Fixture
2024.9.18
AFC Champions League Elite
リーグステージ 第1節
蔚山現代
×
川崎フロンターレ
@蔚山文殊スタジアム
Match facts
- 通算11回の対戦で川崎は蔚山に2勝しかしていない(D5,L5)
- 直近9回の対戦では2点差以上がついたことがないカード。
- 蔚山ホームでは過去6回の対戦で未勝利、うち5回は負けている。
- ただし、2023年は川崎が蔚山に無敗。グループステージ5回目のアウェイにしてはじめてとなる勝ち点を手にした。
- PK戦を引き分けとするのであれば、2021年以来2回目の引き分け。
過去の対戦成績
11回の対戦で蔚山の5勝(PK戦含む)、川崎の2勝、引き分けが4回。
予習
Kリーグ 第28節 光州FC戦
Kリーグ 第29節 浦項スティーラース戦
Kリーグ 第30節 江原FC戦
予想スタメン
展望
穴がなく総合力の高いKリーグのトップチーム
ついに川崎の24-25のACLが開幕。国内リーグでは残留を確定できていないという難しい状況ながら、ACLEへのチャレンジは来季は不可能。悲願のACL制覇のためにはこの機会を無駄にすることはできない。
というわけで今年のACLのスタートも毎年戦っている蔚山から。ここ7年で6回目の対戦である。相性としては悪い相手ではあるが、昨シーズン初めて同一年度で負けがない年を経験することができた。
しかしながら、今年の蔚山は率直に言って強い。川崎にとって第1節は非常に大きなチャレンジになるだろう。
ACLでお馴染みのロングボール攻勢は強力。CFのカリエロ、左のWGのルドウィグソンは長いボールを預けるターゲットとして中央と左サイドにそれぞれ鎮座する。右のアラビーゼもカットインからのシュートをプレーのバリエーションとして持っており、少ない人数で攻撃を仕留めることができる。
CFのカリエロは前任のアーダームと比べて万能型。韓国国内でのステップアップで獲得してきた優れたアタッカーである。広い範囲を攻略することができるパワーとスピードがある上にフィニッシャーとしても優秀。シュートが上手いのもあるが、ポジションの取り直しからフリーになるスキルも高く、相手を外すこともきっちりやってのける。
チームとしてはロングボールだけではなくポゼッションも充実。中盤のスターターは流動的ではあるが、アンカーに入ることが多いウヨンは左右に流れながら最終ラインに落ちて相手の狙いを絞らせない。SBは左右ともに可変の対応が可能であり、試合ごとにどちらかのサイドでポジションを乱してくるイメージである。
相手がハイプレスに来た時はGKを使いつつ、CBが幅をとって相手のプレスを引き込みにいく。引き込んだ後は降りる中盤からプレスを回避していく。特に中盤とDFラインの間を開けてハイプレスに来る相手に対しては滅法強く、中盤の背後に縦パスを通すことでプレスをひっくり返して一気に攻勢に出ることができる。
少なくとも自分が見た試合では蔚山相手にハイプレスを効かせて主導権を握れるチームはいなかった。見た試合はACLE出場組の光州、浦項、そして首位争い中の江原だったのだけども。
逆にハイプレスにいくことに関してはかなり自信がある。特に試合の序盤はまずは相手に高い位置からプレスをかけて主導権を握れるかを試す傾向がある。
こういう際に懸念になるのは強力なストライカーの機動力なのだが、カリエロはその部分も全く問題がない。高い位置からのチェイシングに率先して出ていき、高い位置からのプレス誘導を味方と連携してスムーズに行うことができる。
あるラインを越えられたら素早く帰陣。ブロックを過剰な人数で固める。中盤CHの選手は最終ラインに吸収されることも厭わず、DFの枚数は5,6枚をかけてボックスに人を置く。
即時奪回も早く、プレス回避から押し込むフェーズに入ると一方的に攻撃を仕掛ける時間帯を作ることができる。基本的には穴という穴はない。もしかすると、川崎の初陣は東アジアのラスボスなのかもしれない。
負けないために避けるべきこと
というわけで川崎が勝つのはめっちゃ大変だ。まずは負けないように絶対にやってはいけないことから触れていきたい。
今の川崎でまず無理なのはハイプレスだろう。自陣からのゆったりとしたポゼッションに対して、前から捕まえにいくのはおそらくどの布陣でも無理。予想スタメンでも大島を外して入るが、それでも川崎のプレスは機能しないと思う。ポゼッションで全体が押しあがっている場合の即時奪回に関しては別。ビハインド以外は深追いしない方がベターだ。
プレス回避はどうだろうか。逆にこちらがGKを絡めることができるポゼッションをすれば可能性はある。蔚山相手にハイプレスで主導権を握るチームはいなかったが、蔚山のハイプレスを撃退することで主導権を握るチームはいた。できないことはないだろう。
ポイントになるのは相手の逆を取る形でプレスの誘導に乗っからないこと。狭い方に誘導して縦に出てきたところを刈り取るのが彼らの十八番なので、縦にパスが通りそうでも安易につけることは避けたい。
縦パスというか長いレンジのパスに神経質になる必要があるのは蔚山のピッチが荒れているから。狭いスペースにつけるという感覚を普段と同じでやると絶対ミスは出るし、グラウンダーのパスレンジが長いと刈り取られる危険性もある。
なので、パスが出るまでにつける場所に狙いを定めさせるような体の向きには気をつける必要がある。特に車屋やアイダル、丸山の左利きのCBはかなりこういうパスをつける傾向がある。要注意だ。
鳥栖戦におけるファン・ウェルメスケルケンと佐々木のバランス感覚はとても良かった。ターンで相手の逆を取るトライをしつつ、前線の裏抜けという保険を持っておくくらいの匙加減でハイプレスを外すことに取り組みたい。
ミドルゾーンを超えたら一気に押し込むことは可能になる。ボックス内の守備は強力であるが、浦項戦の終盤に立て続けに失点したようにボールウォッチャーになる時間帯も存在する。クロスへの入り方に工夫を凝らすことができれば大きい。
確実な報道ではないが、中国のTransfermarketの編集担当者がweiboで発信した情報によれば、ゴミスがACLの登録メンバーから外れたとのこと。正直、ACLでゴミスが出場できる状況にないのは痛い。
だが、ゴミスなしでもボックス内で相手を動かすことができなければ川崎が得点を取るのは困難だ。ブロックを組む相手に対して揺さぶりをかけるか、あるいはハイプレス回避で作り出したギャップから加速して攻め切るか。少なくともどちらができなければ、東アジアでのラスボス疑惑がある蔚山を苦しめることは難しい。