Fixture
UEFAチャンピオンズリーグ
リーグフェーズ 第7節
2025.1.22
アーセナル(3位/4勝1分1敗/勝ち点13/得点11 失点2)
×
ディナモ・ザグレブ(24位/2勝2分2敗/勝ち点8/得点10 失点15)
@エミレーツ・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
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過去の対戦でアーセナルの3勝、ディナモ・ザグレブの1勝。
Match facts from BBC sport
- アーセナルは4回のディナモ・ザグレブとの公式戦での対戦で3勝(L1)。グループステージ/リーグフェーズでの対戦はこれが2シーズン目で、前回対戦の15-16では共にホームチームが勝利している。エミレーツではアーセナルが3-0での勝利。
- ヨーロッパカップもしくはUCLでクロアチアのチームがイングランドで勝利したことはない(D1,L3)。4回の対戦はいずれもディナモ・ザグレブによって記録されている。
- アーセナルは直近2試合のCLで勝利。いずれの試合も3得点以上を記録している。欧州カップ戦で3試合連続の3得点以上になればクラブ史上2回目。1回目は20-21のELで4試合連続を記録。
- 今季の初めの4試合のCLのディナモ・ザグレブは42本のシュートで10得点を記録。だが、直近2試合においては16本のシュートで1ゴールも挙げることが出来ていない。
- 昨季の開幕以降、CLでアーセナル(7)よりもホームで多く勝利しているチームはいない。またホームでの21得点はこれ以上多く得点を決めているチームが3つだけ。また、このタイムスケールにおいてホームでの7つのクリーンシートは最多。
- アーセナルは今季のCLにおいてオープンプレーからゴールを許しておらず、どちらの失点もセットプレーから。一つはCK、一つはPK。オープンプレーにおける被xGは2.4であり全チームの中で最少。
- ディナモ・ザグレブは直近2試合のCLでのアウェイゲームに連勝。この2戦はこの大会における初めのアウェイでの25試合の勝利数を超えており、勝ち点は同じ(W1,D3,L21)。彼らは3つのアウェイでの試合において8ゴールを記録しており、それ以前の8試合のゴール数より2少ないだけ。
- 直近2シーズンのCLで20得点以上を記録しているチームの中で、ブカヨ・サカ(14/30, 46.7%)よりも得点関与率が高いのはバイエルンのハリー・ケイン(18/38, 47.4%)だけ。サカは8得点、6アシストを記録。しかし、この試合でサカは欠場する。
- サンドロ・クルノビッチ(3)よりも今季のCLのアウェイゲームで得点を決めているのはドルトムントのジャミー・バイノー=ギッテンス(4)だけ。欧州カップの歴史においてディナモ・ザグレブの選手がアウェイで1シーズン4得点以上を決めたのは20-21のELにおけるブルーノ・ペトコビッチのみ。
- カイ・ハヴァーツは今季のCLで3得点を記録しており、チェルシー時代の21-22のキャリアハイに並ぶ。CLを制したシーズンの20-21のチェルシー時代(12試合出場)と比較するとより多くのゴール数(3)、より多くの枠内シュート(5)、相手のボックス内でのタッチ(30)を記録している。
予習
CL 第4節 スロヴァン・ブラチスラヴァ戦
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CL 第5節 ドルトムント戦
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CL 第6節 セルティック戦
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予想スタメン
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展望
カンナバーロに託された命題
CLをプレビューする上でもっとも怖いのは開幕戦で未知の相手と当たること。国内リーグの配信がない相手の可能性は十分にあり、そうなった場合には全く試合映像がない状態でプレビューを書くことになる。その点では今季のアタランタからスタートする日程はありがたかった。セリエAはチェックすることが出来るからだ。
併せて怖いなと思ったのはこの第7節のタイミング。CLだけで見れば期間が空くため、国内リーグの映像がないチームは厳しい。
もう1つ、プレビューの記事を書くことにおいて恐れていることがある。監督交代だ。監督交代の1試合目にぶち当たってしまえばほぼなす術がない。
ということで今回のプレビューはすでに苦戦を強いられる要素が満載である。今節の相手は国内リーグ戦の配信がなく、かつカンナバーロが就任初戦を迎えるディナモ・ザグレブだからだ。こうなると、何とか文字数を稼げる要素を拾っていくしかない。そう、ここまでの文章ももちろんその一環だ。
監督が代わると大きく変わる部分もたくさんあるが、変えることが出来ない部分もたくさんある。CLの直近3試合を振り返りながら彼らの戦い方をベースに考えをくみ上げていきたい。
まずは現状を把握する。参考文献はfootballista。クロアチアといえば長束さん。有料記事なのでファクトベースだけ抜き出す。
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カンナバーロ就任に伴う解任劇はディナモ・ザグレブにとっては今季2回目。およそ3ヵ月ぶりの監督交代のようだ。1回目の監督交代はCL開幕戦のバイエルンとの2-9の成績が引き金になった様子だった。
