チェルシー【4位】×ボーンマス【7位】
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劇的同点弾もCL圏外に
年末年始で停滞が進むチェルシー。勝ち点を落としてしまうとCL圏内からの転落もあり得る立ち位置となっている。相手はCFが相次ぐ負傷に苦しむボーンマス。だが、地力はある相手であり油断はできないのは間違いない。
チェルシーは3-2-5の保持時の変形を見せる。SBのカイセドがインサイドに入るマレスカのフォーマット通りの保持の陣形からボーンマスに対してギャップを作りにいく。ボーンマスは高い位置からのプレスを仕掛けるなど好戦的。チェルシーは相手とのギャップを活かして陣形の隙をつく。
保持主体で試合を進めるチェルシーはジャクソンの反転から最終ラインを釣り出すと、そのスペースにパーマーが入り込んで先制する。
ボーンマスは保持に回ると左サイドの変形を主体としてボールを動かす。アダムスが左に落ちる動きに呼応するようにケルケズがインサイドに入るなど、人を入れ替えることでチェルシーの陣内に穴を開けにいく。
だが、依然優勢なのはチェルシー。ライン間のエンソを加速装置として前がかりのプレスを繰り出すボーンマスをひっくり返していく。
それでもプレスを諦めないボーンマスはサンチェスのパスミスから決定機を作り出す。その直後にはジャクソンがポストを叩くなど徐々にトランジッション色の強まる中でチャンスを作っていく両軍となった。
迎えた後半、ついにボーンマスのハイプレスが奏功。ラヴィアを潰したクライファートからカウンターを仕掛けるとセメンヨがカイセドがPKを奪いとる。このPKをクライファートが仕留めて試合は振り出しに。
選手交代で流れを変えたいチェルシー。SBがジェームズになってもインサイドへ絞る動きは健在。前線の降りるアクションを増やすことでポジションチェンジの自由度を上げて、ボーンマスのプレスの狙いを絞りにくくする。
だが、その状況を覆してボーンマスは逆転ゴールをゲット。セメンヨがエンソの背後で縦パスを受けるとアチェンポンとの1on1を制して豪快なシュートを決めた。チェルシーは直後にアチェンポンを交代。失点に絡んだ選手から代えていくのは偶然なのだろうか。
リードをしてもプレスの手綱を緩めないボーンマスによって終盤はオープンな展開に。強気のボーンマスに対して、チェルシーは4-1-2-3に変形し攻撃色を強める。
お互いにDFラインの前まではフリーパス。チャンスの多い終盤戦をものにしたのはチェルシー。土壇場でジェームズがFKを決めて追いつく。
なんとか負けを逃れたチェルシー。だが、未勝利を脱することはできずニューカッスルと入れ替わる形でCL圏外に転落してしまった。
ひとこと
マレスカの選手交代が懲罰感があるのがちょっと気になった。
試合結果
2024.1.14
プレミアリーグ 第21節
チェルシー 2-2 ボーンマス
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:13′ パルマー, 90+5′ ジェームズ
BOU:50′(PK) クライファート, 68′ セメンヨ
主審:ロベルト・ジョーンズ
ウェストハム【14位】×フラム【9位】
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げんなりする失点の応酬
序盤からボールを持ったのはフラム。3-2-5ベースの保持からチャンスを作りにいく。ウェストハムはまずは4-4-2ブロックで迎撃。大外にSBが釣り出されたらCHが全力でCB-SBの間のスペースを埋めにいく。
中盤が最終ラインに吸収されるウェストハムに対して、フラムはジリっとサイドから押し下げる。プレスに来るタイミングでもSBのロビンソンが引いて受けつつイウォビやヒメネスのポストからチャンスを作り、どうサイドの背後もしくは逆サイドへのスウィングでチャンスを作っていく。
一方的な保持のペースで試合を進めていくフラム。非保持においても同サイドに追い込むことで高い位置からのボール奪取を実現。攻守ともにいいリズムを刻む。
しかし、先制したのはウェストハム。ついにハイプレスが成功。レノの地雷パスからペレイラの横パスをカットするとこれをソレールが仕留める。
畳み掛けるようにウェストハムは追加点。ロングボールで起点を作ると、後方からオーバーラップしたワン=ビサカが攻撃に参加。マイナスのクロスをソーチェクが決めてみせた。
同じくフラムもロングボール×トランジッションからチャンスを作ろうとするが、反撃のきっかけは掴めず。試合は2-0でウェストハムのリードでハーフタイムを迎える。
後半、両チームはロングボールの応酬でスタート。先にチャンスを掴んだのはフラム。左サイドからの単純なクロスに対して、ウェストハムはCBの間がぽっかり。雑な対応から追撃弾を許してしまう。
反撃に出たいウェストハムはラインブレイクからチャンスを作りにいくが、オフサイドに引っかかってしまいシュートまで持っていくことができず。フラムは反撃の機運が徐々に高まっていく。
だが、その足を引っ張ってしまったのはまたしてもバックラインのミス。レノがボールを捌くことができず、ハイプレスに狩られてしまい、パケタが追加点をゲット。フラムの反撃ムードを挫く。ウェストハムはプレスを緩めなかったご褒美が転がり込んできた。
とはいえ、最後までウェストハムも盤石だったわけではない。再び左サイドからファジーなクロスを上げたイウォビにまたしても対応できずに失点。今度はギド・ロドリゲスが最終ラインにカバーに入ってなお跳ね返すことができず、同じ形で1点差に迫られてしまう。
