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「Catch up Premier League」~Match week 22~ 2025.1.18-1.20

目次

ニューカッスル【4位】×ボーンマス【8位】

堂々、欧州カップ戦争いに名乗り

 共に上昇気流に乗っている両チームの対戦。試合はいい流れのチーム同士のぶつかり合いらしく、ハイプレスでの応酬となった。 

 ニューカッスルは前3枚でのプレスに加えて、左のIHのジョエリントンがプレスの援軍に出て行く。逆にボーンマスはそのジョエリントンが出て行った背後の右のハーフスペースを狙い撃ちなど非常に見ごたえのある攻防に。

 ボーンマスもハイプレスに出て行くなど、序盤戦はとにかく強度が落ちない展開。そうした中で先制点を奪ったのはボーンマス。左のハーフスペースをセメンヨ→クライファートで攻略し、ゴールを奪い取る。

 リードを許したニューカッスルは左右の外に蹴りながら進撃。強度の高い展開の中で中盤のデュエルを制してやや優位に立つ。そうした中で同点ゴールはセットプレーからギマランイスがゴールを仕留める。

 優位が微妙に入れ替わるシビアな展開。セカンドボールの優位は時間帯ごとに変化し、互角に組み合っていく。そうした中で前半の終盤に主導権を手にしたのはボーンマス。ハイプレスに成功して勝ち越しゴールをゲット。ギマランイスをとらえたクリスティからの速攻でリードを奪う。

 このシーンでゴールを決めたクライファートは近頃存在感がマシマシ。この日も前半の内に2ゴールを決めるなど圧倒的な攻撃への貢献度でボーンマスを牽引する。

 後半も試合の流れは大きく変わらずペースはボーンマス。交代したシェアにも積極的なプレスを仕掛けることで早々に洗礼を浴びせて、試合の主導権がボーンマス側にあることをアピールする。

 ボーンマスは右サイドからのラインブレイクからチャンスメイクのルートも確立。ニューカッスルはなかなか跳ね返し切れない場面が目立つ。トナーリなどクリアがはっきりしないことでボーンマスの波状攻撃を抑えきれない。

 CF不在を問題なく埋めているワッタラも強力で、相手のCBの背中を取る動きが秀逸。ボックス内での駆け引きでも十分にやれており、エヴァニウソンやウナルの不在を埋める以上の働きを見せている。

 押し込んでもなかなか侵入することが出来ないニューカッスルを尻目に、ボーンマスはアタッキングサードでの豊富な運動量で敵陣でのクオリティを見せる。一方的に主導権を握ったボーンマスはまたしてもハイプレスからゴール。ゴードンのパスミスをかっさらったクライファートがハットトリックを決める。

 その4分後に仕上げとしてケルケズがゴール。大量4得点でセント・ジェームズ・パークを粉砕したボーンマスが欧州カップ戦出場権争いで存在感を高める大きな勝利を手にした。

ひとこと

 がっつりとした強度勝負でここまでボーンマスが主導権を握る展開は非常に意外だった。

試合結果

2025.1.18
プレミアリーグ 第22節
ニューカッスル 1-4 ボーンマス
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:25‘ ギマランイス
BOU:6‘ 44’ 90+2‘ クライファート, 90+6’ ケルケズ
主審:スチュアート・アットウェル

ウェストハム【13位】×クリスタル・パレス【15位】

シャープさでウェストハムに穴をあける

 共に残留争いからは少し上にいる両チームによるロンドン・ダービー。少し目先を変えてきたのはウェストハム。3バック採用+サイドハーフの位置にソーチェクという少し変わった形で勝負に出る。

 ボールを持つのはパレス。1トップの脇からボールを動かしていく。縦にパスを入れることでウェストハムの守備ブロックを動かしていく。ウェストハムの中盤はややこの縦パスに乱されていた印象。中盤を守備でのスタート位置にいる割にはライン間を閉じることが出来ない状況だった。

