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「Catch up Premier League」~Match week 20~ 2025.1.4-1.6

目次

トッテナム【11位】×ニューカッスル【5位】

完成度の差が出た前半が勝敗を分ける

 正月モードも最終盤。過密日程のトリとなる第20節はノースロンドンからスタート。苦戦が続くトッテナムがニューカッスルを迎えての一戦に挑む。

 苦しいトッテナムだが早々に先制ゴールをゲット。前節も好調だった右サイドでの連携から。遅れて入ってきたポロがゴードンより素早い攻め上がりでクロスを入れて、ソランケがマークをものともせず叩き込んだ。ボットマンにとってはいきなりタフな復帰戦となった。

 しかし、ニューカッスルはすぐに同点に。ハイプレスに対してショートパスのコンビネーションからのプレス回避を狙うトッテナムをくじき、ショートカウンターからゴードンがゴールを決める。手に当たった!と言いたいスパーズファンの気持ちはわかるが、あそこまで寄せられてしまった時点でもはやエラーはいつ起こっても仕方ないのも確か。自軍のビルドアップにも傷はあるなという感じであった。

 このシーンのようにニューカッスルはプレスのスイッチの入れどころを心得ているように見えた。即席の中盤+DFユニットということでトッテナムのぎこちなさは仕方ない部分ではある。特に左サイドのユニットは厳しい。スペンスが地雷の状態でグレイにパスをつけるのを何度も見た。

 GKのオースティンはショートパスの制限をかけられてプレスがかかっている位置へのパスへの誘導を喰らうことも。ハイボール対応は安定していたので、ダメなところばかりのデビュー戦ではなく、きっちりやれることを示した試合となった。

 どちらもそれなりにプレスには手応えを感じる展開ではあったが、やはりスピード感に後ろが飲まれやすかったのはトッテナムの方。時間の経過とともにニューカッスルが組織の安定感を軸に攻め込む時間を増やしていく。

 特に効いていたのは右サイド。マーフィー周辺の崩しからサイドの背後を取り、折り返しから決定機を作っていく。40分手前のシーンもマーフィーから。縦へのスライドにはスペンスが付いていったように思えたが、股抜きでクロスを通されると、ラインを下げ損ねたドラグシンが処理を誤り、イサクがゴールを決める。

 この右サイドと中央のライン間のコンビネーションをベースに残りの時間もペースを握ったニューカッスル。スコアをひっくり返し、内容も制圧する満足度の高い前半の45分となった。

 後半、トッテナムはドラグシンが交代し、さらにDFラインのやりくりは厳しいことに。CBに送り込まれたスペンスはボールを持つ方でも、カウンターを受ける方でも怖いがここはさすがに本人を責めるのは酷である。

 サイドからの押し下げに関してはトッテナムはできていなくはなかったが、サイドで高い位置を取る分、ニューカッスルにひっくり返されてのカウンターを食らうなどそれなりに代償を支払う必要があった。ニューカッスルは中盤の背後を取れれば致死性の高いカウンターを繰り出すことができていた。

 60分過ぎのトッテナムの3枚交代はポステコグルーの勝負手。レギュラークラスを3人投入し、試合の流れを変えに行く。ナチュラルにサイドにボールを集めやすい形からさらに敵陣での時間を増やしていく。さらにはマディソンとソンのいる左サイドもクオリティが上乗せ。もともと崩しが期待できる右サイドに加えて両サイドから攻め筋が見えるように。

 終盤まで追い縋ったトッテナムだが、得点を掴むことはできず。逆転負けでリーグ戦は4試合勝利なしとなった。

ひとこと

 20試合で勝ち点24。CLボーダーが70とすると18試合で46ポイント取らないと食い込めないことに。相当厳しい数字。

試合結果

2025.1.4
プレミアリーグ 第20節
トッテナム 1-2 ニューカッスル
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:4‘ ソランケ
NEW:6’ ゴードン, 38′ イサク
主審:アンディ・マドレー

