ニューカッスル【6位】×マンチェスター・シティ【1位】
切らさない集中力で前節の敗戦をリカバリー
アーセナルとの首位攻防戦は10人ブロックに対して苦戦しつつ1ポイントを手にしたシティ。開幕からの連勝は4で止まってしまった。再び連勝をスタートするための今節はまたしても難敵。セント・ジェームズ・パークでのニューカッスル戦だ。
シティは前からのチェイシングでスタート。ニューカッスルに無理に繋がずに前に蹴ることで対抗。縦に速い展開での応戦となった。
先に保持で落ち着いたのはニューカッスル。プレスに行っても蹴られてしまうので、シティは少しずつプレスを抑えるようになった。それでも自陣側のデュエルはシティはさすがの安定感ではあったけども。
シティはボール保持でCBを上げるシステムを久しぶりに採用。アカンジが列をあげてコバチッチのサポートに。ルイスはもう1つ前で攻撃に絡む役割となった。手前でポイントを作り、ニューカッスルのプレス隊を引き寄せたら、背後に顔を出したハーランドのポストから時間を作り、サイドを押し下げる。前節同点弾の立役者となったグリーリッシュが効果的なボックス内への攻撃の指揮をとる。
ニューカッスルは前からプレスに行く意欲もあったが、自陣に下がった時は5-4-1でリトリートしてブロックを組む。IHとして前に出ていくジョエリントンがWBに下がる移動コストはかなり大きいように見えたが、このコストを使われてピンチになる場面はあまりなさそうだった。
少しずつ保持に余裕がなくなるニューカッスルだったが、ゴードンのポストとサイドの効果的なオーバーラップから反撃。徐々にクロス攻勢に打って出るように。押し込まれたシティはリコ・ルイスの前線への飛び出しをアクセントに、右のベルナルドのタメから盤面をひっくり返す。
互角の展開を動かしたのはシティ。少しずつ保持で押し込む場面を作り出すと、左サイドでグリーリッシュがこの日好調だったトリッピアーを交わしてグバルディオルにボールを渡す。利き足をフェイクに使ったゴールが得意なグバルディオルの右足は今日も炸裂。ゴール隅に流し込むストライカーのようなシュートでシティが前に出る。
ニューカッスルもSBのオーバーラップを効果的に使いながら、終盤はセットプレーでチャージをかける。だが、エデルソンのファインセーブに遭い、前半のうちにタイスコアに引き戻すことはできなかった。シティはむしろ追加点が欲しかったが、カウンターに後方から顔をだすギュンドアンのプレー精度がついてこなかった印象だ。
後半、ニューカッスルはハイプレスに出ていくスタート。シティはプレス回避の対応が落ち着いており、少しずつ押し込む形でニューカッスルを手懐けていく。攻撃を急加速させるという意味では前半同様にリコ・ルイスの縦への揺さぶりでフリーになる動きが効いていた。
だが、わずかな隙からニューカッスルは反撃。中盤で高い位置をとってフリーになったギマランイスからゴードンが裏抜けに成功。ラインに残ったウォーカーによって成立した抜け出しからエデルソンのPKを誘う。このPKを自ら仕留めて試合は同点に。
このゴールでセント・ジェームズ・パークは着火。右サイドの背後を取ることでシティのゴールに迫っていく。10分耐え忍んだシティは再び保持から回復を狙う。ハーランドのシンプルなポストから押し返していくラッシュが落ち着いた状況はニューカッスルにとって辛かったが、ハーランドの飛び出しにポープがいち早く反応するなど、集中力は切らしていなかった。
互いの時間を耐え忍ぶと最後は互角の総力戦。シティの方が押し込む時間は長かったが、ジョエリントン(後半はインサイドのDFラインに入って跳ね返しに参加することが多かった)の空中戦やポープのセービングでゴールを割らせない。シティは交代で入った両翼とフォーデンが微妙に振るわなかったのが気になるところだ。
カウンターからのワンチャンスを狙いつつ、最後はきっちりゴールに鍵をかけることを優先したニューカッスル。シティ相手になんとかくらいつき、前節の敗戦をリカバリーするポイント獲得を成し遂げた。
ひとこと
シティ、2試合連続デ・ブライネとロドリがいないな感がある試合だった。どちらもタフな試合だったので、次の節はあっさりなんてこともあるかもしれないけども。
