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「Catch up Premier League」~Match week 16~ 2024.12.14-12.16

目次

アーセナル【3位】×エバートン【15位】

交代策に溺れた自滅のドロー

 レビューはこちら。

 前節はフラム相手に引き分けとなったアーセナル。CLを挟む厳しい日程ながらなんとか今節は勝ち点3を確保したいところだろう。

 エバートンは4-5-1を採用。普段の4-4-2と比較して、中盤の枚数を増やす形で後方を固める。普段であれば高い位置からのチェイシングをすることもあるが、この日はまずはスペースを埋めることを優先。ライン設定自体が極端に低いわけではないが、なるべくアーセナルのホルダーを中盤の前で受けさせるように全体のラインを下げる。

 アーセナルが狙っていたのはSBの背後。ヤング、マイコレンコのスペースの背後を使うことでエバートンの最終ラインを下げにいく。エバートンはこの最終ラインの押し下げられ方はある程度織り込み済みという感じ。CBがサイドにスライドすることでカバーに入る。

 CBのギリギリでの体の投げ出し方はさすがのエバートン。一見チャンスに見える30分のウーデゴールのシュートもコースを塞ぐアクションが間に合っており、決定機というには無理がある。

 アーセナルを攻めあぐねさせることに成功したエバートンだが、エバートン側も後方に重きを置いている分攻めに出ていく重さがあるのは確か。開始直後のドゥクレのチャンス以降はなかなかクリティカルなシュートシーンを作れない。

 というわけでチャンスを求めるためにプレスを強めるエバートン。アーセナルからすれば後方にスペースができる絶好のチャンスになるはずだが、マルティネッリへのゆるっとしたロングボールでこの機会を無駄にしてしまった感があった。

 後半、右サイドの細かなバックドアでエバートンのブロック攻略に光を見出したアーセナル。だが、そのキーマンになっていたウーデゴールを交代させることでアーセナルはこの優位をあっさりと手放す。

 それ以降は個人商店感が強くなってしまったアーセナル。サイドでの連携が期待しにくいメンバーを左右に並べ、それぞれがエバートンの複数人の壁に立ち向かう形をとっていた。

 紙一重のシーンもなくはなかったが、アーセナルは交代からのギアアップに失敗。交代策に溺れたアーセナルは最後までエバートンを打ち崩すことができなかった。

ひとこと

 60分の交代が試合の流れを完全に変えてしまった。アーセナルの自滅と言える引き分けだろう。

試合結果

2024.12.14
プレミアリーグ 第16節
アーセナル 0-0 エバートン
エミレーツ・スタジアム
主審:クレイグ・ポーソン

ウォルバーハンプトン【19位】×イプスウィッチ【18位】

劇的なAT弾が生み出した両チームのコントラスト

 ボールを持つのはウルブス。ボールを動かしながら2トップの外側に立つ形の3バックからボールを動かしていく。イプスウィッチはこれに対して、自陣をきっちりとうめることで対応。特にアイト=ヌーリに対しては対面のバーンズがきっちりと列を下げるなどブロック守備を組むことには特に注意を払っていた。

 ウルブスは縦パスの受け手が少し捕まってしまうことが多かったが、ファウルを根性で奪い取る形でなんとか攻撃を成立。相手に奪われてしまう形はあまり多くは作られなかった。

 ならば!ということで外回りルートを模索するウルブス。2トップ脇大外を取り、ハーフスペースを狙っていくウルブス。だが、ここもハーフスペースの封鎖をイプスウィッチが先回りしており、こじ開けることが出来なかった。

 イプスウィッチは保持に回るとライン間の根性反転狙い。スピード勝負では優位に立つことが出来るので、前を向いて加速することが出来れば優位。ただし、そのためのパスワークなどはないので、アタッカーは自分で前を向く状況を作る必要があった。

 拮抗した展開の中で試合を動かしたのはイプスウィッチ。デラップの大外突破からDFを引きちぎってのゴールをゲット。先制点を手にする。

 前半の終盤はアイト=ヌーリの内側へのカットインからラーセンの裏抜けを活用するなど味変の兆候が見られたウルブス。だが、前半はビハインドのままハーフタイムを迎える。

 後半に押し込むのは追いかけるウルブス。だが、イプスウィッチもボールを持つターンとなれば広げるポゼッションからインサイドに刺すスペースを作ろうとするなど、前半よりは工夫がみられる形になった。

