ
EVE:77′ オブライエン
主審:サイモン・フーパー
トッテナム【12位】×マンチェスター・シティ【4位】

遅い追撃は問題にならず
連勝街道とは言わないまでもなんとか冬の補強で人員増に成功し、リカバリーの軌道に載せつつあるシティ。こちらも順位的には欧州カップの出場権は難しいが、ELに向けて少しずつ選手が復帰しているトッテナムとの一戦に挑む。
序盤からボールを持つのはシティ。ヌネスのインサイドに入るアクションから3-2-5に変形することでプレスを回避しにいく。ゴンサレスにはベリヴァルをつけることで対応を確定させていたトッテナムだが、他の選手の移動にどこまでついて行くか?というところの整理はあまりできていなかった様子。シティは中盤で隙を作り、サイドのドクに展開してここから一気に加速するという形から反撃を狙っていく。
非保持においてもシティはWGの外切りから狭く狭くトッテナムの保持を限定。中央でのパスでなかなか有効打を打つことが出来ないトッテナムはマディソンの裏抜けなど、ハイラインの裏をつく形で味を変えに行く。
しかし、先制点を決めたのは順当にシティ。サイドのドクのチャンスメイクからあっさりとハーランドが先制ゴールをゲット。ボールの出しどころへのチェックもボックス内のチェックもどちらも甘さが際立ってしまうトッテナムの対応だった。
先制点でさらに勢いを強めるシティ。横断から逆サイドへの展開が連発することでドクもサヴィーニョもこの日は気持ちよくプレーすることができた。横断を許してしまう要因はトッテナムの前線が自分の列をこされたタイミング以降は守備に参加する意識を持たないからだろう。
保持の鏡面では中盤が前を向けずに苦戦するトッテナム。追いかける展開になってもなかなかきっかけを掴むことができない。オドベールの馬力により、ヌネスのいないサイドから陣地回復はできるが、その先がないのが辛いところ。前半終了間際のセットプレーでのチャンスが精一杯といったところだろう。
シティは後半にハイプレスこそやめたものの主導権は確保。4-4-2で外切りなしで構える形でトッテナムの保持と向かい合う。圧力は確かに下がったが、保持に回れば相変わらず後追いになっているトッテナムのライン間のケアを蹂躙。主導権はシティのものである。
トッテナムは大胆な4枚交代で流れを変えに行く。すると終盤にファストブレイクからソンが決定機を迎えるが、これはエデルソンが阻止。直後には逆サイドのサールもチャンスを迎えるなど終盤に揺り戻しをかけるようにチャンスを作っていく。
それでもシティは逃げ切りに成功。トッテナムの追撃を振り切り勝ち点3をものにした。
ひとこと
シティは試合の大半をコントロール。ハーランドの華麗なボディワークからのゴールが取り消されたのがこの日のシティの唯一の後悔だろう。
試合結果
2025.2.26
プレミアリーグ 第27節
トッテナム 0-1 マンチェスター・シティ
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
Man City:12′ ハーランド
主審:ジャレット・ジレット
マンチェスター・ユナイテッド【15位】×イプスウィッチ【18位】

もしものシナリオへの引き込み失敗
15位とアモリムになってからもなかなか反撃の機運が高まらないユナイテッド。それでも残留争いに首を突っ込んでいる感がないのは18位以下となる追っ手の状況が芳しくないからだろう。というわけでイプスウィッチにとってはユナイテッドを「もしや」のシナリオに引き込むために必要な勝利を奪い取るための一戦となる。
そんなイプスウィッチにプレゼントをしてしまったのがドルグ。バックパスの連携ミスから一気にフィロジーンがゴールを奪い取る。
追いかけるユナイテッドは左サイドからのバックドアで狙い撃ち。前節、トッテナムがソンで行ったようなことをガルナチョで行うということである。
サイドから押し込むルートを構築することに成功したユナイテッドはセットプレーで攻勢をかけていく。モーシーのオウンゴールで追いつくと、その4分後にはデ・リフトが上から叩き込んでリードを奪う。流れの中ではなかなか崩せない展開だったが、セットプレーが命綱となった。
だが、順調に流れそうな展開でまたしても苦しい状況を作り出してしまったのがドルク。一発退場から数的不利にチームを陥れてしまう。イプスウィッチはこの流れに乗じる形で前半終了間際にフィロジーンが同点ゴール。スコアはタイに、チームの数的には優位になる形で前半を締めくくる。
迎えたイプスウィッチは前線からプレスに。ユナイテッドに対して、数的優位を押し出す形で試合を作っていく。
しかし、苦しむユナイテッドを救ったのはまたしてもセットプレー。今度はマグワイアが叩き込み、この日3点目のセットプレーからのゴールを生み出す。
以降の試合はまったりとした展開に。イプスウィッチは押し込む状況を作るが、大きな展開からなかなかチャンスを迎えることができず。ユナイテッドがボールを持つ際にはまったりと前進を許してしまい、なかなか押し込むことを常態化させることができない。
状況を好転させられない理由はよく指摘しているジョーカー不足もあるだろう。10人が相手の状況でかつそれなりに攻めに来てくれる状況を生かすのであれば、後半途中にブーストをかけてくれるような控え選手の存在は欲しい。まさしくイプスウィッチに足りない部分である。
もうひと押しが足りないという懸念が数的優位で噴出したイプスウィッチ。10人相手のユナイテッドに決め手にかける敗戦を喫することとなった。
ひとこと
まぁ、数的優位で得点できないのもよくないが、セットプレーで3失点してしまうとなかなか勝てる試合はないと思う。
試合結果
2025.2.26
プレミアリーグ 第27節
マンチェスター・ユナイテッド 3-2 イプスウィッチ
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:22′ モーシー(OG), 26′ デ・リフト, 47′ マグワイア
IPS:4′ 45+2′ フィロジーン
主審:ダレン・イングランド
ノッティンガム・フォレスト【3位】×アーセナル【2位】