試合結果
2024.9.28
プレミアリーグ 第6節
ニューカッスル 1-1 マンチェスター・シティ
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:58′(PK) ゴードン
Man City:35‘ グバルディオル
主審:ジャレット・ジレット
チェルシー【5位】×ブライトン【7位】
鬼のように攻略パターンがハマったチェルシー
前節はウェストハムを寄せ付けない完勝を果たしたチェルシー。今節はここまで無敗のブライトン。本格的な復調を印象付けるにはまたとない対戦相手といえるだろう。
序盤はブライトンの微妙な布陣の調整がうまくいった感があった。アンカーのウィーファーをゲームメイク役にして、SBのカディオールをライン間に出たり入ったりする役割を与える。ライン間にもともといたラターも加えて、チェルシーに縦パスの受けどころを絞らせない。
三笘もこれまでの相手に比べれば大外レーンでの固定が多かった。左サイドでグストにつっかける役割を担うと、特に序盤は馬力のあるドリブルからチャンスを作る。先制点もカディオールが縦パスのレシーバーとなり、ライン間で加速のスイッチを入れてから。ブライトンが幸先よくゴールを挙げる。
しかしながら、試合トータルで見れば攻撃のシステムが刺さったのは圧倒的にチェルシーの方だった。今のチェルシーは降りる選手が反転をすると、そこから一気に縦に進撃することができるというここ数試合際立っている攻め筋がある。
この日、ブライトンが捕まえきれなかったのはエンソ。降りるアクションから前を向くと、パーマー、ジャクソン、マドゥエケを裏抜け役にブライトンのハイラインを破壊し続ける。左サイドからポストでエンソの助けをするサンチョも非常に厄介。カディオールが1on1で止めきれないというのも含めてブライトンにとっては面倒な存在であった。
チェルシーの得点パターンはほぼこの形。中盤で前を向くまでのパターンはいくつかあったが、フリーマンから裏抜けで加速という動きは一緒。この形であっという間に2点を奪う。
1つはPK、1つは流れの中からゴールを決めて勢いに乗るパーマー。さらに衝撃の直接FKで前半の内にハットトリックを達成。自陣でのパスミスからバレバに一点を返されるチェルシーだったが、お構いなしという火力でまたしても追加点。左サイドに顔を出したパーマーが乱れたブライトンのDFラインを攻略し、4点目を手にした。
2点のリードを手にしてもチェルシーはプレスの手を緩めず。ブライトンはこのプレスを回避して、右から左に展開し三笘までボールを入れることが出来ればひとまず押し込む形は作れそうな予感。後半の三笘は完全に大外固定だ。
しかし、チェルシーも引くことなくハイラインで応戦。バックスも敵陣に入る攻撃的な姿勢でボールを奪うと、そこから縦への進撃で決定機を作る。抜け出すアクションが効いている割には決定力が伴わなかったのは惜しまれる部分だが、それでもブライトンよりははるかに効率的なチャンスメイクだった。
終盤、さすがにチェルシーはラインを下げたが、低い位置から敵陣にスルーパスを打ち込むパーマーは最後まで脅威に。後半はスコアこそ許さなかったブライトンだがチェルシーの前向きな姿勢に苦しめられる90分だった。
ひとこと
チェルシーの攻略パターンが鬼のようにハマった試合。前節のウェストハムもそうだが、潰し切る覚悟がないわりに生半可なハイラインを強いてくるチームにはとてもプランがハマりやすい。
試合結果
2024.9.28
プレミアリーグ 第6節
チェルシー 4-2 ブライトン
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:19’ 28‘(PK) 31’ 40‘ パーマー
BHA:7’ ラター, 34’ バレバ
主審:ピーター・バンクス
ブレントフォード【12位】×ウェストハム【14位】
手打ちが報われるロンドン・ダービー
前節と同じくロンドン・ダービーに挑むブレントフォードは前節を踏襲するスタート。開始1分でのムベウモのゴールは1週間前と全く同じ光景であった。
