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「Catch up Premier League」~Match week 11~ 2024.11.9-11.10

目次

ウォルバーハンプトン【20位】×サウサンプトン【19位】

あっさりと抜け出したトンネル

 勝利を挙げることが出来ない2つのチームに取り残されてしまったウルブス。今節対戦するのはすぐ上の19位。前節、トッテナム相手に今季初勝利を手にしたサウサンプトンである。

 サウサンプトンはいつも通りショートパスからの組み立てにこだわっていくスタンス。ステーフェンスの列上げからの4バック化でウルブスに対して揺さぶりをかけに行く。

 しかし、ウルブスもボール保持をベースに対抗。レミナのサリーからの4バック化でサイドを押し出していく。

 先制点はトランジッション気味な流れから。クーニャが得意なゾーンである左のハーフスペースでボールを受けると、ここから一気に加速。サラビアへの裏へのパスを通してゴールを陥れる。

 サウサンプトンは3バックの連携がまずかった。クーニャに奪われた際の陣形は中央のベドナレクと左右のCBの距離がイマイチで、そこの連動の甘さが最終的に背後を取られる縦のゆがみに繋がってしまった感があった。

 反撃に出たいサウサンプトンは失点以降ボール保持をベースに戦っていく。狙いとなったのは右サイド。アームストロングとウォーカー=ピータースのセットである右からクロスを入れていく形で勝負をかけていく。

 インサイドでアリボがポイントを作れるかも重要な要素。マニングがネットを揺らして場面ではアリボが内側で受けて叩くことで、大外での深さを作ることが出来た。だが、このネットを揺らしたシーンはフェルナンデスのファウルで取り消し。ゴールは認められなかった。

 この場面以降、ウルブスは中央のクローズが非常にスムーズに。深さを作らせないために速いチェックから相手のチャンスの芽を摘んでいく。

 保持に転じればドリブルを活かしたキャリーからチャンスメイク。左サイドのジョアン・ゴメスやクーニャから逆サイドへの展開で、相手を背走させながらのクロスまで持ち込むことができていた。

 後半、サウサンプトンはマニング→ディブリングの投入という勝負手で4-4-2に移行。しかし、その分空洞化した中央のスペースをクーニャに利用されてしまいまたしても失点を重ねることに。

 サイドの攻撃に関しても菅原の投入で強化を図るものの、中央をきっちりクローズするウルブス相手に深さを作ることができず。状況は膠着する。

 結局試合はそのまま終了。ここまで未勝利と苦しんだとは思えないほどあっさりとサウサンプトンに力の差を見せつけたウルブス。11月の代表ウィーク前にようやく未勝利を脱出した。

ひとこと

 ウルブスの方が地力が上という感じの試合だった。

試合結果

2024.11.9
プレミアリーグ 第11節
ウォルバーハンプトン 2-0 サウサンプトン
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:2‘ サラビア, 51’ クーニャ
主審:トーマス・ブラモール

ウェストハム【14位】×エバートン【16位】

パワーで押し切れず決め手に欠くスコアレスドロー

 序盤からロングキックの応酬となったこの試合。前線のターゲットに向けて割り切った長いボールを当てながらというシンプルな立ち上がりからスタートする。

 少し時間が経つとボールを持つ側に回ったのはウェストハム。アンカーのギド・ロドリゲスのサリーから3バック化し、CBを外に押し出す。外に出たCBがワイドのDFとしてボールをキャリー。エバートンはこの3人目のDFに対して追いかける姿勢は見せず、構えてウェストハムのポゼッションを受ける。

 エバートンはカウンターにフォーカス。ボールを奪ったところから縦への推進力を見せていく。エバートンは自陣での落ち着いた保持でも前進は可能。ブランスウェイトのキャリーから敵陣にパスを差し込んでいくことでチャンスを作っていく。