 パレスは右のハーフスペースを中心にスピードアップすることで敵陣に迫っていく。サイドから裏を取って押し下げる、もしくはミドルから攻撃を仕上げにいく。

 序盤は一方的に押し込まれていたウェストハムだが、少しずつ保持局面では押し込む状況も作っていく。非保持に回ると、パレスもウェストハムと同じく引き気味で受けに行く。

 ただ、押し込むことが出来ていても敵陣で何ができているのか?というと微妙なのがこの日のウェストハム。トップを外し、後方から攻めるサイドを決めることで縦に鋭い攻撃を放っているパレスの方が可能性は十分。中盤に穴を空けるフェーズも引き続き機能しており、優位に立ったままでハーフタイムを迎える。

 ウェストハムはこのままではまずいと思い立ったのか後半はハイプレスに行こう。ただ、思い切りこそいいものの、後方の強度がこのプランにやや耐えきれていない印象。バックラインの不安定さが起因でウェストハムは思ったほどペースを握ることが出来なかった感がある。

 パレスは根性での繋ぎから右サイドから疑似カウンターに成功。ライン間のエゼで加速すると、最後は一気にマテタが完結。ついに試合を動かす。

 ウェストハムは3枚交代で4バックにシフト。保持の時間が増える。だが、押し込んで何ができるんだ!?という問題点は据え置き。なかなかに状況を打開することが出来ない。

 苦戦するウェストハムはマヴロパノスの退場でさらなる苦境に。パレスは優位を作ると、前線の交代選手から追加点のきっかけをつかむ。今季は苦しむエンケティアがPKを確保。ただし、このPKを献上したのはファビアンスキ。元アーセナルの幸せは元アーセナルの悲しみの元に成立しているのはなかなかに切なかった。

ひとこと

 試合はパレスが逃げ切りに成功。ウェストハムは前半の序盤以降、いいところがなかった。

試合結果

2025.1.18
プレミアリーグ 第22節
ウェストハム 0-2 クリスタル・パレス
ロンドン・スタジアム
【得点者】
CRY:48‘ 89’(PK) マテタ
主審:トーマス・ブラモール

ブレントフォード【11位】×リバプール【1位】

手に汗握る好ゲームは途中交代のヌニェスが決め手に

 ここにきて2試合連続の引き分けと停滞感がほんのり出てきたリバプール。特に先制を許して展開を苦しくしてしまうケースが目立っている。ブレントフォードのホームスタジアムは難所ではあるが、ここで未勝利に歯止めをかけたいところだろう。

 ブレントフォードは4-4-2を選択。サイドの重心を下げながら受ける形を意識。多少重心が下がっても左右のサイドから深さを作って回復できるのが彼らの強み。特に右のムベウモはカウンターからいきなり決定機を生み出して見せた。

 カウンターだけでなくつなぐアクションも充実しているブレントフォード。CBでリバプールのSHを引きつけることでGKを噛ませつつ、SBにボールをつけるなどリスクをかけて前進を狙っていく。

 ただ、リバプールもきっちりと攻め筋を見せていた印象。いつものように両翼からの仕掛けやディアスの動き出しに加えて、ライン間を積極的に使うことでブレントフォードを攻め立てる。ブレントフォードは2列目がバックスに吸収されやすく、CHがサイドのケアに出ていくことでCHの間が空きやすい。ということでここから積極的なミドルを打つことでブレントフォードに冷や汗をかかせていた。

 15分が過ぎるとややペースはリバプールに。ブレントフォードはカウンターの導線を探すためにタッチ数を増やす分、リバプールにカウンターを潰されてしまう場面が増える。プレスは脱出できるけどミドルゾーンからの前進に苦しむ。この時間帯はきっちりシュートまで持って行ったリバプールとは差が出た印象だ。それでもビルドアップで変なミスが出ないのは素晴らしいと思うけど。

 ノアゴールのカットから久しぶりに見せた鋭い攻撃もガクポにひっくり返されて決定機に。シュート以外のガクポは完璧であった。トランジッションであれば上等!という感覚はあるのだろう。そういう意味では一昔前の堅いブレントフォードよりは今のブレントフォードの方がやりやすいのかもしれない。