 互いにプレスを強める展開になった試合はショートカウンターからのチャンスが増加。より決定的だったのはデラップがチャンスを迎えたイプスウィッチだったが、追加点を掴むことはできない。

 4バックに移行したウルブスだが雑さが先行。だが、増員した前線からクーニャが何とかゴールをひねり出して同点に追いつく。

 失点以降、サイドの守備が後手に回ることで失速するイプスウィッチだったが、J.クラークの投入で少しずつフラットさを取り戻していく。すると、ラストプレーとなったセットプレーからテイラーがゴールをゲット。劇的なAT弾で勝利を掴んだイプスウィッチ。対照的にウルブスは試合後にオニール監督が解任の憂き目にあうこととなった。

ひとこと

 監督交代はやむを得ないかな。

試合結果

2024.12.14
プレミアリーグ 第16節
ウォルバーハンプトン 1-2 イプスウィッチ
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:72‘ クーニャ
IPS:15’ ドハーティ(OG), 90+4‘ テイラー
主審:サイモン・フーパー

ニューカッスル【12位】×レスター【16位】

新監督就任はここからが勝負

 ファン・ニステルローイ就任以降、無敗が続くレスター。前節はブライトンに終了間際の2得点で一気に引き分けに持ち込み、驚きの勝ち点奪取を記録。今節も難所であるセント・ジェームズ・パークでの一戦だ。

 ボールを持つ役割となっていたのはニューカッスル。いつもよりも近い距離でボールを動かしながら、サイドから丁寧に壊しに行くトライを敢行。少し保持局面がラフになっていた感があったので、意識づけの意味合いがもしかしたら強いのかもしれない。

 一方のレスターはカウンターからのマヴィディディなどの前線の選手に素早く預ける形が主流。だが、基本的にはニューカッスルの圧力に苦戦が目立つ保持局面だった。ボールをつなぐ余裕はなく、前に当てても収まらない。いつもより距離の近いニューカッスルのボール回しに翻弄される場面もあり、なかなかプレスに行けない状況が続く。

ようやく、チョーダリーが相手の中盤の逆を取る形でボールを受ける場面もあったが、そうした場面は稀。敵陣でもショートパスでナローなスペースを崩しにかかるニューカッスルは依然として優位。セットプレーからマーフィーが仕留めて試合を動かす。

 依然としてレスターは状況に対する解決策が見つからない苦しい展開。テンポ的に飲まれている感があり、ショートパスもとがめられてしまい、押し込まれている状況からの打開策もない。中盤でフリーマンを作りながら裏にガンガン入れてくるニューカッスルに翻弄される前半となった。

 後半の頭は怒涛のニューカッスルのゴールショー。まずは完璧なセットプレーから。ファーのゴードンの折り返しをギマランイスが豪快にぶち込むことで後半早々にリードを広げる

 さらには畳みかけるようにイサクが3点目をゲット。ややシュート機会を逃す期間が増えているエースの一撃で3点差。実質試合はこのゴールで決まりだろう。だが、手を緩めないニューカッスルは60分に絶好調のマーフィーが追加点を奪う。

 たまらず、5バックに移行するレスター。実質的な白旗宣言だろう。これ以上は得点を許さないことを優先するプランで何とか踏みとどまるプランを組む。

 十分に得点を決めたニューカッスルはその後のんびりとプレーする算段を付けることに成功。監督交代直後のレスターに冷や水をぶっかけての快勝で順当に勝ち点を積み重ねた。

ひとこと

 ファン・ニステルローイのここまでのいい流れはすこし止まってしまった感がある。勝負はここから。

試合結果

2024.12.14
プレミアリーグ 第16節
ニューカッスル 4-0 レスター
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:30’ 60‘ マーフィー, 47’ ギマランイス, 50‘ イサク
主審:トーマス・ブラモール

リバプール【1位】×フラム【10位】

10人らしからぬリバプールの落ち着き

 マージー・サイド・ダービーの中止で思わぬ形で日程に行きつく間が出たリバプール。今節は心機一転、ホームでフラムを迎える一戦を迎える。

 リバプールは前6枚での誘導でのプレスを敢行。ボールを奪うと大きな展開からピッチを広く使いつつ、敵陣に侵入していく。落ち着いた入りのように見えたリバプールだったが、先制点を決めたのはフラム。リバプールのお株を奪うかのような大きな展開からペレイラがゴールを奪って先制。早々に試合を動かす。

