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「プレスの割れ目からホールド解除」~2020.9.27 J1 第19節 湘南ベルマーレ×川崎フロンターレ BBC風オカルトプレビュー

 このプレビューは対戦カードの過去の因縁やジンクスを掘り起こして、試合をより一層楽しむための物です。

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第19節
2020.9.27
湘南ベルマーレ(18位/2勝3分14敗/勝ち点9/得点14 失点30)
×
川崎フロンターレ(1位/16勝2分1敗/勝ち点50/得点58 失点48)
@Shonan BMW スタジアム

戦績

近年の対戦成績

図1

直近10試合で湘南の1勝、川崎の6勝、引き分けが3つ。

湘南ホームでの成績

図2

直近10試合で湘南の1勝、川崎の5勝、引き分けが4つ。

Head-to-Head

<Head-to-Head①>
・直近8試合の川崎戦で湘南は勝ちなし(D3L5)。
・川崎は対湘南戦4連勝を達成したのは過去に1回だけ。

 しばらくは勝ちと引き分けが交互にきていた湘南と川崎のカード。しかしながらここ2年間は川崎が連勝中。昨年は久しぶりにシーズンダブルを達成した。

 この試合に川崎が勝てば対湘南戦は4連勝、そして2年連続のダブル達成となる。ただ、過去の戦績を振り返ってみると過去に湘南戦4連勝を達成したのは1回だけである。

<Head-to-Head②>
・J1での対戦において川崎は湘南ホームで連勝したことがない。
・直近2試合のホームでの川崎戦において湘南は無得点。

 先ほど紹介した4連勝はJ2時代の対戦の時期を含んだもの。J1に昇格してからは湘南ホームでの川崎の連勝はない。なかなかに勝ちきれないスタジアムというイメージは個人的にもある。

 しかしながら、湘南側から見てもこのカードは直近2試合はホームで無得点。最後に得点を決めたのは2016年。終了間際のアンドレ・バイーアのヘディングでのゴール以降は沈黙が続いている。

<Head-to-Head③>
・直近2試合の先制した川崎戦において、湘南は逆転負けをしている。
・しかし、湘南の直近2試合の川崎戦の勝利はいずれも逆転勝利。

 4回戦で当たった2018年の天皇杯、そして今季の前半戦。湘南が先制した直近2試合の川崎戦はこのカードである。結果はいずれも川崎が3点を取りそこから逆転を決めている。

 しかし、湘南の直近の勝利も逆転によるもの。2015年、2013年にあげた湘南の勝利はいずれも先制点を跳ね返して2-1で刺しきった試合だ。2016年の等々力の4-4もそうだが、このカードはリードが入れ替わることが非常に多いのが特徴である。

スカッド情報

【湘南ベルマーレ】

・馬渡和彰は契約条項により出場不可。
・梅崎司は左膝内側半月板損傷により離脱中。
・鈴木冬一は8月19日の名古屋戦以降、スカッド入りがない。

【川崎フロンターレ】

・長谷川竜也はフルトレーニングに合流済みだがベンチ入りはしていない。
・浦和戦で負傷交代した大島僚太は前節ベンチ外。

予想スタメン

画像3

Match Facts

【湘南ベルマーレ】

<湘南のMatch Facts①>
・敗れれば今季3回目の3連敗。
・今季リーグ戦で挙げた2勝はいずれもトップハーフ相手のもの。

 勝てないフェーズが続いている苦しい湘南。3試合連続で負けなしが続いていたが、再び2連敗で苦しくなっている。同じく沈む相手に3点差で敗れた清水戦や、終了間際にアラーノのラッキーなゴールで仕留められた鹿島戦など、勝ち点の逃し方もダメージが大きい。

 しかしながら、今季勝利した2試合はいずれもトップハーフにいる相手(鹿島、G大阪)。共に1-0でのクリーンシートで逃げ切った試合。川崎相手にアップセットを狙いたいところだ。

