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「クレイブン・コテージの忘れ物」~2024.12.11 UEFAチャンピオンズリーグ リーグフェーズ 第6節 アーセナル×モナコ プレビュー

目次

Fixture

UEFAチャンピオンズリーグ
リーグフェーズ 第6節
2024.12.11
アーセナル
×
モナコ
@アーセナル・スタジアム

Match facts from BBC sport

Match facts
  • アーセナルとモナコは過去に2回しか欧州で対戦しておらず、2014-15のCLのRound16が唯一。アーセナルは2nd legをアウェイで2-0で勝利したにも関わらず、AGG:3-3のアウェイゴールルールで敗退することとなった。
  • モナコは直近7試合のCLでの英国勢との対戦で5勝(L2)しており、4つの異なるチームから勝利(リバプール、アーセナル、トッテナム×2、マンチェスター・シティ)している。しかし、最後の勝利はシティを3-1で撃破した2017年3月のこと。
  • 昨季の開幕以降、アーセナル(6)よりも多くCLでのホームゲームで勝利しているのは7勝のバイエルンとバルセロナだけ。ホームでの6つのクリーンシートはインテルに並んでトップタイ。
  • モナコは直近のCLアウェイゲームはボローニャで0-1での勝利。連勝すれば14-15シーズン以来のことで、この時の2勝目はエミレーツでアーセナルを下した試合となっている。
  • エミレーツをCLで訪れたチームの中で最後にクリーンシートを達成したのは2016年のバルセロナ。以降の11試合ではすべてホームで得点を獲っており、29得点で1試合平均得点は2.6。
  • アーセナルはここまでの5節の間でファイナルサードでのハイプレスが最も多いチーム(666)。個人では全体を通してカイ・ハヴァーツが最も多い数字(179)。
  • アーセナル(3)よりクロスで得点しているのはリバプール(6)だけ。モナコは直近のベンフィカ戦でクロスら2つの失点をしている。
  • ブカヨ・サカは昨季のCL開幕以降、4つの試合でゴールとアシストを共に記録しており、ほかのどの選手よりも多い。ホームでの6試合においては8つのゴールに関与している(5G,3A)
  • エリース・ベン・セギルはベンフィカ戦で自身初のCLのゴールを記録。この試合でも得点を決めれば、キリアン・ムバッペに続き、同クラブで2人目の10代での連続得点達成となる。
  • ここまでの5試合のCLの中でもっともキャリーからチャンスをつくったのはガブリエル・マルティネッリ。期待値でこれを上回るのはヤマル・ムシアラ(2.17)だけ。

予習

CL 第5節 ベンフィカ戦

リーグアン 第13節 マルセイユ戦

リーグアン 第14節 トゥールーズ戦

準備中

予想スタメン

展望

支配的なスタイルを好む裏には・・・

 現在のアーセナルの勝ち点は10。8位以内での勝ち抜けには16がボーダーになっているという試算があるが、この試算に則れば残り必要な勝ち点は6。残りの試合がホームのディナモ・ザグレブと敗退が決まっているかもしれないアウェイのジローナであることを考えると、アーセナルはモナコに勝てればだいぶ突破が視界に入る情勢だ。

 対するモナコも同じく勝ち点は10。今季のCLでは好調だが、アストンビラとインテルとの対戦を残しており終盤の星勘定はタフ。かつては下馬評不利の状況でエミレーツで勝利を飾っており、今節もその再現を狙ってくるはずだ。

 先に欠場者の整理をしておこう。アーセナルは冨安とホワイトは不在が確定。ガブリエウ、カラフィオーリ、ジンチェンコの3人は直近のリーグ戦を欠場。この3人に加えて、ティンバーとトーマスが前日練習に参加できなかったというのが現地からの最新情報となっている。

 モナコはCBのシンゴとLSBのマウィサが出場停止で不在。CLで言えば前節のベンフィカ戦で復帰を果たしたバログンは週末のリーグ戦は不在。どうやら肩の手術を受けるようで長期離脱の見込み。エミレーツへの凱旋は見送りとなる。そのトゥールーズ戦のウォーミングアップで負傷したザカリアに加えて、マガサも招集外。アーセナルと同じくかなり手薄なスカッドでこの一戦を迎える。

 モナコの基本的なフォーメーションは4-2-3-1である。全体的なテイストとしては自陣からのショートパスでの繋ぎを主体として、ボールと共にプレーすることを好むチーム。ボールを高い位置から奪い返して自分たちのターンを継続することを目的としている。

