保持で強みの押し付けに成功した浦項
中韓リーグは国内で好調なチームが結果を出せていないという共通点があるここまでの今年のACL。上位勢の不振が特に目立つのは韓国勢。浦項はここまで3戦でわずかに1勝である。
韓国の中ではダークホース枠の光州が躍進をしているが、中国の中でもっとも国内の順位が低い山東は国内の序列を覆せていない印象となっている。混戦となる中でどちらもきっかけが欲しい試合だ。
試合は保持と非保持の局面がくっきりと二分される展開となった。ボールを持つ側となったのは浦項。バックラインからゆったりとボールを持つ。SBがインサイドにボールを隠しながら旋回する動きはいかにも保持型チームという雰囲気がムンムンに出ている。
組み立ての枚数も後方は3枚が基本でもう1枚のSBは前に上がるか中盤に入る。山東としては追い込みをかけてプレスのスイッチを入れるきっかけを作りたいところ。マンツー気味でついていく形は序盤こそショートカウンターからのチャンスを生み出していたが、時間の経過と共にその傾向は薄れていったように思える。
若干外回り気味ではあるが、浦項のキャリーは安定。大外にボールを渡すところからハーフスペースにアタックをかけることで左右のクロスからチャンスを作っていく。山東はボールを前に運ぶきっかけを作れず苦戦が目立つ展開だ。
先制したのは勢い通り浦項。直接FKを打ち抜く形でリードを奪う。だが、このリードは即打ち消し。同じセットプレーから山東がすぐに先制。CKをニアですらして中央で打ち抜く形である。
前半の終盤はだいぶ互いにFWに当てることでテンポを上げていく形が増えてくる。後半の入りもこの流れを踏襲する形に見えた。基本的には浦項がボールをもち、押し込むことで解決策を下がる展開には見えたが、前半の時間帯と比べると中盤でのデュエルからトランジッションが増えていく流れがベースにあった。
浦項はもう一度ボールを持つことを徹底することで展開を変えに行く。具体的にはバックラインのやり直しを増やして、トランジッションの頻度を下げる方策に打って出た。これにより再び展開は浦項のポゼッションに傾くことに。
浦項は押しこむことで勝ち越しゴールをゲット。ブロックの外からシュートを打ったホルヘ・ルイスのシュートがゴールを切り拓く。ややディクレクト気味だったとはいえ、これは正直山東のGKが何とかしたかった感もある。
勝ち越しゴールを決めたホルヘ・ルイスは3点目の場面においても深さを作ることで味方のゴールをアシスト。さらにリードを広げる活躍を見せる。
山東はリードを奪われたこともあり、ポゼッションを奪い返しに行くが、なかなか反撃は実らず。浦項の縦にワンタッチで出し入れするスタイルが常に先に行っていたという印象だ。
試合はハイラインの山東をブレイクする形で浦項が4点目を決めるが、終盤に山東が意地を見せて1点を返したところで終了。浦項が充実の4得点で勝ち点3を積み上げた。
ひとこと
カウンターが試合を通してさっぱり刺さらなかったので、山東のボールを持っていない時の強みみたいなものがほぼ見られなかった試合だった。
試合結果
2024.11.6
AFC Champions League Elite
リーグステージ 第4節
浦項スティーラース 4-2 山東泰山
浦項スティールヤード
【得点者】
浦項:30‘ ジェヒ, 64’ ルイス, 68‘ ヴァンデルソン, 76’ オベルダン
山東泰山:33‘ 蒲陳, 90+4’ 畢津浩
主審:アフメド・アルカフ