<湘南のMatch Facts②>
・直近4試合のホームゲームで得点は1のみ。
・75分以降の失点が13。全体の39%。

 苦しんでいる要因の1つは得点力不足。特にホームでは直近4試合で1得点のみ。ゴール欠乏症は深刻だ。

 失点に目を向けると75分以降のものが目立つ。ハーフタイム明けと残り15分に固め取りが目立つ川崎相手に最後の時間帯に粘りを見せられるかどうかは気になるところである。

<湘南のMatch Facts③>
・石原直樹はチームの36%の得点を挙げている。
・浮嶋監督は就任後、27試合で4勝のみ。

 5得点の石原直樹が得点力を一手に引き受けている印象だ。複数得点は彼と大岩一貴(2得点)の2人のみ。FW陣で複数得点を決めている選手は他にはいないという状況である。

 厳しい状況で監督のバトンを受け取ったこともあるが、浮嶋監督は就任後の27試合のリーグ戦で4勝のみ。それ以前の27試合が10勝だったことを考えるとちょっと寂しさは否めない。ちなみに浮嶋監督が就任後に勝利した4試合のスコアは全て「1-0」だ。

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch Facts①>
・直近の公式戦7試合連続で3得点以上を記録している。
・関東でのアウェイゲームは直近8連勝中。

 鬼木監督による1つのノルマとされている「3得点」。ノルマ達成はすでに7試合続いている。数えたことはないけれど、川崎の歴史においてもないことなんじゃないだろうか。わかる人は教えてください。

 もう1つ強さを見せるのは関東アウェイ。直近は8連勝中で、最後に勝てなかったのは2019年3月の日産。負けた試合で言えば2018年の埼スタまでさかのぼることに。10試合以上関東のアウェイゲームでは負けていないことになる。

<川崎のMatch Facts②>
・16位以下のチームとの対戦は直近11試合負けなし(W9D2)
・今季、2失点以上している5試合のうち4試合はボトムハーフとの対戦。

 今季は降格はないが、いわゆる降格圏にいるチームとの対戦成績はいい。最後に負けたのは宮本恒靖就任直後のG大阪。ちなみに11試合のうち引き分けている2試合は16位のチームとの対戦だ。

 ただし、今季冷や汗を欠かされた相手はボトムハーフに多い。複数失点をしているチームはC大阪を除いた4チーム(仙台、横浜FC、神戸×2)はいずれも2桁順位であるということも気にはしておきたい。

<川崎のMatch Facts③>
・小林悠は90分換算における枠内シュート(2.83)がリーグトップ。
・旗手怜央が今季リーグで挙げた5得点はいずれもボトムハーフのチーム相手に挙げたもの。

 防がれてしまったものの横浜FC戦では華麗な反転シュートをみせた小林悠。枠内をとらえるシュートの精度はさすがである。チャンスの量の差もあるだろうが、90分毎の枠内シュート数で言えばオルンガやレオナルドよりも上だ。

 横浜FC戦で2得点をあげた旗手は今季のリーグ戦での得点が全てボトムハーフ相手のものである「ボトムハーフキラー」。得点もアシストも1試合で2以上取るケースもしばしば。贅沢を言えばハットトリック未遂ではなく、そろそろハットトリックを見たいところである。

展望

■試合を握れれば強い湘南だが

 勝ち点を得たのはここまでわずか5回。湘南はとても苦しんでいる。湘南は開幕戦こそ「ボール持ちたいんや」という意志を感じたものの、徐々にいわゆる「湘南スタイル」といわれるような運動量を活かした従来の形に回帰しているシーズンを歩んでいるように見える。新しいことを落とし込むのにしんどいシーズンであるのは違いないのでわからなくはない。

 プレビューを書くために確認したのは清水戦、鹿島戦の2試合だったが、この2試合で最もいい時間帯を過ごしたのは鹿島戦の立ち上がりだろうか。この時間帯に見せた湘南のサッカーは最終ラインを押し上げて敵陣に多くの選手が侵入するもの。ボールホルダーにプレッシャーをかけて、セカンドボールを回収し続ける。