ボールを持つ側になったブレントフォード。ウェストハムは2列目の守備の陣形がかなりナローで、外を回していけば押し下げること自体はそこまで難しくはない立ち上がりだった。
ウェストハムはサイドからボーウェンのカウンターがベスト。ブレントフォードは即時奪回に出て行けそうな時はハイプレスで敵陣からの阻害を図り、間に合わないと判断した時は自陣でブロックを組むという非常にメリハリのある対応を見せた。
ウェストハムはサイドからクロスをあげるのに苦戦。ブレントフォードのリトリートが間に合ってしまった場合、きっかけを作ることが出来ず。パケタのスペースに落とすパスや、アントニオの体を張ったキープなど、個人のスキルを活かしたチャンスメイクに終始する。
だが、チャンスメイクはブレントフォードの方が上手。奪ったら素早く縦に進むブレントフォードは前線のポイント作りが非常に巧み。特にムベウモが前を向くとチームは簡単に前に進むルートを見つけることが出来る。
ウェストハムはそれでも強引な中央突破を選択。決定機というまでにはいかないが、押し下げて敵陣のボックス内に入っていく頻度は少しずつ増えていく。ブレントフォードはサイドからボール運びでのカウンターは効いており、セットプレーでのチャンスメイクもできていたが、流れの中からゴールを脅かす状況を作るまでには至らなかった。
後半、ガラッと守備のスタンスを変えたのはウェストハム。2枚交代を皮切りに覚悟を決めたハイプレスでオールコートマンツー気味にプレッシャーをかけていく。
ブレントフォードも高い位置からのプレスをやり返すが、圧力という点ではさすがにウェストハムの方が上。押し込むフェーズが徐々に増えていくと、中央をゴリゴリのコンビネーションで強引に突破したウェストハムが同点に追いつく。
得点後も対角のパスを使いながら堅実にブレントフォードを押し下げていくウェストハム。非保持に回ってもプレスからブレントフォードを苦しめる。
60分が過ぎたところでブレントフォードは選手交代を敢行。3-5-2のシフトチェンジで微妙にウェストハムのかみ合わせをずらすと、今度は一気に押し込む時間を増やしていく。
押し返す手段が見つからないウェストハムに対して、一方的にエリアに迫っていくブレントフォード。ピノック、ジャネルトなど何人か怪しい倒され方をしたが、PK判定はなし。フォーメーション変更によりスピーディーに主導権が入れ替わった試合はドローで決着することとなった。
ひとこと
ウェストハムのマンツーハイプレスもブレントフォードの噛み合わせずらしもどちらも有効な変更。手を打った方が報われるという展開だった。
試合結果
2024.9.28
プレミアリーグ 第6節
ブレントフォード 1-1 ウェストハム
Gtechコミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:1’ ムベウモ
WHU:54‘ ソーチェク
主審:サイモン・フーパー
エバートン【19位】×クリスタル・パレス【16位】
4回目の正直で未勝利沼脱出
前節に続き未勝利対決に挑むエバートン。自チームと同じく不調にあえぐパレスを叩いて何とか上位浮上のきっかけを作りたい。
互いに相手のバックスにはボールを持たせてOKというスタンス。インサイドをきっちり閉めることで、保持側にクリティカルなパスを通されることをとにかく避けたいという姿勢だ。
どちらのチームも非保持のブロックは悪くなかったが、特に目立っていたのは鎌田とウォートンのパレスのCHコンビ。シャープなボール奪取でエバートンの攻撃を寸断する。
そんないい流れが響いたのかパレスはセットプレーから先制点をゲット。ウォートンのファーへのクロスの折り返しをグエイが沈めてスコアを先に動かす。
リードを許したエバートンだが、特にプレスの強度を極端に引き上げることなく淡々と攻略ルート探しに終始。中央が少し硬いので、トップ下のマクニールがサイドの裏に流れるなどオフザボールの動きに変化をつけていく。だが、このルートはグエイの先読みが効いており、パレスが優勢。セットプレーからのチャンスメイクや中央からのボール配球が安定したパレスは得点以降もエバートンに流れを渡さずに時計の針を進めていく。