ボーンマス【7位】×エバートン【16位】

大味な苦しみの中で勝利を掴んだボーンマス

 12月のリーグ戦は無敗で走り抜くことに成功。連勝で駆け抜けたヌーノに最優秀監督の座こそ譲ったものの、イラオラも十分に素晴らしい仕事をしている。

 ボーンマスは今節もロングボールから縦に速いスタート。エバートンは当然この動きに乗ってくる。こちらも縦に速い攻撃から全面的に対応する。

 5分が過ぎたところでクリスティがサリーでボールを落ち着かせようとするが、10分になるとエバートンが押し返すことで試合は再びオープンに。オープンな展開でよりチャンスを作っていたのはホームのボーンマスだが、ピックフォードが立ちはだかることでなかなかゴールを奪い切ることができない。

 エバートンとボーンマスのチャンスの差になっていたのはFWの動きの質だろう。エヴァニウソンの動き出しはかなりクリティカル。エバートンのどっしりとしたFW陣とは異なった魅力で相手のバックラインを揺さぶることができていた。

 優勢に試合を進めるボーンマスは終了間際にセットプレーからハイゼンがチャンスを作るがネットを揺らすことはできず。試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。

 劣勢のエバートンは2人交代によるテコ入れを実施。左右からゆったりと押し下げるアクションからポゼッション色を強めた攻め筋で敵陣に迫っていく。

 ボーンマスはカウンターで応戦。エヴァニウソン、セメンヨというロングボールのターゲットを生かしながら少ない手数で陣地を回復する。

 後半の中盤はどちらも停滞。ボーンマスは強引さが先立つ展開になっていたし、エバートンは左右からクロスを上げることはできていたものの、肝心のシュートが全く枠に飛ばない始末だった。

 苦しくアバウトな展開の中でゴールを生み出したのはボーンマス。セメンヨへのロングボールを起点として攻撃を完結させたのはブルックス。77分になんとか試合を動かす。

 以降も有効な攻撃を見せていたのはボーンマス。降りるウナルからの前進ルートの構築で効果的に攻撃を組み立てていく。

 最終盤は4-4-2への移行でパワープレーに挑んだエバートンだが、最後までボーンマスに跳ね返されて終了。枠内シュートは0のままでボーンマスに勝ち点3を奪い取られる格好となった。

ひとこと

 大味な苦しみを両チームから感じる展開だった。

試合結果

2025.1.4
プレミアリーグ 第20節
ボーンマス 1-0 エバートン
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:77′ ブルックス
主審:ジョン・ブルックス

アストンビラ【9位】×レスター【19位】

テイストを変えたバークリーが後半に試合を動かす

 監督交代も落ち着き、再び勝利が遠い時期に入ったファン・ニステルローイのレスター。今節は9位から上位を狙って勝利を重ねたいアストンビラのホームに乗り込んでの一戦となる。

 序盤からボールを持ったのはホームのアストンビラ。中盤での守備をスタート地点とするレスターに対して、一方的にポゼッションをしていく展開に。レスターも保持に回れば3-2-5からポゼッションをしていくが、機会の点では明らかにアストンビラの方が多い展開だった。

 ただ、クリティカルな崩しがあったかどうかは難しいところ。ビラのポゼッションはU字が基本であり、レスターのブロックの中に入っていく手段構築に苦労した感がある。前半の終盤にはカマラとティーレマンス主導で右サイドの攻略に挑んでおり、これはそれなりに手応えがあったが、ここに行き着くまでは安定したポゼッションに上乗せするものがなかった。

 レスターも問題点は似ていて安定感のあるポゼッションに上乗せするものがなかなかなかった。ビラのような前に多くの人数をかける攻撃をするチームが相手ならば、本来であればライン間の2列目が前を向き、そこからのカウンターというのを狙っていきたいところだろうが、そうした馬力を出すことができずに苦戦。互いに得点のきっかけを掴めないままハーフタイムを迎える。

 後半も同じく互いに保持のターンが長い展開。サイドから決め手を作れずに苦戦する。そうした中で少しテイストの違うトライに挑んでいたのはバークリー。インサイドに入り込むような突撃を見せて、押し込む局面にアクセントをつける。

 先制ゴールを決めたのはそのバークリー。セットプレーから続く攻撃の最後をシュートで締めて後半にようやくリードを奪う。

 しかし、レスターもワンチャンスから同点。ワトキンスの雑なパスをカットしてからのカウンターで背後をとってクロスまで。逆サイドのマヴィディディまでボールを届けてスピーディな攻撃を完結させる。

