劣勢の中で見つけた光で首位攻防戦を制する
ともに勝ち点は48。Kリーグは終盤の山場、リーグテーブルのトップで勝ち点で並ぶ両チームの天王山だ。蔚山はACLの開幕前に重要な一戦に臨むことになる。
立ち上がりは蔚山らしいハイプレスでスタート。バックラインから枚数を合わせて江原に対して強い圧力をかけていく。
江原はRSBのユヒョンがインサイドに絞るアクションを見せて、代わりにCHのガングクがサイドに流れる形など、陣形を変えることでボールをなんとか保持する時間を作りたい様子。しかし、その目論見はハマらず。序盤は蔚山のハイプレスがハマり、延々と高い位置から回収する無限ループとなった。
蔚山の保持はLSBを上げる3バックへの変形。お返しと言わんばかりに江原は自陣からのポゼッションに対しても厳しくプレッシャーをかける。しかし、蔚山は左サイドでのスンボム、ルドウィクソンの連携でのプレス回避が見事。こちらはプレス側の目論見通りとはいかなかった。
押し込む蔚山は先制ゴールをゲット。フィードを受けたルドウィクソンから対角へのクロスを仕留めたユンクがネットを揺らす。ちなみにこの選手はACLは登録外らしい。
主導権は握れず、先制点も奪われた江原は前半のうちに選手交代とフォーメーション変更を実施。4-3-3からSBがインサイドに絞る保持の形を作ることでよりポゼッションの安定を図る。
この変更は非常に良くはまった。4人目の中盤となった江原のSBを捕まえることができず、蔚山は撤退を余儀なくされることに。ボールの奪いどころを見つけることができずにずるずると自陣に交代する。
蔚山の救いは自陣でのブロック守備に強度があったこと。押し下げられても帰陣が間に合えば特に問題にはならないという状況だった。江原は追いつくところまであと一つが足りないままハーフタイムを迎える。
後半も江原の保持に対して、蔚山がプレスで阻害をかけるトライをするスタート。江原はSBが入れ替わった関係でインサイドに入る変形はなくなったが、それでも4-2-3-1をベースに中盤が降りるアクションを多用することで蔚山の狙いを絞らせなかった。自陣での深さを使いながら体の向きを頻繁に変えてプレスを回避する動きが江原は優れていた。
ただし、江原側の懸念も同じ。ブロック守備を崩すところでもうひと押しがないまま時間が経過する。ガブリエルとコバチェビッチの2トップに移行して前線のパワーを交代策で増していく。
だがその頃、蔚山も盛り返す術を見つけられるように。江原のネガトラで左のSBであるキヒョクの戻りが遅れるシーンが出てくる。蔚山はここに人を送り込むことでカウンターの機会を創出する。
するとこの形から蔚山は追加点。余裕を持ったカウンターから最後は江坂が沈めてリードを広げる。
このゴールで首位攻防戦は完全決着。3連勝の蔚山が首位の座を固め、ACLでの初陣に弾みをつけた。
ひとこと
韓国勢はどこも強そう。江原もACLは出ないけど強いと思う。
試合結果
2024.9.13
Kリーグ
第30節
蔚山現代 2-0 江原FC
蔚山文殊スタジアム
【得点者】
蔚山:15′ ユング, 79′ 江坂任
主審:パク・ビュンジン