 一度敵陣に押し込むとエバートンのターンは割と継続。クロスと跳ね返しに対するセカンド回収のデュエルで優位に立ったエバートンは波状攻撃でボックス内に勝負を仕掛けていくことができた。

 押し込むとエバートンはカウンターを受ける側にもなる。だが、カウンター対応も安定したエバートン。秀逸なラインコントロールでオフサイドを取ることができて反撃の芽を摘む。

 どちらがボールを持つ側になってもなかなかこじ開けることができない両軍。少しチャンスが薄かったウェストハムがアントニオからのチャンスメイクでボーウェンがチャンスを迎えたが、これを生かせなかったところでハーフタイムを迎える。

 後半も展開は同じくチャンスが少ない展開。ジリジリとサイドから押し下げることができたのはエバートンの方。クロスから敵陣に入り込む形を作っていく。

 やや劣勢のウェストハム。カウンターへの対応も先回りして潰されてしまい苦しい流れではあったが、ボーウェンのカウンターから少しずつリズムを掴むと、サマーフィルが綺麗な抜け出しから決定機。だが、これはポストに阻まれてしまう。

 エバートンは根性で前進を見せていたキャルバート=ルーウィンからやや上り調子のベトに交代をするが、この交代は特に終盤の推進力にはならず。終盤にペースを掴んだのはウェストハムだった。

 最後の最後の決定機だったイングスのチャンスはピックフォードのセーブによって阻止。ラストチャンスをウェストハムが逃してしまったことにより、試合はスコアレスドローに終わった。

ひとこと

 両軍とも決め手にかける試合ではあったかなという感じだった。

試合結果

2024.11.9
プレミアリーグ 第11節
ウェストハム 0-0 エバートン
ロンドン・スタジアム
主審:スチュアート・アットウェル

ブレントフォード【12位】×ボーンマス【10位】

二度のビハインドを跳ね返しての逆転勝利

 互いにCBがGKを挟んで低い位置からポゼッションをしていくスタート。異なっていたのはプレッシングへの姿勢。より強気だったのはアウェイのボーンマス。前線がバックスにプレスをかけるのと連動して、クックが列を上げてブレントフォードの中盤を潰しに行くなど、敵陣でのボール奪取を意識したスタートとなった。

 保持でもブレントフォードがプレスに出てきたところを外しながら前進。右の大外に立つセメンヨを軸にボックスに迫っていく。前に出ると外されてしまうと感じたブレントフォードは少しずつ後退。リトリート気味の4-4-2で相手の攻撃を受け止める選択をする。

 押し込むフェーズが続くボーンマスはブレントフォードのミスから先制ゴールを決める。ファン・デン・ベルフのバックパスをかっさらったエヴァニウソンが相手を余裕を持って交わして無人のゴールに押し込む。

 以降はブレントフォードがややボールを持つ時間を増やす。ルイス-ポッター、ムベウモと大外のポイントを作りつつ、中盤のフリーマンからのキャリーで押し返していく。そして、先制ゴールの10分後にセットプレーから同点。ロングスローからボックス内での空中戦の強さを生かし、最後はウィサが仕留める。

 一方のボーンマスも大外からのハーフスペースアタックからの折り返しで敵陣に迫る動きをみせる。互いにブロック守備を壊すためのアプローチは悪くなかったが、これ以上スコアは動かず。試合は1-1のドローでハーフタイムに。

 後半も互いにサイドから打開策を探していくスタート。早速結果を出したのはボーンマス。波状攻撃気味の流れから大外→ハーフスペースに突撃したクライファートがこじ開けに成功する。

 しかし、ブレントフォードもすぐに反撃。右サイドから相手のギャップをつく裏へのパスから角度のないところからダムズゴーがゴールを決めて同点となる。

 すぐに得点が決まったことに象徴されるように単純に後半は受けに入ったほうが前半よりもピンチになる機会が多かったように思う。というわけで前からのプレスに積極的に行きたい!というボーンマスの姿勢は理解できるところだろう。