 ブレントフォードはCBとGKに落ち着きがあるのが最後の砦。簡単に動かされずに冷静に対応し続けることで中盤から流れてきた攻撃を見事に受け流してみせた。スコアレスでハーフタイムを迎えたのは彼らの貢献度の高さもあるだろう。

 後半もテイストは同じ。リバプールが保持ベースで解決策を探り、ブレントフォードはカウンターベースでの反撃が基本線。カウンターに対するカウンター返しでリバプールが早々にチャンスを迎えるところまで前半で起こったことを早回しで見た感じである。

 違いといえば前半よりもリバプールは一手踏み込んでライン間から仕掛けを追加していたこと。あとはムベウモを起点としたカウンターは前半よりも敵陣側に運ぶことに高い確率で成功していた。

 一進一退の攻防が続く両軍。リバプールは左右のSBからのクロスで畳み掛けにいくが、ブレントフォードのDF陣は落ち着いて対応。一方のリバプールのカウンター迎撃も2人のCBが立ちはだかり、ムベウモ、ウィサ、シャーデを軸とした速攻を封じていた。

 スリリングな終盤戦は後半ATに決着。右サイドで抜け出しかけたアレクサンダー=アーノルド。ヤルモリュクのブロックは間に合ったかに見えたが、再びアレクサンダー=アーノルドの足元に。素早く入れたクロスをヌニェスが仕留めて先制する。

 2分後にはさらに追加点もゲットしたヌニェス。試合前の指揮官のコメントに応える2ゴールでリバプールに3試合ぶりの勝利をもたらした。

ひとこと

 終盤戦は手に汗握る行ったり来たりで目が離せない好ゲームだった。

試合結果

2025.1.18
プレミアリーグ 第22節
ブレントフォード 0-2 リバプール
G-techコミュニティ・スタジアム
【得点者】
LIV:90+1′ 90+3′ ヌニェス
主審:アンディ・マドレー

レスター【19位】×フラム【10位】

見せつけた地力の差

 何とか連敗を食い止めて一刻も早く残留のために上昇気流に乗りたいレスター。今節は今年も残留争いとは無縁のシーズンとなっているフラムとの一戦だ。

 フラムはここ数試合継続していた5バックを放棄し、4バックに回帰。3-2-5に変形するレスターのバックラインに積極的なプレスをかけることで追い込んでいく。レスターは外循環から前線が裏を取ることで、フラムの高いDFラインを押し下げに行く。だが、これはベルゲやカスターニュのプレスバックでフラムがピンチを未然に防いでいく。

 レスターは非保持に回ると4-4-2で構える形。フラムは左サイドを主体として、大外にオーバーラップしたSBからチャンスを作り、外からゴールを狙っていく。

 時間の経過と共に、状況は地力が反映される格好に。ミドルゾーンから脱出できないレスターに対し、フラムは後方の積極的なオーバーラップから攻撃の厚みを増していくことで圧力をかけていく。

 レスターは後方に枚数をかける陣形を敷くことで保持での安定を図るが、後ろ重心となっている布陣は仕上げの甘さに繋がってしまい、なかなか前線で迫力のある攻撃を展開することが出来ない。

 一方のフラムも優勢に試合を進めつつ、ハーフタイムまでは得点を決めることが出来ず。試合はスコアレスのままハーフタイムを迎える。

 後半も保持で主導権を握ったのはフラム。落ち着いたポゼッションから一方的にレスターを押し込むことで敵陣でのハーフコートゲームを展開する。左右に振るアクションを積極的に増やしたフラムはこの動きが先制ゴールにつながることに。右サイドで大外のウィルソンがボールを受けると、この折り返しに合わせたのはスミス・ロウ。ファエスを出し抜いた一撃でついに均衡を破る。

 追いかける展開になったレスターは左のマヴィディディなど2列目のアタッカーを生かしたカウンターから反撃を狙う。だが、レノの安定したセーブなどフラムのバックスの安定感に屈した感。保持で試合を制御しているという点も含め、フラムの優位は動かない。

