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「新記録に挑むスタイル」~2020.8.19 J1 第11節 川崎フロンターレ×セレッソ大阪 BBC風オカルトプレビュー

 このプレビューは対戦カードの過去の因縁やジンクスを掘り起こして、試合をより一層楽しむための物です。

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第11節
2020.8.19
川崎フロンターレ(1位/9勝1分0敗/勝ち点28/得点29 失点7)
×
セレッソ大阪(2位/6勝3分1敗/勝ち点21/得点12 失点6)
@等々力陸上競技場

戦績

近年の対戦成績

図1

直近10試合で川崎の2勝、C大阪の7勝、引き分けが1つ。

川崎ホームでの対戦成績

図2

直近10試合で川崎の4勝、C大阪の5勝、引き分けが1つ。

Head-to-Head

<Head-to-Head①>
・川崎は直近6試合の公式戦におけるC大阪戦で未勝利。
・川崎のC大阪戦の勝率は30.8%。J1在籍チームの中で最も低い相手。

 はい。やってきましたよ天敵。大阪勢が大の苦手とは散々言ってきたし、賢明なる本プレビューの読者ならもうすでに承知の事実だと思う。G大阪戦の時は「大阪は天敵」って言っておきながら勝ったけど、勝率でいえばG大阪(36.4%)よりC大阪の方が悪い。なんてやつらだ!毎回セレッソファンはたくさん記事を読んでくれるし、拡散してくれるし大好きなんだけど、肝心の記事が負けた試合ばっかりというアレ。今年こそは勝ち試合のレビューを書きたい!!!

【Head-to-Head②】
・等々力のC大阪戦で川崎がクリーンシートを達成したのは2007年にさかのぼる。
・水曜日のリーグ戦は過去に1回。2018年の等々力でC大阪が逆転勝利。

 負けているということは点が取れていないだけでなく、取られているということである。実際等々力で無失点でC大阪を抑えたのは13年前。ジュニーニョとテセが共に得点を決めた天皇杯である。まだ俺がファンになる前じゃねぇか。

 ちなみに同カードの水曜日のリーグ戦は過去に1回だけ。2年前の等々力の試合は川崎が先制したもののC大阪が逆転勝利を飾っている。ちなみに川崎はこの試合以降、先制した公式戦は53試合連続で無敗を継続中。これが最後の逆転負けだ。

【Head-to-Head③】
・首位と2位での対戦は初めて。
・直近の公式戦5回の対戦で外国籍選手はゴールを決めていない。

 2位のG大阪と天王山をした18日後に、2位のC大阪と再び首位で対決するとは何の因縁だろう。1位と2位でこの両方のチームが当たったことは過去にない。ちなみに片方が首位の時の対戦は過去に6回。そのうち、首位だったチームが勝ったのは1回だけ。2006年の等々力にてマルクスのゴールで川崎が最下位のC大阪を下した試合だけである。

 両チームとも失点が少ないチームだが、直接対決の戦績だけを見ればロースコアというわけではない。2019年のゼロックススーパーカップまでの5試合は互いに得点を決めている。5試合で決まった得点は16点だが、外国籍選手の得点はなし。最後に決めたのはルヴァンカップの決勝、C大阪の勝利を決定づけたソウザの追加点だ。両チームとも今回の対戦には前線にブラジル人選手がいるが、彼らに得点は生まれるだろうか。

スカッド情報

【川崎フロンターレ】

・長谷川竜也は左膝内側側副靱帯損傷で離脱。
・大島僚太は出場停止から復帰。
・ジェジエウは前節負傷交代。

【セレッソ大阪】

・清武弘嗣は前節負傷交代。
・FC東京戦で負傷した木本恭生の出場可否も不明。
・豊川雄太も出場可否は不明。

予想スタメン

画像3

Match Facts

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch Facts①>
・勝てばリーグ戦10連勝。リーグ記録。
・同じく勝てばホームゲーム5連勝。2018年末以来。

 さぁ、さんざん言われていますが新記録チャレンジであります。同時に勝てばホーム5連勝という記録もかかっている。そして、なんと勝てば昨年のホームでのリーグ勝利数に並ぶことに。ホームのファンに2019年の分も含めて多くの勝利を届けたい。

<川崎のMatch Facts②>
・直近の公式戦32試合で無得点試合は2つ。
・家長昭博が欠場すれば、直近4試合のC大阪戦で得点を決めた選手はスカッドに不在に。

 好調を支えるのは得点力。直近32試合で無得点は2回だけ。しかもそのうち1回は1stレグで勝ち抜けへのアドバンテージを得ていたルヴァンカップの鹿島戦の2ndレグ。したがってどうしても点が取りたくて取れなかったのは今年の開幕節の鳥栖戦のみということになる。

