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「『縛りプレイ』で挑むダービー」~2024.9.15 プレミアリーグ 第4節 トッテナム×アーセナル プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第4節
2024.9.15
トッテナム(10位/1勝1分1敗/勝ち点4/得点6 失点3)
×
アーセナル(4位/2勝1分0敗/勝ち点7/得点5 失点1)
@トッテナム・ホットスパー・スタジアム

戦績

過去の対戦成績

 過去10回の対戦でトッテナムの3勝、アーセナルの5勝、引き分けが2つ。

トッテナムのホームでの成績

過去10回の対戦でトッテナムの5勝、アーセナルの3勝、引き分けが2つ。

Head-to-head from BBC sport

Head-to-head
  • 公式戦で195回のノース・ロンドン・ダービーが行われており、トッテナムの61勝、アーセナルの82勝、引き分けが52。
  • トッテナムの直近7試合でのNLDでの勝利は2022年5月のホームでの3-0(D1,L5)
  • プレミアの歴史において最も多くのPKが与えられて(26)おり、最も多くのPKが決まって(24)いるカード。

スカッド情報

Tottenham
  • ミッキー・ファン・デ・フェンとドミニク・ソランケはそれぞれ膝と足首の負傷から復帰の見込み。
  • イヴ・ビスマは鼠蹊部の負傷で不透明。リシャルリソンは引き続き離脱。
Arsenal
  • マルティン・ウーデゴールは足首の負傷に伴い、まだテストを受ける必要があるとのこと。金曜の時点でアルテタは週末の試合から明確にウーデゴールを除外していない。
  • デクラン・ライスは1試合の出場停止でミケル・メリーノは引き続き離脱。だが、ガブリエル・ジェズスはフィットの見込み。リカルド・カラフィオーリは更なる評価を行う必要がある。

Match facts from BBC sport

Tottenham
  • 開幕4戦で2敗以上を喫すれば2011-12のレドナップ時代以来のこと。
  • 直近10試合のプレミアで6敗(W3,D1)
  • 直近3試合のNLDでいずれもオウンゴールを喫している。2023年1月のロリス、2023年9月のロメロ、2024年4月のホイビュア。プレミアリーグの歴史において、特定の相手に対して同一チームが4試合連続のオウンゴールを記録したことはない。
  • ソン・フンミンはプレミアで122得点。あと1得点でプレミアのオールタイムゴールランキングトップ20に食い込む。19位には123ゴールでドワイト・ヨークとラヒーム・スターリングがいる。
Arsenal
  • 直近10試合のリーグのアウェイゲームで9勝。残りの1つは引き分けでうち8つがクリーンシート。アルテタ政権下においてアウェイでの5連勝は最も長い記録。
  • プレミア8連勝は前節のブライトン戦の引き分けでストップ。
  • ブカヨ・サカは昨季のトッテナム戦でホームとアウェイ両方で得点。日曜の試合でゴールを決めればエマニュエル・アデバヨールとロベール・ピレスに続き、3試合連続得点を記録した3人目のアーセナルの選手になる。
  • ラヒーム・スターリングは1997年の12月のイザヤ・ランキン以来、ノース・ロンドン・ダービーでデビュー戦を迎えるアーセナルの選手になる可能性。
  • カイ・ハヴァーツは2024年のプレミアリーグの21試合の出場で18得点に関与(11G,7A)。
  • ダビド・ラヤは試合当日が29歳の誕生日。

予習

第1節 レスター戦

第2節 エバートン戦

第3節 ニューカッスル戦

今季ここまでの道のり

予想スタメン

展望

マディソンを入り口とした攻略に取り組むトッテナム

 昨季は4勝1分という状況で第6節にダービーという意味合い以上に注目度の高いカードとして激突したノース・ロンドン・ダービー。今季はそれよりさらに早い第4節での対戦となる。

 トッテナムの昨季の課題はやはり層の厚さだろう。レギュラーメンバーを抜いた時、あるいはチームとして出力を落としてしまった時の落差が激しく、安定感を欠いたパフォーマンスで年間を走り切ることができず、目標としていたCL出場権を落とす結果となった。

 当然、補強は重要なポイントになる。今夏の新戦力は実績組のソランケを除けば、グレイ、オドベール、ベリヴァルといった10代を中心とした選手への投資が目立つ。グレイ、オドベールなどにはそれなりの金額を投資。単なるベンチ要員としてというよりは中長期的な主力への成長を見込み、揺らぎが大きい有望株にベットしたマーケットに。先に挙げた3人はすでにデビューを果たしており、スカッドの組み込みはまずまずの滑り出しといっていいのではないだろうか。ただし、手薄なバックスの補強は実質見送られており、ELとの二足の草鞋で耐えられるかどうかがポイントになるだろう。

 昨季の終盤戦のトッテナムはひたすらサイドからのラインブレイクで相手を置き去りにし、並行サポートに出てきた味方にグラウンダーでラストパスを送って仕留める形が中心となっていた。より静的な状態でも攻撃を組み立てられるマディソンのパフォーマンス低下、あるいはボックス内への突撃でアクセントになるウドジェの離脱などが後半戦のトッテナムは前半と事情が異なった。そうしたスカッドの事情も含めてジョンソンやヴェルナーといったスピード感が溢れるアタッカーのパフォーマンスを生かす方向性に切り替えたように見えた。

 今季の序盤戦の取り組みはよりゆったりとしたポゼッションから相手を壊すための動かし方にトライしている感を受ける。後方のユニットは流動的ではあるが、2-3-5を基本としながら後方からポゼッションを行っていく。