 3-2-5の保持を標榜するフラムは右サイドでスターター起用をされたウィルソンの裏抜けから攻撃を組み立てていく。フラムの得点を生み出したのが、大きな展開からサイドアタックであるのならば、ウィルソンの裏抜けが生み出したのは数的優位。17分に右サイドを抜け出してロバートソンを退場に追い込む。

 序盤は高い位置から積極的なチェイシングを繰り広げていたフラムだが、先制点×数的優位の掛け合わせで少し落ち着いた感があった。ウィルソンとロビンソンが左右で背後を取ることで鋭さを見せる場面はあったが、保持をしながら攻め続けることにそこまでこだわる感じはしなかった。

 10人となったリバプールは左右アシンメトリーでSBを空位にした感があった。明確な代役を置くというよりは3センターが微妙に裁量をそれぞれで広げることで管理できる持ち場を大きくするようなイメージを特に保持の時には持っていた。10人での即興でのプレーだと思うが、このバランスの良さには個人的には舌を巻いた。

 保持で押し込むフェーズを作れないフラムは4-5-1~5-4-1の合いの子でジリジリと下がって受けに行く。ブロック攻略を押し付けられたリバプール。サラーを軸とした攻撃の構築でゴールに迫るもスコアは動かせないままだった。

 後半早々に追いついたリバプール。サラー→ガクポのクロスがささり、47分に追いつく。フラムはイウォビとロビンソンが一瞬譲り合うようなそぶりを見せてしまい、その分サラーへのアプローチが遅れてしまう。

 スコアが展開に影響を与えることはなし。引き続きリバプールは押しこむチームっぽい対応になっていたし、フラムの攻め手はサイドから裏が基本線となっていた。

 徹底していた形が実ったのはフラム。サイドからのファストブレイクがようやくギャップを生み出し、最後はムニスが勝ち越しゴールを決める。

 押し込むことで終盤に何とか勝ち点を取りたいリバプールはライン間のジョッタをきっかけに同点ゴールをゲット。フラム目線で言えば出場停止のバッシーがいれば、このようなライン間に対してのアプローチはもっと手堅くできていたかもしれない。

 終盤に追いつくことで何とか勝ち点1を確保したリバプール。10人でのプレーを余儀なくされる中で最低限の目標は達成した感じといえるだろう。

ひとこと

 10人でもリバプールはバランスが良かった。もうちょっと前がかりになるかなと思ったけどもうまい舵取りだった。

試合結果

2024.12.14
プレミアリーグ 第16節
リバプール 2-2 フラム
アンフィールド
【得点者】
LIV:47’ ガクポ, 86‘ ジョッタ
FUL:11’ ペレイラ, 76‘ ムニス
主審:トニー・ハリントン

ノッティンガム・フォレスト【5位】×アストンビラ【6位】

シャープなフォレストがビラをうっちゃる

 マンチェスター行脚の第2ラウンドで結果を出したフォレストとようやく連勝で軌道に乗りつつあるアストンビラ。4位争いを視野に入れるタイミングでの直接対決となった。

 どちらのチームも守備のスタンスは二段構え。敵陣でのハイプレスと自陣でのリトリート至上主義の両にらみで相手にスピードアップをさせない。

 特にアストンビラはこのプレーの駆け引きで直近の勝利を手にしているチーム。ブレントフォード戦に代表されるように相手にプレスをかけることを促して、そこをひっくり返して一気に攻め立てる形がとても効果的だった。

 だが、フォレストはこの点の使い分けがビラのこれまでの相手よりも上。早めのリトリートで自陣をきっちりと固める。

 ビラは保持時は3-4-3に近いフォーメーション。ナチュラルな立ち位置で相手の2トップの脇に立つ。だが、ここからズレを細かくつくのではなく、アバウトなボールを前線に入れることに終始する。

 その点ではカウンターベースのフォレストの方が逆に速攻から攻撃機会は安定。高い位置を取るWBの背中からあっさりと前進。カウンターからのチャンスを作っていく。粘り強く保持を行うビラは少しずつライン間のロジャーズ、ティーレマンスから少しずつチャンスを作る。

