■実質、トモリの退場の時点で決着
スタンフォード・ブリッジでミランに勝利を挙げたのは一週間前のこと。ポッターのもと、成績が改善しつつあるチェルシーはサン・シーロに乗り込み、グループステージ突破に大きく前進するための勝利を狙う。
一方のミランもやられっぱなしは御免のはず。ノックアウトラウンド進出のためにもやすやすと勝ち点を渡すことはできない。
立ち上がりからそうしたミランの意気込みが見える入りになったといえるだろう。高い位置からプレスに来たチェルシーに対して片側のSBを上げた3バックで真っ向から対抗する。
上がることを許された方のSBであるテオ・エルナンデスはただ絞るだけの偽SBというよりかは、もはやフリーロールといった方がいいだろう。インサイドはもちろんのこと前線の中央に上がっていくこともしばしば。人基準でなるべく守っていきたさそうだったチェルシーの秩序を壊す存在となっていた。
チェルシーのゆったりとした保持に対してもミランは厳しくプレッシングに出て行く。ペースを握らせずにテンポを上げて自分たちに主導権を持ってくるのがミランのプランだったといえるだろう。
そんなミランを邪魔したのは前節と同じくジェームズである。テオが留守にしやすいミランの左サイドからフリーランで侵入し、ゴール前に自在なパスを送ることでミランを苦しめている。
チェルシーが厄介なのはきちんと左サイドで組み立てるというフリを利かせることができることである。左に相手を集約しておいて、大きく右に振る!ができるので、アタッキングサードへの侵入ルートがやや偏っている場合でも、そこまで一辺倒な感じを受けないのである。
そんなジェームズが決定的な仕事を果たしたのは20分のこと。右サイドからのスクエアなパスで背後を取るとこれをトモリが倒して一発退場。ライトな接触であったのは確かだが、手を使った前に入られた相手を倒してしまい、それがファウルであるならば赤以外はあり得ないのである。このPKをジョルジーニョが決めてチェルシーが先制する。2試合を通して決定的な仕事を果たしたジェームズだけに負傷は非常に心配である。
この数的優位で一気にペースはチェルシー側に。1人分の数的優位を得たことで、バックラインは無理なパスを刺しこむことなく、ピッチを広く使いながら時間を使っていく。後半にはサイドの深い位置にギャラガーやチルウェルが入り込むことで陣地回復を簡単にやり遂げていた。
オーバメヤンの追加点以降はさらに無理をしない傾向が強まった。ボールを持つだけでなく、ボールを持たれても追い回すことはしない。得点が必要なミランが網に飛び込んでくるのを待ち構えているだけという風情だった。チャロバーのロングボール対応など、冷や汗をかく場面もなくはなかったが、基本的にはコントロールできる範疇で試合は進んだといえるだろう。
ミランはトモリの退場でどうもクビが回らなくなってしまった。レオンは最後まで抵抗していたが、できるだけコンビネーションで崩したい他の選手にとって数的不利は致命的である。
反撃の希望は実質ジョルジーニョのPKの時点で潰えてしまったミラン。GS突破に大きな足踏みとなる連敗を喫してしまった。
試合結果
2022.10.11
UEFAチャンピオンズリーグ
Group E 第4節
ミラン 0-2 チェルシー
サン・シーロ
【得点者】
CHE:21‘(PK) ジョルジーニョ, 34’ オーバメヤン
主審: ダニエル・シーベルト