Fixture
Jリーグ YBCルヴァンカップ
Semi-final 1st leg
2024.10.9
アルビレックス新潟
×
川崎フロンターレ
@デンカビッグスワンスタジアム
戦績
近年の対戦成績
直近10回の対戦で新潟の2勝、川崎の3勝、引き分けが5つ。
新潟ホームでの戦績
直近10回の対戦で新潟の3勝、川崎の4勝、引き分けが3つ。
Head-to-head
- 直近の公式戦5回の対戦は互いに2勝(川崎はPK戦での勝利も含む)で引き分けが1つ。
- 直近4回の公式戦の対戦ではどちらかがどちらかを無失点に封じたことがない。
- Jリーグカップでの対戦は2016年が唯一。グループステージでの対戦で川崎が新潟ホームで0-5の勝利。
- 90分までで言えば川崎は直近3試合の公式戦の新潟アウェイで勝利がない。
スカッド情報
- トーマス・デンは代表活動で不在。
- 早川史哉は左排腹筋損傷で離脱中。
- 大島僚太は肉離れにより離脱。自国での治療を終えて来日したジェジエウとともに欠場の見込み。
- 高井幸大は筋肉系のトラブルで招集されていた代表活動を辞退。
予想スタメン
Match facts
- 勝ち上がればクラブ史上初のJリーグカップ決勝進出。
- 最高成績は2015年のベスト4。
- 2レグ制の決勝トーナメントを経験したのは2015年と2024年のみ。計3回ノックアウトラウンドはいずれも1st legのホームで勝利を挙げ、2nd legで敗れている。
- 直近のリーグ戦では4連敗中。
- 直近の4試合での失点は15。どの試合も少なくとも3失点以上は喫している。
- それ以前の公式戦9試合では8失点。
- Jリーグカップのホームゲームでは直近7戦で6勝。
- 長倉幹樹はここまでのルヴァンカップで6得点。得点王を走っており、勝ち残っているチームの選手に対しては少なくとも3得点以上の差をつけている。
- 次点は名古屋のパトリックの3得点。
- 10回目のルヴァンカップ準決勝。過去の9回のうち、4回は決勝進出を果たしている。
- ルヴァンカップのアウェイゲームは直近6試合で1勝のみ。
- 直近3試合の国内リーグ相手の勝利はすべて3得点以上。
- 今季、国内のアウェイ戦での関東以外での対戦は12戦未勝利(D5,L7)。
- 直近14試合の公式戦で引き分けは1つだけ。
- ルヴァンカップ準々決勝のホーム甲府戦。
- 遠野大弥は直近2年間のルヴァンカップで5得点を挙げている。リーグ戦ではこの2年間は2得点。
予習
第32節 川崎戦
第33節 鹿島戦
展望
真価が問われるエリソン-山田型4-4-2
ルヴァンカップは準決勝がスタート。準々決勝から始まった川崎からすれば、あっという間であるが、1stラウンドから戦ってきた新潟からすればようやくたどり着いた舞台かもしれない。
新潟との前回の対戦はおよそ2週間前。当然スタイルに大きな変化は見られない。もともとコンセプトがきっちりしているチームということを踏まえても、対策重視の奇襲ということはやってこないだろう。そういう意味では戦い方は比較的予想しやすい部類のチームではある。
川崎もおそらく前回対戦と似たプランでくるだろう。残留争いにそれなりの目途が立った今、ルヴァンカップとACLにはより重点を置いて対応したいはず。インターナショナルブレイク明けのG大阪戦で多少メンバーを入れ替えることになったとしてもここにフォーカスして戦力を投入したいと考えるはず。そうなれば、エリソンと山田を併用して脇坂を右のSHに置くプランを継続する可能性はそれなりにある。
ただし、前回の対戦のように川崎が新潟をプレスで翻弄する形が作れるかどうかは別の話。新潟のCBはボールを刺せるけども運ぶことはできないのが弱み。3バックで奇襲を仕掛けてきた鹿島にも中盤を固めてスペースを消されることでパスワークの強みを完全に消されていた。
今の川崎の4-4-2のアプローチは鹿島とは真逆で、スペースを作り出したとしても前線の走力を活かして前から潰しに行く形を志向している。このプレスは本来であれば新潟が得意としているスタイル。スペースを空けるリスクを気にせずに前から来る川崎は新潟にとってはやりやすい相手だと考えられる。
