ニューカッスル【12位】×アーセナル【3位】
1年ぶりの沈黙
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前節はリバプール相手に激戦を繰り広げたアーセナル。内容は悪くはなかったが、2試合連続で勝ち点を逃す結果に。優勝争いを見据えると、これ以上勝ち点を落とすことは避けたいという感じだろう。
アーセナルは普段通りの方向性でのスタート。右サイドにボールを預けながら突破を探りつつ、高い位置からのプレスで相手のポゼッションを阻害していく。
しかしながら、方向性はいつも通りではあったが、内容はいつも通りにはならなかったアーセナル。特に気になったのはハイプレスのところである。得意パターンである右サイドに相手を追い込んでも縦パスを通されてしまうのである。
イサクであれば多少は仕方ないところがあるとは思うが、この日暗躍したのはウィロック。縦パスをレシーブして味方をフリーにしたり、味方を追い越すアクションでフリーで攻め上がったりなど大暴れ。対面するライスはウィロックに全くついていくことができないまま、振り回されてしまうことに。
このウィロックへの縦パスからニューカッスルは先制点をゲット。トーマスのクリアが中途半端になったところから右サイドのゴードンまで繋ぐと、素早いクロスから合わせたのはイサク。得意のホームゲームでまたしても得点を重ねる。
以降も縦にパスを作りつつ、右の大外でゴードンというパターンはニューカッスルの攻撃パターンとして確立。アーセナルに押し込まれつつもカウンターからチャンスを生み出していく。
保持においては徐々にアーセナルは手詰まりに。左サイドはマルティネッリのサポートしたい高さにメリーノやティンバーがおらず孤立。ゴードンのダブルチームが鋭いニューカッスル相手にマルティネッリは後手を踏み続ける。逆サイドのサカもジョエリントンのフォローに苦しみ、なかなか打開策になることができない。
後半はサカとサリバの間にハヴァーツが流れることでWGに入れるボールを良化させるプランにでたアーセナル。保持のルートを整えてニューカッスルを押し込む。
左サイドでは途中交代のジンチェンコが入り、WGにボールが入るタイミングを調節。後方に球持ちのいい選手を置くことでさらに保持は落ち着く。
だが、落ち着く以上のことがなかったのもこの日のアーセナルの残念な点。右サイドに切り札として入ったヌワネリもプレストン戦で炸裂したミドルに手を打たれてしまい、効果的な攻撃を出すことはできず。
アーセナルは2年連続セント・ジェームズ・パークで沈黙。昨季と同じ0-1でまたしてもニューカッスルに屈することとなった。
ひとこと
ちょっと見ていて得点が入る感じがしなかった。
試合結果
2024.11.2
プレミアリーグ 第10節
ニューカッスル 1-0 アーセナル
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:12‘ イサク
主審:ジョン・ブルックス
リバプール【2位】×ブライトン【6位】
モデルチェンジしたブライトンを後半にとらえる
とにかくブライトンの変わり種っぷりが目につく前半だった。これまでは割と4-1-2-3をベースにした定型のところかボールを前に進めていたチームだが、この試合ではCHのサリーに加えて、CBの列上げなども含めてかなり複雑に移動しまくっていた。
CHがサリーし、リバプールのWGを前に引き出すことでブライトンはリバプールの陣形を4-2-4にする。中央はリバプールのプレスを自陣に引き寄せて、形を生かして奥行きを作り出すのがポイント。隙があればブライトンは縦関係のCHにパスを入れて真ん中に強気でパスを入れる。この辺りはほんのりデ・ゼルビ感を感じるところもあった。
中央にフォーカスしつつ、サイドはシンプルに活用。中央に目線を集めたところから対角パスでエストゥピニャンのところから一気に前進する。サラーの背後に忍ぶエストゥピニャンはビルドアップを免除されており、ここから一気に前にボールを進めることができる。アーセナルはリバプールのCHをサイドにスライドさせたギャップをトロサールに使わせたが、ブライトンはシンプルに中央にCHを釘付けにしてサイドの空いたスペースを使うイメージである。