引き継いだピエリツァはCLではチームの立て直しに成功したが、国内リーグが3位と低調。首位と2位と勝ち点差はだいぶ離されている。解任の一因はこの成績不振のようだ。ちなみにディナモ・ザグレブはCLよりも国内での優勝にプライオリティを置いているらしい。ほかの解任の要因と国内での優勝にプライオリティを置いている理由はぜひ記事を読んでください。
ディナモ・ザグレブにとってこの一戦はウィンターブレイク明け。カンナバーロには1ヵ月弱の準備期間が与えられたことになるが、単純に実戦面でのコンディション面でも不安がある。
CLではアウェイでの連勝を決めているといえば聞こえはいいが、勝利した相手はザルツブルクとスロヴァン・ブラチスラヴァ。共にリーグフェーズでの敗退が決定している相手であり、エミレーツに乗り込むとなればこの2戦と明らかに難易度が異なる一戦となる。
守備は4-2-3-1もしくは5-3-2が基本線。4-2-3-1と表記したように2トップは縦関係になるのが基本線。中盤の枚数を合わせることを優先し、バックスには無理にプレスをかけない。5バックはドルトムント戦で採用されており、これも強いチーム相手にボールを持たせることを前提とした形である。
ということで基本的にはハイプレスに出て行くケースはあまり多くはない。であれば、中央はコンパクトかといえばそういうわけでもない。確かに縦のブロックに関してはコンパクトではあるが、ホルダーにプレスをかけることに無頓着なので、単純に裏を取られやすい。
また、ライン間に関してもコンパクトさの割には堅さがない。一因としては横方向に圧縮がかからないことだろう。いくら縦方向にコンパクトでも横方向にルーズであれば、相手を捕まえるのに距離があるのは一緒。コンパクトなのは見せかけだけとなる。これは前線から相手の選択肢を制限できていないことが要因だろう。
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前が選択肢を示せればコンパクトさを活かせるかもしれない。
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なので、相手チームはレイオフを活用すれば簡単にライン間にボールを入れて危険な位置でフリーマンを作ることはできる。広げる手段にも弱いし、ライン間も使えるので保持型のチームは自在にトライをすることができる。
加えて、ネガトラ時の帰陣も遅い。ボールを奪われてから自陣で陣形を整えるのにやたらと時間がかかり、簡単に中央のスペースを開けてしまう。クローズドに守る場面よりもさらに一段脆さは増している印象だ。
保持においては単純なロングボールは少なく、自陣でのパスワークが多め。相手がプレスをかけてくる場合でもショートパスへのトライは少なくはない。まずは相手の1stプレス隊の誘導を外し、逆サイドからボールを動かしていく。
手前のゲートが開けば2列目はライン間に入りながら反転を狙う。問題はここから。ライン間のフリーマンは攻撃を加速させる術に乏しく、相手のブロック守備の構築が間に合ってしまう。スロヴァン・プラチスラヴァ戦では右WGのシュピキッチが素晴らしいカットインから得点を決めたが、これはCL6試合で21失点を記録している相手の守備ブロックの緩さに助けられた感がある。
前線にチャンスを送ることが出来ればCFのクレノビッチのシュートタッチは悪くはない。問題はそこにボールを届けられるか。カンナバーロに課された宿題はソリッドな守備組織の構築と前線にボールを届けるための手段確保だ。
優位を取れそうな局面は?
苦しい日程のアーセナルだが、正直な感想を言えばここでプレミアよりは少しレベルが落ちる相手と当たって一息つくことが出来るかなという印象を持っている。ディナモ・ザグレブがドルトムント戦のように5バックを組むのであれば、まず狙いたいのはセットプレー。押し込む展開は間違いなく確保できるので、そこからは高さで攻めたい。
ドルトムントはセットプレーをベースに高さでディナモ・ザグレブを制圧。単純な高さから上回ることが多く、さらにはフリーでベンセバイニに得点を許してもいる。プレーブックが絡むアーセナルならば、ドルトムント以上に得点の可能性を見出すことはできるだろう。
オープンプレーでも高さは使えそう。ファーサイドのクロス対応はややルーズであり、アストンビラ戦の得点パターンは使えそう。ウーデゴールからのファークロスに飛び込むメリーノ、ライスやトロサールからのクロスに飛び込むマルティネッリなど多くの得点パターンを作り出せそうな期待感はある。
もう1つ、明確に上回れそうなのはトランジッション。過密日程で強度を持続させることが出来る時間は減っているだろうが、それでもウィンターブレイク明け、そして2024年のCLでの強度を見ればアーセナルに付け入る隙は十分にある。ライン間からの加速は十分に狙っていける。もっともこれはカンナバーロがどういう修正をかけるか次第だけども。
まずは押しこむことが出来れば非保持はそんなに心配することはない。アストンビラ戦のバック4を継続する形でも十分に守れると思う。どちらかというときっちり押し込むことを前提として90分間持続できるかどうかが試される。押し込む持続力がまず1つ、仮に押し込まれたとしても耐えられる強度を発揮することがもう1つ。この2つの命題が試される展開になるのではないか。
欠場するサリバの影響力は確かに大きいが、シティ戦までの対戦カードを見ればいないことが致命的なダメージにならないように戦いたい相手が続いている。正直、アストンビラ戦でもサリバ不在をなんとかできることを証明可能な展開だったので、すでにサリバがいないことをやいのやいの言われていること自体が個人的にはもどかしいが、4日遅れの証明をするためにもこの試合では内容も重視したいところだ。