 後半も試合には変化なし。ボールを持つスタートをしたビラがカウンターベースのフォレストを押し込んでいく。前半と少し変化があったのは高い位置からプレスを仕掛けていく姿勢。ビラの後半の陣形はキャッシュが中盤とフラットな4バックに近い形となっていた。後方ではマルティネスが奮迅。自分より後ろに入り込んでしまったボールを奇跡的なセーブで防ぎきる。

 すると、このセーブに応えるようにビラは先制点をゲット。ロジャーズの左方向への旋回する動きでフォレストのブロックに穴を開けると最後に仕留めたのはデュラン。ついに試合を動かす。

 保持で試合をコントロールしようとするビラに対して、フォレストは攻撃的な交代から徐々に押し込み返すように。ギブス=ホワイトからエランガのバックドアでネットを揺らしたシーンはオフサイドとなったが、セットプレーの流れからミレンコビッチが決めたゴールで試合を振り出しに戻す。

 そして、最終盤にはエランガ。押し込むというこれまでにないフェーズで逆転勝ちという結果を出したフォレストが勝ち点3を確保した。

ひとこと

 フォレストが多方面にシャープになっている証拠と言えそうな90分だった。

試合結果

2024.12.14
プレミアリーグ 第16節
ノッティンガム・フォレスト 2-1 アストンビラ
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
NFO:87′ ミレンコビッチ, 90+3′ エランガ
AVL:63′ デュラン
主審:サム・バロット

ブライトン【7位】×クリスタル・パレス【17位】

失点の大安売りで宿敵に勝利を献上

 上位陣の停滞が目立つ中で勝てば上を見据えることができるブライトン。下位勢に取りこぼしが目立っている嫌な流れで迎えるのは、最もポイントを落としたくない下位勢であるクリスタル・パレスとのM23ダービーだ。

 序盤に主導権を握ったのはブライトン。特にこの日執拗に狙っていたのはWGの背後を狙う動き。三笘、ミンテが斜めのランでパレスのDFの背後を狙っていく。

 加えてブライトンはプレスでも積極策。サイドにボールを追い込みながら高い位置から刈り取ってのショートカウンターを狙っていく。ハイプレスからのショートカウンターや、背後を狙うダイレクトなラン。ブライトンの攻撃はやや手数的には少なめではあったが、きっちりと主導権を握るものではあった。

 一方のパレスはショートパスでは詰まらされ、前線へのロングボールは収まらないという苦しいスタート。だが、活路を見出せないままに迎えたセットプレーをモノにして先行。ニアでフリックしたボールを最後はチャロバーが叩き込んで先制する。ブライトンはニアでのフリックとチャロバーでの取り込みの2箇所でマーカーを外してしまい、先に相手に触られてしまった。

 さらにはセットプレーからのリスタートで、左サイドにフィードを送ったパレス。ミッチェルに対面したランプてぃは空振りをかましてしまい、ここからの折り返しに飛び込むサールをダンクは逃してしまった。ミスが連鎖するブライトンはあっさりと追加点を許してしまう。

 こうなるとペースはパレス。収まらずに苦戦していたロングボールにもブライトンはバタバタするようになり、完全にリズムはガラッと変わる。得点でリズムを掴んだパレスが優勢でハーフタイムを迎える。

 苦しむブライトンはランプティに代えてエンシソを投入。3バックにシフトチェンジ。CHの縦関係は維持しつつ、いざとなれば左にCBのエストゥピニャンを動員できるシステムになった。

 三笘、ミンテの両サイドから攻め込むブライトン。しかしながら、ヘンダーソンのファインセーブとラクロワの集中した対応でブライトンのチャンスをパレスがシャットアウトする。

 いつもに比べれば交代選手のパフォーマンスも安定。鎌田はプレスバックできっちりと貢献していたし、エンケティアもカウンターでの運びはいつもよりは落ち着いていた。

 まったりとした展開に持ち込むことに成功したパレスはロングキックから追加点をゲット。またしても対応を誤ったダンクを出し抜いたサールがこの日2ゴール目を仕留める。

 セットプレーのわちゃわちゃからオウンゴールを決めて1点を返したブライトンだったが、パレスの3点目で実質試合は終了だろう。最後はこの日を象徴するようなヘンダーソンのシュートストップで締め。パレスがアウェイでダービーを制した。