 だが、ビラは保持から攻撃を組み直すと、交代で入ったマートセンが直後に大仕事。左サイドでのパスカットから攻勢に転じ、いきなり勝ち越しゴールをお膳立てして見せた。

 終盤は反撃のきっかけを掴むことができなかったレスター。接戦に持ち込むが勝ち点を得ることはできなかった。

ひとこと

 内容からすると正直よく接戦に持ち込んだなという感想で、なかなかレスターは厳しい内容だった。

試合結果

2025.1.4
プレミアリーグ 第20節
アストンビラ 2-1 レスター
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:58‘ バークリー, 76‘ ベイリー
LEI:63’ マヴィディディ
主審:ジャレット・ジレット

クリスタル・パレス【15位】×チェルシー【4位】

連敗ストップも未勝利のトンネルは脱せず

 試合前の会見でマレスカがフォファナがシーズンアウトの可能性を口にしたことで激震が走ったチェルシー界隈。注目のCBの人選はアチャンポン。いきなり歯応えのあるマテタとのマッチアップに挑む。

 もっとも、そうした観点での対戦がフィーチャーされる前にチェルシーはリードを奪う。チェルシーはカイセドのサポートをつけずにSBは幅をとり、エンソが前に立つ布陣。ライン間と大外に人をおいた形でパレスの後ろに重い守備に対抗する。

 先制点のきっかけとなったのは左サイドのサンチョ。絞りながら降りて受けることでリチャーズを翻弄。最終的には3人を惹きつけてパーマーのシュートを演出する。パレスとしてはできるだけ5バックを動かさないままサンチョに対応したかったところ。かなり動かされて、自ら対応を難しくしてしまった。

 保持でも苦戦が目立つパレス。広がる3バックはどこにもパスコースが見つからないまま、繋ぐたびに苦しくなるパスを味方につけてはなんとかボールを捨てていた。それでも無理やり前線のマテタに当てればファウルをもぎ取ってくるのだからすごいけども。

 前半の中盤からパレスはボール運びが安定。ロングボールを回収、もしくは左サイドからの横断で右にオーバーラップするムニョスからチャンスメイクを行う。ボックス内の跳ね返しにはやや不安定感があったチェルシーだが、なんとか無失点。押し込まれる流れも見事にパルマー→ジャクソンのスルーパス一撃でひっくり返すお手軽さも見せた前半だった。

 後半の立ち上がりこそ、ハイプレスに出たチェルシーだったが、すぐさまパレスは反攻。ムニョスのいる右サイドからアイソ気味にチャンスを作っていく。

 チェルシーは少し流れが悪い入りとなった。簡単なパスミスやサンチェスのパスミスから相手にボールをプレゼントしてしまうことに。左右のクロスやセットプレーでパレスは徐々にゴールに迫る。

 少しずつ押し返しながら左サイドからチャンスを作るチェルシーだが、ゴールを決め切ることはできず。サイドの裏を取る形から決定的な場面を作ることもあったが、肝心のシュートが枠を逸れていった。

 そうこうしているうちにパレスは同点ゴールをゲット。高い位置でボールを奪うと、チェルシーのDFがラインを整える前にブレイクに成功。そのままの流れでマテタがゴールを決める。

 交代選手から流れを作りたい両チームだが、これ以上のゴールが生まれることはなし。チェルシーは3連敗こそ回避したものの、4試合負けなしは継続することとなった。

ひとこと

 ここに来て停滞が目立つチェルシー。交代選手の使い方からはイプスウィッチ戦を受けての新しい切り口探しも兼ねているように思える。

試合結果

2025.1.4
プレミアリーグ 第20節
クリスタル・パレス 1-1 チェルシー
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:82′ マテタ
CHE:14′ パルマー
主審:ティム・ロビンソン

サウサンプトン【20位】×ブレントフォード【12位】

ファストブレイクで垣間見えた地力の差

 監督を交代して依然状態が上向かないサウサンプトン。解任ブーストというものなのなど、プレミアの壁の厚さの前では存在しないんや!という状況を突きつけられている。

 リトリート気味に受けにいくサウサンプトンに対して、ブレントフォードは左右のサイドから押し込んでいくスタート。サウサンプトンも保持に回ればショートパスから人数をかけて前に進もうとするが、この形が仇に。