 ブレントフォードはその前からのプレスを剥がす形から決勝点をゲット。裏抜けしたジャネルトからウィサがゴールを決める。

 以降は一進一退の攻防が目立つ。押し込む機会が多かったのは追いかける格好となったボーンマス。サイドから仕上げにかかるが、インサイドのブレントフォードのブロックは堅め。きっちりと跳ね返していく。むしろ、カウンターから追加点を狙って行ったブレントフォードの方が得点のチャンスがある展開だった。

 スリリングな攻防は2回のビハインドを跳ね返したブレントフォードの逆転勝利。大物相手に結果を出して勢いに乗るボーンマスを下して3ポイントを確保した。

ひとこと

 シンプルにアタッカーの調子が良くて見応えのある試合だった。

試合結果

2024.11.9
プレミアリーグ 第11節
ブレントフォード 3-2 ボーンマス
G-techコミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:27‘ 58′ ウィサ, 50′ ダムズゴー
BOU:17’ エヴァニウソン, 49′ クライファート
主審:ダレン・ボンド

クリスタル・パレス【17位】×フラム【9位】

失われたフィードに翻弄されて

 立ち上がりから試合の流れはくっきり。ボールを持つ側になったのはフラム。パレスはフラムのバックラインには無理にプレスにはいかない。

 ということでフラムはパレスの1stプレスラインをきっちりと越えていくところからの前進を狙っていく。テテの大胆な持ち上がりから一気に侵入する。

 すばやくサイドを変えるという点ではCBのアンデルセンの存在も非常に効いていた。対角のフィードでパレスの左右のスライドに負担を強いる形でフラムのサイドアタックを効果的なものにしていく。特に、左に振るアクションからスミス・ロウ→ロビンソンのオーバーラップ活用という流れは一つの攻撃のスキームとして見事に成立していた感がある。

 中盤の横断などこの対角パターン一辺倒にならないところがフラムのいいところ。柔軟さを生かす崩しからパレスを追い込んでいく。

 一方のパレスは一点突破主義。やや左サイドに流れるマテタが頼みの綱という感じ。アンデルセンのコントロールミスなどたまに対応を誤るフラムのバックスに対して、容赦なく襲い掛かっていくマテタがこの試合におけるパレスの前半の唯一の攻め筋だった。

 セットプレーや流れの中からなど少しずつチャンスを作る時間も作れるようになったパレスだったが、きっかけはすべてマテタ。相対的にチャンスの色の濃いフラムが先制。ラクロワのコントロールミスからのショートカウンターでスミス・ロウがゴールをゲット。44分のマテタの決定機をフイにしたパレスとは対照的にチャンスをきっちりスコアに結びつけたフラムが先制点を決める。

 迎えた後半はパレスがゲームチェンジに挑む。鎌田の縦パスから抜け出したムニョスがチャンスを作るなど、押し込む流れを増やしながらフラムを攻め立てていく。

 フラムもこれに対抗。中央を経由して左右に素早く動かす横断や、右サイドのイウォビ→ペレイラなど前半と異なるルートからチャンスを迎える。

一進一退の攻防となった試合だがフラムはスミス・ロウのオフサイドの場面から再びリズムを掌握。少しずつ攻める時間を増やしていく。

 すると、パレスは鎌田が危険なタックルで一発退場。これで試合の均衡は完全に崩れることに。

 ややオープンながらも試合の主導権を握ったのはフラム。仕上げ役として前節大車輪の活躍を見せたウィルソンは今節もダメ押しゴールをゲット。またしても複数ゴールかと思われたシーンはハンドでお預けになったが、ジョーカーとして今節も存分に暴れまわった。