ひとこと

 ブライトンは失点が安い。前がかりになったとかじゃなくてゴールキックでの対応ミスはつらすぎる。

試合結果

2024.12.15
プレミアリーグ 第16節
ブライトン 1-3 クリスタル・パレス
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:87′ グエイ(OG)
CRY:27′ チャロバー, 33′ 82′ サール
主審:マイケル・オリバー

マンチェスター・シティ【4位】×マンチェスター・ユナイテッド【13位】

不可解なシティのロングボール

 ともに前節は勝つことができず。ともに文脈は違えど、なかなか不調を脱却できないまま迎えるマンチェスター・ダービーとなった。

 序盤はシティの保持でスタート。左のSBにはヌネス、中央ではグバルディオルの列上げ。CBの位置にはウォーカーとディアスがストッパー役として入る。ユナイテッドの非保持はディアロとホイルンドを前に残す5-3-2ベースだ。

 シティの崩しの主役は左サイド。ドクにボールを集めつつ、こちらのサイドに人を置くことでクロスまでの道筋を描いていく。ドクの強引さは悪くないものではあったが、パスの際にはわりと最短ルートを取りにいくため守備側にやたらと狙われてた感がある。

 ユナイテッドはカウンターベースでの立ち上がりとなったが、時間経過とともにボール保持の時間を増やしていく。シティの4-4-2での守備ブロックであれば、十分に動かして勝負に出る価値があると思ったのだろう。

 ユナイテッドはトランジッションでもチャンス。ウガルテのボール奪取がとても冴えていたが、同サイドで裏抜けを見せていたディアロがことごとくオフサイド。ちょっとあまりにも間が合わないなという感じのオフザボールのクオリティだった。

 強度が両チームともなかなか上がらないジリジリとした展開だったが、セットプレーで試合を動かしたのはユナイテッド。デ・ブライネのクロスのディフレクションを生かして、グバルディオルが先制ゴールを叩き込んで見せた。シティが前半にリードを奪って後半を迎える。

 後半、反撃に出たいユナイテッド。ボールを持ちながらシティのブロックを攻略していきたいところだが、右サイドの抜け出す連携は相変わらず取ることができず、苦しい状況が先行する。

 シティが時間経過とともにボールを持つようになるが、何も前触れのないところからボールを急に裏に蹴って失ってしまうなどとにかくらしくない。長いボールを使うケースは当然あるのだけども、基本的にはそのままゴールが見えるようなデ・ブライネ-ハーランドラインの速攻がベース。相手の陣形が動いていないところでとりあえず入れるということはあまり普段はしない。

 シティの保持のメリハリのなさによって、ユナイテッドは決定機を迎える。ドクのマイナス方向のミスからブルーノが得点機を迎えるが仕留めることができず。

 だが、ここで力を発揮したのはここまで連携面での不備が先行していたディアロ。ヌネスのパスミスから生じたピンチはエデルソンがうまく処理したように思えたが、ピンチをなんとかしたかったヌネスがディアロに突っ込んでしまいPKを献上してしまう。

 これで流れは完全にユナイテッド。レアンドロ・マルティネスからのファジーなところに落とすフィードに唯一反応したのはディアロ。ヌネスから逃げて、エデルソンが取れないところに出てきて角度のあるところから劇的なゴールを決める。

 終盤の劇的なゴールで逆転勝ちを決めたユナイテッド。低調さが際立つシティを下し、劇的な勝ち点3を手にした。

ひとこと

 シティ、ネガトラ強度はともかくとして保持でヘニョヘニョな感じになっているのはいくらなんでも不可解。グアルディオラのチームじゃないみたい。

試合結果

2024.12.15
プレミアリーグ 第16節
マンチェスター・シティ 1-2 マンチェスター・ユナイテッド
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:36′ グバルディオル
Man Utd:88′(PK) ブルーノ・フェルナンデス, 90′ ディアロ
主審:アンソニー・テイラー

サウサンプトン【20位】×トッテナム【11位】

大胆な一手は初手から・・・

 ラッセル・マーティンがこの試合をどういう位置付けに置いていたのかは今となってはわからない。確かなことはこの試合に4-3-1-2という大胆な一手で臨んだこと。そして、それが全くと言っていいほどトッテナムに対してハマらなかったことである。

