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「引き出しを増やそう」~2020.6.1 ブンデスリーガ 第29節 ケルン×ライプツィヒ レビュー

スタメンはこちら。

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目次

【前半】
プレスで得た主導権は時間と共に

 今節唯一のマンデーナイト開催となったこのゲーム。ミッドウィークの試合をこなした両チームからすると意外とありがたい日程なのかもしれない。試合はエネルギッシュな立ち上がりとなった。4バック同士で噛み合わせも良好。非保持側がプレスを早めにかければ、試合のテンポもかなり速いものになることは想像がつく。

 この試合で特に素早くプレスをかけてきたのはケルン。コルドバとレジュベツァイのケルンの前線コンビは、ボールサイドのプレイヤーがCBをチェックし、もう片方が斜め後方に中盤を背中でケアにしながら留まる役割と役割を分担。ライプツィヒが真ん中を嫌がり、ボールをサイドに出すとそこにSHが蓋をしに行く。ここでケルンのプレスのスイッチが入るイメージだ。SHのプレスと同じタイミングで中盤の押し上げも行われる。ライプツィヒのSBは時間をもらえず前を向くことができない。苦し紛れに出した中央へのパスをカットすることで、ケルンは序盤からショートカウンターを発動させる。

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 ただし、ライプツィヒもハイテンポゲームはお手の物。素早いパスワークと浮き球を駆使して、プレスに完全に屈することはなかった。狭く刈り取りたいケルンに対して、広い展開も併用する。幅取係は左はヌクンクたまにアンへリーニョ、右はムキエレ。ケルンにプレスのスイッチを入れさせた後に、逆サイドに張った彼らにボールが届けば一気にチャンスになる。実際、この試合の一番初めのライプツィヒの決定機はヌクンクから逆サイドのムキエレに出たボールが起点となる。コンパクトに守りたいケルンに対して、外→外で振り回すことで中央にスキを作った形である。

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 しかし、チームで最初の決定機を決めたのはライプツィヒではなくケルンの方だった。ヘクターのきついチェックを受けたザビッツァーが出した縦パスをスキリがカット。カウンターの移行には少々時間はかかったものの、レジュベツァイがクロスターマンとウパメカノのギャップを突いた裏抜けを披露。このレジュベツァイの裏抜けは秀逸。ウパメカノ、ちょっと遊ばれてしまったね。ポストから跳ね返ったボールを最後はコルドバが仕留めてケルンが先制する。

 先制点を取ったケルンだったが、なかなか流れに乗り切れない。まず、先制点を決めたコルドバが負傷してしまい交代。めっちゃ嘘っぽい倒れ方したから平気だと思ってしまったぜ。ケルンは最終ラインから比較的簡単に前線に蹴っ飛ばしてしまうので、前線で体を張っていたコルドバの交代は痛いだろう。

 そのコルドバの負傷で1人少ない間に同点に追いつくライプツィヒ。ケルンとしては踏んだり蹴ったり感が否めない。ケルンが1人少ない4-4-1気味で守っていたからこそ、ウパメカノは持ち上がる余裕があった。そこを塞ぐためにケルンのSHが絞ったため、アンヘリーニョは余裕をもってクロスを上げることができた。1人少ないタイミングなのはケルンにとって悔やまれるところである。ちゃんと1人足りないところを使えるライプツィヒも偉いのだろうけど。シックは若干苦しい体勢になりながらもうまく押し込んだ。

 前半も半分が終わったところでスコアも人数もやっと同じになった両チーム。コルドバ→モデストの交代にやたら時間がかかったのはなんでだろう。ケルンはなかなか前進のメカニズムを見いだせない。高い位置まで押し上げられればやりようはあったんだけど。先制点のように、多角形形成して大外からハーフスペース裏を狙う右サイドと、逆サイドからの展開で1対1、もしくは2対2で打開を図る左サイドとサイド攻撃からPAにクロスを上げるシーンは悪くはなかった。ただ、どうしても再現性を持ったボールの前進が困難で、最終ラインから出てくる長いボールに合わせて全体を押し上げてセカンドボールを拾うアプローチしかなかったように思う。

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 一方のライプツィヒはケルンのプレスに慣れた感が出てくる。徐々に撤退の時間を増やしていくケルン。そうなると、中央を締めたケルンに対して、ライプツィヒはやや攻めあぐねる。左に流れるカンプルに比べると、ライマーは中央から動かない立ち位置を取ることが多く、なかなか相手の中を動かすことができなかった。