 ボール保持においてはWB、CB、2トップの一角にIHなどの多くの人数をかけて多角形を作り、裏抜けからエリア内にクロスを送り込むという流れで鹿島をエリアに釘付けにしていた。クロスからの得点パターンは川崎も前半戦でやられた形である。

画像4

 逆に言えばこの攻守の形に持ち込めないと湘南は苦しくなる。守備においてしんどくなるのは多くの人数をかけてプレスをかけられないとき。良くない時はボール周辺の1人、2人しか動いておらず、簡単にプレスを抜けられてしまう。清水戦では特にこういったシーンが目立っていた。

 湘南のプレスに対してフリーの選手ができた場合、狙いたいのは裏抜けである。湘南のMFは高い位置を維持することが多いため、DFラインとの間隔が比較的広い。DFラインを背走させることができれば、物理的な距離が開いているMFがDFラインにヘルプに入るのに時間がかかる。単純にDFラインの後方に加えて、マイナスのスペースも空いている状態でカウンターを食らう状態も多かった。押し下げながらマイナスまでケアするのは相当ハードだろう。川崎としてはまずは湘南のDFラインに上下動を強いるアプローチをしていきたいところだ。

 具体的に狙いたいところは3CBの脇のスペース。WBが出てきた際に最終ラインはこのスペースを埋める動きがあまり見られない。WBを引き出して、外に出てこない3CBの外から相手のラインを押し下げてマイナスのスペースを狙いたいところである。この背走の機会を増やすことができなければ、逆に川崎は苦しく湘南相手に押し込まれる時間が出てくることになるだろう。

画像5

 ボール保持においては人数をかけるためのタメを作る手段の乏しさが気になる。石原直樹のポストへの依存度はかなり高く、中央の前進は彼が一手に引き受けているといってもよさそうだ。ただし、上のMatch Factsの項でも取り上げたが、彼はフィニッシャーでもある。前進もフィニッシュも依存度が高いのは気になるところである。

 もう1つの前進の手段はWBのボールを運ぶ動き。川崎のWGの裏から運ぶという状況は立ち位置からのイメージだけで言えば簡単にわく。石原広教や古林なども頑張っているが、ここのポジションは欠場が続いている鈴木冬一の不在は気になるところ。フィニッシュワークへの関与の多さも光るものがあり、多岐にわたる貢献ができる鈴木が欠場してしまうと湘南は苦しくなる。

 川崎としてはギアを入れた時の速度で湘南を上回りたいところ。単純な運動量で敵う相手ではないので、いつどうやって走るか?のところを工夫する必要がある。狙いどころを明確にすれば、湘南のプレスを分解するミッションは可能だろう。前線には裏抜けをサボらないことが求められるし、インサイドハーフにはそれにキャッチアップして攻撃参加することが求められる。

 湘南のプレスは鹿島戦の立ち上がりのように相手をホールドするような展開に持ち込めれば強い。川崎も前半戦での対戦では得点後にそういう時間を作られている。怖さは十分に分かっているはずだ。

 一方で脆さもある。湘南は理詰めで出しどころを封じてくるというよりは、勢いで圧倒してくるタイプのチーム。川崎はどちらかといえばこういうチームへのプレス耐性は強い方であるだろう。ボールを持つことを怖がる選手は少ない。圧に屈するよりはどちらかといえばスペースを消されてフリーズすることの方がはるかに多い。ホルダーに勢いよく突っ込んでいっても、近くの選手が浮くことがあればなおさら。湘南からすれば勢いを逆手に空いた場所から突破口を切り開かれる可能性がある。

 試合をホールドして人数をかけたい湘南だが隙はある。割れ目を作って彼らが試合をホールドしに来る状況をまずは回避したいところ。そしてそこからのスピードアップ。横浜FC戦では相手にテンポを支配される時間が多かったが、湘南相手には自分たちのリズムを刻みたいところである。

【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)

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