この相手に勝つ筋は難しい
レビューはこちら。

「相手にCFがいないから」という非常にシンプルな理由でアーセナルと対峙するヌーノは4バックを選択。序盤はボールを持つのがフォレスト側になるなど、少し風変わりな立ち上がりとなった。
3バックにして後方の枚数をずらしたり、高い位置での勝負のポイントとしてハドソン=オドイとカラフィオーリのマッチアップを使ったりなど、フォレストは持つ側としての心得も十分。アーセナルは早々にカラフィオーリが警告を受けるなどやや苦しい立ち上がりになった。
保持においてはアーセナルは後方が3枚、中盤はジョルジーニョに加えて、もう1枚の選手が入れ替わりながらフォローに入っていくという流れとなった。守備ではハドソン=オドイ相手にやや後手を踏んだ感のあるカラフィオーリだったが、攻撃に回れば逆に存在感を発揮。高い位置ではトロサールの相棒として暗躍し、ブロックの外からの豪快なシュートも含めてアーセナルの攻撃のアクセントとして貴重な働きを見せる。
逆に言えばアーセナルはそこ以外の攻め筋は苦しいものがあった。逆サイドのヌワネリは2人で囲まれるシーンが目立つなどフォレストが対策を徹底。ただ、アーセナルとしては攻めの方法が限られてもウッドへのロングカウンターをガブリエウとサリバでなんとかカバーしている状態が続く限りは特に心配の様子はない展開。どちらのチームもなかなかチャンスを作りきれないまま、試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。
後半、アーセナルは後方から丁寧にボールを動かしていく形でゴールを狙っていく。押し込む機会を得たアーセナルはセットプレーからチャンス。高さが分散するセットプレーであればメリーノがヘディングで存在感を出せるという流れになるのはいかにも理に適っている。
フォレストはブロック守備が緩むなどやや苦しい時間を過ごしたが、徐々にウッドの右サイドの抜け出しを中心にチャンスメイク。サリバがファインプレーを見せるなど、少しずつアーセナルのCB陣がバタバタするシーンを作られるように。
だが、互いに交代選手が精彩を欠くなど決め手に欠ける展開に。どちらのチームもアタッキングサードでアクセントをつけることができないまま試合は終了。試合はスコアレスで決着。アーセナルはこれで首位との勝ち点差が1試合消化が少ない状態で13まで広がることとなった。
ひとこと
まぁ、正直このメンバー、この相手でなかなか勝ち筋は見えなかったかなと感じた。
試合結果
2025.2.26
プレミアリーグ 第27節
ノッティンガム・フォレスト 0-0 アーセナル
ザ・シティ・グラウンド
主審:アンディ・マドレー
リバプール【1位】×ニューカッスル【5位】