ただし、エバートンも中央の守備は相変わらず堅い。互いに縦のパスを引っかけ続け、なかなかチャンスを作れない展開のまま、試合はハーフタイムに突入した印象だ。
後半も似たような渋い展開になりそうなところを早々に変えたのはエバートン。マクニールがミドルで仕留めたこのゴールで勢いに乗ると、さらにはハリソンからマクニールへのルートでエバートンは一気に逆転に成功する。
パレスはスコアをひっくり返されたことでバタバタ。試合のリズムを失ってしまい、エバートンに苦しめられる後半の立ち上がりとなった。
ようやく押し込めるようになったのは60分過ぎ。サイドに枚数をかけた攻撃からクロスを上げたり、対角のパスで薄いサイドを作ったりなど攻め筋の工夫は確かに見られた。
しかしながら、ここ数試合の逆転劇を教訓にするかのようなエバートンの落ち着いた水際対応を前になかなかゴールを脅かすことが出来ない。
最後までボールを動かしていくアプローチは捨てなかったパレスだが、終盤は逆にエバートンにボールを持たれなおして押し返される展開もしばしば。時計の針を順調に進めることに成功する。1点差を守り切り、ついに成立した塹壕戦からの逃げ切り勝利のパターン。4度目の正直に成功したエバートンが一足先に未勝利沼からの脱出に成功した。
ひとこと
この試合での落ち着きがあれば、少なくとももう3くらいは勝ち点を取れていそうなエバートン。マクニールの連続ゴールが流れをかえるきっかけになるか。
試合結果
2024.9.28
プレミアリーグ 第6節
エバートン 2-1 クリスタル・パレス
グディソン・パーク
【得点者】
EVE:47’ 54‘ マクニール
CRY:10‘ グエイ
主審:アンディ・マドレー
アーセナル【2位】×レスター【15位】
間に合った決勝弾
レビューはこちら。
激戦を終えた開幕5試合に別れを告げて、アーセナルはここから昇格組とのホームでの連戦がスタート。まずはレスターとのホームゲームに挑む。
レスターはアーセナルにボールを持たせてOKというスタンス。4-4-2でトップの守備の基準点を中盤に置くことでミドルゾーンに構えながら勝負をかけるという形だった。
アーセナルはサイドから敵陣攻略を狙う流れ。大外のWGにはダブルチームに行く決まりがあったこの日のレスターに対して、アーセナルは両方のSBを高い位置にサポートに回すことで対抗。右のサカにはティンバーが追い越しや手前のサポート役として顔を覗かせていたし、左ではカラフィオーリがマルティネッリのサポートに加えて、中盤での組み立てにも参加。多彩な役割を果たしながら攻撃のメカニズムを回す。
後方ではサリバのデュエルでヴァーディを潰すことで反撃の芽を摘み取る。奪ったあとは素早く縦につけることで攻撃の起点として活用していた。ここのボール奪取からアーセナルは先制。素早いティンバーのオーバーラップからの折り返しをマルティネッリが仕留める。
以降もペースはアーセナル。レスターの起点を潰しつつ、自陣で相手の中盤を引き出すポゼッションから縦にパスを差し込んでいく。サイドでのユニット攻撃は相変わらず好調。前半の追加タイムにマルティネッリがトロサールにアシストを決めてセーフティリードを手にしてハーフタイムを迎える。
後半、1stプレーでレスターは流れを変えることに成功。ヴァーディがサリバとのマッチアップでファウルをもぎ取り、FKからジャスティンが追撃弾を手にする。
アーセナルは右サイドからの陣地回復で流れを引き戻しにいく。押し込むところまで持っていったアーセナルだが、ハーマンセンの活躍とンディディのサイドの守備の加勢により決定打を欠く展開に。
すると、スーパーゴールでレスターは振り出しに戻すことに成功。左サイドからのクロスをまたしてもジャスティンが振り切って、アーセナルの守備陣を棒立ちにさせた。
終盤はアーセナルが勝ち越し弾を挙げられるかが争点。ヌワネリの入った右サイドから縦横に揺さぶる展開を作りながら時間との勝負に挑む。
タイムレースはセットプレーで決着。CKからファーのトロサールがオウンゴールを誘発してギリギリで勝ち越しに成功。最後はおまけの4点目も決めて、終わってみれば2点差でアーセナルが勝利を収めた。
ひとこと
