Fixture
2024.11.5
AFC Champions League Elite
リーグステージ 第4節
川崎フロンターレ(10位/1勝0分2敗/得点1 失点3)
×
上海海港(8位/1勝1分1敗/得点5 失点7)
@等々力陸上競技場
Match facts
- 川崎は公式戦5試合勝ちがない(D1,L4)
- 川崎はホームでのACLに連敗中。それ以前は3連勝中だった。
- 上海海港は公式戦3連勝中。週末には国内リーグを制覇する勝利。
- ただし、上海海港は直近6試合のACLで1勝のみ(D1,L4)
予習
ACLE LS 第1節 ジョホール・ダルル・タクジム戦
ACLE LS 第2節 浦項スティーラース戦
ACLE LS 第3節 セントラルコースト戦
中国超級リーグ 第30節 天津津門虎戦
準備中
予想スタメン
展望
オーソドックスな強みが決壊するきっかけは?
前節は早々の退場者でプラン構築どころではなくなってしまった川崎。8位以内という低いハードルの状況のため、多少負けが込んでもあきらめる必要がないというレギュレーションに救われている感がある。
今節の相手の上海海港は週末に中国超級リーグに勝利して優勝。上海申花との歴史的な勝ち点でのマッチレースに勝利し、見事にタイトルを獲得。勝ち点1でライバルが背後から迫るというプレッシャーのかかるシチュエーションで早々にゴールを決めて大量得点で危なげない勝利を果たした。
基本的なフォーメーションは4-2-3-1。前節対戦した上海申花に比べると、チームとしては非常にオーソドックスで、クセがないというのが印象としてある。
プレッシングに関しては前節の上海申花のように、個々人がバラバラに襲い掛かっていくという感覚はなく、1人の選手がスイッチを入れると後方も含めてプレスが連動。高い位置からボールを追いかけつつ、封鎖してショートカウンターから点を取るというパターンも少なくない。
まさしく、週末のリーグ戦の相手である天津戦は自陣からショートパスをつなぐことで打開点を見出すプランを持っているチームとの対戦だったが、後半のショートパスを潰すプランで一気に畳みかけに成功した印象がある。
ただし、天津戦とACLの直近の相手である浦項戦、セントラルコースト戦はいずれも4-4-2がベースになっているチームということは留意しておきたいところ。予習した中で明らかに4-4-2と噛み合わせが悪い3バックを採用しているジョホール戦はプレスの規律が無茶苦茶でハイラインをぶっ壊されては背後を取られるという状況が続いていた。
噛み合わせ自体は悪くなかったが敗れた浦項戦では3バックに変形する保持に対して後手を踏んでおり、押し下げながら陣地回復の手段がないという状況に追い込まれており、初手でのプレスを外されるとつかめるポイントがなくなってしまい、ズルズルと押し下げられてしまう場面もある。
ただ、サンドバック状態になってしまった浦項戦では両サイドのWGという攻撃のキーマンが不在だったことは留意しておきたいところ。左のバルガスは1on1で突破を図ることができるドリブラー。右サイドはおなじみの中国代表のウー・レイ。今季のリーグ戦では34得点と異次元の働きを見せたアタッカーである。
特にウー・レイサイドからの攻撃は非常に強力。得点を取っているのでほぼFWのような振る舞いをしているかのように思われるかもしれないがきっちりと幅を取って、味方を上がる時間を確保する。SBのウー・レイへの信頼度は半端なく、4バックが横に広がった際のインサイドのスペースに入り込むことで、一気に敵陣に侵入していくパターンもあるなど崩しでも大きな貢献を果たしている。
攻撃では縦関係の2トップであるオスカル、グスタヴォへの長いボールと外に張るWGという中央とサイドに明確な起点があるというバランス型。ビルドアップの形も含めて特殊な感じは受けないものの、シンプルな形で強みを押し付けることにより、真っ向勝負で向かってくる相手との力比べに勝利してきている印象。CHのジュッサが出場停止という懸念はあるが、リーグを制覇した勢いを持って日本に意気揚々とやってくるはずだ。
出来ないことを除外すると・・・
オーソドックスで分かりやすいのが強みである上海海港。打ち崩すためには川崎としてはやはり自陣からのビルドアップは避けて通れない問題。ロングボールを放っておけば大丈夫とゴミスと袂を分けた時点で、ポゼッションから逃げちゃだめだ問題はさらに濃くなっている。
ざっくりと上海海港を倒すためのプランとしてはハイラインを撃退する一発裏抜けをするジョホール型と、押し込みながらサイドから無限にクロスを上げるという浦項型の解決策が思いつく。だが、この試合ではハイラインをぶっ壊すことが出来るマルシーニョが不在。裏抜けという形を使うのは難しい部分がある。
マルシーニョに関しては今季3回目の蛮行という言い訳の効かない部分があるとはいえ、鹿島戦で見られた彼のパフォーマンスや彼以外の選手が左サイドに入った時の出来を見てしまうと「退場ばかりするから不要」ということが出来ないのが川崎の今のスカッドのジレンマでもある。後方が運ぶのをサボる影響から、昨今はリーグ戦ですら彼の裏抜け頼みになる試合は多く、ACLではさらにその傾向は強まっている印象だ。
ゴミス、マルシーニョの不在でできないことを取り除くのであれば、裏抜け一発に逃げることはまず避けなければいけないだろう。CHの列落ちなどでまずは上海海港の守備の基準点を乱し、連動したプレスに迷いを与えることから逃げてはいけない。地道につなぎつつ、サイドに起点を作ることで相手を押し下げて大外からオーバーラップする三浦とファン・ウェルメスケルケンのクロスから何とか得点が欲しいところである。サイドを支配できれば勝利の可能性は見えてくる。まぁ、こちらも最近はできないことの部類に入ることなのだけども、的がいないロングボールや足が速くないかけっこよりはまだ可能性がある部分だろう。
ただし、繰り返しになるが浦項戦は上海海港にはウー・レイとバルガスという両サイドのWGがいなかったため、川崎の握力を別にしてもサイドから上げ続けてクロス爆撃というモデルを跳ね返される可能性があることは頭に入れておかなければいけないだろう。サイドにボールが入ってしまったらできるだけ遅らせて自陣の状況を整えることがマスト。特にウー・レイを信頼してオーバーラップしてインサイドに突撃してくる上海海港の選手を川崎のMFが逃がしてしまうと厄介になる。
自陣における空中戦の優劣はもちろんだが、ウー・レイに入った場合の周辺のオーバーラップへの対策は決めておくことが重要。逃げてきたところにCBが緊急で対応することになると、クロスに対してオスカルかグスタヴォは空くことになる。こうなると失点の可能性は高まることになるだろう。
いろいろと述べてきたが、川崎がやるべきことはリーグ戦と同じだ。自陣から相手の逆を取りながら前に進む、ミドルブロックを組み、特に前線へのロングボールには挟み込んで対応しながら、長いボール一発で簡単に壊れないミドルブロックを形成すること。これに尽きる。全部一緒。今からでも遅くはない。今すぐやるべきことをピッチで表現してほしい。