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「Catch up アジア最終予選」~Match week 3~ 2024.10.10

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サウジアラビア×日本

仕掛けるサウジを尻目に大人の試合運び

 9月シリーズで出遅れたら有力国たち。日本はここで勝利をすれば、2位以下に3ポイント以上差をつけることができる。日本の独走を許さないためにも、サウジアラビアにはここで日本を止めなければという意識があるはずだ。

 サウジアラビアは4-3-3でのスタート。予想と少しずれがある形のフォーメーションになった。3バック、2人のIHで日本のバックラインに強気でプレスを仕掛けていく。ボールを奪ったらサイドにボールをつける。特に左サイドのアッ=ドーサりーのところでは日本の右サイドに優位を取れそうな状況。まずはここに預けるということでコンセンサスは取れていたようだ。

 日本はハメられていることを察知したため、素早く中盤で噛み合わせを外しにいく。バックラインに落ちる遠藤と中盤ともう1つ前を行き来する守田の2人でサウジアラビアがどこまで出ていくかを観察する。

 遠藤は相手のプレスを落ち着かせるイメージで、守田は攻撃を加速するためのスペースメイクがさらに上乗せされているイメージ。引いた守田に食いつくサウジアラビアの中盤の背後を南野が使う形は定番化。頻度は多くないが、前半の重要な攻め手になっていた。

 日本はこの縦パスから先制点をゲット。右に目線を集めてからの左に振って三笘!という形は直前にも見たシーン。日本はこの三笘からの折り返しからの攻撃を最後は鎌田が締めてリードを奪う。ズラしてルートを探して進むというのを非常に簡単にやってのけた。

 サウジアラビアの攻撃に対しては日本はミドルゾーンでは三笘と堂安の高さを変えたアシンメトリーの4-4-2に見えた。ただ、サイドの攻撃では後手を踏むことに関しては日本は自覚的だったのかワイドのCBの迎撃が早め。特に町田はかなり目立ったように見えた。

 どちらかというと日本のアクションがバタバタしたのはボールを奪った後。ボールを奪った後にボールを失ってしまったり、あるいは捨ててしまったりなどでサウジアラビアからリズムを奪い返せない。背負っている選手に強く当たってボールを回収するメカニズムを順調に動かすサウジアラビア。そして、奪ったとは相変わらずアッ=ドッサリーを軸とした攻撃から日本のゴールを脅かしていく。

 ピンチもあった鈴木の大きなファインセーブもあり、日本はなんとか無得点で凌ぐ。守田が攻撃のテンポを落ち着けて試合を制御しつつ、南野への縦パスから反撃を視野に入れるといったところでハーフタイムを迎えることとなった。

 後半も前半と変化のない展開でスタート。ボールを持つサウジアラビアに対して、日本は5-4-1で受けるスタートに。右のWBに伊東が入った分、守備ブロックは手当てをされている。

 サウジアラビアは押し込むものの、武器となりそうなところがはぶつ切り。前半の左のアッ=ドーサリー以外は単発感が否めない。特に前線へのロングボールは日本のCBには競り勝てるところもありそうな感じなのに、どこに落とすかなどのチームとしての狙いが見えにくかった。3バックへのシフトも瞬間的に見られたサウジアラビアだが、これはU字ポゼッションを誘発するだけで有効打にはならず。

 守田がボールを落ち着かせようとする展開は後半も見られたが、日本は前田の投入とともにカウンターにフォーカスする形にシフトチェンジ。長い距離を走る攻撃から一気に盤面をひっくり返そうとする。

 選手交代を絡めて4バックに戻したサウジアラビアだが、交代で入った選手が結果を出したのは日本。小川航基のセットプレーからのゴールで日本はリードを広げる。サウジアラビアはゾーン気味に構えるセットプレーの守備が前半から怪しかったが、ついにここで決壊をしてしまったイメージだ。

 サウジアラビアは4-4-2からSHも前線寄りでパワープレーにシフト。最後の総攻撃を仕掛けていく。だが、これも日本はなんとか対応。一度危うい場面を作られた以外は屈さず、最後に逆に決定機を作り返す。

 前回は勝てなかったサウジアラビアのアウェイゲームを克服した日本。完勝で最終予選3連勝を果たした。

ひとこと

 結構、仕掛けを見せてくる相手だったと思うが、それを受け止めて壊し切るという日本の試合運びは成熟したチームの振る舞いだった。

試合結果

2024.10.10
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
アジア最終予選 グループC 第3節
サウジアラビア 0-2 日本
キング・アブドゥッラー・スポーツ・シティ
【得点者】
JPN:14′ 鎌田大地, 81′ 小川航基
主審:キム・ジョンヒョク

オーストラリア×中国

引きこもる中国を攻略したオーストラリアが今予選初勝利

 ここまで1分1敗と明確に出遅れてしまったオーストラリア。次節は順調に勝ち星を積んでいる日本が相手ということを踏まえると、ここを逃せば10月シリーズも未勝利での折り返しとなる。中国とのホームゲームは石にかじりついてでも落としてはいけない一戦だ。

 オーストラリアは3バックを採用。中国の4-4-2に対してギャップを作るような配置でスタートする。中国はミドルゾーンでの4-4-2からマンツー気味に前に出て行く形で相手を捕まえに行く。ただ、出て行くタイミングが遅く絶妙にプレスはズレてしまう。そのため、オーストラリアにとっては列を下げれば自在にパスを受けることが出来る状況だった。