 そして、ファーサイドのトラオレでフラムは追加点。レスターは自陣から見て右サイドにスライドしているのに、ホルダーにろくにプレッシャーがかからず、ファーサイドのトラオレがガラ空きになるという不可解な守備となっていた。ヒメネスをクリスチャンセンが監視している時点で大外のフリーは約束されたようなものである。

 2点のセーフティリードを確保したフラムは危なげなく逃げ切りに成功。レスターをねじ伏せて、勝ち点3を手にした。

ひとこと

 地力の差が現れた一戦だった。

試合結果

2025.1.18
プレミアリーグ 第22節
レスター 0-2 フラム
キング・パワー・スタジアム
【得点者】
FUL:48‘ スミス・ロウ, 68’ トラオレ
主審:マイケル・サリスベリー

アーセナル【2位】×アストンビラ【7位】

とかしてしまった2点差

 レビューはこちら。

 ノース・ロンドン・ダービーは逆転勝ちでのシーズンダブル。リバプールとの勝ち点差も縮めたアーセナル。ホームでのアストンビラは中2日での強敵相手の連戦だが、優勝を狙う上ではここは落としたくない一戦だ。

 試合の主導権を握ったのはアーセナル。3-2-5への変形からビラにボールを持つことを許されたCBから外周りのポゼッションで前進。インサイドを簡単に使うことはできなかったが、サイドで1on1で勝負を受けてくれるのはアーセナルにとっては好都合。左サイドのトロサールからの仕掛けからファーを狙ったクロスでチャンスを作っていく。

 ビラはボールを高い位置で奪うことが出来ずに停滞。ロングカウンターはワトキンスが単騎で受けるような体制になってしまい、厚みを増すことができず。サリバの欠場をつきたかったところだが、奪った景色をよくすることなしには切り崩しは難しい状況。トーマスのあんぽんたんなスローインからのスポットのチャンスもあったが、ワトキンスはこれを生かせなかった。

 押し込むアーセナルは30分過ぎに先制。この試合でよく効いていたトロサールの縦突破からファーでマルティネッリが詰めて試合を動かす。

 以降も保持で丁寧に主導権を握ったアーセナルが展開を制御。ビラにチャンスを許さないままリードでハーフタイムを迎える。

 後半もアーセナルは順調。保持からテンポを掴み、前半よりも効いていた左サイドから勝負を仕掛けていく。ライス、ルイス=スケリーのハーフスペースアタックからチャンスを作っていく。

 追加点も左サイドから。トロサールがまたしても縦突破に成功すると、ニアでストーンになり切れなかったコンサによってフリーになったハヴァーツが左足を振り切って2点目をゲット。リードを広げる。

 この2点のリードで落ち着いてしまったアーセナル。ラインを上げながらもホルダーにプレスをかけることが出来ず、ビラに自由な左右の展開を許してしまう。

 するとこの形からビラは追撃弾をゲット。ボックス内に飛び込んだティーレマンスがメリーノのマークを外し、ディーニュからのクロスに合わせてゴールを決める。

 このゴールでビラはカウンターでの厚みが出るなど完全に息を吹き返す。直後のカウンターのティーレマンスのミドルはポストに阻まれるが、セットプレーからのゴールですぐに同点に。ファーでトーマスがマークを外したのを見逃さず、ワトキンスがチャンスを仕留めた。

 終盤は勝利が欲しいアーセナルが攻め立てるがコンパクトなビラのブロックを揺さぶることが出来る走力が交代選手のいない前線にはなし。何とかひねり出したメリーノのミドルもハヴァーツのハンドで取り消される。

 何とか生み出した2点をあっさりと溶かしてしまったアーセナル。首位との勝ち点差は再び6に逆戻りだ。

ひとこと

 チームのアイデンティティを考えると、アーセナルのこの勝ち点の落とし方は受け入れがたい。

試合結果

2025.1.18
プレミアリーグ 第22節
アーセナル 2-2 アストンビラ
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:35′マルティネッリ, 55′ハヴァーツ
AVL:60′ティーレマンス, 68′ワトキンス
主審:クリス・カヴァナー