 ブレントフォードの先制点は中盤でのトランジッションから。ダムズゴー→シャーデの裏抜けから一気にバックラインを攻略すると、安易に飛び出してきたラムズデールが開けたコースに流し込んだ。

 追いかけたいサウサンプトンだが、なかなかボールを奪う形を設計できず。いい形からファストブレイクに繋げることができない。ブレントフォードはきっちりとリトリートする意識があったため、押し込むことはできたサウサンプトン。だが、むしろサウサンプトンの押し込みは両チームのブロック守備の完成度の差が浮き彫りになる結果に。切れ目をあっさりと活用されてスピードアップをされるサウサンプトンの守備とは異なり、ブレントフォードのブロックに対してそうしたきっかけを掴むことができなかった。あらゆる局面においてブレントフォードに地力の差を見せつけられた前半のサウサンプトンだった。

 後半もペースはブレントフォード。コリンズのキャリーから右サイドに突進していくと、一気に敵陣に入っていく。サウサンプトンは幅を使ったポゼッションから押し返しにいくが、前半と状況は同じ。ミドルブロックからのカウンターで反撃に。サイドから押し込むことができても、そこから一気にやり返すことでブレントフォードはカウンターのチャンスを得る。

 この形からムベウモのカウンターから追加点。アタッカー数人で攻撃を完結させてリードを広げる。さらにはセットプレーからのホールディングでウゴチュクがPKを献上。これでブレントフォードは試合を決める3点目を手にした。

 以降はブレントフォードがサウサンプトンを攻めダルマに。一応サウサンプトンは保持で息を入れるタイミングを作れていないこともなかったが、後半の追加タイムで2点を追加したのはブレントフォード。どうしても点が欲しいという様子でボックス内に突撃していったルイス-ポッターには待望の得点だったことだろう。

 試合は0-5。一方的な攻めからワンサイドで試合を決着させた。

ひとこと

 時間の経過とともにリードを徐々に広げていた。

試合結果

2025.1.4
プレミアリーグ 第20節
サウサンプトン 0-5 ブレントフォード
セント・メリーズ・スタジアム
【得点者】
BRE:6′ シャーデ, 62′ 69′(PK) ムベウモ, 90+2′ ルイス-ポッター, 90+4′ ウィサ
主審:スチュアート・アットウェル

マンチェスター・シティ【6位】×ウェストハム【13位】

サヴィーニョ、ハーランドに復調の兆し

 レスター相手に久しぶりの勝利を手にしたシティ。連勝を狙うべく、ホームのウェストハムとの一戦に挑む。

 序盤は一方的にボールを持つスタート。インサイドにリコが入るところから3-2をベースにボールを動かしていく。ウェストハムはサマーフィルを後ろに下げた5枚で受ける形。

 ただ、一方的にシティは保持をするわけではなく、ウェストハムの保持に対してはきっちりとリトリートのブロックを組み、中盤の切れ目から前進を狙っていく。ともに保持からこじ開けるルートを探っていく序盤戦となった。

 先制点を決めたのはシティ。サヴィーニョの強引なシュートの選択が奏功し、先制ゴールをゲット。コーファルに当たったボールがそのままネットに入った。

 ウェストハムはサマーフィルがアカンジから単独でボールを奪い、ビックチャンスを手にしたかと思われたが、これはファウルの判定。サマーフィルはライン間にも入り込むなどあらゆる局面で存在感を発揮する。

 ともになかなか枠内シュートを生み出すことができない展開の中で、目立ったのは先制点で勢いが出てきたサヴィーニョ。サイドに流れるハーランドとともに左サイドからチャンスを作っていく。

 前半の終盤には左サイドからのクロスでファーのハーランドを狙った一撃で追加点。どちらかといえば、サヴィーニョを左においた意義はこっちの得点の方にありそう。目の前の相手にぶち当てて攻撃を終わらせてしまうという右サイドでの悪癖を矯正するためと予想する。

 後半も保持で勝負するシティ。この試合ではハーランドの積極的な前進への関与が目立つ。好調の2人のユニットから以降も主導権を握ったのはシティ。サヴィーニョ→ハーランドのパスからあっさりと3点目を奪う。さらにハイプレスでフォーデンが4点目をゲット。リードをガンガン広げる。

