Fixture
明治安田 J1リーグ 第28節
2024.11.22
浦和レッズ(12位/12勝10分13敗/勝ち点46/得点48/失点43)
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川崎フロンターレ(14位/11勝12分12敗/勝ち点45/得点57/失点51)
@埼玉スタジアム2002
戦績
近年の対戦成績
直近5年間の対戦で浦和の3勝、川崎の6勝、引き分けが7つ。
ホームでの戦績
直近10戦で浦和の3勝、川崎の4勝、引き分けが3つ。
Head-to-head
- 直近4回の対戦はいずれのチームも得点も失点もしておりクリーンシートがない。
- アウェイチームの勝利は直近10試合なく、最後の勝利は2021年に川崎が埼スタで0-5で勝利した試合。
- 川崎は直近3回の埼スタ遠征で勝利がない(D1,L2)
- 同カードの最多得点者は興梠慎三と小林悠の10得点。
- 興梠慎三にとっては最後の川崎戦となる。
- Jリーグの再開試合の例は過去に9例あり、この試合で10例目。過去のケースでビハインドを負っているチームが逆転勝ちをした試合はない。
スカッド情報
- 中断前からメンバーの入れ替えはない見込みか?
- 高井幸大は出場停止。
- 脇坂泰斗は肉離れのために離脱中。
予想スタメン
Match facts
- 4連敗の後、3試合負けがない。
- 直近6試合で複数失点は1回だけで、直近3試合はいずれもクリーンシート。
- マチェイ・スコルジャ就任以降の8試合で6得点、6失点。
- それ以前の27試合と比較して、平均得点:1.55→0.75、平均失点:1.37→0.75
- シーズン中に監督交代のあった直近4年はいずれもカップ戦決勝に進出をしている。カップ戦決勝未進出と監督交代が重なったのは2008年のオジェック→エンゲルス以来のこと。
- 現在の勝ち点は46。2シーズン連続で勝ち点50を越えれば、2ステージ制だった2015-16以来のこと。1ステージ制に限れば2014年以来。
- ・公式戦における後半の得点は37であり、前半の得点(16)の倍以上。
- 直近7試合の公式戦で1勝のみ(D2,L4)。
- 直近11試合の公式戦でクリーンシートがない。
- 今季、先制を許した23試合の公式戦で逆転をしたのは2試合。どちらも関東で開催されたアウェイゲーム。
- 2月の湘南戦と10月の町田戦。
- 後半の失点数は43。前半(28)の1.5倍以上。
- 車屋紳太郎が先発したリーグ戦は直近6試合負けがない(W4,D2)
- 山田新はここまでリーグ戦で16得点。川崎所属の日本人選手でこれより多く得点を決めているのは23得点を決めた2017年の小林悠が最後。
予習
第25節 柏戦
第35節 横浜FM戦
第36節 広島戦
展望
第二次スコルジャ政権の狙い目は?
ハーフタイムからの再開というレアケースにより、浦和とのリーグ戦のプレビューは3回目。わざわざ監督を代えてプレビューのやりがいを与えてくれるという浦和の粋な計らいにより、前回とはまた切り口の異なる記事になりそうなのはレビュワー的には朗報かもしれない。
スコルジャで守備を固めて、ヘグモで攻撃を構築するという青写真は機能せず、再び監督はスコルジャへ。守備を固めて攻撃へ!という一見完璧に見えるチーム作りが機能しないというあるあるはサッカーが攻撃と守備で要素還元することのナンセンスさを教えてくれている。
それでも再びスコルジャが舞い戻ってきた浦和についてはやはり守備から話すのが妥当だろう。フォーメーションは4-4-2がベース。トップは相手のバックラインに無理にプレスにはいかず、後方に重心を置くローブロック〜ミドルブロックに陣形を組むことが中心となる。広島戦のように一方的に押し込まれる展開においてはCHがボックス内を埋めることも多く、2列目は全体的にプレスバックの意識が強い。
であれば守備は堅いのかなと思うだろうが、そこも非常に微妙なところ。がっちりと割り切ってスペースを消すところまで行けば、ボックス内での高さ勝負に持ち込むことができるのだが、ボックス内よりやや高めにラインを設定した時は怪しいところがある。