 チームとしての勢いの差を見せたフラムはパレスを圧倒。ロンドン・ダービーを危なげなく制した。

ひとこと

 アンデルセンの対角パス、まさしくパレスが昨季失ったものという感じであった。

試合結果

2024.11.9
プレミアリーグ 第11節
クリスタル・パレス 0-2 フラム
セルハースト・パーク
【得点者】
FUL:45+2‘ スミス・ロウ, 83‘ ウィルソン
主審:マイケル・サリスベリー

ブライトン【8位】×マンチェスター・シティ【2位】

逃げ切り間近の異変でトンネル脱出ならず

 リーグ、CLと敗戦が続き苦しい秋となっているマンチェスター・シティ。このタイミングで対峙するのはブライトン。シティは厄介な相手と向き合うことになる。

 試合はシティの保持でスタート。ルイスがインサイドに絞るアクションから3-2-5に変化する形を見せる。ブライトンは前線がジリジリと距離を詰める一方でシティの前線が降りるアクションに対しては積極的にチェック。メリハリをつけた形でシティを追い込みに行く。

 保持に回ればブライトンはライン間の三笘が反転することで前進。今季のシティはアンカー脇にスペースがあるので、ポイントを抑えればここから一気に加速することが出来る。シティはハイプレス対抗。ブライトンとのプレス回避の攻防はとても見ごたえがあった。

 このプレス合戦を制したシティが先制点をゲット。直前からミスが目立っていたアヤリのところからカウンターを発動すると、ハーランドがゴールを奪って先行する。

 ここからシティはデュエルの駆け引きで優勢に。サヴィーニョとギュンドアンを掛け合わせた右サイドのチャンスメイクや、前線から降りるアクションを繰り返したフォーデンが積極性を見せるなど攻撃のポイントを作っていく。

 CHのパフォーマンスが怪しいブライトンは三笘とウェルベックを軸に左のハーフスペースから前進。ウォーカーとシンプソン-ピュゼーの間を割るフリーランからチャンスを作りに行く。

 迎えた後半、ブライトンはバレバを投入。これにより、中盤でのデュエルの勢力図はやや変化が。ボールを散らすポイントを作ることが出来るバレバの登場から、シティを押し込みながらのサイド攻撃に移行する。

 シティはハーランド、ギュンドアンがこちらもハーフスペースにアタックすることでチャンスメイク。押し込むポイントを作ることで少し保持からリズムを取り戻す。

 個人的に分かれ目になったのはシティのデ・ブライネ投入だ。攻撃の仕上げのイメージでの投入だったのだろうが、彼の登場で明らかにシティはプレスの強度が下がった。これによって、再びブライトンは攻撃の主導権を握ることに。

 同点ゴールの仕掛けのキーマンになったのはまたしても三笘。対角パスから左サイドでの仕掛けを見せると、最後はペドロが押し込んで試合を振り出しに戻す。

 さらにはデ・ブライネの蓋が甘くなった中央からブライトンはコンビネーションでの突破に成功。オライリーのゴールでついに逆転までたどり着く。

 終盤に畳みかけを許したシティは逆転負け。トンネルを抜けることを許されないまま代表ウィークを迎えることとなった。

ひとこと

 パフォーマンスの水準の話をすればボーンマス戦ほどの絶望感はないけども、采配面で取りこぼした感があるのがちょっともったいない感じはした。

試合結果

2024.11.9
プレミアリーグ 第11節
ブライトン 2-1 マンチェスター・シティ
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:78‘ ペドロ, 83’ オライリー
Man City:23‘ ハーランド
主審:サム・バロット

リバプール【1位】×アストンビラ【6位】

地力と勢いの両面で完勝のリバプール

 ブレーキがかかっているシティとアーセナルを尻目に勝ち点を積み上げているリバプール。今節の相手はこちらも徐々に順位を下げており、ブレーキがかかり気味のアストンビラだ。

 立ち上がりにボールを持ったのはリバプール。幅を使いながら横にコンパクトなアストンビラの守備に対して、4-4-2の外から押し下げていく。光っていたのは好調のサラーの仕掛け。右の大外からボックス内に鋭く入るボールを供給、立ち上がりからチャンスメイクを行う。