競り合いにはなったが、内容的にはサイドの攻撃ユニットの構築が進んだ感があったので悪くないアーセナルだった。
試合結果
2024.9.28
プレミアリーグ 第6節
アーセナル 4-2 レスター
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:20′ マルティネッリ, 45+1′ トロサール, 90+4′ ンディディ(OG), 90+9′ ハヴァーツ
LEI:47′ 63′ ジャスティン
主審:サム・バロット
ノッティンガム・フォレスト【8位】×フラム【9位】
好調同士の見応え抜群の好ゲーム
共に好調をキープする伏兵対決は両チームのコンディションの良さがうかがえる90分となった。ボールを持つスタートとなったフラム。押し込む流れからセットプレーでチャンスを迎えると、後方からボールを拾ったイウォビから更なるチャンスを作るという流れで押し込んでいく。
フラムは守備に回ってもフォレストのボールをサイドに閉じ込めることに成功。前線の誘導が成功していることが奏功し、後方の守備の読みもかなり効くように。中でもバッシーの潰しは効果が高かった。保持では相手の誘導を外し、アンデルセンから攻めるルートを望むことが出来ていたフラムが序盤のペースを握っていたといえるだろう。
劣勢のフォレストはこの日の2トップを生かしたフィジカル重視の戦い方で何とか起点を作りに行く。サイドの裏に流れたアウォニィとバッシーのマッチアップはかなり見ごたえのあるもの。バッシーも完全に収めさせることは許さなかったが、アウォニィもごちゃっと右サイドで時間を作ることはできていたので、ここからの根性クロスでボックス内に迫っていく。
序盤よりは押し込まれる時間は増えたフラムだが、DF陣の安定感は高く受ける場面も落ち着いてみていられた。保持においては左の外で受けるイウォビをフォレストが抑えることが出来ず。前任者のウィリアンのような2列目からのゲームメイクでイウォビがチームに落ち着きをもたらしていた。
後半も互いの攻略に挑み続ける両チーム。フラムがボールを持ちながらという構図も前半と同じであったが、試合は意外な形で動くことに。セットプレーからペレイラがムリージョに押されることでPKを獲得。ややソフトなコンタクトな気もしたが、確かに影響を与えてはいる動き。このPKをヒメネスが仕留めてフラムが貴重な先制点を奪う。
得点後に少しフラムは狭いスペースへの縦パスを通すことでフォレストのショートカウンターをいたずらに招いてしまった感があった。この時間にフォレストはハドソン=オドイを投入。リバプール戦で金星を挙げた勝ちパターンで逆転を狙いに行く。
ボックス内に侵入する機会が増えたフォレスト。エランガが受けたコンタクトは自軍が受けたPKを考えると、不服なものだろう。そうこうしているうちにフラムが徐々に保持でのリズムを取り戻し、フォレストのガス欠が顕著に。終盤はフラットでオープンなチャンスの応酬となる。
スミス・ロウ→ディオプの交代で押し込まれることと引き換えにオープンな展開を回避したフラム。最後は自陣をきっちり固めての勝利で今季無敗のフォレストに土をつけた。
ひとこと
フラム、とても調子がよさそう。今季まだ上位勢との対戦は多くないが、ここからが楽しみだ。
試合結果
2024.9.28
プレミアリーグ 第6節
ノッティンガム・フォレスト 0-1 フラム
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
FUL:51‘(PK) ヒメネス
主審:ジョシュ・スミス
ウォルバーハンプトン【20位】×リバプール【2位】
バクチに興じるウルブズ
ランチタイムにシティが引き分けたため、リバプールにとっては勝てば自力で首位浮上という重要な一戦になる。今季まだ勝利のないウルブスを抑えて勝利を掴みたい。
序盤は意外にもボール持つのはウルブス。GK、バックスでボールを落ち着けつつ、対角のフィードを使いながら広くボールを動かしていく。特にブエノの綺麗なフィードが印象的だった。
降りるレミナもいい保持のアクセントにはなっていたが、ややバクチ気味のターンを連発していたのが気がかり。リターンも大きいがリスクも大きいプレーだ。成功してリバプールのバックスを背走させることもあるが、捕まってしまいカウンターの温床にもなっていた。