ノッティンガム・フォレスト【3位】×サウサンプトン【20位】

良さを刺したフォレストが逃げ切り

 ボールを持つのは3バックを採用したサウサンプトン。フォレストは3センター気味のサウサンプトン相手ということで前節のリバプール戦と同じく、中盤の枚数を合わせることを優先。そのため、前にはプレスがかかりにくく、サウサンプトンは落ち着いてボールを持つことが出来る。

 WBを起点に幅を取り、インサイドには細かなボールの出し入れから揺さぶりをかけるサウサンプトン。保持から相手を動かすという点では悪くないスタートだった。

 だが、よりチームの良さをきっちり出したのはフォレスト。スローインからのポスト→レイオフからチャンスを作り、アンダーソンがゴールを決める。こういったメリハリのある動きはいかにも昨今のフォレストの快進撃を支える部分だった。

 さらにはショートカウンターからフォレストは追加点。ハドソン=オドイが一撃で仕留める。両チームの順位表ほど内容的に一方的な展開ではないようには思えたが、瞬間的なチームの良さをきっちり反映したのがこの試合におけるフォレストだったように思う。

 追いかけるサウサンプトンだが、なかなか相手を捕まえることが出来ない。フォレストはブロック守備から流れるようなカウンターで反撃に出る。

 フォレストの3点目は左右に揺さぶるところからのゴール。右に構えていたアイナからボックス内のフリーで構えるウッドがヘッドで合わせる。フォレストは非常に効率のいい3得点。最高の形でハーフタイムを迎えることとなった。

 後半、サウサンプトンはウゴチュクを投入。再びゆったりとした保持から再構築を図る。サイドに散らす、インサイドに刺すなどの使い分けから押し込んでいく。

 フォレストはおおらかにこの攻撃を受け止めた印象。きっちりと構えてゆったりとボールを持ち、強度を下げる展開からボールを動かしていく。押し込むところもフォレストは優位。右への大きな展開からチャンスを迎えるなどより得点に近い形を生み出していく。

 しかし、変わった形でサウサンプトンは反撃に成功。FKからの流れで放たれたウゴチュクのミドルをベドナレクがコースを変える形で仕留める。非常にアクロバティックな追撃弾となった。

 フォレストはあわや4点目!というシーンも作り出すがこれは取り消し。以降は5バックを組むことで自軍を固める。サウサンプトンは91分にオヌアチュがゴールを決めて1点差に。その後も同点ゴールか?といえる場面を生み出したが、これはフォレストに守り切られたまま終了。追撃むなしく今節もサウサンプトンは連敗を積み重ねることとなった。

ひとこと

 最近の中ではサウサンプトンは悪くない内容だったように思えたが。

試合結果

2025.1.19
プレミアリーグ 第22節
ノッティンガム・フォレスト 3-2 サウサンプトン
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
NFO:11’ アンダーソン, 28‘ ハドソン=オドイ, 41‘ ウッド
SOU:60‘ ベドナレク, 90+1‘ オヌアチュ
主審:アンソニー・テイラー

エバートン【16位】×トッテナム【14位】

奇襲でも流れは変わらず

 モイーズ監督の初陣を落としたエバートン。ホームでの初戦は連敗中で苦戦が続くトッテナムとの一戦だ。

 まず目についたのはトッテナムのフォーメーション。目新しい3バックでのスタートである。保持時はベリヴァルがやや左サイドの低い位置に立つなど、ややアシンメトリー。3バック採用の目的は明確なユニット構築というよりはエバートンに対して、かみ合わせを外すことが主たるもののように見えた。

 確かにかみ合わせが効果的に働いた場面もあった。23分のポロ→クルゼフスキのようにWBのチェックが遅れたことでトッテナムの保持がエバートンを脅かすことはなくはなかった。