 CHは縦関係になり、低い位置を担当する方の選手はサリーして最終ラインに入る。2列目は総じて中央に絞りがちで特に左サイドはこのテイストが強い。おそらくはゴロビンか彼がCHに入るのならば南野が左のSHを務めるだろう。どちらもインサイドに絞ってのプレーが多い選手だ。

 右サイドのSHはアクリウシェ。彼は外に立ってのプレーもできるが、インサイドに絞って狭いスペースでもプレーをすることができる。スカッド構成としてプレミアで近いイメージを挙げるとすればアストンビラだろうか。3-2-5というよりは3-1-6よりの形状ではあるが、2列目が内側に絞るスカッドのバランスは彼らに近い。ビラよりも左右は対称で両方のSBに攻め上がりを求めるスタイルだ。

 中央での細かい崩しを志向するチームであり、2列目から前は全員が狭いスペースでプレーできるテクニックを有している。少ないタッチで正確なラストパスを送れるのも特徴であり、中央を固めている相手でも抜け出す選手を作り出してチャンスメイクするポテンシャルを有している。19歳のベン・セギルは順調に育てば、あっという間に日本でも有名になるタレントになるだろう。

 SBの攻め上がり、もしくは右に開くアクリウシェが幅取り役となりクロスを上げる。中央の選手たちは攻め上がりからの抜け出しにも長けており、クロスが上がってしまえば高さがなくともボックス内で相手に圧力をかけることができる。

 非保持においてはスペースを消すよりも高い位置から出ていくことが多い。裏を返せば押し込まれることを好まないとも取れるだろう。幅の広いポゼッションで押し込まれたマルセイユ戦ではカジュアルな陣地回復の手段を見出せずに一方的に押し込まれる苦しい展開になったし、後半の途中で退場者を出したベンフィカ戦でも10人になったにも関わらず、前からチェイシングする姿勢を緩めなかった。

 週末のトゥールーズ戦のようにリードをしていてもアグレッシブな交代をするので、哲学を最優先という考え方もあるが、個人的には弱みを隠すためのプランニングも兼ねているように思う。前向きな姿勢の裏返しは突かれて困る腹を守るための手段ではないか。

「前提」が整えば狙うはファーサイドクロスの連打

 スポルティングに比べると、カウンターから一発で押し返すという形は得意ではないし、基本的には試合を支配することを信条として突き進んでいるチーム。中央に人数をかけて突破するというスタイルも踏まえると、どちらかといえばアーセナルは得意としているタイプだと思う。

 今季のアーセナルはもちろん苦しんでいる試合も多いが、ガブリエウがいなくてなお守備でピンチのシーンを次々と作られるということはなく、相手のチャンスの頻度はそれなりに抑えられている。まずは内容を優勢にしたいはずのモナコにとってはやりにくい相手ではないだろうか。

 モナコの得意なプランを封じるにはまずはきっちりと押し下げることが重要になる。前からのプレスを幅を広く使いながら回避。SHとSBの間が開きやすいので、ライスやウーデゴールのサイドフローでの起点作りは十分に突破の切り口になるだろう。

 モナコの2列目は前への意識が強い選手が多い分、サイドでのダブルチームのプロテクトを敷いてくる可能性は低いと予想する。サカとマルティネッリには対人で優位を取ることが求められるだろう。

 それ以上に狙いたいのはファーへのクロスである。モナコの直近3試合を見てみると特にスペースに出されるクロスへの対応が後手に回りやすくなっている。CBの柱であるシンゴがいないとなればより跳ね返す能力は低くなっていると推察することができるため、早い段階でクロスという選択肢を取ることは悪くないのかもしれない。

 特にファー側のSBはあっさりとマーカーに前に入られてフリーにしてしまうケースが多い。ベンフィカ戦でのピンチは大体この形であった。アーセナルとしてはフラム戦でゴールにできなかったマルティネッリ→サカの形を再現すれば、チャンスは作れるはず。ファーサイドのクロスからの得点というクレイブン・コテージでの忘れ物をエミレーツで取り戻したいところである。

 試行回数をとにかく重ねていくというここで提示するアプローチはハイラインで相手を制圧できるという前提がある。アーセナルは優勢を取れるとは思うが、経験豊富なエンボロは国際舞台で格上相手でも怯むことなく結果を出している優秀なCF。彼が引っ張る前線のタレントを抑えられるバックスの構成になるのかどうかももちろん試合の流れを決める大きな要素になるだろう。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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