というわけでリバプールの序盤はこのカウンターがベース。しかし、時間の経過とともにウルブスはプレッシャーを逃しつつ、戻りが遅れそうなサラーのサイドを活用しながら枚数をかけての抜け出しを図る。
押し込まれたリバプールはアリソンを軸にピンチに対応すると、左サイドのディアスにボールを集めるように。仕上げを託されたディアスの仕掛けから少しずつリカバリーを図る。
ウルブスも徐々に博打の頻度を晴らすことでリバプールの保持に対抗。一進一退の攻守のせめぎ合いのなかで差になったのはセットプレーのコナテからのゴール。貴重なゴールでリバプールはHT直前にリードを奪うこととなった。
迎えた後半は前半と似た流れ。ゆったりとボールを持とうとするリバプールに対してウルブスが枚数をあわせてプレッシャーをかけると、自軍のボールを持つ際には中盤でのターン勝負に打って出るバクチである。
自分たちのパスミスが相手のチャンスになるという危うさも感じたウルブスだったが、バクチに成功したレミナのキャリーから敵陣に入ると、最後はアイト=ヌーリがゴール。リバプールはコナテのスクリーンが甘く、ウルブスのプレーを切ることができなかった。
しかし、リバプールはすぐに勝ち越し。ジョッタがオフザボールの動き出しでセメドを出し抜きPKを獲得。これをサラーが仕留めてリードを奪う。
以降もバクチに興じつつ、リフレッシュした前線と中盤で勝負するウルブスだったが、リバプールをこれ以上脅かすことはできず。今節も勝てなかったウルブスは未勝利記録をさらに伸ばすこととなった。
ひとこと
追いついた押せ押せ感が悪い方向に出てしまったウルブスだった。
試合結果
2024.9.28
プレミアリーグ 第6節
ウォルバーハンプトン 1-2 リバプール
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:56′ アイト=ヌーリ
LIV:45+2′ コナテ, 61′(PK) サラー
主審:アンソニー・テイラー
イプスウィッチ【17位】×アストンビラ【3位】
左の縦関係を武器にビラを追い詰める
前節、昇格組との直接対決で辛くも勝ち点を拾うことに成功したイプスウィッチ。今節はCLのバイエルンとの大一番を控えるビラとのホームゲームだ。
相手のポゼッションの完成度によってプレスの枚数を変えている感のある今季ここまでのイプスウィッチ。アストンビラに対しては「敬意を表する」と決めたのだろう。撤退しながらの守備でボックス内に枚数を過剰に揃えながらビラのポゼッションを阻害。3-2-5に変形するビラは押し込みつつ、ティーレマンスのミドルなどから様子を見る。
保持時には3バックになるイプスウィッチはサイドの対応をずらすことで前進に成功。左サイドから押し下げると、そこからの一連の攻撃で先制。最後はクラークの抜け出しからの折り返しをデラップがきめる。
ビラとしては後悔が残る対応だっただろう。ニアを締めきれなかったマルティネスもそうだが、オナナやコンサにはプレーを切るチャンスがあったのに、ボール処理の丁寧さに欠けて相手選手にパスをプレゼントしてしまうミスもあった。
勢いに乗ったイプスウィッチはプレスから前進を狙う。だが、別にプレスを引っ掛けて先制したわけではないので、ビラのビルドアップは落ち着いて対応する。
ティーレマンスやパウ・トーレスなどからブロックの中を覗きたいビラ。特にトーレスに対しては対面のハッチンソンが厳しくケア。それ故にできる中盤のズレは発生しており、特にハーフスペースへの対応は少し後手になりそうであった。
しかしながら、ビラはそうしたちょっとのズレの予感を生かすことができず。それでもトップのワトキンスにボールを渡して陣地回復は可能。少ない手数でゴールに迫ることができた。
イプスウィッチの守備陣はバタバタ。同点ゴールとなった対応はグリーブス個人のミスではあるが、プレスの列上げかリトリートの割り切りが効かなければエラーの確率はそれは高まるだろうなという感じであった。
逆転弾であるワトキンスのゴールも同じ。ボックス内で2枚で挟んでいてDFが全く関われないのは痛かった。