 ウェストハムはワン=ビサカとサマーフィルのワンツーから前進を狙っていくが、逆にシティの少人数の攻撃から返り討ちに合う展開に。左サイドのラインブレイクからチャンスを作り、フュルクルクが1点を返すが反撃はここまでとなった。

 シティは4得点で連勝に成功。ここから反撃に出ていけるかが注目だ。

ひとこと

 中盤のスペースの空きなど今の陣容でカバーしきれないところの穴は相変わらずだが、今できる部分での調子は上がってきているように思う。上昇気流に乗るきっかけを作れればなという勝利となった。

試合結果

2025.1.4
プレミアリーグ 第20節
マンチェスター・シティ 4-1 ウェストハム
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:10′ コーファル(OG), 42′ 55′ ハーランド, 58′ フォーデン
WHU:71′ フュルクルク
主審:マイケル・サリスベリー

ブライトン【10位】×アーセナル【2位】

崩れた1-0の青写真

 レビューはこちら。

 ロンドンでの引きこもり生活を続けていたアーセナルにとっては久しぶりに外に飛び出してのアウェイゲーム。といっても遠征先はまだまだロンドン近郊の位置づけとなるブライトンである。

 共に保持からリズムをつかんでいく立ち上がり。アーセナルの狙い目は右サイド。2トップ脇に立つトーマスとIHのサイドフロー、メリーノやトロサールといった逆サイドの選手の出張により右サイドに起点を作り、ブライトンの左のブロックの守備者を釣りだしていく。

 先制点もこの形から。右サイドでのパス交換から最後は背後を取ったヌワネリがゴールをゲット。スライドしたファン・ヘッケが寄せ切る前のフィニッシュでアーセナルにリードをもたらす。

 一方のブライトンも保持から勝負を仕掛ける。前半は縦に速く前線にボールを当てるスタートとなったが、リードを得たアーセナルのプレスが弱まったこともあり、時間の経過と共にゆったりとしたポゼッションを増やしていく。

 左の外に立つアディングラからのチャンスメイクとライン間に立つオライリー、アヤリ、グルダの使い分けからチャンスを作る。初めはライン間での待ち構えの効果は薄かったが、アーセナルは珍しく中央が空くケースがあり、前半の終盤にはそれなりに効果がある形に持ち込むことが出来ていた。

 アーセナルはこれを受けて後半は4-5-1にシフトチェンジ。中盤の密度を高めて1-0での逃げ切り体制に走る。ブライトンの攻撃に対してはそれなりに見切ることが出来ていたアーセナルだが、アクシデンタルなPK献上でブライトンに追いつかれてしまう。

 追いかけるためにライスを中盤に下げてウーデゴールを投入するアーセナル。しかし、ライスが位置を下げたことで彼を徹底的に潰していたバレバが前にもエネルギーを割くことが出来るように。得点を奪いに行くアーセナルに対して、ブライトンは中盤からつないでチャンスを作るなどで対抗。よりオープンな展開でもアーセナルと渡り合うことに成功する。

 終盤は中4日と中2日のコンディション差が出る展開に。交代選手のプレスバックでアーセナルの攻撃を寸断するブライトンは明確なチャンスを作らせない。ヘロヘロな状態でも後ろの守備の強度を落とさずにチャンスの量に抑えたアーセナルもさすがといえる終盤となった。

 チャンスの少ない終盤はどちらも一撃を入れることができないまま終了。試合は勝ち点1を分け合う形で幕を閉じた。

ひとこと

 明らかに1-0を狙っていたアーセナル。PK献上でプランがくるってしまった格好だ。

試合結果

2025.1.4
プレミアリーグ 第20節
ブライトン 1-1 アーセナル
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:61′(PK) ペドロ
ARS:16′ ヌワネリ
主審:アンソニー・テイラー

フラム【8位】×イプスウィッチ【18位】

PK狂想曲に勝者はなし

 ともにフォーメーションは5-4-1にチャレンジ中。4バックから5バックへのシフトチェンジを狙っているかもしれない両チームの激突だ。

 序盤にボールを持ったのはフラム。イプスウィッチのハイプレスをGKを絡めたビルドアップで抑え込む。イプスウィッチは自陣でのリトリートと敵陣でのプレスのメリハリがはっきり。アーセナル戦などと比べると、マイナスのパスに対してラインを上げる隙を伺うなどのマイナーチェンジは感じる出来だった。