 一方のビラは前からチェイスをかけようとするが刺さらずに苦しいスタート。保持においてはSHのベイリーやラムジーが背負いながらサイドの裏にボールを入れることで反撃に。リバプールほどスマートではないが、前線の根性で何とか前に進む場面も出てくるように。イメージとしては誰かが責任を取るポゼッションという感じである。

 ややリバプール優勢の展開の中で先制点を決めたのはそのリバプール。アストンビラのCKからカウンターを発動すると、独走したサラーから最後はヌニェスがネットを揺らしゴール。アストンビラはおそらく、ゴールが決まっていなければDOGSOで退場者が出ていたので10人or先制点献上のどちらかだと思う。

 以降もサラーを軸にスピードに乗る仕掛けで優位に立つリバプール。ファーを狙ったインスイングのクロスからチャンスを作っていく。アストンビラもCHのサイドフローと前線の列落ちを組み合わせるアーセナルがトロサールやライスを使ってよくやる前進から反撃に出るが、クリティカルなダメージを与えることはできず。試合はリバプールのリードでハーフタイムを迎える。

 後半も幅を使った保持から押し込んでいくスタート。いきなりヌニェスが決定機を迎えるなどペースをつかんだのはリバプールだ。

 試合を保持ベースで制御したリバプールに対して、なんとか局面をかき乱したいアストンビラ。デュランの投入で勢いを出しに行きたいところだが、なかなか効果は見られず。試合の流れに変化をもたらすことが出来ない。

 終盤にオープンな展開を迎えることで試合はリバプールの制御から解き放たれた感はあったが、この状況をモノにしたのはリバプール。サラーの追加点で試合を完全に決めることに成功する。

 反撃の目途が立たないまま沈黙してしまったアストンビラ。地力と勢いで優位に立つリバプールに飲み込まれてしまい、順位を10位に下げることとなった。

ひとこと

 たまにある、いいところなしのアストンビラだった。

試合結果

2024.11.9
プレミアリーグ 第11節
リバプール 2-0 アストンビラ
アンフィールド
【得点者】
LIV:20‘ ヌニェス, 84’ サラー
主審:デビッド・クート

マンチェスター・ユナイテッド【13位】×レスター【15位】

左サイドの詰まりを解消し、ファン・ニステルローイの最後を飾る

 高い位置から相手を捕まえにいく積極的なスタートとなったのはレスター。ユナイテッドのバックスに対してプレスをかけていく。ただし、プレスの足枷になったのはトップの役割。アイェウ、エンディディの2人はユナイテッドの中盤をケアしつつ、前に出ていく役割になっていたのでユナイテッドのCBを捕まえきれないことも。

 特に浮くことが多かったのはリサンドロ・マルティネス。中盤とCBを往復するレスターの2トップを尻目に、外側で受けることでキャリーに成功する。割を食ったのはブオナノッテ。自分の前に登場するマルティネスとマーカーのマズラヴィの葛藤に悩まされる場面が出てくるように。

 よって、徐々にレスターはバックラインにプレスにいかない場面を作るように。そうなると、今度はレスターの保持に悪影響が出てくる。ボール奪取位置が後ろになるため、ヴァーディ抜きで前進するにはなかなかにしんどいものがある。

 なんとか左のファタウとアイェウの裏抜けから敵陣でプレーするチャンスを作るレスター。だが、先制点はマンチェスター・ユナイテッド。ディアロが陣地回復に成功したところからの流れで左サイドを攻略。左サイドで相手の目先を変えるアシストも披露。ブルーノのミドルのコースを埋めるべき、スマレはディアロに釣り出されることとなった。

 ユナイテッドは後方の左サイドからのキャリーは安定していたが、前線ではやや動き出しのところが噛み合わない感があった。それでもその左サイドから追加点をゲット。2人のCBを惹きつけたホイルンドの背後から出てきたブルーノがオウンゴールを誘発する。