 堅守のC大阪相手だが、直近の対戦においては川崎も得点を取れなかったわけではない。ただし、気になるのは得点を取ったメンバーの顔触れ。直近4試合で得点を取ったメンバーを遡ると阿部浩之、知念慶、家長昭博、知念慶。知念はめっちゃ点とってるな。というわけでここ3試合欠場が続いている家長がいなければ、すでにいなくなってしまっているメンバー。新しい扉を開けるスコアラーを待ちたい。

<川崎のMatch Facts③>
・小林悠は今季の6得点すべてを途中交代で決めている。
・三笘薫はシュート決定率33%。4得点挙げている選手の中では石原直樹に次いで高い数字。

 前線の決定力の高さは目につく。特に小林悠は限られた時間で結果を残している。というか途中出場でしか点は取ってない。54分に1得点というペースは驚異的。これを超える選手は前節7分の出場で1点を取ったC大阪の西川だけ。『規定打席』に達している選手の中ではトップといっていいだろう。相性の悪いC大阪だが小林が得点かアシストを決めたリーグ戦では無敗。今節も仕事人としてチームを牽引することができるか。

 仕事人感があるのはルーキーの三笘薫。直近6試合の公式戦で7得点と大暴れ。リーグ戦では勝ち点に絡むゴールが多いのも特徴で苦境を打開する存在として彼の重みは増していくばかりだ。

【セレッソ大阪】

<C大阪のMatch Facts①>
・今季公式戦13試合で負けは1つのみ。
・直近14試合の神奈川県勢とのリーグ戦は無敗(W11D3)。

 川崎の連勝記録ばかりが際立つが、C大阪も負けていない。今季敗れたのは名古屋戦1試合のみ。

 すでにAkiさん(@NFNL_CB)がお気づきのように、神奈川勢には絶好調。

 マリノス、巻き込んでごめんな。

<C大阪のMatch Facts②>
・今季の公式戦7失点のうち、前半は2失点。2失点はPK。
・枠内シュート/シュート数の割合が30.2%。これより低いのは鹿島(26.9%)と横浜FM(26.4%)のみ

 昨年はシーズンを通して前半6失点というバカみたいな記録を達成したC大阪。なんだそれ。昨年のシーズンの失点傾向を見ると総失点の44%は75分以降。今季も失点の多くは後半であり、川崎はここ数試合のように粘っての後半勝負でも面白いかもしれない。7失点のうち2失点はPK。オープンプレーからの失点の少なさは堅さを感じる。

 攻撃はシュートを枠内にもっていける確率が悪い。シューターの質の問題か、シュート機会の質の問題か気になるところだ。そして、マリノス巻き込んでごめんな。

<C大阪のMatch Facts③>
・瀬古歩夢が先発したリーグ戦は直近11試合で10勝1分。
・キム・ジンヒョンは今季すでに40本セーブでセーブ率91%、クリーンシートは5つ。いずれもリーグトップ。

 名前のよしみでピックアップした瀬古君のスタッツ。結構異常なスタッツな気がする。11試合のうちクリーンシートは7試合もある。そもそもJ1先発18試合で敗れたのは1回だけしかない。ちなみに上の11試合のうちの唯一の引き分けはFC東京戦。瀬古のキャリア唯一の敗戦もFC東京戦だったりする。

 堅守だがC大阪は枠内にシュートを結構打ち込まれてもいる。チームで見れば真ん中よりちょい上。GKの入れ替わりが激しいシーズンの影響もあるが、個人で見れば彼よりシュートを撃たれているのは梅田と菅野だけだ。シュートを受ける数の多さは、後述する引き込んで迎え撃つスタイルも関係していそう。ジンヒョンのセーブ率の高さは本人の質の高さはもちろん、ブロックの強固さも関係してそうだ。

展望

■前に行くほど高まる自由度

 もはや単に相性が悪いというわけではなく、普通にめんどくさい相手になってしまった感のあるC大阪。戦績の振るわない川崎だけでなく、いまやリーグのどのチームにとってもC大阪との試合は喜ばしくはないはずである。

 めんどくさいチームになった下地は安定したボール保持と堅い守備にある。ボール保持は後方からGKを使ったつなぎで徐々に前に進んでいく。GKを基準にCBがPA幅に開く。外に張るのはSBの役目。

画像4

 ここまでは比較的配置が固定されている。C大阪のボール保持が素晴らしいのはここから前のポジションの流動性だ。CHは2枚内側に配置されることが多いが、彼らはビルドアップの入り口になるためにDFラインに降りたり、サイドに流れる自由は与えられている。