 ケルンの前線がプレスを緩めたことで、時間を与えられたのはライプツィヒの最終ライン。相手のプレス隊と駆け引きをする機会が多かったウパメカノはビルドアップで存在感を発揮。ケルンのプレス隊を引き付けてから、パスを出すことによって最終ラインの起点として君臨していた。アンヘリーニョはビルドアップの助けのスキルも身に付きつつ、PAまで顔を出す役割をきっちりこなしているので、ライプツィヒに来てよかったね。

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 勝ち越しゴールの打開になったのはここまでやや存在感が薄かったライマー。競り合いのボールを拾うとドリブルで相手を剥がし、裏に抜けるパスでヌクンクの1対1を演出した。ケルンの視点から見ると、カインツがライマーのターンの方向を決め打ちしてしまい、ライマーに一番突破されたくないコースに侵入を許してしまったのが悔やまれる。

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 先制を許すも、隙を見逃さずにスコアを重ねて逆転までこぎつけたライプツィヒ。前半は1-2で終了だ。

【後半】
攻守に目立つウパメカノ

 後半頭からボールを握ったのはライプツィヒ。ビハインドのケルンがなかなか前に出れずに攻められない状況が続く。前半に続いてウパメカノが好きに配球をしている状態だ。そしてやっとケルンが前に出れてセットプレーのチャンス!という所でライプツィヒにひっくり返されてしまう。FKをキャッチしたグラーチが放ったフィードはそのままヴェルナーのゴールのアシストになった。

 前半にケルンがボールを持てなかったこともあり、正直勝手にこれで決着かと思っていたが、ケルンはすぐに1点を返す。クロスターマンのクリアが不十分になったところをモデストがミドルで叩きこんで1点差に。なかなかに脈絡のないところから叩きこんできた感のあるゴールである。

 と思っていたら今度はライプツィヒにゴール。セットプレーからダニ・オルモのミドルである。後半12分間で3得点。この試合に関して言えば、特に後半からオープンになった感はないのだが、やたら乱打戦になってしまった。

 勢いをそがれてしまったケルンはサイドからのクロスで反撃を狙う。ちなみに、前半と違って右はシンプルで左は人数をかけた崩しをやっていたので、このあたりは交代して入った選手の資質によるところなのだろうなとも思った。

 PA内での接触で一度はケルンにPKが与えられた(OFRを経て取り消し)シーンでは、ウパメカノが目測を誤っているように、この日のライプツィヒはクロス対応の怪しさは若干あった。ただ、前半の繰り返しになるが「どうやって前に運ぶ?」というところが解決できず。クロス対応とは違い、裏抜けに対する潰しではウパメカノが無双状態にあったことも大きかった。ライプツィヒのポゼッションの時間は徐々に増加。ケルンへのPK判定が覆ったあとは、落ち着いて試合を殺すことができた。

 試合は2-4で終了。ライプツィヒが勝利を挙げて上位5チームは全勝である。

あとがき

   ボールを前に進める武器を持ってないチームが、ひとたび後手に回ると苦しくなるということが如実に表れた試合。コルドバがとっとといなくなってしまった影響もあるだろうけども。序盤のケルンのプレッシングはライプツィヒを苦しめていた。ただ、ライプツィヒが早いテンポのパス回しで解決策発見までにそれ程時間を要さなかったのは底力である。

 個人でいえばウパメカノはとても目立っていた。CBへのプレッシャーが序盤以降は緩まったこともあり、球出し役としても能力の高さを見せられたと思う。ここ数試合を見る限り、どの試合もビルドアップ時の存在感が際立っている!というわけではないので、このあたりはナーゲルスマン的不定形らしい日替わりの解決策なのだろう。守備面では人への無類の強さとほんのり立ち位置の甘さも感じられる内容。彼の能力が把握しやすい試合だったように思う。早く本職CBコンビが組めるといいんだけど。

 ライプツィヒはこれで3位キープ。33節のドルトムント戦までにはCL出場権をほぼほぼ当確にしておきたいところだろう。これ以上怪我人がでるとやばそうなポジションはいくつかあるけど、CL出場権は何とかなるのではないかと予想してみる。

 いつも読んでくれている方、このレビューどうでしたか?何か違和感あったりしました?この記事は結果を知らないまま書き進めていくスタイルをやってみました。ナーゲルスマンのチームみたいに自分も引き出し増やしてみたいな!という縛りプレイ。まぁ、見返すシーンはあったりしたので一発勝負!というわけにはいかなかったけどね。そんな新しい試みでした。感想お待ちしてまーす。

試合結果
2020/6/1
ブンデスリーガ
第29節
ケルン 2-4 ライプツィヒ
ライン・エネルギー・シュタディオン
【得点者】
FCK: 7’ コルドバ, 55’ モデスト
RB: 20’ シック, 38’ ヌクンク, 50’ ヴェルナー, 57’ ダニ・オルモ
主審:クリスティアン・ダンケルト

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