 レスターは1-0の段階でアイェウとンディディがデ・リフトを挟み撃ちにすることで大チャンスを作り出す。だが、この前半唯一の決定機はオナナが落ち着いて対応。レスターは前半にスコアを動かすことができなかった。

 後半はレスターの保持が中心となってスタート。右サイドから横断する形からチャンスを狙っていく。だが、左サイドで横断を完了させてもなかなかそこから仕上げることができない。

 一方のユナイテッドは左サイドからのカウンターが中心。だが、パスのズレやコントロールの甘さから十分なチャンスに持っていくことができない。

 チャンスを作れない状況が続く後半。どちらもチャンスを作れないならば、リードしている方が有利である。結果を出したのもユナイテッド。左に入ったガルナチョがミドルで仕上げて追加点。ようやく外から得点に絡んだガルナチョによって、試合は完全に決定づけられてしまった。

 すでに勝敗は決していることを悟っているのか、追加点以降は何も起きない状態で試合はそのまま終了。ユナイテッドがファン・ニステルローイの指揮最終試合を白星で飾った。

ひとこと

 ようやく、ユナイテッドは2桁得点に到達。アモリム就任で欧州カップ戦出場権争いに食い込めるか。

試合結果

2024.11.10
プレミアリーグ 第11節
マンチェスター・ユナイテッド 3-0 レスター
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:17′ ブルーノ・フェルナンデス, 38′ クリスチャンセン(OG), 82′ ガルナチョ
主審:ピーター・バンクス

ノッティンガム・フォレスト【3位】×ニューカッスル【11位】

焦りに乗じて理想の逆転勝利

 序盤はロングキックの応酬からスタート。立ち上がりから存在感を放っていたのは古巣相手に活躍を見せてから好調なウィロック。縦に速い展開においてキャリーで違いを見せていた。

 試合が落ち着くとボールを持つのはニューカッスル。バックスにプレスをかけずにベース4-4-2で組んで受けるフォレスト相手にボールを動かしながら解決策を探る。

 ニューカッスルは左サイドを軸にボール保持。CBとフラットな高さを取るホールがフォレストの2トップの脇に立つ形で起点を作る。だが、ここから先はうまくいったかは微妙なところ。ジョエリントン、ウィロック、そしてこちらのサイドに流れるイサクはローテからフォレストのマークを置き去りにすることが出来ず。

かといって、対面の相手を外すこともできないので打開策が見つからない。大外でバンバン相手を潰したアイナがらしさを発揮していた。前半の終盤にゴードンがこちらのサイドに移動してきたのはフォーカスしたにも関わらず手ごたえがなかったという裏返しだろう。

 フォレストはカウンターに集中。左右のWGからのキャリー、特に左サイドのハドソン・オドイからの陣地回復は見事。ニューカッスルはカウンターを警戒しての即時奪回を逃したら爆速リトリート。自陣を囲うのはもちろん大事ではあるが、波状攻撃感はなくなるという諸刃の剣でもあった。

 押し込む機会も得ることが出来たフォレストは前半に先制。右サイドで得たFKからムリージョが飛び込んでシュートを決めてスコアを動かす。

 失点以降もプレスのギアが上がらないニューカッスル。押し込むけども崩せず、相手のWGに対しては撤退という盤面を変えることはできず。ハーフタイムはフォレストのリードで折り返す。

 後半もニューカッスルが保持でブロック攻略に挑む流れ。前半よりも積極的にサイドに流れることでイサクがチャンスメイクに奔走していたのが印象的であった。

 大きくニューカッスルペースになったというわけではないが、セットプレーから同点に追いつけたことはフォレストにとっては大きかった。イサクがこぼれを叩き込んで後半の早い時間に試合は振り出しに。