 一方のイプスウィッチはファストブレイク中心。前線に素早く当てる形である。ただし、フラムはリトリートが早いので、結果としてボールを持って解決策を探る形に強制的に持っていかれるケースも少なくなかった。

 時間の経過とともに優位に立ったのはフラム。ライン間への楔やサイドでのダブルチームのぶち抜きなど徐々にイプスウィッチのブロック守備の危うい部分を露呈させていく。中でもヒメネスとウィルソンから作り出したチャンスは相手のファウルに止められてしまったもののクリティカルなものだった。

 しかし、そんな優位な状況でも先制点を手にできるとは限らないのでサッカーは難しい。先制点はイプスウィッチ。左サイドからのクロスに対してフラムは処理をしきれず。最終的にはスモディクスが押し込み先行。やや意外な形でイプスウィッチがリードを奪い、試合はハーフタイムを迎える。

 後半、フラムは選手交代を敢行。ディオプに代えてスミス・ロウを入れる。4バック移行のようにも見えたが、ワイドには少し高い負荷の守備をお願いしていたし、保持でも大外のレーンはロビンソンとウィルソンに固定する。

 展開としてはややフラムはイプスウィッチに絡め取られそう感も。ゆったりとしたペースに巻き込まれてしまい、出力を出せないというフラムのあるあるパターンにハマり、少しずつ試合のテンポを落とされていく。

 しかしながら、ここからなんとか試合を動かすフラム。69分にOFRからPKを獲得し、このPKをヒメネスが仕留める。さぁ、ここから逆転!としたいフラムだったが直後にカスターニュがPKを献上。すぐさまイプスウィッチがリードを取り返す。

 そして、後半ATにはこの試合で3つ目のPK。こちらは文句なしのコンタクト。デイビスがPKを献上してフラムは同点に追いつくことに。

 PK狂想曲となっていた後半。勝者は生まれず、勝ち点1を分け合う結果となった。

ひとこと

 5バックの位置付けも含めて全体的にどっちのチームもポジティブな要素は少ないように見えた。

試合結果

2025.1.5
プレミアリーグ 第20節
フラム 2-2 イプスウィッチ
クレイブン・コテージ
【得点者】
FUL:69′(PK) 90+1′(PK) ヒメネス
IPS:38′ スモディクス, 71′(PK) デラップ
主審:ダレン・ボンド

リバプール【1位】×マンチェスター・ユナイテッド【14位】

ついに引かれたアモリムのベースライン

 追手であるチェルシーとアーセナルは共に引き分け。リバプールはホームに宿敵を迎える一戦で首位固めを狙う。

 序盤に保持で押し込むのはリバプール。ミドルブロックを組むユナイテッドに対して、サイドにボールを付ける形とライン間にボールを差し込む形を使い分けながら勝負を仕掛けていく。

 クローズドに試合を進めたいユナイテッドだが、ライン間の管理はやや甘め。リバプールは中央にパスを差し込むとカウンター気味に攻撃を加速させてアタッカーに仕上げの局面を作る。サイド攻撃においても遅れてボックスに入るガクポが決定機を迎えるなど完全に主導権はリバプールのものだった。

 一方的にペースを握られるユナイテッドだったが、左サイドからほんのりとカウンターを打つと徐々にペースを掌握。まずは非保持でライン間をコンパクトに維持することに成功し、リバプールの保持からの攻略プランの1つを封じる。

 おそらくはこの前半の中盤~後半の途中までの非保持でのコンパクトさはアモリムがベースで持っておきたい守備スタイルなのだろうと思う。ライン間をコンパクトに維持し、1つ外されてもシュートは打たせない陣形をキープ。リバプールの攻撃を徐々にシャットアウトしていく。

 後半もリバプールの狂ったリズムは戻すことができず、非保持でのユナイテッドのコンパクトさが際立つ展開に。右サイドからのパス交換で突破を図るユナイテッドを封じると逆に左サイドから敵陣でのプレータイムを増やしていく。

 すると、先制点を奪ったのはユナイテッド。リサンドロ・マルティネスのボール奪取からのカウンターでショートカウンターを発動。最後は再びリサンドロ・マルティネスがニア天井を抜く強烈なシュートでユナイテッドにリードをもたらす。