 遠慮なく言えば、1点目が決まった1分から前半が終了した45+5分まで延々とペースを握ったのはトッテナム。初手となったのは右のSBのスペンス。反転から中盤を引き剥がし、スルーパスを仕留めたのはマディソンだった。

 このシーンのようにトッテナムはSBからのキャリーで敵陣に進撃。構造的な話として4-3-1-2で4バックに立ち向かう場合、まずはSBのところをどのように捌くかは初手である。しかしながら、この日のサウサンプトンはその初手も定まっていないように思えた。

 トッテナムのポゼッションはとにかく自在。SBがボールを持ち、中盤を引き寄せるとインサイドに。中央を経由して逆サイドまで簡単に持っていくことができており、薄いサイドからさらなる進撃を重ねることでサウサンプトンに圧力をかけていく。

 さらにことを悪くしているのはボックス内の軽い守備対応。相手に動かされてしまい、動かされた先では特に潰し切ることもしない。マーカーが変わればスイッチを切ってしまう。こうした対応の繰り返しで結果的には15分までに3失点を喫する。

 サウサンプトンは3失点を喫したことで4-3-1-2をギブアップ。5バックにシフトし、いつも通りの5-4-1に回帰することに。しかし、トッテナムは止まらない。左サイドのソンを起点に攻撃を続け、サールが4点目のゴールを奪う。

 5-4-1で下がってもチャンスがあればトランジッションの馬力を見せつけることができるサウサンプトンだが、この日は完全に不発。ホルダーが出ていく動きに対して呼応するメンバーは不在。40分にディブリングのタメ→マニング→アームストロングの決定機までチャンスを作るのは待つ必要があった。

 後半は特に改めていうことはない。引き続き5-4-1で受けるサウサンプトンはサイドの裏からチャンスを作りにいくが、なかなかトッテナムをこじ開けることができず。トッテナムは無理にプレスをかけずに、リトリート優先でプランを構築する。

 よく言えば穏やか、悪く言えば緊張感の薄い展開になり、終盤はゆったりとした時間が流れる中でサウサンプトンがゴールを狙うという流れだった。

 最後まで展開は変わることはなくトッテナムが勝利。サウサンプトンはこの試合を最後に監督を交代することとなった。

ひとこと

 相手が相手ということは踏まえないといけないがゲームメイクに奔走したベリヴァル、先制点の起点となったスペンスといった少ないプレータイムの選手が結果を出したのは良かったと思う。

試合結果

2024.12.15
プレミアリーグ 第16節
サウサンプトン 0-5 トッテナム
セント・メリーズ・スタジアム
【得点者】
TOT:1’ 45+5‘ マディソン, 12’ ソン, 14‘ クルゼフスキ, 25’ サール
主審:ダレン・イングランド

チェルシー【2位】×ブレントフォード【9位】

昨季ベースのブレントフォードをこじ開ける

 今季はいつになくアグレッシブな姿勢を見せていたブレントフォード。直近は4-4-2をベースにした形はアタッカーを並べる攻撃的なオプションとなっていたが、この試合ではかっちりとした3-5-2を採用。トーマス・フランクはそれだけチェルシーを警戒していたということなのだろうか。前から追う意識を持っていなかったというわけではないが、ジリジリとしたリトリートを厭わないあたりは少し今季のブレントフォードとは違う印象だった。

 というわけでチェルシーは2トップ脇から前進していく。堅いブロックの相手に対してはジャクソンのラインブレイクから動かしていくという形が今季のチェルシーの定番。一方的に押し込みつつ、ジャクソンの裏抜けからブレントフォードの守備ブロックを押し下げにいく。

 あわよくば高い位置からというブレントフォードのプレスはきっちりと外したチェルシー。試合を保持をベースにコントロール。ブレントフォードの3バックからの保持も特に機能をしておらず、チェルシーがブレントフォードのブロックを壊せるか?という展開が続く。

 キーマンとなったのはククレジャ。飛び出すアクションから右サイドのクロスを合わせて前半終了間際に先制ゴールをゲット。なかなか開くことがなかった扉をこじ開ける。

 後半も引き続きチェルシーはボールを持ってのコントロールしにかかる。ブレントフォードは前半以上に強度の高いプレスでチェルシーにプレスをかける。前半ほどはチェルシーを制御していたという印象はなく、ブレントフォードもサイドの人数をかけた攻撃が機能し、厚みのある形を見せることができていた。