具体的に気になるところは3バックにおけるWBへの対応が後手に回りやすいところ。ここに誰がついていくのかがの整理が甘く、大外→ハーフスペースの裏抜けを徹底されると背走させられながらボックス内での守備に向かうことになる。このような体勢に持ち込まれると浦和の守備の固さはかなり目減りすることになる。東京V戦では前半途中からこの形でひたすら殴られる展開が続くこととなった。
ただし、横浜FMと広島という攻撃のターンが長いチームを共に零封した実績があるのは忘れてはいけない。ローラインに思いっきり振る方が怖いチームかもしれない。
ボールを奪う位置は低くなりやすいため、カウンターは非常に負荷の高いものになる。もっとも重要な選手はスピードで陣地回復に大きく貢献することができる松尾。彼にボールをどのように届けるかが攻撃の軸になる。
松尾の裏抜けの威力を高めるための武器はいくつかある。1つはCFのリンセンもしくはサンタナのポストプレー。ここでタメを作ることができれば、松尾の裏抜けにCBが対応することは難しくなる。
SBのトランジッションも重要な要素の1つ。石原がトランジッションで相手のSHを出し抜く形になれば、一気に敵陣に入り込むことができる。リンセンのポスト、石原のポジトラで敵陣に入り込むことができれば、松尾はフィニッシュに専念することが可能になる。陣地回復役の役割を低減して、フィニッシュに近い位置に松尾を置くことができれば浦和の得点の可能性は高まることになるだろう。
攻守におけるCHのタスクは?
45分、0-1でのビハインドという特殊な状況から始まる試合というのは当然頭に入れる必要がある。出方を悩むのはむしろリードをしている浦和の方で、川崎のやることはクリア。高い位置からのプレスを駆使しつつ、押し込む形を作り続けることが狙いになるだろう。
浦和は保持を意識するのであれば、グスタフソンが最終ラインに落ちる形から保持を落ち着けに来ることが多い。全体の重心が低い分、攻撃に繋げるという点で効果的かは非常に微妙なところではあるが、45分で2点というミッションにおいて相手がボールを持って落ち着くという時間の発生は天敵であることは間違いない。2トップが交互に監視するか、もしくは中盤から+1のプレス隊が出ていくことになるだろう。
そうなった場合、川崎は後方のデュエル性能が重要になる。リンセンへのロングボールへの対応がどこまでできるかがポイントの1つ。車屋が出場可能な状態なのかはよくわからないが、マッチアップするCBが後手を踏むようだと、カウンター対応での旗色は悪くなってしまう。ロングボールに関しては中盤でのヘルプが期待できないユニットが先発なので、CBの個の力はいつも以上に重要になる。中盤にはロングボール対応が難しい分、行動範囲の広い渡邊をきっちりと受け渡しながら捕まえるところをやり切ってほしい。
プレスで意識したいのはサイドに追い込むアクションだ。浦和のCBはSBへのハメパスを選択することもそこそこあるので、特に石原のところで詰まらせることで一気にカウンターに転じることもできる。井上への縦を切るアクションと連動する形で石原にもきっちりプレスをかけた。
序盤から浦和が引いてロングカウンターを意識するのであれば、松尾を投入して広島戦の再現を狙ってくる考えなのだろう。広島に比べると川崎は断然守れないので、自陣を固めて松尾の裏抜け一発で全てをひっくり返すだけで攻撃は成立する可能性もある。
スピードに乗らせたら一巻の終わりなので、攻撃の終わらせ方は通常よりも重要だ。SBは空中戦で怪しさがあるのでファーへのクロスを狙うことは重要。ペナ角付近の大外からの巻くクロス(家長の例のアレ)と大外→ハーフスペースの奥を取るアクションの組み合わせでまずはバックラインに負荷をかける。
安居とグスタフソンがボックス内にフォーカスするようになったら今度はミドルを意識。橘田と大島は積極的に打ちにいく姿勢を求めたい。CHには遅れてボックスに入って、川崎のクロスにおける最後の不確定要素になる役割も担ってほしいところ。最後に入ってくる選手が一番浮きやすい。警戒すべきCF陣の隙間を抜けめなく入り込む彼らにラストパスが通れば、得点の高いプレーになる可能性は十分にあるだろう。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)