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「Catch up アジア最終予選」~日本編~ アメリカ・メキシコ・カナダW杯 アジア最終予選

目次

第1節 中国戦(H)

4バックでも5バックでも関係なしで3大会ぶりの初戦勝利

 2026年のワールドカップをかけた最終予選がいよいよスタート。日本代表の旅の始まりは聖地・埼スタである。

 日本は6月シリーズに引き続き3バックを採用。両WBに三笘と堂安を置くという超攻撃的仕様の5バックである。中国は4-4-2で日本のバックラインには特にプレスをかけないスタート。日本は3バックから大外のWBを軸に攻め手を探るスタート。外にボールをつけて、バックラインを経由して逆サイドまで届けて中国を左右に動かしつつ、時折インサイドにつける縦パスを入れていくという流れだ。

 日本は構造で相手を外しきれなくてもそれぞれの箇所でそれぞれが攻め手になっている。中国にとっては厄介だろう。左の大外には三笘が1on1を仕掛けてくるし、右では久保と堂安のタッグから左足でのクロスとハーフスペースの裏抜けの両睨み。中央は固めているのだが、上田はそれでもあわやという反転を見せて中国のCB陣に冷や汗をかかせていた。

 どこからでも点が取れそうだった日本はセットプレーから先制点をゲット。マンツーで守る中国の守備に対して、スクリーンを活用してフリーになった遠藤がヘディングを叩き込んだ。

 失点直後、中国はひとまずボールを持ちながら解決策を探る。日本はフルスロットルでプレスに来たわけではないので、中国はボールを持つ余裕はあったが、キーパスである縦パスの収まりが悪い。ウー・レイが降りて受けてサイドに叩いた時はチャンスっぽくなったので、一本収まって展開できれば違うのだろう。しかしながら、この一本が入らずに中国は攻撃の起点を作ることができない。

 日本はボールを持つと先制点以前と同じくサイドからの揺さぶりに時々上田という形で追加点を狙う。あわやゴールインというVARチェックが入ったのは「時々上田」の方の縦パスからスタートした攻撃であった。

 日本は久保が左サイドに顔を出して南野と位置交換をしたりなど、徐々にサイド攻撃にアレンジを加えていく。ボックス内での遠藤や守田の突撃や大外の町田参上からの虚をついたクロスなど、後ろの枚数を減らすような攻撃を仕掛けることができたのは、日本が危うい形でボールを失っていないからだろう。

 前半の終了間際にはWB→WBから追加点。お手本となるようなファーへのクロスを三笘が仕留めてハーフタイム直前にリードをさらに広げることに成功した。

 後半、中国は5-3-2にシフト。5レーンをとりあえず埋めてしまおう!というのは2点差になってからやることなのか!という問題はあるが、それでもやらないよりはマシ!という判断なのだろう。

 それでも日本はあまりこのシステム変更を問題にしなかった。右サイドでは久保が早々に1枚を剥がしていたし、左サイドでは三笘が5バックのラインよりやや手前に降りて3センターの脇あたりに入り込むことで同サイドのハーフスペースの裏とボックスへのクロスを睨む。

 日本の3点目も三笘がややWBに捕まらない位置関係からシンプルに同サイドの南野を使ってのゴール。少し段差をつける工夫ではあるけども、中国に対してはこの少しの工夫がかなり効いた。

 日本のゴールはまだまだ止まらず。前半から狙っていた町田の縦パスから上田が潰れると、落としたところに入った南野が追加点をゲット。

 終盤の主役は伊東純也。右サイドからラッキーな跳ね返りでゴールを決めると、ファーサイドの前田のスピードを生かしたクロスでアシストも決めた。

 ゴールラッシュのトリを飾ったのは久保。フル出場の最後に得点を決めて、日本の快勝を締め括った。

ひとこと

 バーレーン相手にオーストラリアが足元を掬われるのを横目に日本は順調な発進に成功。川崎組で固めたところに高井をデビューさせるという心遣いも見せつつ、3大会ぶりの最終予選初戦勝利を収めた。

試合結果

2024.9.5
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
アジア最終予選 グループC 第1節
日本 7-0 中国
埼玉スタジアム2002
【得点者】
JPN:12‘ 遠藤航, 45+2‘ 三笘薫, 52′ 58′ 南野拓実, 77′ 伊東純也, 87′ 前田大然, 90+5′ 久保建英
主審:アブドゥルラフマン・アルジャシム

第2節 バーレーン戦(A)

後半の両軍のシフトチェンジが日本の大量得点に繋がる

 波乱が続くグループC。唯一、順当に初戦を勝ち抜いた日本が挑むのが初戦でアップセットを繰り広げたバーレーン。酷暑の中東での連勝を狙う。

 バーレーンは4-4-2。ただし、2列目の守備意識は非常に極端でSHが2トップとフラットな位置まで追いかけ回すこともあれば、最終ラインに吸収される形で5バックや6バックのような形になることもあった。SHだけでなく、CHもDFラインに入ることもあり、非常に守備の基準は流動的だったと言えるだろう。