 拮抗した展開の中でチェルシーは60分に特大決定機。左サイドからのクロスが抜けてきたところにフリーのジャクソンがシュートを放つが、このシュートは枠外。絶好のチャンスを逃すこととなる。

 しかし、そのジャクソンが80分に面目躍如の追加点をゲット。カウンターから対面のピノックを圧倒し、貴重な2点目を仕留める。

 ブレントフォードが構築するチャンスはサンチェスのセービングが立ちはだかることで帳消し。ようやく終盤にハイライン破りからムベウモが1点を返すが、反撃もここまで。いつもと違って例年通りのブレントフォードのブロックを攻略したチェルシーが逃げ切り勝利でリバプールとの差を詰めた。

ひとこと

 久しぶりに見たぜ、このモードのブレントフォード。

試合結果

2024.12.15
プレミアリーグ 第16節
チェルシー 2-1 ブレントフォード
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:43‘ ククレジャ, 80’ ジャクソン
BRE:90‘ ムベウモ
主審:ピーター・バンクス

ボーンマス【8位】×ウェストハム【14位】

パワー勝負の意外な着地点

混戦模様のプレミアリーグ。特に注目度が高くなっているのが欧州カップ戦争い。敗れ続けるシティが空けた4位の座を巡って熱い戦いの火蓋が切って落とされた感がある。ボーンマスもそのチャレンジャーの一人だ。

 ボーンマスはダイレクト志向強め。エヴァニウソンへのロングボールを軸に速いテンポで勝負を仕掛ける。セメンヨがターゲットとして機能していたのも面白いところ。スピードだけでなく、彼の身長を生かすというパターンはなかなか珍しい。彼へのロングボールもしっかりとチャンスに繋がっていた。

 一方のウェストハムはサリーからの噛み合わせのずらしから外循環で勝負。特にクドゥスを軸とした攻略が効いている。

 アンカーのアルバレスが降りるアクションをするためSBは高い位置に。ナローになる2列目は横のコンビネーションも。パケタも加えた3人が中央の狭いところを攻略しにかかる。序盤はボーンマスが押し込む展開となったが、徐々にウェストハムが押し返す時間帯となっていく。

 時間の経過とともにどのようにサイドアタッカーを活かすか?という展開となったこの試合。後方のキャリーからアタッカーを解放する場面を互いに作っていく。特に決定的なチャンスになったのはボーンマス。右サイドからのクロスでセメンヨが決定機を迎えるが、このシュートはファビアンスキのセーブに遭ってしまう。

 ハイプレス合戦が始まった後半。主導権を握ったのはボーンマス。ロングボール、トランジッションなど幅広いアクションからゴールを狙っていく。アタッキングサードで特に効いていたのは左サイドからのカットイン。下がって受けようとする傾向が強いウェストハムに対して、ミドルシュートを終点とした攻撃で押し込んでいく。おそらく、この時間帯はこの試合において最も片方のチームに主導権が流れた時間帯と言えるだろう。

 ウェストハムは4-2-3-1にシフトチェンジ。ソレールに代えてトップにフュルクルクを置くことで前線にパワーを注入していく。こちらはパワーを重視した根性での押し返し。それなりに奏功し、ボーンマスの一方的なペースはなんとか回避することができた。

 一方のボーンマスも機能しだした交代ユニットから反撃に。ウナルとビリングのセットに組み替えることで前線のパワー勝負に応戦する。

 均衡を破ったのは意外なプレーから。クロスに対するアダムスのあまりにも軽率なハンドからウェストハムがPKを獲得する。

 リードを許したボーンマスだが90分に同点ゴール。ウナルの直接FKという意外な引き出しで流れを引き戻すことに。パワー勝負に傾倒するかと思われた終盤戦は意外な着地で決着。勝ち点1を分け合う結果となった。

ひとこと

 ボーンマスの前線の継投がうまくいきつつあるのはちょっと他のチームからすると面倒くさそう。

試合結果

2024.12.16
プレミアリーグ 第16節
ボーンマス 1-1 ウェストハム
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:90‘ ウナル
WHU:87’(PK) パケタ
主審:クリス・カヴァナー

今節のベストイレブン

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