アタッキングサードで勝負するのは三笘のところから。中央の縦パスが通っても、サイドからシンプルに進んだとしても出口になるのは三笘である。左サイドの三笘はカバーにやってくるコナテと対峙。体を当てられるとめんどくさいので、寄られる前に素早くリリースする選択肢を選んでいたのが印象的だった。
先制点もこの形から。左サイドの三笘からアウトサイドにかけたパスを逆サイドに展開。カディオールが右足を振り切って先制点を決める。
リバプールも中央の3センターの細かい関係性構築と左サイドのガクポのポストを使った前進からブライトンのゴールに迫る。だが、プレスに対して覚悟の決まったつなぎを見せたブライトンの方がチャンスメイクとしては上。優勢のままハーフタイムを迎える。
後半は一転してリバプールペース。交代で入ったゴメスがいきなり決定機を迎えると、そこからオープンなトランジッション合戦に突入。ややアバウト感が先行しているブライトンに対して、3トップの特性にフィットしているリバプールの方が効果的な攻撃を繰り出せるように。
押し込む機会が増えたリバプールはハイプレスからの圧力で前半は効いていたブライトンのポゼッションも封殺。一方的に攻撃を重ねていく。
すると左サイドからガクポが上げたクロス性のボールがゴールイン。同点に追いつく。反撃に出たいブライトンは攻勢に出るが、カウンターから逆にピンチに。晒されてしまったエストゥピニャンはサラー相手に何もすることができず、一気に逆転を許してしまう。
終盤は受けに回りながら試合をクローズしたリバプール。プレスに出ていく体力はもうなかったブライトンに対して、最後は遠藤が引き締めを図りリバプールは逃げ切り。逆転で首位を奪い返す勝利を手にした。
ひとこと
ブライトン、今季ここまでと別のチームみたいな前半のアプローチだった。
試合結果
2024.11.2
プレミアリーグ 第10節
リバプール 2-1 ブライトン
アンフィールド
【得点者】
LIV:70′ ガクポ, 72′ サラー
BHA:14′ カディオール
主審:トニー・ハリントン
イプスウィッチ【18位】×レスター【15位】
立ちはだかるATのアイェウが眼前の勝利を盗む
昇格組同士の一戦。いまだに勝利を得ることができていないイプスウィッチにとってはまたとないチャンスだろう。
立ち上がりにボールを握ったのはレスター。中盤でフリーの選手を作るパスワークから奥をとるヴァーディを終点に攻撃を完結させにいく。
しかし、徐々にイプスウィッチはポゼッションを回復。ハイプレスで支配力を高めようとしたレスターの前がかりの守備をひっくり返し、中盤の背後の縦パスから前進のきっかけを掴むと、敵陣でのプレータイムを増やしていく。ハッチンソンが軸となった右サイドからのミドルを中心にレスターベースは15-20分くらいを目処にひっくり返る。
こうなるとレスターはカウンターからチャンスを探っていきたいところではあるが、なかなか押し返すきっかけを作ることはできず。こちらもハイプレスに出て行ったタイミングでハイプレスの強度を高めたイプスウィッチに苦しみ、ロングボールから起点を作ることができない。
ただし、イプスウィッチももう一歩敵陣に入り込む強度を生み出すことができず。試合はスコアレスのままハーフタイムを迎えることとなった。
後半、まずはレスターは前半の頭のように保持から展開を持ってこようとする。左右に動かしてイプスウィッチのプレスを回避し、背後を取るアクションからイプスウィッチのDFラインを押し下げる。少しずつペースを握ることで前半終盤の流れをひっくり返そうという意欲は垣間見えた。
しかしながら、この状況をぶっ潰すことに成功したイプスウィッチ。右サイドからの進撃に成功すると、左サイドで待ち構えていたデイビスがスーパーボレー。戦慄の一撃で試合をリードする。
得点直後もレスターにペースを渡さず、展開をキープしたイプスウィッチ。しかしながら、フィリップスが2回目の警告で退場。10人での戦いを強いられることに。
これで一気にレスターは押し込む機会を得ることになる。10人のイプスウィッチはなんとか耐えたい展開が続くが、得意ではないラインを下げる展開を強いられる。