保持型らしい相手のズレというよりはゴリ押しからパワーでねじ伏せた感のあるビラ。逆転で前半をなんとか終えることができた。
後半はビハインドのイプスウィッチが高いラインから仕掛けていくことでオープンな展開に。一見ビラにとってありがたい状況のように思えるが、この状況を活かしたのは仕掛けた側のイプスウィッチ。前半に効いていた左サイドに加えて、間延びしたライン間に差し込むことはできている。フリーの選手は作れているので、あとはパスの精度を突き詰められるか次第であった。
アストンビラは先制点で綻びを見せた右のユニットの機能不全が気になるところ。コンサ、ベイリーがいなくなることが多く、オナナもなぜか意識は前に出ていくことで後ろがスカスカになることが頻発。ジエゴ・カルロスの負荷が爆増する展開だった。
同点ゴールもまさにこの形から。ミスをした上にフラフラ前に残ったコンサのカバーを強いられたカルロスがデラップに軽くあしらわれて試合を振り出しに戻される。
フィロジーンを下げての5バック気味の対症療法を施すアストンビラだが、効果は限定的。バークリーをはじめとする3枚替えでもう一度保持に舵を切ろうとするが、最後は再びイプスウィッチに押し込まれる展開に持ち込まれる。
最後の最後はやらせなかったアストンビラ。薄氷の勝ち点1でなんとか手ぶらで帰ることは免れた。
ひとこと
どちらが勝ちに近かったかと言えばイプスウィッチのように思える。
試合結果
2024.9.29
プレミアリーグ 第6節
イプスウィッチ 2-2 アストンビラ
ポートマン・ロード
【得点者】
IPS:8′ 72′ デラップ
AVL:15′ ロジャーズ, 32′ ワトキンス
主審:スチュアート・アットウェル
マンチェスター・ユナイテッド【11位】×トッテナム【10位】
あまりにも遅すぎる目覚め
いわゆるビッグ6の中で突き抜けられない戦いが続く両チームの一戦。だが、この試合においてはくっきりと立ち上がりから両チームの明暗が分かれたと言っていいだろう。
トッテナムの高い位置からのプレッシングを基調とするハイテンポなプレーにユナイテッドは完全において行かれてしまった感がある。3分のジョンソンのゴールシーンはファン・デ・フェンの持ち上がりを止めに行くのが遅れたウガルテとデ・リフトにも問題はあるし、守備がスライドできていないのに何故か逆サイドがフリーになるという不思議さもあるゴールだった。
失点前のシーンではブルーノがキャリーを怠ったところからトランジッションが発生。運んで欲しいところを運ばずに、豪快なドリブルで敵陣に侵入されたという一連の流れも切ないものだった。
失点したユナイテッドはカウンター勝負にフォーカス。縦に速い展開で巻き返しを狙う。だが、保持者にタメが効く人がおらず攻め上がりの時間は作れないし、スプリントしながらのプレーになるためパスの精度が落ちるという苦しい循環。かといって自陣でのポゼッションをすれば横パスからトッテナムのプレスの餌食になってしまう。
トッテナムからすると、速いテンポを仕掛けられてもサイドの低い位置に流れるソランケとマディソンに預けることができるので、プレス回避は心配なし。さらには先制点以降も左サイドのハーフスペースをウガルテを軸に攻略することができていた。あとは決めるだけという決定機を逃してしまったのがトッテナムの前半の唯一の心残りだろう。
ユナイテッドは自陣でのデ・リフトやダロトのパスミスでリズムをさらに悪くすると、40分過ぎにはブルーノが一発退場。さらにはメイヌーも負傷交代に見舞われることに。悪い状況は前半にさらに悪くなり、ハーフタイムを迎えることとなったユナイテッドだった。
後半、ユナイテッドはカウンターをベースに10人での戦い方を提示する立ち上がり。しかしながら、トッテナムは早々にひっくり返すことに成功。右サイドへのロングボールを起点にしたラインブレイクで一気に押し下げると、右サイドからの折り返しをアクロバティックにクルゼフスキが仕留めて追加点をゲット。ユナイテッドは交代で入ったカゼミーロの対応がエラー。前半で入ってきたマウントの余計なイエローしかり、入ってきた選手が士気が下がるようなプレーをしてしまうと苦しい。