 だが、それ以上に守りにくさが際立っていた感がある。特にトッテナムの右サイド側はかなりカジュアルにサイドを破られていた印象で、ロングボール一発というプランを割り切って採用することが出来るエバートンの攻撃の方向性に対してはかなり相性が悪そうだった。

 先制点もトッテナムの不安定さが際立ったところから。エバートンのハイプレスに屈してしまったサールは交わされるところでもミス。キャルバート=ルーウィンの華麗な身のこなしからゴールを生み出す。

 そして、追加点はトッテナムのウィークポイントとなっていた右サイドから。グレイとドラグシンをまとめて破壊したエンジアイが2点目をもたらし、エバートンのリードを広げる。

 さらにはセットプレー流れのファーのターコウスキから3点目。グレイのオウンゴールで前半追加タイムにさらなる失点を重ねる。

 かみ合わせを生かす場面はなくはなかったが、押し込まれると脆さが目立つトッテナム。後半は早々に4バックにシフトする。3点のリードを奪ったエバートンだが、まだまだハイプレスをやめることはなし。がっつりと組み合う後半となる。

 序盤はややトッテナムが優位に試合を運んでいた感もあったが、リンドストロムがプレスを成功させたあたりから少しずつエバートンが流れを取り戻す。ここからトッテナムは再び怪しさを見せる。

 それでも攻撃力で押し切ることで何とか得点を生み出したトッテナム。近頃飛び出しが不安定なピックフォードのところから追撃弾を奪うと、前半の終盤にはファーのリシャルリソンがゴールを生み出す。ここもピックフォードの処理が遅くなってしまったことを指摘せざるを得ない場面だ。

 だが、トッテナムの反撃はここまで。前半の大量失点をリカバリーしきれず、逃げ切ったエバートンがモイーズの再任初勝利を決めた。

ひとこと

 3バックの賭けには完敗だったポステコグルー。まだまだ流れは変わらない。

試合結果

2025.1.19
プレミアリーグ 第22節
エバートン 3-2 トッテナム
グディソン・パーク
【得点者】
EVE:13‘ キャルバート=ルーウィン, 30’ エンドイェ, 45+7‘ グレイ(OG)
TOT:77‘ クルゼフスキ, 90+2‘ リシャルリソン
主審:ダレン・イングランド

マンチェスター・ユナイテッド【12位】×ブライトン【9位】

シャープさで違いを見せてOT3連勝

 前節は共に昇格組に勝利を果たした両チーム。現状では中位争いという立ち位置ではあるが、一刻も早く欧州カップ戦争いに戻りたいはず。上に乗るためのサバイバル感のある一戦だ。

 試合はユナイテッドがゆったりとした保持からスタート。ブライトンはジリジリと狙いを定めてスイッチを入れて一気に刈りにいく。序盤からあわやというシーンを作ることができていたブライトンだった。

 そんなブライトンは一撃必殺のパターンから先制点をゲット。最終ラインに落ちたバレバの背後へのパスに抜け出した三笘。折り返しをミンテが仕留めて先行する。三笘の抜け出しの時点で勝負あり。確かにマグワイアがラインを揃えられなかったのはあるが、大外からの抜け出しであんなに一気に置き去りにされてはどうにもならない。大外からの抜け出しはどちらかといえばアタッカー側が駆け引きでは有利なのは当たり前なので、そこを突破されただけでもうなす術がないというのはちょっといくらなんでも感があった。

 保持では少し停滞気味だったユナイテッドだが、ザークツィーがサイドに流れるなど攻撃関与に多様さを見せることでブライトンの守備をゆさぶる。ブライトンはミンテを最終ラインまで下げる5-4-1のやり方で守備を組む。いつもより低い位置に入っていたミンテは汗をかいてはいたが、サイドの抜け出しは許してしまうこととなった。

 左右の押し下げからユナイテッドはミドルなどで攻勢に。少しずつ攻め筋を見つけるとブライトンのビルドアップを引っ掛けてPKを獲得。いくらなんでも!と言いたくなるバレバのファウルであっさりと追いつくことに成功する。