バックスを下げてアタッカーを入れるというプランを構築するのは数的優位ならでは。大外に起点を作りつつ、ボックス内の枚数を増やすことで少しずつ圧力を高めていく。
殊勲の同点ゴールはまたしても追加タイムのアイェウ。ヴァーディとのワンツーで滑らかにボックス内に入っていくと、技ありのゴールで試合を振り出しに戻す。
またしても眼前で勝利を逃したイプスウィッチ。プレミア初勝利はお預けとなった。
ひとこと
相手が10人だからこそ、打つことができた大胆なやり方が同点ゴールを生んだのはイプスウィッチにとっては切ない。
試合結果
2024.11.2
プレミアリーグ 第10節
イプスウィッチ 1-1 レスター
ポートマン・ロード
【得点者】
IPS:55’ デイビス
LEI:90+4‘ アイェウ
主審:ティム・ロビンソン
ボーンマス【11位】×マンチェスター・シティ【1位】
数年ぶりのインパクトでシティを粉砕
普段通り、ボールを持つのはシティと思われるスタートだった。だが、中盤でのパスカットから先にチャンスを作ったのはボーンマス。セメンヨのショートカウンターから決定機を迎える。
この時点でこの日のシティはおかしかったということだろう。立ち上がりの一発だけでなく、ボーンマスは押し返すフェーズで安定感があった。中盤のギャップに2列目が入り込んでの縦パスを入れ、ここを攻撃の起点とする。
ポイントなのはこの攻撃が成立したのは速攻だけではないということ。後方のセネシは左足で自在に配球を実現。速攻からの一撃以外の左サイド全体を使った押し上げが成立したのは彼の安定した後方からの組み立てがあってこそだろう。
先制点もこの左サイドの攻め上がりから。ケルケズのオーバーラップでフォーデンを打ち破ると、折り返しをセメンヨが仕留めて先行する。
反撃にうって出たいシティだがこの日は決め手にかける。試合の流れを掴むとともにハイプレスに出ていくボーンマスに対して、ベルナルドが移動から保持を押しつかせるのはいつもの光景。だが、この日はそこから先がない。絞るSBは無秩序で特にウォーカーがインサイドを取る意義が薄かったように思える。
プレスを回避してたどり着いたとしてもボールを届けた左サイドでは大外ではタメの効かないヌネスしかいない。ハーランドへの一発ロングボールも効果は薄め。打開策にならない。
その間もゆったりした保持とカウンターでボーンマスの攻撃を喰らうシティ。前半の終盤はクロスの殺生性やハイプレスなどから少しずつペースを引き戻したシティだったが、スコアを動かすことができないままハーフタイムを迎える。
一気に後半畳み掛けたいシティだが、前半以上にハイプレスの強度は上がらず。それでもヌネスは左サイドを抉るなど少しずつ敵陣に入り込むように。
ボーンマスは前半よりは押し下げられる局面は増加するが、出ていく局面を掴んだ時の正確さは依然としてキープ。59分のカウンターなどはその一例だろう。
このカウンター発動からまたボーンマスはペースを確保。前半のように一方的にシティ相手に攻勢を強める。64分の追加点はまたしても左サイドから。エヴァニウソンのゴールからリードを広げる。
以降もペースはボーンマス。シティの1点目よりもボーンマスの3点目が圧倒的に近い状況だった。82分のグヴァルディオルのゴール、そしてドクの投入した終盤はさすがにシティにペースが流れたが10分で80分間の不出来は精算しきれず。アウェイで痛恨の1敗を喫することとなった。
ひとこと
ベンチにいても使えない選手がいたのかなというシティ。ここ数年で一番インパクトのある内容での敗戦となった。
試合結果
2024.11.2
プレミアリーグ 第10節
ボーンマス 2-1 マンチェスター・シティ
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:9‘ セメンヨ, 64‘ エヴァニウソン
Man City:81’ グバルディオル
主審:マイケル・オリバー
サウサンプトン【20位】×エバートン【16位】
賭けに出た4-4-2が初勝利を切り拓く
最下位のサウサンプトン。ここまで僅か1ポイントという勝ち点的には非常に苦しい推移。1試合でも早くきっかけを掴みたいところだろう。