 リバプールは1つ1つのプレーの雑さが目立ち、完全にペースはユナイテッドに行きそうな展開。それでもひっくり返すことが出来るのが首位の底力。悪くなりかけた流れを帳消しにしたのはガクポ。切り返しでデ・リフトを置いていき、カバーが間に合う前に鋭いシュートで試合を振りだしに戻す。

 1失点目は味方と連携がうまくいかなかった部分もあったなという感じのデ・リフトだったが、2失点目につながるハンドは擁護しにくいところ。現代においては100%PKと判断される腕の上げ方。マイケル・オリバーはあっという間にOFRを終わらせて判定変更を下した。

 得意の逆転パターンに持ち込んだリバプール。だが、この日のユナイテッドは意地を見せる。生きていたカウンターから左サイドの突破に成功すると、最後はディアロ。アーノルドの背後を取った分、逆サイドのカバーが甘いのを見逃さず、マイナス気味に膨らみながらうまくクロスに飛び込んだ。

 終盤までチャンスがあった両チームだが、共に決め手となる一撃を打ち込むことはできず。試合は見ごたえのあるドローとなった。

ひとこと

 年末年始シリーズで一番見ごたえがあった試合かもしれない。最後のウガルテの繋ぎ、マジでくるっているなと思った。

試合結果

2025.1.5
プレミアリーグ 第20節
リバプール 2-2 マンチェスター・ユナイテッド
アンフィールド
【得点者】
LIV:59′ ガクポ, 70′(PK) サラー
Man Utd:52′ リサンドロ・マルティネス, 80′ ディアロ
主審:マイケル・オリバー

ウォルバーハンプトン【17位】×ノッティンガム・フォレスト【3位】

光り輝く先制点のカウンター

 ウルブスはプレスの位置を中盤に設定。フォレストにまずはボールを持つことを促すところからスタートする。

 フォレストはポゼッションからボールを動かしながら穴を探していく。ウルブスはサイドからカウンターベースでボールを運んでいく。スピードアップは順調で相手のSB-SHの間から加速し、敵陣に入ることができていた。

 だが、先制点をとったのはサイドからのスピードアップにスピードアップで返したフォレスト。先制点までのプロセスは素晴らしいの一言。ドミンゲスのリトリートはただでさえピンチの場面を防いだだけではなく、一気にカウンターに移行する繋ぎを見せたのがまず最高。アンダーソンがそのパスからカウンターに移行すると、エランガ→ギブス=ホワイトと最後は見事にサイドからのスピードアップを得点に繋げた。

 失点後はゆったりとポゼッションをするウルブス。左右のサイド、とりわけ左のリカルド・ゴメスの突破力は十分。押し込みながら勝負を仕掛けていく。誤算だったのは珍しくラーセンの決定力が輝かなかったこと。決定的なチャンスを阻まれてしまい、なかなか攻め切ることができなかった。

 対照的に先制点の場面のような長いレンジの攻撃が冴えていたフォレスト。ハドソン・オドイが左サイドからロングボールを収めてウッドの2点目に繋げる攻撃を構築。前半終了間際にリードを広げる。

 後半もフォレストは順調。エランガのスピードで早々にサイドから穴を開けていくことで、ドイルの警告を引き出していく。守備に回った際にはミレンコビッチの広い範囲のカバーからウルブスのサイドアタックを潰していく。

 さらに念には念を入れるフォレストは5バックでサイドを封鎖。クローズドに展開を制御することで試合を沈静化させる。

 試合をコントロールする力の差をウルブスに見せたフォレスト。先制点の素晴らしい流れから引き寄せた試合の主導権を離さないまま終盤まで時計の針を進め、仕上げはアウォニィが3点目をゲットする。完璧な形で2位のアーセナルに勝ち点を並べたフォレストだった。

ひとこと

 何回も言うけども、1点目が本当に素晴らしい。

試合結果

2025.1.6
プレミアリーグ 第20節
ウォルバーハンプトン 0-3 ノッティンガム・フォレスト
モリニュー・スタジアム
【得点者】
NFO:7′ ギブス=ホワイト, 44′ ウッド, 90+4′ アウォニィ
主審:ピーター・バンクス

今節のベストイレブン

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