プレビュー記事
レビュー
迷いを前進に繋げられず
ついに始まる新フォーマットのCL。今までと違っての一度限りの手合わせとなったリーグフェーズはアタランタとのアウェイゲームで開幕する。
アタランタのプレスはリーグ通りだった。基本的にはマンツーでハイプレスに行きつつも、アーセナルのバックラインに対してはそこまで厳しくはいけない。マンツーベースで相手のバックスには強くいけないというところまでリーグ戦と同じ。アーセナルのバックスは比較的ボールを持てる立ち上がりとなった。
それに加えてアーセナルはノース・ロンドン・ダービーで封印していたSBのインサイドレーンへの可変を解禁。ティンバーがインサイドに絞りながら、そこからのサリーでバックラインの中央に入る。こうした可変に対してはアタランタは迷いが出るように。ティンバーの列移動、サカへのダブルチーム、ジェズスのポストなどいくつかアーセナルにとってはアタランタのマンツーに迷いを与えられそうなところがあった。
しかしながら、アーセナルは前線のボールタッチが不調。こうして生まれたズレをゴール前に繋ぐことができず、チャンスの構築まで辿り着くことができない。チャンスらしいチャンスはサカのFKくらいのものだろう。
加えて、アタランタは徐々にマンツーに対する整理が進んでいくように。中でも降りていく選手に対するついていくいかないの判断が非常に冴えており、深追いせずに後方に人数を揃えることを優先する判断が後方のブロックの安定に繋がった。
より複雑だった左サイドの旋回に対しても、アタランタは臨機応変にマーカーを変えながらきっちり捕まえる。こういう時は誰かが1枚剥がして欲しいところであったが、マルティネッリにそうした部分を求めるのはこの日のクオリティだと厳しかった。
20分がすぎると少しずつアタランタが押し返せるように。デローンが最終ラインに落ちる動きから中盤を空洞化させる動きはアーセナルのプレスを間延びさせることに貢献。エデルソンが間で受けることを狙っているため、アーセナルは徐々にラインを下げることを余儀なくされる。トップのレテギにも徐々にボールが収まるようになる。
アタッキングサードでは国内ではレテギに対しての高さの信頼が全て!というクロスを早々に上げるプランを組んでいるが、アーセナルのバックス相手には通用しない。そういう中でアタランタがギアを入れ替えられたのは見事。ジムシティの後方からのオーバーラップやレテギのポストを使ったデ・ケテラエルのシュートなど、少しずつアタランタらしい動きも見せられるようになった。
苦肉のノーロン型再登板
後半、アタランタは早々に得点のチャンス。左サイドのハーフスペースに突撃したエデルソンがトーマスを出し抜いてPKを獲得。トーマスからすると抜けられたことが1つ、さらにはサリバに任せなかったという抜かれた後の判断は1つエラーとして重なってしまった。
だが、このPKはラヤがスーパーセーブでストップ。紛れもなくこの試合におけるアーセナル側のMOMは彼である。
PKストップにも関わらず、アタランタの勢いは止まらず。左右のサイドから攻勢に打って出る。アーセナルは前線でロングボールが収まらなかったジェズスとエデルソンに対して後手を踏んだトーマスを交代。それに伴い、CHがフラットな高さになるノースロンドン仕様にチェンジ。さらにはジョルジーニョとライスの配置を普段と逆にして、エデルソンにトーマスをぶつける対策を打つ。
これでアーセナルの応急処置は完了する。アタランタはPK奪取の勢いから前半以上の勢いでDFへのプレスを積極的に行っていくが、GKへの二度追いがなかった分、アーセナルはボールの落ち着けどころを確保。アタランタのハイプレスに完全に飲まれることはなかった。レテギが下がったこともあり、敵陣での崩しも徐々に下火になるアタランタであった。
守備で立て直したアーセナルだが、それでも逆襲に出るまでは辿り着けず。スターリングは瞬間的なチャンスメイクでマルティネッリを輝かせかけるが、ジョーカーというにはまだ足りないという感じだろう。
結局試合はスコアレスドローのまま終了。アーセナルの24-25のCLはドローでスタートすることとなった。
ひとこと
こういう悪い状況でも作られたチャンスの総量がそこまで多くないのは自力の高さだろう。日程的には与えられたものでやっていくしかないフェーズなので、ここは我慢。ポット2のアウェイ相手に引き分けというのは星勘定的にはそこまで悪くもない。
またカラフィオーリの活躍も朗報。動き直しを欠かさないポゼッションへの貢献は今後の活躍に期待を持たせるものだった。
試合結果
2024.9.19
UEFAチャンピオンズリーグ
リーグフェーズ 第1節
アタランタ 0-0 アーセナル
スタディオ・アトレティ・アズーリ・ディターリア
主審:クレマン・トゥルパン