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「Catch up アジア最終予選」~Match week 2~ 2024.9.10

目次

インドネシア×オーストラリア

出遅れが続くオーストラリア

 開幕節はバーレーンにホームで敗れてしまったオーストラリア。出遅れをこれ以上酷くしないためにもインドネシアとのアウェイゲームは必勝の構えである。

 しかしながら、サウジアラビア相手に勝ち点を取ったインドネシアも手応えは十分。中盤でのデュエルに堂々と渡り合うなど、自信をつけたような展開となった。

 オーストラリアは早い展開ならば、長いボールからオープンな展開を生かそうとするが、ロングボールは精度も悪く、やたら伸びていってしまったり、あるいは体の当て合いでそこまで優位を取れなかったり。挙げ句の果てにはファウルを犯してボールを奪い返すところもスムーズにいくことができなかったりなど、かなりスムーズさを欠いていた。

 インドネシアは保持に回るとゆったりと。オーストラリアのプレスの意識は高かったが、割とひっくり返すことができる様子。中盤に縦に差し込むなど、オーストラリアの前がかりさを逆手に取るような前進をすることができていた。

 敵陣でも大外ではパス交換から抜け出すチャンスを作るなどかなり上々。非保持に回ってもミドルゾーンに構えてラインをイタズラに下げないなど、文字通りオーストラリアと互角に渡り合っていたように思う。

 20分が過ぎると少しずつペースを握ったのはオーストラリア。左サイドのオーバーラップを仕掛けるアーヴァインからのクロスでチャンスを作っていく。押し込むことで増えるセットプレーはさすがにオーストラリアが有利。圧力を高めていく。

 長いキックを蹴って、セカンドを回収すべく押し上げるという前進のモデルも少しずつ確立されてきたオーストラリア。セットプレーとロングボールを軸に徐々に押し込むも、先制ゴールを決めることができないままハーフタイムを迎える。

 後半、ゆったりとボールを持つオーストラリア。インドネシアはかなり前進がアバウトになった。それでもオーストラリアは自陣のパスミスからインドネシアにチャンスを与えるなど、完全に安定したわけではなかった。

 オーストラリアは交代で入ったメイビルが少しずつ存在感を見せるように。中央に強引に差し込むようなパスからゴールに迫るが、シュートはパエスの正面に飛び、ネットを揺らすことができない。

 長らく、5バックが押し込まれたインドネシアだったが、追加タイムにペースをゲット。得点は欲しいが前に出ていくことができず、間延びしたオーストラリアに対して逆に攻め返すことができるように。

 結局試合はそのままスコアが動かず終了。オーストラリアは開幕節に続いた勝てないまま9月シリーズを終えることとなった。

ひとこと

 短期勝負の最終予選で痛恨の出遅れを見せたオーストラリア。上がり目もよくわからなかったので、普通に結構やばそう。

試合結果

2024.9.10
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
アジア最終予選 グループC 第2節
インドネシア 0-0 オーストラリア
ゲロラ・ブン・トモ・スタジアム
主審:サルマン・ファラヒ

中国×サウジアラビア

10人ながら順当な逆転勝利

 オーストラリアと同じく、開幕節で勝利を手にできなかったサウジアラビア。唯一、順調な発進を見せた日本にボコボコにされた中国相手に最終予選初勝利を狙う。

 試合はロングキックをベースに縦に速い展開の応酬でスタート。さすがにサウジアラビアが有利であり、中国のバックラインはかなり水際の対応を迫られるように。

 しかし、中国も全く攻め手がなかったわけではない。サイドからウー・レイやアブドゥウェリが抜け出すなど、攻め気の強いサウジアラビアのWBの背後をとることはできていた。

 すると、先にあたりを引いたのは中国。セットプレーから先制点を決めて予選初ゴールを記録することに成功する。

 さらには、サウジアラビアはカンノが腹蹴りで退場。バタバタした展開で先制点を与えて、チームの核を失うという散々な立ち上がりに。

 退場者が出たことでサウジアラビアがボールを持つ展開で試合はようやく落ち着きを見せる。10人のチームが持つことで落ち着くのは珍しいが両チームの力関係を考えれば妥当だろう。

 4-4-1からボールを動かしていくサウジアラビアだが、とにかくボールにわらわら集まってくる中国相手に穴を開けるのはそこまで難しくはなく、クロスは容易に上げられる。中国のカウンターは警戒する必要はあったが、押し込んで効果的に殴るというミッションは問題なくできていた。

 前半のうちにサウジアラビアは追いつくことに成功。セットプレーから同点ゴールを決めてハーフタイムまでに試合を振り出しに戻す。

 後半もボールを持つのはサウジアラビア。3-2-1-3のような形からボールを動かして、サイドからの抜け出しを狙っていく。

 中国は4-4-2での仕切り直しを選択。ミスがあればフェルナンジーニョとウー・レイの今日からカウンターで咎めるスタンスで敵陣に迫っていく。

 セットプレーからネットを揺らしたのは中国だったが、これは惜しくもオフサイド。しかしながら、このシーンから少し中国はボールを持つ時間を作る。ハイプレスに関してはかなりキツイ感じがしたので、サウジアラビアは一度相手にペースを与えてしまうと少しめんどくさそうな感じはしなくもなかった。

 それでも終盤に押し返すチャンスを得ると、サウジアラビアはセットプレーから勝ち越し。とにかくセットプレーで動く試合で最後に笑ったのはサウジアラビア。中国は相手が10人になるという勝ち点確保の絶好機を活かすことができなかった。