今日も元気にショートパスから相手を動かしていくサウサンプトン。エバートンは高い位置からプレスにくるが、ここに関してはまずは回避に成功。リスタートを狙ったラムズデールからのパスワークや、左右に大きく振ることでエバートンのプレスを振り切る。
その一方で敵陣に入り込んだところからの攻撃の手段があるわけではないサウサンプトン。それは押し下げられたエバートン側も全く同じ事情。カウンターに打って出るもサウサンプトンを出し抜くことができるような刺さる攻撃ができるわけではない。
と言うわけで基本的にはとても決定機が少ない展開に。どちらが攻撃している間でも非保持側が優位であり、相手のバックラインを動かすことはできなかった。
前半の終盤に少しチャンスが出たのはサウサンプトン。押し込んでチャンスを掴んだと言うよりはよりファストブレイクよりの展開で縦パスが刺さるようになったことが大きいように見えた。高い位置に出ていくダウンズが1列前で受けることで相手を背走させてのチャンスが出てくるように。それでもネットを揺らすことはできず、スコアレスでハーフタイムを迎える。
後半も展開は全く同じ。ボールを持つのはサウサンプトン。カウンターを狙うのはエバートン。だが試合が明確にチャンスが多い展開にはならず。ライン間にパスを差し込む機会を増やしたサウサンプトン、セットプレーも含めてゴールに迫る機会を作るエバートン。どちらもほんのり前半よりも攻撃は活性化する。
その状況を良しとしなかったのは今季ここまで勝てていないサウサンプトン。ディブリングを入れて4バックに移行するという勝負手で展開をさらにオープンよりに。左右のサイドからSB、SHのタンデムから攻勢に出る。もちろん、これは後方の迎撃性能とトレードオフ。交代で入ったベトはよりクリティカルなカウンターからチャンスを作るように。
この賭けに勝ったのはサウサンプトン。エバートンの決定機を逃す流れから、右サイドの奥をとる菅原の進撃で敵陣に侵入。ここからの折り返しでアームストロングが先制ゴールを決める。
終盤はベトがネットを揺らす場面があったが、これは僅かにオフサイド。なんとか追撃を振り切ったサウサンプトンが嬉しい嬉しい今季初勝利を手にした。
ひとこと
0-0で試合を動かすというフォーメーション変更が結果につながったのはチームとして自信になるのではないか。
試合結果
2024.11.2
プレミアリーグ 第10節
サウサンプトン 1-0 エバートン
セント・メリーズ・スタジアム
【得点者】
SOU:85‘ アームストロング
主審:アンディ・マドレー
ノッティンガム・フォレスト【7位】×ウェストハム【13位】
多局面で優位を見せたフォレスト
4-2-3-1のフォレストと3バックを採用したウェストハム。どちらもバックラインの噛み合わせは悪いという流れ。後方の布陣のギャップを使っての前進をする。ウェストハムは2トップの脇から3バックのワイドの選手が前進のきっかけを探すという流れ。中央を固めるフォレストはきっちりこの攻撃を受けると、サイドの裏からスピード勝負でカウンターに出るという流れである。
基本的には非保持側優位の堅い局面が続く展開。これをやや嫌がったように見えたのはウェストハム。少しずつ高い位置からのプレスに出ていくようになり展開をオープンに寄せていく。これにフォレストも応戦。流れは少しずつ活性化していく。
そうした状況でものを行ったのはブロック守備の機能性だ。綻びが出たのはウェストハム。5バックながらWBとCBの間が非常に空きやすく、ハーフスペースの裏抜けを咎めることができない。フォレストの先制ゴールはまさにこのギャップをついたところから。左のハーフスペースからの折り返しを仕留めたウッドが試合を動かす。正直、ウェストハムはこの裏抜けを咎められないのであれば5バックである意義は相当薄いと思う。
前半終了間際にウェストハムは少しずつチャンスの色を濃くしていくが、ATにアルバレスが2枚目の警告を受けて退場。さらに事態は悪くなる。
ビハインドなのでウェストハムの後半はかなりなんとかなれ!風味だった。4-4-1での撤退をベースに高い位置に出ていく際には前線の個性を活かすような形で得点を狙っていく形。