 このゴール以降、徐々にテンポはニューカッスルに。フォレストはやや焦ったのか、前からボールを捕まえに行った結果、逃げられるケースがちらほら。68分にイサクの決定機に繋がったCKからのカウンターのようにニューカッスルは中盤がスペースを得た状態でボールをキャリーし、フォレストのバックラインを背走させる機会が増える。

 すると、この形からニューカッスルは勝ち越しゴールをゲット。交代で入ったトナーリのキャリーからの攻撃でジョエリントンが逆足ミドルで穴を空けてみせた。

 ジョタ・シルバを入れてサイド攻撃の強化に出たフォレストだったが、結果を出したのはそのあとから入った来たバーンズ。カウンターからセルスとの駆け引きに勝利して試合を決める追加点を仕留めた。

 セットプレーで引き戻した流れから一気に逆転勝ちまで。流れに乗った後半のニューカッスルが際立った試合だった。

ひとこと

 カウンターからいつでも試合が動く可能性はあったとはいえ、逆足ジョエリントンはなかなかエグい。

試合結果

2024.11.10
プレミアリーグ 第11節
ノッティンガム・フォレスト 1-3 ニューカッスル
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
NFO:21‘ ムリージョ
NEW:54’ イサク, 72‘ ジョエリントン, 83’ バーンズ
主審:アンソニー・テイラー

トッテナム【7位】×イプスウィッチ【18位】

20チーム目の初勝利

 土曜日にウルブスがサウサンプトンに勝利したことにより、プレミアにおける未勝利チームはイプスウィッチただ1つに。トッテナムは直近ですでにクリスタル・パレスに初勝利を献上しており、イプスウィッチに対して同じプレゼントを贈るのは是が非でも避ける必要がある。

 序盤にボールを持つスタンスだったのはトッテナム。2トップの外を回しつつインサイドに差し込む隙を作れるかどうかを探るスタート。バックスにはボールを持たせてOKというスタンスのイプスウィッチのブロックをどう攻略するかを思案する。

 対するイプスウィッチはシンプルなロングボールを使った攻撃で対抗。プラン自体はシンプルだが、トッテナムのSB、特にポロの対人は怪しさがある。前進からチャンスを作ることはそう難しくはない立ち上がりとなった。

 押し込むトッテナムはなかなか攻め切ることが出来ず。前進が簡単なサイドにおいてはイプスウィッチのSHがトッテナムのSBをチェイシングしており、保持側の意向で対面の選手を動かすことが出来ていた。

 だが、このサイドの駆け引きに中央の選手がうまく絡むことが出来ない。相手を動かしたスペースを使うことが出来ないトッテナムはゴール前でブロックを固めるイプスウィッチを動かすことに苦戦する。

 そうした中で先制したのはイプスウィッチ。右サイドのクロスをアクロバティックに叩き込んでゴール。リードを奪う。トッテナムはデュエルに対して先送りにするような中途半端な対応をした結果、最終的にボックスの守備で甘さが出ることとなった。

 トッテナムはハイプレスの成功から反撃を狙うが、サイドからのソンのラストパスを引っかけてしまう。このカウンターからイプスウィッチは追加点。ハッチンソンの横断からロメロを中盤に釣りだすと、いっきにゴールを陥れて2点目を奪う。ベンタンクールの対応の遅れから芋づる式にトッテナムは守備の脆さが露呈した場面だった。

 反撃に出たいトッテナムはハイラインを抜け出すジョンソンのチャンスメイクからスタート。コントロールさえ安定すれば、決定機といえる場面だった。前半よりも手ごたえのある展開からセットプレーでソランケがネットを揺らすがこれはハンド。ゴールは認められず。

 本当の追撃弾が生まれたのもセットプレー。2失点目のところで簡単に通してしまったリカバリーをベンタンクールが行い、1点差に詰め寄る。

 だが、トッテナムは押しこむフェーズが不安定であり更なる攻勢をかけることが出来ず。後ろを固めるイプスウィッチにカウンターの反撃に遭うことも。結局試合はそのまま終了。イプスウィッチが今季最後の初勝利を飾ることとなった。

