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「Catch up アジア最終予選」~Match week 1~ 2024.9.5

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オーストラリア×バーレーン

暗雲立ち込めるホーム開幕戦

 またしても日本と同居することとなったオーストラリア。サウジアラビアとのいつもの三つ巴である。そんな彼らの最終予選はホームのバーレーンとの一戦からのスタートだ。

 ボールを持つのはオーストラリア。アンカーにオニールが入る形で片側サイドを上げるという3-1-6の形からビルドアップを行っていく。バーレーンの4-4-2に対して外循環でボールを回していく。

 しかしながら、SHがきっちりとポジションを下げてスペースを埋めるバーレーンに対して、なかなかオーストラリアは攻め切ることができず。6人を前に置くことによる奥行きだとか、あるいはレーンを重ねて相手を乱すといったアプローチもほぼなく、ただただボールを回す時間を過ごすこととなる。

 バーレーンはボールを奪い返すとショートパスから時間を作り、オーストラリアのプレスを回避。即時奪回による波状攻撃を目論んでいたオーストラリアだが、バーレーンのポゼッションに対して圧力をかけ切ることができなかった。

 バーレーンは右サイドのアリ・マダンへのロングボールからの前進のルートを構築。さすがにオーストラリアに対して互角のポゼッションとまではいかないが、機会があった際にはスムーズに前進することはできていた。

 オーストラリアはようやく終盤になり、サイドからの裏抜けなどの工夫を見せるようになった。だが、前半はスコアレスのまま終了。ハーフタイムまでにオーストラリアはリードを奪うことはできなかった。

 後半、オーストラリアはようやく前進のメカニズムを掴んだ感があった。左サイドに浮遊するグッドウィンがラインを下げて受けるバーレーンの最終ラインの手前でボールを受けると、対角の大外のパスという目先を変える大きな展開を披露。このプレーから少しずつオーストラリアはグッドウィンを起点として攻め筋を構築していく。

 しかしながら、バーレーンもデュエルの威力は落ちず、球際に寄せることができた時はオーストラリアにきっちりと抵抗を見せる。接触プレーによってバーレーンの選手が痛むシーンが目立つようになる中、ハイキックによってイェンギが一発退場。オーストラリアは10人での対応を余儀なくされることに。

 10人でもボールを持つ側となったオーストラリア。大外へのロングキックからブロックの切り崩しを狙っていく。しかしながら、得点を決めたのはバーレーン。左サイドの大外→ハーフスペースの裏の突破に対して、オーストラリアの対応が遅れると、これがオウンゴールを誘発。89分にスコアを動かす。

 ホームでまさかの敗戦スタートとなったオーストラリア。最終予選のスタートはなんとも雲行きの怪しいものとなった。

ひとこと

 オーストラリアが点を取れないのはあるかなとは思ったが、まさか取られるとは思わなかった。

試合結果

2024.9.5
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
アジア最終予選 グループC 第1節
オーストラリア 0-1 バーレーン
シーバス・スーパー・スタジアム
【得点者】
BHR:89‘ サウター(OG)
主審:オマル・モハメド・アルアリ

日本×中国

4バックでも5バックでも関係なしで3大会ぶりの初戦勝利

 2026年のワールドカップをかけた最終予選がいよいよスタート。日本代表の旅の始まりは聖地・埼スタである。

 日本は6月シリーズに引き続き3バックを採用。両WBに三笘と堂安を置くという超攻撃的仕様の5バックである。中国は4-4-2で日本のバックラインには特にプレスをかけないスタート。日本は3バックから大外のWBを軸に攻め手を探るスタート。外にボールをつけて、バックラインを経由して逆サイドまで届けて中国を左右に動かしつつ、時折インサイドにつける縦パスを入れていくという流れだ。

 日本は構造で相手を外しきれなくてもそれぞれの箇所でそれぞれが攻め手になっている。中国にとっては厄介だろう。左の大外には三笘が1on1を仕掛けてくるし、右では久保と堂安のタッグから左足でのクロスとハーフスペースの裏抜けの両睨み。中央は固めているのだが、上田はそれでもあわやという反転を見せて中国のCB陣に冷や汗をかかせていた。

 どこからでも点が取れそうだった日本はセットプレーから先制点をゲット。マンツーで守る中国の守備に対して、スクリーンを活用してフリーになった遠藤がヘディングを叩き込んだ。

 失点直後、中国はひとまずボールを持ちながら解決策を探る。日本はフルスロットルでプレスに来たわけではないので、中国はボールを持つ余裕はあったが、キーパスである縦パスの収まりが悪い。ウー・レイが降りて受けてサイドに叩いた時はチャンスっぽくなったので、一本収まって展開できれば違うのだろう。しかしながら、この一本が入らずに中国は攻撃の起点を作ることができない。

 日本はボールを持つと先制点以前と同じくサイドからの揺さぶりに時々上田という形で追加点を狙う。あわやゴールインというVARチェックが入ったのは「時々上田」の方の縦パスからスタートした攻撃であった。

 日本は久保が左サイドに顔を出して南野と位置交換をしたりなど、徐々にサイド攻撃にアレンジを加えていく。ボックス内での遠藤や守田の突撃や大外の町田参上からの虚をついたクロスなど、後ろの枚数を減らすような攻撃を仕掛けることができたのは、日本が危うい形でボールを失っていないからだろう。