それでも優位なのはフォレスト。後半も右サイドからアルバレスを退場に追いやったエランガがチャンスメイクをする。より手数をかけた遅い展開でもウェストハムの撤退守備を動かす力は十分。時折飛んでくるウェストハムの馬力のあるカウンターをいなしながら優勢に試合を進めていく。
試合を動かしたのは交代選手。アンダーソンがサイドに流れてファウルを奪うとセットプレーからハドソン・オドイのミドル。長いレンジを撃ち抜くシュートでフォレストはさらにリードを広げる。
徐々に馬力が失われるウェストハムを尻目にフォレストは止めの一撃。アイナのカットインからのミドルで更なる得点を生み出して3-0に。
退場者が影響があったことは否めないが、それ以上に両チームの地力の差が浮き彫りになった一戦。フォレストは11人でも問題ないと言えるくらいの完勝だった。
ひとこと
ブロック構築からのカウンターで勢いをつけたフォレストだが、すっかり他の局面でも力をつけており明らかに一筋縄ではいかないチームとなっている。
試合結果
2024.11.2
プレミアリーグ 第10節
ノッティンガム・フォレスト 3-0 ウェストハム
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
NFO:28’ ウッド, 65‘ ハドソン・オドイ, 78‘ アイナ
主審:ピーター・バンクス
ウォルバーハンプトン【19位】×クリスタル・パレス【17位】
種類の違う両チームの苦しみ
昇格組以外で結果を出すことができないチームといえば、今はこの2チームの名前が上がることになるだろう。この90分もどことなくうまくいかなさが先行する展開だった。
チャンスをより多く作ったのはパレスの方。ハイラインで相手を捕まえにいく形はそこまでひっくり返されることはなかったし、3人のアタッカーが前を向くファストブレイクは形を作ることができていた。
だが、エゼの欠場の影響もあり、パレスは3人が前を向く形を作った後の展開を作ることができない。この点で悪目立ちしてしまったのはエンケティア。相手の中盤の背後でボールを受けるところまではスムーズなのだが、そこから状況をさらに前に進めることができない。プレッシャーで消えることで存在感を発揮できないなら、チームとしての枠組みの形になるが、この試合ではむしろいい形は作れていた(エンケティアの受けかたが上手いのは間違いない)だけに、エンケティアのボールを持った後のプレー選択が悪く目につく格好になってしまった。
敵陣でのスムーズな攻撃が見られないパレスは徐々に後方のポゼッションの安定感が失われるように。ボールを動かすところでミスが出ることでウルブスに攻撃の機会を渡してしまうこともしばしばだった。
一方のウルブスは得意パターンの構築がやりきれなかった感。左のハーフスペースに落ちるクーニャのポストからの展開はもっと見たかったが、周りがこれに合わせることはできず。前半終了間際にようやくサラビアの抜け出しを演出するが、セットプレーを軸にチャンスを作ったパレスに決定機を上回られる展開となった。
後半は両チームとも攻撃に出る機会が多いオープンな展開に。セットプレーから先に動かしたのはパレス。ファーの角度のあるところからチャロバーがスーパーなボレーを叩き込み、リードを奪う。
前後半の出来のギャップがいい方側に大きかったウルブスは2トップを生かして反撃。サイドに流れることでチャンスメイクしたストランド=ラーセンがボールを収めてクーニャにボールを渡す。ここから左サイドに流して先制点をゲット。ちなみにこの場面もエンケティアがボールをカットされたところからだ。もちろん、チャロバーの一発タックルが失敗したのも影響が大きかった。
同点ゴールから勢いに乗ったウルブスは一気に逆転まで。見事な横断から逆サイドまで展開し、最後はゴメスが仕留める。ウルブズの攻撃の視界が一気に開けたのは鎌田がターンを許したところからだった。
しかし、パレスもセットプレーからすぐに同点。グエヒのゴールで試合を振り出しに戻す。
最後は両チームとも決め手に欠いてのドロー決着。上昇気流に乗れるきっかけを掴んだチームはこの日のモリニューにはいなかった。
ひとこと
種類の違ううまくいかなさに苦しんでいる感がある両チームだった。
試合結果
2024.11.2
