用意された得意な土俵
ここまでの3試合で9得点9失点。ド派手な撃ち合いを演じている横浜FM。ホームに迎えるのは自分たちよりも上の順位にいるジョホール。横浜の地で違いを見せる90分にしたいところだろう。
まず、目に付いたのは序盤の縦に速い展開である。オープンなボールが行き来するスタイルといえば、横浜FMの思うつぼっぽいが、どちらかといえばこのペースを先導していたのはブリーラムの方に見えた。前線にボールを当てつつ、サイドから素早く攻め切るという形で横浜FMと駆け引きをする。
ただ、横浜FMは先に述べたようにこの盤面の勝負には自信がある。土俵に乗っかった上で相手を上回ることが期待できる局面であった。特に効いていたのは中央に差し込むパスでブリーラムのバックラインを食いつかせるフリ。ライン間に降りる前線にボールを当てると、ブリーラムのバックスはチャレンジでその選手に食いつく。その選手の出て行った穴を閉じようとブリーラムのバックスは横に収縮する。
そうなれば、5バックであるが大外が空くことになブリーラム。横浜FMはこの状態を作り出した上で大外からのラインブレイクで一気に相手を押し下げにいく。
トランジッションでのシンプルなスピードと、この外を取るための中央のフリのアクションから横浜FMはサイドで主導権を握る。先制したのもこのサイドの駆け引きを制したところから。深くマイナスに抉るところからシュートまでもっていくことをやってのけた井上の見事なゴールであった。
以降もペースは横浜FM。ハイテンポな試合を掌握し、主導権を離さない。ブリーラムは失点以降にプレスの圧を強めようとするが、シンプルに横浜FMのスピード感についていけなかった。
そうした中でブリーラムはササラックが退場。1人少ない状況に追い込まれてしまう。横浜FMはサイドからの裏抜けで延々と攻撃を続ける展開に。そうした中でクロスからハンドでPKをゲット。アンデルソン・ロペスのお馴染みのギリギリ合法感のある生レバー的なPKで追加点を決める。
ブリーラムはこのゴールで集中力が切れたのか、GKのエザリッチがクロス対応をミスしてしまい、オウンゴールを呼び込むことに。前半は横浜FMの大量のリードで幕を閉じる。
後半はそんなに話すことはない。ブリーラムはHTに交代で入ったタビナスのオーバーラップから瞬間的な攻撃の盛り上がりを見せることはできたが、基本的にはペースは横浜FM。交代選手も含めてサイドからの裏取りは継続して行っていくことで脅威を作り出していく。
後半もがっちり握った展開から2点を追加した横浜FMが完勝。またしてもド派手な試合を制し、グループ最多得点チームに躍り出ることとなった。
ひとこと
どんな勝算があってブリーラム側がアップテンポな展開を繰り出したのかが気になるところ。
試合結果
2024.11.5
AFC Champions League Elite
リーグステージ 第4節
横浜F・マリノス 5-0 ブリーラム・ユナイテッドFC
横浜国際競技場
【得点者】
横浜FM:11‘ 井上健太, 45+1’(PK) 57’ アンデルソン・ロペス, 45+3‘ エザリッチ(OG), 66‘ 植中朝日
主審:アデル・ハミス・アルナクビ