2点目が決まったところでユナイテッドはようやく目を覚ました感がある。前線は高い位置からプレッシャーに行くなどアクティブさは11人以上と言ってもいいくらいだった。
CKから押し下げる機会を作るとユナイテッドは一気に攻撃に打って出る。ゴールに押し込むことはできないが、前線でも少しずつチャンスを得て、数的不利を感じさせない時間を作る。
だが、終了間際にトッテナムは追加点。押し込まれる陣形を跳ね返すように攻撃に打って出ると、3点目を奪取。試合を完全に決める。
10人で2点差になりようやく目を覚ましたユナイテッド。それでもスコアを動かすことはできず、0-3での完敗を喫した。
ひとこと
入りが全てだと思う。火事場になってからようやく覚悟が見えるのでは遅すぎる。
試合結果
2024.9.29
プレミアリーグ 第6節
マンチェスター・ユナイテッド 0-3 トッテナム
オールド・トラフォード
【得点者】
TOT:3′ ジョンソン, 47′ クルゼフスキ, 77′ ソランケ
主審:クリス・カヴァナー
ボーンマス【13位】×サウサンプトン【18位】
サイド攻撃を確立したボーンマスが地力の差を見せる
マンデーナイトの開催となった第6節最後のカードは今季も爆発力のある攻撃陣により安定した成績を出しているボーンマスと2年ぶりのプレミアの洗礼に苦しんでいるサウサンプトンの一戦だ。
序盤はボーンマスのハイプレスにサウサンプトンが強気にショートパスでの繋ぎで受けていくという構図でスタート。サウサンプトンはCBが広がり、ラムズデールをビルドアップに絡めるk十で何とかインサイドでフリーマンを作りたいという感じだろう。ウゴチュクの強引なターンも含め、ここで何とか前を向ければボーンマスを背走させることが出来る。
一方のサウサンプトンは無理にプレスに行かず中盤をケアするスタート。サイドにボールを付けたら狭いスペースに追い込むことでなるべく高い位置でボールを奪いに行く。
よって、ボーンマスはトランジッションを重視する攻撃に切り替え。手数を少なく2列目にボールを入れてサイドから仕掛けにかかるという流れからチャンスを作る。
それぞれの攻め筋の中で先制したのはボーンマス。ファウルからのクイックリスタートに成功し、ボックス内の対応が緩くなったところをに見事に付け込んだゴールだった。ラムズデールはボールの近くにいたウゴチュクに怒っていたが、何かをすれば警告になる時代なので難しいところがある。いや、それでもさすがにウゴチュクは無関心だったけども。
ゴールをきっかけに一気に試合はボーンマスに傾いた。ミドルゾーンより先に進めないサウサンプトンを尻目に、ボーンマスは順調にサイドからの攻め手を確立。フリーでもボールをつなぐのに苦労していたサウサンプトンとは対照的に、セメンヨの押し下げから空いたマイナスのスペースからミドルを放ったクックにより、ワッタラのゴールが生まれボーンマスはさらにリードを広げる。止まらないセメンヨがゴールを決め、前半はボーンマスが3点のリードで折り返す。
反撃したいサウサンプトン。ボーンマスは前半のようにプレスには出てこなかったため、保持の機会はフラットになった印象。ボールを持てる状況を作り出したサウサンプトンはハーウッド=ベリスがセットプレーから1点を返す。
以降も押しこむサウサンプトン。交代選手のオフザボールの動きからボックス内でアクセントをつけるなど、後半は明らかにいい流れを作り出す。
しかしながら後半頭から続いたブーストでゴールを生み出せずに行くと終盤は失速。オープンな展開に持ち込まれて展開を戻されてしまう。
結局試合はそのまま終了。ボーンマスに地力の差を見せつけられる格好でサウサンプトンは今節も初勝利を手にすることが出来なかった。
ひとこと
悪い時間の落ち着け方がないのが苦しいサウサンプトン。前線にロングボールの逃がしどころとかがあればいいのだけども。
試合結果
2024.9.29
プレミアリーグ 第6節
ボーンマス 3-1 サウサンプトン
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:17’ エヴァニウソン, 32‘ ワッタラ, 39’ セメンヨ
SOU:51‘ ハーウッド=ベリス
主審:マイケル・オリバー