 3の一角に入るのはウドジェ、ポロといったSBが務めることも多いが、今季目立つのはマディソン。開幕節のレスター戦などが顕著だが、4-4-2(アーセナルと同じ)で構えるレスターに対して、2トップの脇に登場。ここから同サイドの裏や逆サイドへの対角パスで存在感を出していく。かじ取り役として存分に展開力を生かす格好だ。

 サイドアタックについてはまだ陣容が固まっておらず、コアとなる形が流動的。ソン、クルゼフスキなど中央でもサイドでもプレイできる選手の主戦場があまり定まっていない感があり、その分ユニットの構築はあまり進んでいない。今季は左サイドに入ることが多いソン。開幕節でのレスター戦では左足での精度が悪く、ややブレーキになっていた感もあったが、2節目のエバートン戦ではゴールでチームを牽引。ここまでは出来にバラつきがあるシーズンとなっている。

 サイドから確実に仕上げることが出来る精度となっているかは微妙だが、押し込むことの影響の活用はそれなりに出来ている。ビスマやマディソンのミドルからゴールにつなっていることを踏まえると、ラインを低くした相手に対してブロックの外からのミドルシュートは効果的。サイドではオドベールも対面のマークを外しての突破を披露。3人の10代の中でも最もプレータイムを掴んでいる。バーンリーですでにプレミアの経験を積んでいるのも頼もしい。

 トップに入ったソランケを活用すれば、後方からの攻め上がりを生かしたゴールも期待できる。溜めたところに入り込んでくる2列目、SBなど後方からのボックス内侵入はトッテナムの後方の選手のポテンシャルを引き出すことが出来る形だ。

 昨季から比べると緩急のついたバリエーションで押し込んだ相手を攻略するイメージを積み上げていくトッテナム。最大化や戦力のスクリーニング完了にはもう少し時間がほしいだろうが、ひとまずはだいたいこういうチームを作りたいのかな?という感じは見えてきたようにも思える。

 守備は4-4-2がベースであり、高い位置からのチェイシングに行く。ただし、ここまで押し込まれて云々みたいな展開は少なく、相手に保持の主導権があるときのスタイルはそこまで色濃くは見えていない。

 その分、求められているのは攻撃終了時のネガトラ。すぐにボールを奪い返しに行きたいが、保持でかなり陣形を動かすチームなため、バックラインはかなり流動的な対応を求められるようになる。ファン・デ・フェンがいなかったニューカッスル戦ではかなり対応にバタバタしており、この部分はキャストの能力次第といったところだろう。

アーセナル側が奇策を講じるとすれば・・・

 まず、アーセナルが考えなければいけないのは当然負傷者等の台所事情だ。今のところ、ライスの出場停止とメリーノの欠場は確定。ほかの選手は流動的な状況となる。

 リハビリが順調という報道があるジェズスと冨安のフィットが間に合えばメンバーの組み方にはそれなりに幅が出るように思うが、彼らやウーデゴールが間に合わない場合はそれなりにショートするポジションができることになるだろう。

 ノース・ロンドン・ダービーの舞台装置を考えると、やはりハイテンポで攻守を切り替えての応酬が見られる公算が強い。しかしながら、本来であればそこで優位が取れるはずのアーセナルには欠員がいる。

 プレスのスイッチ役であるウーデゴールとそのプレスに追従するライスの不在は痛い。いわば、この試合のアーセナルはプレスの強度面で制限をかけられた縛りプレイを求められることになるかもしれない。ウーデゴールに関してはハヴァーツで似たような役割をカバーすることはできるかもしれないが、広大な守備範囲を誇るライスの代役は実質不在だ。

 特に先に挙げたマディソンの対応は難儀である。中盤から列を落とすマディソンは守備側から見れば当然放っておきにくい存在。いつもの対応であれば、アーセナルはバックラインを押し上げて、中盤が捕まえに行く選択をするだろう。しかしながら、ライスが不在の中盤には広大な守備範囲をカバーしてくれる代役がいない。すなわち、降りるマディソンに影のようについていく役割をどのようにシェアするかが注目ポイントになる。

 近い役割分担で異なる選手を当てはめる形も当然あり得るが、アイデアとしてあるのは思い切り引くプラン。カラフィオーリか冨安がフィットすれば、3バックでラインを下げて受ける1という奇策も見えてくる。これであれば、マディソンが降りるスペースを無理なく受け渡しながら封鎖することは出来そうだ。

 しかしながら、前に攻撃に出て行くのがかなり重たいし、この試合にフォーカスして入りから守備的なプランを組むのはアルテタの性格にはあまりあっていないような気がする。ただ、スターリングの加入で馬力のあるWGは増えたし、このポジションだけは交代しながら成立させることが出来ることを踏まえれば、全くなしではない。

 仮に引いて受けるプランを実装するのだとしたら、ファン・デ・フェンの出場可否及びパフォーマンスレベルは重要になる。彼が出られなかったニューカッスル戦は広大な守備のスペースをカバーするため相当にバックラインがバタバタしていた。要は相手に広いスペースを守るリスクを押し付けられる格好になるのであれば、面白いアイデアかもしれない。

 ただし、先にも触れたがこの戦い方はトッテナムが今季取り組んでいるやり方をそのまま受け止めることになる。そういう意味では相手は多少やりやすいかもしれない。アーセナルの守備陣も強力なので、スペースがあった方がいい!と思う可能性もあるが。

 いずれにしてもまずは正面から衝突するか、相手を自分たちが望む土俵に誘導するかはキーになるだろう。基本的には正面衝突の多いカードだが、今回戦う土俵をずらすなら欠員の多いアーセナルだと予想する。ハイプレス強度という手札を封じられたアーセナルは何を見せるのか。縛りプレイが新しい扉を広げるのだとしたらそれはそれで面白い展開ではあるけども。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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