 3バックで中国のSHを釣ることでサイドからの前進が容易だったオーストラリア。しかしながら、ボックス付近での攻撃はちぐはぐで、なかなかサイドからきっかけを作ることが出来ない。

 すると、中国はずっと狙い続けていたロングボールから反撃に成功。張玉寧のポストから抜け出した謝文能がワンチャンスを仕留めて千載一遇のチャンスを生み出して見せた。

 中国はゴールを決めた後はSHを明確に下げて6バックを組む。当然、オーストラリアからは押し下げられるケースも出てくることになるが、そこは仕方ないという考え方だろう。

 アタッキングサードで違いを作れずに苦戦したオーストラリアだったが、前半の終了間際にセットプレーから先制点をゲット。純粋な高さで上回り、何とかハーフタイムをタイスコアで迎える。

 中国は選手交代を挟んで5バックにシフト。5-3-2でオーストラリアを迎え撃つ。後ろに重い布陣ながらも同点に追いつかれたことで少しずつ前に出て行くスタンスを見せる中国。オーストラリアはこれをひっくり返す形で勝ち越しゴールをゲット。大外のミラーを囮にカットインしたグッドウィンが豪快なミドルを放ってゴール。中国はミラーのフリーランによって押し下げられたスペースをグッドウィンに活用されてしまった。

 以降は完全に試合はオーストラリアのペース。空中戦の強さでロングボールを安定して跳ね返しつつ、ポゼッションで時間を作ることで反撃の隙を作らせない。

 終盤にはおまけのゴールを決めて終わってみれば3-1の完勝。引きこもる中国に解決策を打ち出すことに成功したオーストラリアが今大会初勝利を挙げた。

ひとこと

 中国、あんまりシステムとか関係ないね。保持も非保持も。

試合結果

2024.10.10
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
アジア最終予選 グループC 第3節
オーストラリア 3-1 中国
アデレード・オーバル
【得点者】
AUS:45+2’ ミラー, 52‘ グッドウィン, 90+2‘ ベルピレイ
CHI:20‘ 谢文能
主審:ナズミ・ナサルディン

バーレーン×インドネシア

2024年有数の超絶FK

 サウジアラビアとオーストラリアに引き分けた9月シリーズでグループCの台風の目になっている感があるインドネシア。アウェイでアジア予選においてはやや格上感のあるバーレーンとの一戦に挑む。

 立ち上がりは落ち着かないスタート。ロングボールでの競り合いがベースとなり、ともに痛む選手が出るというフィジカル色の強い立ち上がりとなった。

 どちらかといえば保持で主導権を握ったのはバーレーンの方だろう。3-2-5っぽいボール保持から機を見たハイプレスへの移行でインドネシアを追い込みにいく。ただ、ダークホースも伊達ではなく時折このプレスを交わしながら前進することもできており、試合は一進一退の展開だったと言えるだろう。

 そうした中で生まれた先制点はスーパーなFK。マルフーンの一撃は個人的には今年見たFKの中でも特大のインパクトを放つもの。無回転でのシュートを超長距離から仕留めてバーレーンが試合を動かすことに成功する。

 バーレーンは先制点以降は落ち着いたゲームメイクが目立った。相手の前線の4-1のブロックを伸縮させながら自陣におびきよせ、敵陣に侵入するための動線を作ることができていた。インドネシアも保持に回ればハーフスペースへのアタックで特攻はできていたが、バーレーンはCHがこのスペースを埋めることで十分に対抗できていた感がある。

 プレスに行く頻度はリードしても変わらないバーレーンは前半の主導権を握ったと言えるだろう。中盤からスピードに乗って、アリ・マダンのパンチ力のあるシュートなどで完結するバーレーンの攻撃は確かに手応えのあるものであった。

 だが、前半終了間際にインドネシアは同点ゴールをゲット。右サイドをこじ開けてのオラットマングーンの得点でハーフタイムの前に試合を振り出しに戻す。

 後半も展開は変わらずボール保持の主体となるのはバーレーン。インドネシアはカウンターをベースにチャンスを作るというのも前半と同じ形である。

 先にスコアを動かすことができたのはインドネシア。カウンターからストゥライクがゴールを決めてついにバーレーンをひっくり返す。

 バーレーンはセットプレーを中心にインドネシアのゴールを脅かすシーンを数多く作ることができていたが、なかなかこじ開けることができないまま試合は進んでいく。だが、苦しむバーレーンをVAR絡みの遅延があったとはいえ長すぎるように思える後半ATが手助け。99分のセットプレーからマルフーンが再びしたたかにゴールを決める。

 あと一歩で最終予選勝利を挙げることができたインドネシア。目前でバーレーンに勝利をかっさらわれる格好になってしまった。

ひとこと

 マルフーンのFK、ベラボーにすごかった。

試合結果

2024.10.10
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
アジア最終予選 グループC 第3節
バーレーン 2-2 インドネシア
バーレーン・ナショナル・スタジアム
【得点者】
BHR:15‘ 90+9′ マルフーン
IND:45+3‘ オラットマングーン, 74′ ストゥライク
主審:アフメド・アルカフ

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