 三笘の裏抜け以外の必殺技がなかなか出ないブライトン。終盤にようやくミンテを使った右からの攻め手が出てくるが、アタッキングサードでの個人突破依存は深刻。相手の守備が整っていないトランジッション色の強いところでしかチャンスを作れていなかった。

 後半、互いに保持側がゆったりと入る展開。先に展開を動かしかけたのはブライトン。セットプレーからジョアン・ペドロがネットを揺らす。だが、これはその前のプレーでファウルがあったということで取り消し。リードを奪うチャンスをフイにする。

 だが、この直後にすぐにブライトンはリカバリー。右サイドのミンテの突破に合わせたのは三笘。アクロバティックな一撃でファーに詰めながら勝ち越しゴールを決める。

 アタッカーを増員したユナイテッドはサイドから押し込むことができてはいたが、もう一味が足りない展開。右サイドからの突破は可能性を感じさせる部分もあったが、決定機を作ることができず。

 すると、ユナイテッドは後方に痛恨のミス。オナナのファンブルからルターが決定的な3点目を決める。

 このゴールでユナイテッドの攻め手は緩む。終盤は沈黙したユナイテッドはこれでブライトン相手にホームで3連敗。上位進出に向けて勝ち点を積み上げたのはブライトンだった。

ひとこと

 前半は互いに低調だったが、後半はアタッキングサードでのシャープさで明暗が分かれた。

試合結果

2025.1.19
プレミアリーグ 第22節
マンチェスター・ユナイテッド 1-3 ブライトン
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:23′(PK) ブルーノ・フェルナンデス
BHA:5′ ミンテ, 60′ 三笘薫, 76′ ラター
主審:ピーター・バンクス

イプスウィッチ【18位】×マンチェスター・シティ【6位】

真っ向勝負を叩きのめす

 自分たちの特徴をきっちり出すことができるか?という観点では悪い戦いをしていないイプスウィッチ。だが、数値的な目標である残留に関しては徐々に厳しい状況に。残留争いのベテラン勢がだんだんとペースを取り戻している中で、昇格組の3チームだけは勝ち点を伸ばせていない状況となっている。なんとかここで勝ち点を伸ばしていきたいところだろう。

 ボールを持つのはアウェイのシティ。イプスウィッチは高い位置から相手を捕まえにいく。ただし、イプスウィッチのプレスは枚数を合わせるわけではなく後方を余らせる形がメイン。シティは余裕を持ってハイプレスを交わすことができる。

 さらには前からのプレスにも行くなどこの日のシティは積極的。イプスウィッチが望むハイテンポに乗っていく。イプスウィッチはショートパスでつないでいこうとするが苦戦。右のハーフスペースのところでハッチンソンが前を向けるかどうかが争点だったが、主導権は五分五分という感じであった。

 明確にチャンスを作れていたのはシティの方。バージェズの背後を取る形で完全に抜け出したハーランドが決定機創出の口火を切る。これはウォルトンのファインセーブに阻まれるが、直後に先制点をゲット。左サイドからの仕掛けからハーフスペースに突撃すると、最後はフォーデンが仕留める。

 勢いに乗るシティはさらに追加点。久しぶりに炸裂したコバチッチのミドルでリードを広げる。

 イプスウィッチの守備はハーフスペースの裏抜けからマイナスという方向のように後ろと手前を使い分けるような縦への揺さぶりにはめっぽう弱い。シティはアタッキングサードでの揺さぶりをきっちりかけてくる相手だったので、イプスウィッチつぃてはやりにくさを感じる部分も多かっただろう。

 反撃のきっかけをつかませないままシティは3点目をゲット。セーフティリードを手にして試合はハーフタイムを迎える。

 ややプレスは強めに出てきたかのようにみえたイプスウィッチ。だが、シティは難なくこれをいなすと、ドクが4点目をゲットする。

 何点取ってもプレスを弱めないのがこの日のシティ。オープン合戦からの得点を諦めないイプスウィッチに対して、ハイプレスからのショートカウンターで5点目をあっさりと奪う。