 前半の終了間際にはWB→WBから追加点。お手本となるようなファーへのクロスを三笘が仕留めてハーフタイム直前にリードをさらに広げることに成功した。

 後半、中国は5-3-2にシフト。5レーンをとりあえず埋めてしまおう!というのは2点差になってからやることなのか!という問題はあるが、それでもやらないよりはマシ!という判断なのだろう。

 それでも日本はあまりこのシステム変更を問題にしなかった。右サイドでは久保が早々に1枚を剥がしていたし、左サイドでは三笘が5バックのラインよりやや手前に降りて3センターの脇あたりに入り込むことで同サイドのハーフスペースの裏とボックスへのクロスを睨む。

 日本の3点目も三笘がややWBに捕まらない位置関係からシンプルに同サイドの南野を使ってのゴール。少し段差をつける工夫ではあるけども、中国に対してはこの少しの工夫がかなり効いた。

 日本のゴールはまだまだ止まらず。前半から狙っていた町田の縦パスから上田が潰れると、落としたところに入った南野が追加点をゲット。

 終盤の主役は伊東純也。右サイドからラッキーな跳ね返りでゴールを決めると、ファーサイドの前田のスピードを生かしたクロスでアシストも決めた。

 ゴールラッシュのトリを飾ったのは久保。フル出場の最後に得点を決めて、日本の快勝を締め括った。

ひとこと

 バーレーン相手にオーストラリアが足元を掬われるのを横目に日本は順調な発進に成功。川崎組で固めたところに高井をデビューさせるという心遣いも見せつつ、3大会ぶりの最終予選初戦勝利を収めた。

試合結果

2024.9.5
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
アジア最終予選 グループC 第1節
日本 7-0 中国
埼玉スタジアム2002
【得点者】
JPN:12‘ 遠藤航, 45+2‘ 三笘薫, 52′ 58′ 南野拓実, 77′ 伊東純也, 87′ 前田大然, 90+5′ 久保建英
主審:アブドゥルラフマン・アルジャシム

サウジアラビア×インドネシア

シャープさに欠けるサウジアラビアがホーム開幕戦を落とす

 自国のリーグに急速に欧州の選手が流入する流れがやってきているサウジアラビア。そんな方向性がナショナルチームのどのような影響を与えるのか、今回大会のサウジアラビア代表の最終予選はその点からも興味深いものになるだろう。

 インドネシアは5-4-1でがっちりと構えるスタート。サウジアラビアのバックラインにはプレッシャーをかけず、ゆったりとボールを持つことを許容する守備のスタンスであった。

 サウジアラビアはカンノとアル=ジュワーイルの2人がIHのように振る舞い、アンカーはアル=ハイバリという3-1-6のような形に変形する。しかしながら、オーストラリア同様に3-1-6の手ごたえはイマイチ。いい形でボールを奪い、トランジッションからの縦に速い攻撃の方が攻め筋のある感じであった。

 しかしながら、インドネシアもトランジッションは上等。ロングボールのターゲットになるオラットマングーンはとにかくゴツイ。インサイドに絞りながらあらゆるポイントで自陣からのロングボールを引きだす。

 インドネシアは前の3人で攻撃を完結することができる力があった。CFのストゥライクのいいプレスバックからインドネシアはカウンターに成功。アウェイで貴重な先制点を奪う。パスを狙われたアル=ハイバリは奪われた後の対応もバタバタしてしまい、味方につっかけてしまうなど一連のプレーは散々なものであった。

 この場面のようにインドネシアはハイプレスのスイッチが入った時の仕留め方が見事。ポゼッションに移行してもボールを持つ余裕を見せて、手ごたえのある状況を作り出す。

 サウジアラビアも右サイドにアブドゥルハミドを早々に投入してからは少しずつ攻撃に奥行きが出るように。大外が攻めのポイントとして機能したサウジアラビアは前半終了間際に同点。左サイドからドリブルでカットインしたカンノが深さを作り、アル=ジュワーイルのミドルシュートをおぜん立てして見せた。

 迎えた後半も追いついたサウジアラビアが保持から解決策を探る。ハイプレスから蹴らせて回収のメカニズムは前半よりは効くようになったし、左右のシンプルなクロスからインドネシアのバックラインに脅威を与える。

 カウンターでも対抗できてはいたインドネシアだったが、前半よりは苦しい状況に。すると、ハイプレスからGKのファウルを誘発したサウジアラビアがPKを獲得。だが、これはパエスのファインセーブに遭い、勝ち越しのチャンスを逃す。

 このワンプレーでインドネシアのGKは覚醒。終盤のサウジアラビアの猛攻をしのぎ、これ以上のゴールを許さず。

 結局試合はそのまま終了。オーストラリアに続き、ホームでサウジアラビアも勝ち点を落とす波乱の開幕節となった。

ひとこと

 後半のPK失敗までは悪くはなかったけども、サウジアラビアはシャープさが欠けていて全体的に低調な出来がしなくもない。

試合結果

2024.9.5
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
アジア最終予選 グループC 第1節
サウジアラビア 1-1 インドネシア
キング・アブドゥッラー・スポーツ・シティ
【得点者】
KSA:45+2’ アル=ジュワーイル
IND:19‘ ストゥライク
主審:アドハム・マハドメ

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