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 川崎としては4-3-3で守ればSBへのチェックが難しくなるし、4-4-2のように守ればアンカーを捕まえきれなくなることが想定される。どちらにしても一度落ち着いて持たれてしまえば、C大阪相手にボールを取りどころを定めるのは難しい。

画像6

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 さらに自由度が高いのは前線の面々。SHとCFの4枚だ。彼らもやはり連動した動きが魅力。例として挙げられるのは柏戦の先制点。幅を取る坂元、受けに降りる奥埜に合わせて裏をとったブルーノ・メンデスに長いボールが出る。幅を取る動きや受けに降りる動きで柏のDFラインを揺さぶったからこそ通るパスだった。前線はこの連携が強みになる。

画像8

 攻撃のスイッチを入れられる清武に加えて、今季はドリブルで突破が可能な坂元の加入も強力な武器になっている。川崎はルーカスに続いて難敵とマッチアップすることになりそうだ。

 閃きで勝負する柿谷や、ルーキーらしからぬワンタッチループでリーグ初ゴールを決めた西川など、前節負傷した清武の出場が難しい場合でもタレントはいる。お互いの動きに呼応するケミストリーが重要な攻撃ユニットなので、その中で彼らがどこまで機能するかも興味深い部分である。

■2020年モデルに再び挑むか?

 非保持は4-4-2で守るC大阪。おもしろかったのはボール保持側が2トップを越えた後の守り方。ボールホルダーを捕まえつつラインの高さを保つアプローチが多いと思うのだが、C大阪はボールホルダーを捕まえに行くタイミングが遅く、まるで相手チームを自分の陣地に引き込んでいくかのような動き方をする。

画像9

 それだけPA内の守備に自信があるのだろう。DF-MF間にボールを入れても前も横も囲われてボールホルダーは前を向けないことがほとんど。ボールを守るように大きく後ろに持ち出してターンすると、再びMFの前からやり直しをさせられる。

画像10

 サイドでの囲い方も絶品で、縦はもちろん内側へのパスコースも遮断。「後方に回してやり直してください!」といっているかのような壁の作り方でDFまでボールを戻させる。上で2トップを剥がした前提の話をしたが、そもそもメンデスと奥埜もプレスバックをサボるタイプではなく、時間をかけていればサイドの守備にも参加されてしまう。こうなるとさらに状況は難しくなる。

 打開策としてパッと思いつくのは非常に縦に早い攻め方だ。三笘、旗手のスピードがある前線を軸に相手のMFラインの後退より先にゴールを陥れる。ただし、これはリスクも高いチャレンジになる。対人守備も強力なためあっさり跳ね返されてしまう可能性もあるし、ひとたび奪われてしまうとC大阪はボールを簡単に返してくれるチームではない。縦に強引なチャレンジを続けても、C大阪を助けるだけになってしまう可能性もある。

 もう1つ考えられるのはサイドを使った揺さぶりである。強いてC大阪の弱い守備の部分を挙げるのならば、サイドチェンジを使って手薄になった大外からファーに上げるクロスに対しての対応。弱点というほどではないけどやや危うさがある。アンカーに対する守備を2トップがサボるわけじゃないから図みたいに簡単には行かないけど。

画像11

 このやり方は序盤に得点を重ねた家長、長谷川、ダミアンのユニットでよく見られた形である。実を言うと個人的には家長、長谷川がいなくなってからの今季の川崎のサッカーにはそれ以前とはやや違ったものを感じることが多い。特に遅攻における幅を取る選択が少なくなったように思う。どちらかといえば同サイド攻略!みたいな。補強や個人の成長、後方の押し上げによってハイプレスが機能しているという部分による上積みはあるものの、コンセプトとしては今年の序盤より昨年以前のエッセンスを感じる部分もある。

 もっとも、ここまでの対戦相手はそういったことが求められなかった守り方のチームが多かったというのもある。1試合ずつを振り返って見れば対戦相手に合わせた攻略法として鬼木監督が直近で選んだやり方はむしろ適切なだったといえる。

 ただ、C大阪の弱みを考えれば求められるのは大きく幅を使った攻撃で手薄なサイドを作ること。まずは大きい展開でC大阪を揺さぶりたい。そういう意味では『2020年モデル』にのっとった長いレンジを増やしたパターンは見たいところ。家長の出場は不透明だし、長谷川は欠場。メンバーはここ数試合に出場したメンバーが主体となるだろう。ただ、予想するにボール保持で大事な部分はここ数試合と異なる要素。新記録を達成するために川崎にはもうひとチャレンジが求められそうな予感がする。

参考
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)

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