ひとこと

 トッテナムは押しこむチームとしての不十分感が顕著に表れた試合だった。

試合結果

2024.11.10
プレミアリーグ 第11節
トッテナム 1-2 イプスウィッチ
【得点者】
TOT:69′ ベンタンクール
IPS:31′ スモディクス, 43′ デラップ
主審:ダレン・イングランド

チェルシー【4位】×アーセナル【5位】

ロンドンは青にも赤にも染まらず

 レビューはこちら。

 共に勝ち点は18。シーズンが始まる前の下馬評では差があった両チームだが、11節では同じ勝ち点でのロンドンダービーを迎えることとなった。

 まず仕掛けたのはチェルシー。普段通りの3-2-5を使いながらアーセナルのプレスを跳ね返す。ギャップを作っていったのは中盤。5のシャドー役であるパーマーにアーセナルの中盤に注意を向けて、前に立つラヴィアがボールを持てるように。

 チェルシーはこの縦方向の駆け引きで主導権を握る。プレスに来ないならばバックスからの対角パス、来るならば縦に差し込んでアーセナルの中盤の背後を取る。序盤でプレスの押し引きの感覚を掴めないアーセナルを押し込んでいく。

 だが、アーセナルも前半の1/3が終わるころにはチューニングを完了。高い位置からチェイシングすることでチームの方針は決定。ハイプレスで真っ向勝負を挑むことでチェルシーのバックラインからボールを引っかけてカウンターに移行するように。

 一方のチェルシーも押し込んだ際にはハイプレス。アーセナルはリスクを冒しながらラヤが広げる形でプレスから逃げる。こうなると、アーセナルは攻撃を加速させるパターンなのだが、ハイラインで踏ん張るククレジャを始めとするバックラインの奮闘で何とかカウンターで加速を付けさせない。

 前半の終盤は押しこむ頻度が上がったアーセナル。だが、左右のサイド攻撃で相手を上回れるかは微妙なところ。悪くはないが、決定機といえる場面はトランジッション成分高めのマルティネッリのシュートとオフサイドとなったハヴァーツの幻のゴールくらいだろう。

 チェルシーもジャクソンの馬力から押し返す場面が出てくるが、仕上げの場面で頼りにしたいパーマーのボールタッチが不調。リードを奪えないままハーフタイムを迎える。

 後半はアーセナルがリトリートの頻度を増やすことで試合を落ち着かせに行く。その分、前進はハードになるはずだが、そこは右サイドのサカが踏ん張って陣地を押し下げる。右サイドからのクロスと逆サイドへのサイドチェンジからアーセナルがすこしずつ主導権を握る。

 すると、その右サイドのクロスからアーセナルは先制。ウーデゴールのクロスに合わせたのはマルティネッリ。角度のないところからシュートを沈めてアーセナルが試合を動かす。

 だが、チェルシーもすぐに反撃。セットプレーの流れでできた守備のギャップを一瞬で突いたネトの左足によって、試合は振り出しに戻る。

 終盤はメリーノが組み立てとフィニッシャーの両面で暴れる展開に。しかしながら、右サイドのサカの負傷もあり仕上げるところまではいかず。チェルシーもマルティネッリが下がって以降甘くなったアーセナルの左サイドからゴールを狙うが、こちらも実らず。ロンドンは青にも赤にも染まらないままダービーは幕を閉じることとなった。

ひとこと

 どちらのチームもそれなりに手ごたえがある内容だったとは思うが、特に停滞気味のアーセナルとしては勝ち点3が欲しかった試合だったはずだ。

試合結果

2024.11.10
プレミアリーグ 第11節
チェルシー 1-1 アーセナル
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:70′ ネト
ARS:60′ マルティネッリ
主審:マイケル・オリバー

今節のベストイレブン

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