ひとこと

 10人でもサウジアラビアの勝ちは妥当だと思う。カンノの腹蹴り、何試合出場停止になるんだろう。

試合結果

2024.9.10
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
アジア最終予選 グループC 第2節
中国 1-2 サウジアラビア
大連梭魚湾サッカー場
【得点者】
CHI:14′ アリ・アラジャミ(OG)
KSA:39′ 90′ カディシュ
主審:サドゥロ・グルムロディ

バーレーン×日本

後半の両軍のシフトチェンジが日本の大量得点に繋がる

 波乱が続くグループC。唯一、順当に初戦を勝ち抜いた日本が挑むのが初戦でアップセットを繰り広げたバーレーン。酷暑の中東での連勝を狙う。

 バーレーンは4-4-2。ただし、2列目の守備意識は非常に極端でSHが2トップとフラットな位置まで追いかけ回すこともあれば、最終ラインに吸収される形で5バックや6バックのような形になることもあった。SHだけでなく、CHもDFラインに入ることもあり、非常に守備の基準は流動的だったと言えるだろう。

 ボールを持つ日本はまずは王道のスタート。数的優位を有しているバックラインから大外のWBにつけて攻略を狙う。ハーフスペースの裏抜けもあったが、最もクリティカルにゴールに迫ったのは三笘からのファーへのクロス。堂安がポストを叩いたシーンが序盤の見どころということになった。

 保持において日本は先にあげた極端な二極化するバーレーンの中盤のギャップは使えそうな気もしたが、細かいズレを使った前進は狙わず。守田がサリーで後方の枚数調整をしていたが、基本的には大外でWBを経由するか、あるいはシンプルな裏抜けに終始。南野が精力的に裏に抜けてボールを引き出していたのが印象的だった。

 バーレーンの保持はシンプルなロングキックからスタート。日本は前3枚がスイッチを入れればバーレーンはすぐにボールを蹴る構えであったが、気温の高い環境下では頻繁にスイッチを入れることはできず。バーレーンもそれに気付いたのか、少しボールを持ちながら日本の時間を作らせないように振る舞っていた。

 日本のDFを背負ってのファウル奪取からのFK、サイドにボールが出たらロングスロー。両軍のオフサイドも含めてかなり試合は止まる時間が長くなる停滞ムード。三笘→堂安のファークロス以降はどちらにも明確なチャンスはなかったが、バーレーンも押し込む時間を作るという点では試合はフラットだったと言っていいだろう。

 そうした膠着した展開の中で日本は右サイドに抜け出した鎌田がハンドでPKを獲得。サイドを変えて南野の役割を踏襲した鎌田が結果を出したのは意義深いというか、停滞した戦況の中で一番試合を動かそうとした日本のシャドーがご褒美をもぎ取ってくるのは面白いなと思った。

 上田がゴールを決めて日本は先制。ハーフタイムをリードで迎えることとなった。

 日本はハーフタイムに伊東を投入。右サイドにスピードスターを入れる。すると、その伊東がいきなり得点に絡む。三笘がカットインしながらキープすると、右サイドの伊東に展開。折り返しをなんとか収めた上田がパワーあふれるシュートを押し込んでゴール。早々にリードをさらに広げる。

 後半の日本の変化点は守田が高い位置での仕事にシフトしたことである。前半の項でいうところの「細かいこと」を始めた感がある。鎌田も同様にライン間をウロウロしつつ、前に走る機会を伺っており、守田と似たようなエリアで仕事を探るようになった。

 この方向性に影響を与えたのはリードを広げられたバーレーンがかなりボールを奪いにこようとしたこと。ライン間が間延びしたことにより、守田と鎌田がライン間でボールを受けることはかなり容易になった。

 加えて、伊東純也の裏抜けがライン間の守田に次の選択肢になれた事もさらに日本の攻撃力を増す手伝いをしていた。間をとり、そこから裏抜けでスピードアップをすることでバーレーンを後手に回った状態で攻略ができるようになる。

 守田はここから前線への飛び出しで結果を出す。上田が強固な壁となってポストプレーで作ったスペースに飛び込んで3点目を奪うと、3分後に三笘のバックドアの並行サポートでフィニッシャーとなり、立て続けにゴールを仕留めた。

 バーレーンはこのゴールで完全に諦めムードが強くなる。特にプレスに出ていく意欲が削がれてしまい、日本のボール回しを見つめるだけのシーンが増えていく。

 その一方で日本は交代選手がアピールに躍起に。三笘と近いことができることをオフザボールとオンザボールで証明したい中村の仕掛けからゴールに迫ると、最後はこちらも結果が欲しかった小川がネットを揺らす。

ひとこと

 後半の日本の方向性の調整と、バーレーンの追い回す姿勢が噛み合っての大量得点となった。やや混戦模様のグループCを抜け出す連勝と得失点差を得た意義は大きい。バーレーンがプレスに出てくる契機となった先制点はもちろん大きいけども、中盤の守備のチューニングがフラフラしているこの日のバーレーンであれば、ハンドがなくともどこかで解決策は見つけていた感がある。それくらい守田や鎌田の役割調整の能力は高かった。

試合結果

2024.9.10
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
アジア最終予選 グループC 第2節
バーレーン 0-5 日本
バーレーン・ナショナル・スタジアム
【得点者】
JPN:37‘(PK) 47′ 上田綺世, 61′ 64′ 守田英正, 81′ 小川航基
主審:ルスタン・ルトフリン

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