ではなぜ等々力ではそれが通用しなかったのか。シンプルに雨で球足が遅くなっていたからだろう。ボールが人より早く動くことが出来るという前提が成り立たない状況であれば、川崎のプレス時の脚力は脅威になる。
ただ、町田戦での川崎のプレスは中盤に穴を空けるシーンや、横に揺さぶられたことによりバックラインの選手を完全にフリーにしてしまう場面もあった。晴れのピッチでこういう機会を新潟相手に与えれば、町田とは異なりクリティカルな前進につながる可能性は高い。
逆にもし新潟のビルドアップを晴れのピッチで攻略できれば、川崎のプレスはコンディションが整っていれば多少のリスクを織り込んだとしてもJ1のそれなりの相手にも通用するという約束手形になるだろう。どんな相手でも前から捕まえるパワーで押し切ることが出来る広島と似たような部類である。もちろん、新潟のストロングである長倉を前回同様に河原が抑えることが出来るかも重要なポイントになるだろう。
ただし、よりスマートな戦い方を意識するのであれば、4-4-2のミドルブロックで息を入れる戦い方ができればよりいい。エリソンと山田にはそうしたゲームコントロールを身に着ける様子はないので、今の4-4-2はかなりギャンブル性が高いプランといえるだろう。
悪いことばかりという感じではなく、強引にでも試合を動かせるプランを取得したこと自体は大きい。大島と家長を活かした保持ベースの形も一定の成果を挙げながらも弱みを露呈したなど、基本的には今の川崎に万物に効く最強プランというのはないと思っているので、出るキャストによってそれなりのスタイルを確立したというのは悪くはない。それも近年不可欠とされていた家長を抜いた布陣であればなおさらである。
いずれにしても川崎が前回対戦のコピーに近い布陣でくるならば、この試合が今の川崎の4-4-2のプレス耐性の試金石になる可能性は高い。環境に助けられて成果を上げてきたエリソン-山田のタンデムの機能性が今季初めての関東以外の国内アウェイ戦勝利の重要な要素になりそうだ。
後方のチェーンを切るための準備をしたい
町田戦で川崎が素晴らしかったのは保持である。ボールと一緒に前に進み、相手の守備者を後退させながら、自分たちは厚みのある攻撃を繰り出すことが出来ていた。
特にバックラインから相手の2列目のプレスを誘発した三浦はこれまでにない引き出し。浮いているバックラインに対して2列目がプレスに後追いで出てくることがある点とそうなった時にCHが広大なスペースをカバーできる能力を持っていないという点では町田と似ているため、保持の面では新潟対策としては町田戦と同じクオリティを出せれば結果を出せる見通しは立つはずだ。山本、河原、脇坂など2列目がズレた時のスペースをつける選手は今の川崎には揃っている。
前線のことを考えても、新潟の中盤の意識を自陣側に向けることが出来る意義は大きい。エリソンは挟まれさえしなければ反転だけでなく、ポストプレーで味方の攻め上がりを促すことが徐々にできるようになっているし、山田の推進力も生かしやすいはずだ。
町田と比べて新潟はスコアによらず戦い方は一定。そういう意味では自分たちがやることをやれれば、道は開けてくるはず。週末の鹿島戦を見る限り、前の制限がかからなかった時の後ろのチェーンのバラバラ具合はなかなかのものだった。横に振りつつ仕上げにファーサイドへのクロスを送れば、川崎にも同様のことが出来るかもしれない。手前でギャップを作ることで週末の再現を狙いたいところだろう。
今シーズン、何度も川崎にはシーズンを変えられそうないい流れが来ることがあった。今の状況もそうだろう。町田を優勝争いから完全に引きずりおろした川崎には勢いがある。が、そのたびに川崎は次の試合で勢いを手放してきた。カップ戦準決勝という舞台で同じことを繰り返せば残りの2か月はタイトルの可能性がないシーズンを過ごすことになる。何度目かの正直を果たし、国立の舞台に近づくための90分にしたいところだ。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)