プレミアリーグ 第10節
ウォルバーハンプトン 2-2 クリスタル・パレス
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:67’ ストランド=ラーセン, 72‘ ジョアン・ゴメス
CRY:60‘ チャロバー, 77’ グエヒ
主審:アンソニー・テイラー
トッテナム【8位】×アストンビラ【4位】
ブロック攻略に解決策を見出し停滞感を払拭
前節はパレスに今季初勝利を献上。トッテナムは今季ここまでなかなか波に乗れないシーズンが続く。ホームとはいえ、今節は好調なアストンビラだ。
トッテナムは高い位置から向かっていくスタート。だがこれはビラにとってはお手のもの。中盤でフリーマンを作り、プレスをひっくり返す形から前進する。時折発生するミスはあるが、全体的に陣形が間延び。オナナのような推進力のある前進を許すことに。
保持に回っても引いて受けるアストンビラのブロックを前に苦戦。左サイドのソンを軸にブロックの外から突っついていく。だが、ハーフスペース裏のウドジェのランはオナナに潰されているし、マディソンとほぼ同じ立ち位置でボールを受けるサールのコレジャナイ感も気になるところであった。
アストンビラは3-2-5をベースに相手のプレスをひっくり返すところから前進。加速したところから仕上げられずに苦戦するが、セットプレーから先制点を確保。ハーフタイム前にリードを奪う。
後半も展開は同じ。トッテナムがほんのり保持が多く、敵陣での試行錯誤が続いていく。早々にその試行錯誤は得点に結実。ソンからのクロスはファーのジョンソンにピンポイントで届く素晴らしい精度のものだった。
ソンはプレータイム管理の観点からか後半早々に交代。再び撤退守備に対してトッテナムは解答案を出さなければいけない。だが、この課題も無事に解決。トランジッションを急ぐアストンビラのパスを引っ掛けて、攻勢に出ると奥行きを使うパスワークから勝ち越しゴールを奪う。
さらには直後に3点目。パウ・トーレスのカットからのショートカウンターで突き放すと、最後はマディソンのFKで4点目を決めた。
後半にたたみかけたトッテナム。前節の停滞を払拭する逆転勝利を手にした。
ひとこと
ブロック守備に対する停滞感にどう取り組むかの精度がスコアの差になった印象。
試合結果
2024.11.3
プレミアリーグ 第10節
トッテナム 4-1 アストンビラ
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:49′ ジョンソン, 75′ 79′ ソランケ, 90+6′ マディソン
AVL:32′ ロジャーズ
主審:クレイグ・ポーソン
マンチェスター・ユナイテッド【14位】×チェルシー【5位】
局地戦特化の後半は痛み分けに
ロンドン・スタジアムでの悲劇的なPK判定による敗戦の末、ついにテン・ハーグ解任に踏み切ったユナイテッド。アモリム就任が決まっている中でファン・ニステルローイ暫定監督の元、チェルシーとの一戦に挑む。
序盤は激しいトランジッションの中でスタート。中盤でのデュエルを行いながら、主導権の綱引きを行っていく。しばらく時間が経つとボールを持ったのはチェルシーであった。バックスにプレスをかけないユナイテッド相手に落ち着いてポゼッションをするように。
チェルシーの保持に少し変化があったのは微妙な配置。ベースとなる形は3-2-5で固定。変化があるのはどこに誰が立つかである。いつもであれば右サイドに立つパルマーが左のハーフスペースに。右にはSBのグストが列を上げて出て行く。
左のパルマーは少し微妙な感じもしたが、降りるアクションをするアクションは前節から引き続き良好。ボールを引き出しユナイテッドのプレスの隙間から前進していく。ただ、痛かったのは右のマドゥエケが1on1の状況からゴールに向かうのに苦戦したこと。仕上げの部分でチェルシーは難をかかえる。
ボールを持つ基本はチェルシー。しかしながら、ユナイテッドも徐々にプレスでリズムを作っていくように。相手を捕まえるスライドに慣れていくようになり、チェルシーの前進を阻害していく。