奇策をいなしてミッションコンプリート
追っ手の勢いが尽きてきたことで俄然優勝の可能性が高まっているリバプール。上位とはいえ、相性のいいニューカッスルとの一戦に勝利し、なんとかさらに勝ち点を離したいところだろう。
イサク不在でアンフィールドにやってくるという苦境に見舞われたニューカッスルは4-4-2にシフト。リバプールに噛み合わせる形で前からプレスをかけていく。
ミラーのような形でのプレスとなったニューカッスルだが、リバプールはほんのりとした3バック化で微妙に噛み合わせをずらしてくる。そこまで明確な変化ではないものの、ニューカッスルに迷いをあたるには十分。縦のパスコースを探り当てると、ラインを有効に超えるパスから一気に前進。仕上げこそ外循環ではあったが、背走させながらという点では良質な前進ができていた。
その一方でニューカッスルは前進で苦戦。イサクがおらず、ボールの収めどころのないカウンターはなかなか落ち着けられず。直線的なプレーの成功率は雨の影響もあってかあまり良くはなかった。
ニューカッスルの攻撃を返す形で先制点にたどり着いたのはリバプール。サイド攻撃を食い止めてからのカウンターで先行。左サイドを抉ると折り返しをショボスライが仕留める。マークについていたトナーリだが、肝心のゴール前でマークを外してしまった。
追いかける展開となったニューカッスルは左右のサイドから打開点を探るが逆にリバプールにうまくサイドに追い込まれてしまい沈黙。カウンターでピンチにさらされる機会が増えてしまう。コナテの背後のスペースへの抜け出しからウィルソンが決定的なチャンスを得るが、これもゴールを捉えられず。ニューカッスルは前半のうちにゴールを得ることができなかった。
後半はニューカッスルのFKのチャンスから幕開け。ニューカッスルは前半終盤の文脈を後半も継続。ボールを持ちながらリバプールをどのように壊すかを思案する。
リードを得ているリバプールだが、前からのチェイシングをしている分、裏のスペースやライン間のギャップなど攻める隙はある。しかしながら、4-3-3といういつものフォーメーションから変わっている分、選手間の距離が違うのか短い距離での繋ぎから間延びしたスペースをつくことができていなかった。
すると、ニューカッスルが攻めあぐねているうちにリバプールは追加点。右サイドからわずかなギャップを通したサラーがマック=アリスターのゴールをお膳立てした。
完全に試合を制御したというニュアンスではないかもしれないが、4枚替えしたニューカッスルに流れを渡さずに適度に撃ち合いに付き合ったリバプール。2点のリードをキープし、2位以下を突き放すというミッションを危なげなく遂行した。
ひとこと
イサクがいない状況での奇策はあまりハマらなかったようだ。
試合結果
2025.2.26
プレミアリーグ 第27節
リバプール 2-0 ニューカッスル
アンフィールド
【得点者】
LIV:11′ ショボスライ, 62′ マック=アリスター
主審:クリス・カヴァナー
ウェストハム【16位】×レスター【19位】

波風が立たない完勝
ウェストハムはアーセナル戦でうまく行ったことで前節の5-3-2を継続。ということでポゼッションしたいレスターにとってはサイドから簡単にボールを運ぶことができる!という好都合な立ち上がりとなった。
しかしながら、ポゼッションをするのにはボールを奪い返すフェーズを成立させなければいけない。ボールを大事にする3バックを構築しているポッターのウェストハムに対して、なかなかボールを奪い返すきっかけを掴めず。レスターは開始早々から早速ミドルゾーンから撤退を余儀なくされてしまう。
押し下げたウェストハムはサイドから深さを作っていく。中央に細かいパスを差しつつ、大きな展開から右のワン=ビサカがサイドを抉っていく。保持型としての引き出しもウェストハムの方が上。レスターはボールを持つシーンはあったものの、なかなかそこからライン間を伺うことができず、アバウトに背後に蹴ることが続いてしまってばかりだった。
攻めあぐねるレスターをよそにウェストハムは先制。ボーウェン、ソーチェク、ワン=ビサカの3枚でゆるっと右サイドを引っ掛けながら攻略に成功。最後は左サイドからのクロスのこぼれ球をソーチェクが押し込んで先制する。
レスターは追いかける展開になってから保持の時間は増えるものの、なかなか打開策が見つからず。サイドからは押し下げられる!という手応えだったはずのレスターだが、徐々にウェストハムのサイド封鎖も板についてきたことでそもそも敵陣までスムーズに運ぶことができるという前提が成立しなくなってしまった。
押し込めず、ただただサイドから背後を取られる形でカウンターから逆に押し込まれるシーンばかり。レスターは反撃の一手を見出せない。ウェストハムはセットプレーから追加点。先制点と同じようにねっとりと自陣から脱出できない処理をしてしまったレスター。最終的にヴェスターゴーアがオウンゴールを献上する。レスターは全くもって打開策が見えないままハーフタイムを迎える。
後半もなかなか試合は活性化せず。ウェストハムに保持で押し下げられつつ、保持でもレスターは中央にキーパスを刺せない。前さえ向けば加速力を出せるレスターのアタッカーは後半も前を向けないまま。持ち味を出せないまま、連動しないプレスをただただやっているレスターの2列目はなかなか哀愁がある。
特に試合が動くことがなかった後半の45分。ウェストハムによって制御されたゆったりとしたテンポを動かすことができなかったレスターは今節も勝ち点をとることができなかった。
ひとこと
捨て身で相手を慌てさせに行くとか、もう少し先制点までのプランニングでレスターはリスクをとっても良かったのではないか。
試合結果
2025.2.27
プレミアリーグ 第27節
ウェストハム 2-0 レスター
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:21′ ソーチェク, 43′ ヴェスターゴーア(OG)
主審:スチュアート・アットウェル
今節のベストイレブン
