Fixture
プレミアリーグ 第1節
2024.8.17
アーセナル(昨季2位/28勝5分5敗/勝ち点89/得点91 失点29)
×
ウォルバーハンプトン(昨季14位/13勝7分18敗/勝ち点46/得点50 失点65)
@エミレーツ・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
過去10回の対戦でアーセナルの7勝、ウォルバーハンプトンの2勝、引き分けが1つ。
アーセナルホームでの戦績
直近10回のアーセナルホームでアーセナルの6勝、ウォルバーハンプトンの1勝、引き分けが3つ。
Head-to-head from BBC sport
- アーセナルは直近6試合のリーグ戦のウルブズ戦で全勝。
- ウルブズの直近13試合のアーセナル戦の唯一の勝利は2020年11月の2-1。
- アーセナルは直近33試合のウルブズ戦でいずれも得点しており、特定の相手に対する最も長いラン。ウルブズ側からしても最も長くクリーンシートを記録してない相手。
スカッド情報
- プレシーズンマッチを欠場したユリエン・ティンバーはトレーニングを再開。
- リカルド・カラフィオーリにはデビューの可能性。
- 冨安健洋は欠場。
- ファビオ・ヴィエイラとキーラン・ティアニーは出場が不透明。
- ネルソン・セメドは3試合出場停止。
- マテウス・クーニャ、マリオ・レミナ、ヨルゲン・ストランドはフィット。
Match facts from BBC sport
- 99年連続のトップリーグでどのクラブよりも長いラン。
- 2024年のプレミア18試合で16勝。89%の勝率はクラブハイ。
- 2024年のプレミアにおいて54得点、9失点。
- 直近5年の開幕戦のうち、2021年のブレンドフォード戦を除いた4試合で勝利。
- ウィリアム・サリバは出場した65試合のプレミアで49勝。仮にこの試合に勝てばナチョ・モンレアルの70試合を抜き、最も早く50勝に到達したアーセナルの選手になる。
- マルティン・ウーデゴールはウルブズに4得点を決めており、最も多くの得点を決めている対戦相手。
- 負ければ史上初めての4年連続開幕戦の敗戦になる。
- 6年連続アウェイでの開幕節を迎えている。
- 23-24シーズンにおいて5大リーグで唯一PA外からのシュートを決めていないチーム。
- アウェイでの直近3試合の勝利はいずれもロンドン。ブレントフォード、チェルシー、トッテナム。アウェイゲームでの4連勝をいずれもロンドンで飾ったことは過去にない。
- 直近6試合のリーグ戦で5敗しており、3連敗中。
- マテウス・クーニャは昨季プレミアのアウェイゲームで9得点を決めており、これより多いのはエーリング・ハーランド(12)とオリー・ワトキンス(10)だけ。
予想スタメン
展望
従来モデルの維持が難しいならばあるいは・・・
EUROとコパアメリカとオリンピックとパワプロでオフシーズンは埋め尽くされていたので、プレミア開幕は本当にあっという間。今年もプレビューが始まるなという感じである。
例年読んでくださっている方にとってはお馴染みのことではあると思うが、自分は親善試合をチェックするタイプではない。どうせシーズンが始まったらたくさん試合を見るので、シーズン始まってから細かいことは考えようぜ派の人間である。なので、ウルブスはもちろんアーセナルの試合もほとんどチェックすることができていない。
よって、この開幕節のプレビューは今年上がってくるどの記事よりも手薄である。例年であれば、アーセナルのシーズンを展望のボリュームで誤魔化すのだけども、今季はエルゴラ本で全て吐き出してしまった(みんな買いましょう)ので、ここも何もない。というわけでとても暖かい気持ちで見守ってほしい。
ウルブスは昨シーズン14位。彼らの実力を考えれば躍進というわけではないが、残留争いからは早々に足抜け。安定したシーズンを過ごした。開幕前夜にロペテギが辞任するという混乱から考えると、最悪の結末に足を踏み入れすらしなかったことは評価できるように思う。
不安定な稼働だったのは前線である。ファン・ヒチャンやクーニャといった主力は代表活動や負傷で不在。当然のようにネトもフィットしない期間を多く過ごすこととなったので、前線はなかなかキャストが揃わず。昨年のアーセナルとの後半戦は時間制限がついているヒチャンがメンバー入りするのみ。非常に象徴的な布陣だったと言えるだろう。前線の層を削ったシーズンにこれはかなり厳しかった。