 この5点目で両チームは選手交代でのプレータイムマネジメントを実施。両軍の監督が勝ちと負けをそれぞれ受け入れる形で試合をクローズに動く。

 バックラインからのフィードに抜け出したマカティ―が6点目を決めたのがこの試合差後のスコア。試合はシティの大量得点による勝利で幕を閉じた。

ひとこと

 何失点しても簡単に折れた感を出さないイプスウィッチは偉い。応援したくなる。

試合結果

2025.1.19
プレミアリーグ 第22節
イプスウィッチ 0-6 マンチェスター・シティ
ポートマン・ロード
【得点者】
Man City:27‘ 42’ フォーデン, 30‘ コヴァチッチ, 49’ ドク, 57‘ ハーランド, 69’ マカティー
主審:サム・バロット

チェルシー【5位】×ウォルバーハンプトン【17位】

中央よりもサイドフォーカスで4位をキープ

 持たせてOKというスタンスのウルブスに対して、ポゼッションを行うのはチェルシー。まずは手始めに大外からの仕掛けで勝負。ネト、マドゥエケからのクロスでファーサイドのチャンスメイクする。

 ウルブスはファーサイドのクロスの対応が危うく失点のピンチに。チェルシーはシンプルな攻撃から敵陣のゴールを脅かしていく。

 お手軽な外循環の攻撃もさることながら、チェルシーは自陣からのポゼッションでチャンスメイク。前5枚を動かすことで中盤に穴を開けてDFラインは曝け出す形を作り出していた。

 ウルブスの保持の局面でも優位なのはチェルシー。トランジッションからスピード勝負に挑む形でウルブスの保持局面をひっくり返す。ウルブスはなかなか反撃に転じることができない。

 押し込むチェルシーはセットプレーから先制ゴールをゲット。アダラバイオが押し込み、チェルシーが試合を動かしていく。

 30分になるとウルブスは徐々に反撃。クーニャの長いレンジのキックからサイドに展開する。手応えがあったのはプレッシング。この時間帯にプレスを強めることでチェルシーのバックラインはバタバタ。サンチェス、デューズバリー=ホールにミスが出てしまい、あわやという場面を作られてしまう。

 押し込む局面を作ったウルブスは前半終了間際にセットプレーから同点。ゴチャついたところをドハーティがねじ込んでハーフタイム直前に試合を振り出しに戻す。

 後半の頭はウルブスはパスワークでチェルシーのプレスを回避。低い位置でボール回しながら押し込んでいく。だが、非保持においては前半の勢いを維持することができないウルブス。ラインを下げることでチェルシーの保持を受け止める前半のような形を作られてしまう。

 押し込むサイドからシンプルなWGを生かした攻撃のチェルシー。ライン間をつく感じが薄いことや、ジャクソンのポストや裏抜けがいまいち刺さらないことは気になるが、この日はサイド攻撃で十分。右サイドからのファーへのクロスから勝ち越すゴールを奪う。仕留めたのは左サイドからゴールに飛び込んだククレジャだ。

 このゴールで勢いを完全に失ったウルブス。チェルシーのハイプレスの守備に苦しみ、全く押し返すことができない。順調に試合を進めるチェルシーはセットプレーからこの日2回目のゴールをゲット。マドゥエケが5分後にゴールを決める。

 最後までジャクソンのフィーリングが良くなかったことは少し気になるが、ひとまず大事なのは勝利。チェルシーは4位を死守する勝ち点3を手にした。

ひとこと

 サイドからのファークロスとセットプレーの二本槍でチェルシーはきっちり結果を出した。

試合結果

2025.1.20
プレミアリーグ 第22節
チェルシー 3-1 ウォルバーハンプトン
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:24′ アダラバイオ, 60′ ククレジャ, 65′ マドゥエケ
WOL:45+5′ ドハーティ
主審:サイモン・フーパー

今節のベストイレブン

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