緩さを緩さで上書きした逆転負け
サウサンプトンはダウンズを最終ラインに配置する形での5-4-1。公式戦初先発となったオヌアチュの抜擢も含め、驚きの多いスターターとなった。
メンバーは変わっても試合展開はいつもと同じ。強引に繋ごうとするショートパスはリスク過多。序盤はリバプールがやや軽率に前線の追い出しを図ったこともあり、サウサンプトンは左サイドからボールを運ぶことができてはいたが、15分がすぎた頃には前線のプレスが繋がるようになり、危ういロストの連続に持ち込まれることとなった。
こうなると一方的なリバプールペースに。左サイドのガクポを軸にクロスを上げることでボックスに迫ると、そこから軽率なサウサンプトンのワンプレー目を狙うことで波状攻撃を仕掛けていく。
30分の先制点はまさにそのサウサンプトンの軽率さが顕在化した場面。ボールに関わった全員が「なんでそんなことをする必要が?」と言いたくなるようなプレーの連続でショボスライにゴールをあっさりとプレゼントする。
これで試合は完全にリバプールのペースかと思われたが、今度はバックスの軽率さがリバプールに伝染。簡単なパスミスから押し下げる手前の段階でサウサンプトンにボールをプレゼントする。
サウサンプトンはスペースがある状態でボールをもらえれば何かができるアタッカーは揃っているので、こうしたプレーでボールを渡すリスクはそれなりにある。オヌアチュにマークされていたファン・ダイクがボールを奪われると、引き取ったディブリングがPKを獲得。ロバートソンのアタックも含めて軽率な一連のプレーに。終了間際にセインツが追いつく形となった。
後半も展開は同じ。左サイドを軸に攻勢を仕掛けるリバプールに対してサウサンプトンは後手を踏む。前半途中からボールの預けどころとして覚醒しつつあったオヌアチュも負傷でピッチを退いてしまう。
しかし、そのセインツが試合を動かすゴールをゲット。ややアクシデンタルにマッカーシーからリリースされたボールはサイドでディブリングがなんとかキープ、アームストロングがつなぎ、最後はフェルナンデスがゴールを決める。
このゴールシーンもそうだが、リバプールの後半の守備はとても緩い。後方の対応が一発で奪いにいくものばかりで簡単に逆を取られてしまう。また、前からの守備が再び緩慢になり、4枚前方にプレス隊がいるにも関わらず、非常に簡単にファーストラインを通されてしまう。どうせ通されるのならSHがそもそも高い位置を取る意味がない。
しかし、それが問題にならなかったのは対峙しているチームがそれ以上に緩さを見せたからだろう。リバプールの2点目は確かにグラフェンベルフのパスもサラーの柔らかいフィニッシュも見事ではあるが、マッカーシーがわざわざゴールまでの道をガラ空きにする義理などどこにもないだろう。こちらのサイドでステーフェンスが攻守に散々なプレーを連発していたこともあるが、この場面のマッカーシーのプレーはGKとして最も避けるべきもの。このプレー1つでこの試合で見せた再三のスーパーセーブは全て台無しになるレベルだと思う。
リバプールはその後菅原のハンドでPKを獲得して逆転。以降もサラーを軸にしたカウンターで追加点を目指す。前からの守備の緩さは最後まで変化はなかったが、遠藤の投入で対症療法的に改善が見られたため、なんとかなったという印象だ。内容的には乏しいリバプールであったが、シティが敗れた週にきっちり勝ち点3を積み、またしても独走体制を強化することに成功した。
ひとこと
4-2-4で守る意味をきっちり洗い出さないと普通にどこかでしっぺ返しは食らうことになると思う。
試合結果
2024.11.24
プレミアリーグ 第12節
サウサンプトン 2-3 リバプール
セント・メリーズ・スタジアム
【得点者】
SOU:42‘ アームストロング, 56′ フェルナンデス
LIV:30’ ショボスライ, 65′ 83′(PK) サラー
主審:サム・バロット