 ボールを持つ日本はまずは王道のスタート。数的優位を有しているバックラインから大外のWBにつけて攻略を狙う。ハーフスペースの裏抜けもあったが、最もクリティカルにゴールに迫ったのは三笘からのファーへのクロス。堂安がポストを叩いたシーンが序盤の見どころということになった。

 保持において日本は先にあげた極端な二極化するバーレーンの中盤のギャップは使えそうな気もしたが、細かいズレを使った前進は狙わず。守田がサリーで後方の枚数調整をしていたが、基本的には大外でWBを経由するか、あるいはシンプルな裏抜けに終始。南野が精力的に裏に抜けてボールを引き出していたのが印象的だった。

 バーレーンの保持はシンプルなロングキックからスタート。日本は前3枚がスイッチを入れればバーレーンはすぐにボールを蹴る構えであったが、気温の高い環境下では頻繁にスイッチを入れることはできず。バーレーンもそれに気付いたのか、少しボールを持ちながら日本の時間を作らせないように振る舞っていた。

 日本のDFを背負ってのファウル奪取からのFK、サイドにボールが出たらロングスロー。両軍のオフサイドも含めてかなり試合は止まる時間が長くなる停滞ムード。三笘→堂安のファークロス以降はどちらにも明確なチャンスはなかったが、バーレーンも押し込む時間を作るという点では試合はフラットだったと言っていいだろう。

 そうした膠着した展開の中で日本は右サイドに抜け出した鎌田がハンドでPKを獲得。サイドを変えて南野の役割を踏襲した鎌田が結果を出したのは意義深いというか、停滞した戦況の中で一番試合を動かそうとした日本のシャドーがご褒美をもぎ取ってくるのは面白いなと思った。

 上田がゴールを決めて日本は先制。ハーフタイムをリードで迎えることとなった。

 日本はハーフタイムに伊東を投入。右サイドにスピードスターを入れる。すると、その伊東がいきなり得点に絡む。三笘がカットインしながらキープすると、右サイドの伊東に展開。折り返しをなんとか収めた上田がパワーあふれるシュートを押し込んでゴール。早々にリードをさらに広げる。

 後半の日本の変化点は守田が高い位置での仕事にシフトしたことである。前半の項でいうところの「細かいこと」を始めた感がある。鎌田も同様にライン間をウロウロしつつ、前に走る機会を伺っており、守田と似たようなエリアで仕事を探るようになった。

 この方向性に影響を与えたのはリードを広げられたバーレーンがかなりボールを奪いにこようとしたこと。ライン間が間延びしたことにより、守田と鎌田がライン間でボールを受けることはかなり容易になった。

 加えて、伊東純也の裏抜けがライン間の守田に次の選択肢になれた事もさらに日本の攻撃力を増す手伝いをしていた。間をとり、そこから裏抜けでスピードアップをすることでバーレーンを後手に回った状態で攻略ができるようになる。

 守田はここから前線への飛び出しで結果を出す。上田が強固な壁となってポストプレーで作ったスペースに飛び込んで3点目を奪うと、3分後に三笘のバックドアの並行サポートでフィニッシャーとなり、立て続けにゴールを仕留めた。

 バーレーンはこのゴールで完全に諦めムードが強くなる。特にプレスに出ていく意欲が削がれてしまい、日本のボール回しを見つめるだけのシーンが増えていく。

 その一方で日本は交代選手がアピールに躍起に。三笘と近いことができることをオフザボールとオンザボールで証明したい中村の仕掛けからゴールに迫ると、最後はこちらも結果が欲しかった小川がネットを揺らす。

ひとこと

 後半の日本の方向性の調整と、バーレーンの追い回す姿勢が噛み合っての大量得点となった。やや混戦模様のグループCを抜け出す連勝と得失点差を得た意義は大きい。バーレーンがプレスに出てくる契機となった先制点はもちろん大きいけども、中盤の守備のチューニングがフラフラしているこの日のバーレーンであれば、ハンドがなくともどこかで解決策は見つけていた感がある。それくらい守田や鎌田の役割調整の能力は高かった。

試合結果

2024.9.10
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
アジア最終予選 グループC 第2節
バーレーン 0-5 日本
バーレーン・ナショナル・スタジアム
【得点者】
JPN:37‘(PK) 47′ 上田綺世, 61′ 64′ 守田英正, 81′ 小川航基
主審:ルスタン・ルトフリン

第3節 サウジアラビア戦(A)

第4節 オーストラリア戦(H)

第5節 インドネシア戦(A)

第6節 中国戦(A)

第7節 バーレーン戦(H)

第8節 サウジアラビア戦(H)

第9節 オーストラリア戦(A)

第10節 インドネシア戦(H)

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