ユナイテッドは前線のレーンを入れ替えながらのカウンターも繰り出していくように。チェルシーは前線のFW-MF間のコンパクトさをあまり維持できておらず、即時奪回の機会を見出すことが出来なかった。
後半、チェルシーはパーマーが右サイドに移動。いつも通りの位置に入りながら攻撃にs中する。だが、後半もマドゥエケが仕留められないのは同じである。
後半は両チーム激しいデュエルでオープン化。両チームとも相手をきっちりと捕まえる迎撃プレスを繰り出すことで局地戦の様相を増やす。
一進一退となった後半に輝きを放ったのはカゼミーロ。ボックス外からの正確なクロスがサンチェスの飛び出しの遅れを誘発。PKをうばいとるのに大きく貢献する。
先制したユナイテッドだったが、4分後にチェルシーは同点に。カイセドの枠外からの豪快なシュートであっという間に試合を振り出しに戻す。
終盤はさらなるゴールを狙ったものの両チームこれ以上に得点は生まれず痛み分け。局地戦に特化した試合は引き分けに終わった。
ひとこと
チェルシーサポーターがやたらとOTに苦手意識があったようだが、この日もその傾向は健在だった。
試合結果
2024.11.3
プレミアリーグ 第10節
マンチェスター・ユナイテッド 1-1 チェルシー
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:70’(PK) ブルーノ・フェルナンデス
CHE:74‘ カイセド
主審:ロベルト・ジョーンズ
フラム【10位】×ブレントフォード【9位】
劇的な帳尻合わせ
試合へのアプローチは対照的な両チーム。GKを挟みながら、CBが広く距離をとるフラムはバックラインからのショートパスから前進を狙っていく。
一方のブレントフォードはロングキックをベースとした組み立てに終始。低く構えて長いボールを蹴る割り切った戦い方で勝負に出る。
優勢だったのはフラムだろう。押し込んでスペースがない状況においても攻略の手応えはきっちり。特に左サイドのユニットの滑らかさは見事。ここまでのフラムはイウォビが気を遣って成り立っていた感があったが、この日のようにイウォビが逆サイドにいても、ロビンソンのオーバーラップをなめらかに使えることは明らかな成長だ。スミス・ロウは少しずつフィットしている。
同じくアーセナルからやってきたネルソンも好パフォーマンス。擬似カウンター気味に攻撃をスピードアップさせることに成功し、保持時のアクセントになっていた。
フラムは一方的にボールを握り、ブレントフォードは得意な空中戦で起点を作れないという対照的な展開。それでもゴールを決めるのはブレントフォードなのだからサッカーは難しい。脈絡のないミドルからジャネルトが豪快に撃ち抜いてゴールを決める。
先制点以降はそれ以前に比べると展開としてはマイルドに。ブレントフォードが少しずつフラムのプレスを見ながら押し返すことができるようになる。フラムも極端にヤバい状況になったというわけではなく、押し込んだ時には手応えを感じることはできていた。
後半、フラムは再び保持を徹底することでペースを握る。押し込むところからリズムを作るフラムに対して、ブレントフォードはロングカウンターで応戦。要は振り出しに戻った形になった。
手応えがあったのはフラムのほうだろう。ライン間に差し込むパスから相手を背走させる場面はそれなりに目についた。左サイドを中心に一方的に押し込みつつ、ブレントフォードの守備陣に苦しい対応を強いていく。トラオレ投入に際して左にイウォビを移して仕上げに向かうという采配も地味に気が利いている。
この日のフラムに唯一足りなかった仕上げをもたらしたのはウィルソン。92分にようやくこじ開けるゴールを手にして試合を振り出しに戻すと、真骨頂は97分。再びウィルソンのゴールでフラムが追加タイムだけでの逆転に成功する。
最後の最後で間に合ったフラム。劇的な逆転劇でブレントフォードを打ち砕いた。
ひとこと
展開は劇的ではあったが結果としてはむしろ最後に内容と辻褄があったなという感じだった。
試合結果
2024.11.4
プレミアリーグ 第10節
フラム 2-1 ブレントフォード
クレイブン・コテージ
【得点者】
FUL:90+2’ 90+7‘ ウィルソン
BRE:24‘ ジャネルト
主審:スチュアート・アットウェル