一方で中盤より後ろはどっしりとユニット構築に成功。ドーソン、トティ・ゴメス、そしてキルマンのバックスは不動。特にキルマンはサリバと並び昨シーズンのフルタイム出場を果たしてみせた。中盤はJ・ゴメスとレミナが活躍。ドイルなど層も厚くなっている感もある。出入りも少なかった前半に比べると安定したパフォーマンスを見せることができたシーズンだったと言っていいだろう。
目下の課題となるのは不在となる主力の穴を埋められるかだろう。前線ではネトが不在。稼働が安定しなかったとはいえ、競合相手に独力で陣地回復ができるドリブルはチームの大きな武器だった。引いて受けながら一刺しという戦い方をカジュアルにできたのは彼の存在が大きいのは間違いない。
バックスではフルタイム稼働のキルマンがウェストハムに移籍。安定したバックスを再び構築しなければいけない事態に見舞われている。「きっちり構えて」と「長いカウンターで刺す」の両面の中心人物を欠いており、長年のウルブスらしさを実装できるかどうかが問われることになるだろう。
それとは別にボール保持から新たな取り組みができるかも気になるところ。昨季は中盤の変形に合わせてアイト=ヌーリをWBのポジションから解放するようなトライも見られた。オニール監督が従来の構えて刺すスタイルを担保することが難しいと判断するのであれば、保持からの新しいスタイルに踏み切ってもおかしくはないだろう。
計算が立つところ、立たないところ
昨シーズンのアーセナルから学ぶことがあるとすれば、開幕からいきなりフルスロットルというチーム作りはまずないだろうということだ。タイトルを争うチームであれば、終盤にピーキングすることが一般的。特にチャンピオンズリーグなどシーズン後半に大一番を迎える可能性が高いクラブであればよりその必要性が高まる。
さらには今オフにはEUROとコパ・アメリカという代表活動があった。サカ、ライス、ラムズデール、ラヤ、サリバ、マガリャンイスをはじめとして多くの選手が短いバケーションでこのオフを過ごしたこととなる。
というわけで今季のアーセナルにまず問われるお題目は出力を極端に上げない状態でいかに勝ち点を奪い取るかどうかである。前半戦はコスパ重視。パフォーマンスの割に良い結果を手にすることが求められる。昨シーズンの足枷になったのはやはり前半戦の勝ち点の取りこぼし。後半戦のビラ戦の敗戦は確かに痛かったが、CLの間にああいった強いチームが挟まるといったスケジュールの妙は当然今季も可能性はある。ちなみにRound 16に進むとしたら今季1st legと2nd legの1週間の間に挟まるのはオールド・トラフォードでのアウェイゲームとなる。
昨季の前半戦で目立ったのは個人レベルでの細かいポゼッションからの失点。フラム戦やトッテナム戦では個人のパスミスから相手の得点を呼び込み、勝ち点3を逃している。昨季より序盤戦にハードな対戦相手が多い今季はよりミスを減らすことが重要になるだろう。
ただ、昨季の前半は個々人がかなり裁量を持って動き回ることが許されるポゼッションがまだ手探りの時期だった。この部分は後半戦を経て明らかな上積みがある。後方でのボール保持でのミスは少なくなるだろう。
安定したポゼッションからギャップを作っての前進という意味ではカラフィオーリとティンバーという2人がアーセナルにとっては新しい力になるだろう。ポジションを変えながらのサポートと素晴らしいパスセンスを併せ持つ2人が組み込まれることで更なるスケールアップが見込まれることになる。
翻って中盤より前は新戦力がここまで到着していない。苦しい時間帯に押し返すことができたり、押し込んだ時にもう一押しができたりするタレントがベンチから出てきてくれれば理想的ではあるのだが、現段階では昨季のスカッドの中から奮起するメンバーが出てくるしかない。この辺りは序盤戦から苦しい展開を強いられないことを祈った方がいいかもしれないけども。
展開に余裕が出てくれば今季はルイス=スケリーやヌワネリといった下部組織出身のタレントにプレータイムを与えることも可能になる。フィールドプレイヤーの枚数を減らした分、彼らの出番を多少は増やすということはこの試合云々というよりは年間を通した目標になるだろう。