終盤は2トップに移行し、ムニスが決定機を迎えたフラム。だが、追いつくチャンスをものにすることができず。ポッター率いる新生ウェストハムがリーグ戦初白星を挙げることとなった。
ひとこと
失点の仕方が両軍ともなかなかげんなりするものだった。
試合結果
2024.1.14
プレミアリーグ 第21節
ウェストハム 3-2 フラム
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:31′ ソレール, 33′ ソーチェク, 67′ パケタ
FUL:51′ 78′ イウォビ
主審:クレイグ・ポーソン
ブレントフォード【11位】×マンチェスター・シティ【6位】
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左右の揺さぶりに屈し2点のリードを溶かす
ブロック守備で手堅い勝負で強豪食いを狙うという姿勢は今は昔。シティが相手だろうと前からプレスをかけていくというこの日のスタンスは昨今のブレントフォードのスタンスをよく表している。
高い位置からのプレスに出て行くブレントフォードに対して、シティはライン間のデ・ブライネからひっくり返す形で対抗する。5分もすればブレントフォードのプレスは鎮静化。5バックにスムーズにシフトしたところを見ると、相手にボールを持たせる方のプランも抜かりなく準備していたように見える。
シティが押し込む局面が増えるが、ブレントフォードもカウンターから反撃。右サイドのムベウモを起点としたカウンターによってチャンスメイク。オルテガのファインセーブに救われる場面もあった。
シティは積極的にボールを取り返す姿勢を見せたわけではないので、ブレントフォードは自陣からのキャリーでオープンなシュートのチャンスを作ることも。そういう意味ではこれまでのシティ戦のような偏った局面の試合にはならなかった。
シティはブロック崩しにも苦戦。人数をかけたサイド攻撃の精度も低く、ブロックの外からのデ・ブライネもキックが合わない。ブレントフォードがボールを持つ局面も出てきた関係で25分程からトランジッション局面が増えた試合だったが、この状況はシティにとってもありがたい様子。デ・ブライネとハーランドに好調のサヴィーニョが絡む形はより可能性が高くなっていた。
ブレントフォードは徐々に押し込まれることを許容するように。シティがハイプレスに来ないのに蹴る姿は何が何でもつなぐ姿勢が強い今季のブレントフォードからすると珍しいものだった。
スコアレスで迎えた後半、先にチャンスを迎えたのはブレントフォード。セットプレーからのチャンスでゴールを脅かす。対するシティはファストブレイクで対抗。降りる中盤を捕まえられないブレントフォードを尻目に縦に速い攻撃からのチャンスメイクが目立つ。
ブレントフォードもファストブレイクの展開に乗っかる形でシティの左サイドを崩しながら進撃するが、これはシティの左サイドが水際で踏ん張ることで対応。そのDFの踏ん張りに応えたデ・ブライネが素晴らしいクロスからようやくシティに先制点をもたらす。
さらにシティは追加点。ロングボールから入れ替わったサヴィーニョが起点となり、最後はフォーデンが2点目を仕留める。
追いかけるブレントフォードは終盤に押し込む流れを掴むと、左右に揺さぶる形からウィサがぽっかり空いて追撃弾をゲット。フレッケンの活躍でさらなる追加点を防ぐと、後半ATには左右に振るアクションからノアゴールが劇的な同点ゴールを決める。
2点のリードを溶かしてしまったシティ。前節の快勝の勢いを続けることが出来ず、手痛いドローとなってしまった。
ひとこと
押し込む局面での揺さぶりができるのが今季のブレントフォード。とはいえ、左右に揺さぶるだけでこれだけ脆いシティは切ない。
試合結果
2024.1.14
プレミアリーグ 第21節
ブレントフォード 2-2 マンチェスター・シティ
G-techコミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:82′ ウィサ, 90+2′ ノアゴール
Man City:66′ 78′ フォーデン
主審:アンソニー・テイラー
ノッティンガム・フォレスト【3位】×リバプール【1位】
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迫力抜群の総攻撃を防ぎきりリベンジを阻止
年末年始で波に乗っているフォレスト。ついにアーセナルと勝ち点が並んだ3位に浮上するところまでやってきた。対戦相手は首位のリバプールだが、その唯一の黒星をつけたのが今季のフォレスト。シーズンダブルへのただ1チームのチャレンジャーとしてホームで相手を迎えうつ。
フォレストは4-4-2ベースのフォーメーションではあったが、2トップは明確に縦関係で守る形。中盤はマンツーでついていくことが基本線で数を合わせる意識が高かった。ハーフスペースに抜け出すリバプールの中盤にアンダーソンがついて行っていたことを見ると、人についていくことを相当重視していたのかもしれない。
中盤がバックスまでついていく守り方をすると得てして後ろ重心になってしまいがちなのだが、そういう状況でも得点まで持っていけるのが今のフォレストの強み。ウッドの先制ゴールはウルブス戦に続きフォレストの良さが詰まったゴール。2列目のプレスバック+精度の高い一本目のパスからのカウンターという流れだ。
ハドソン・オドイ、エランガと繋いで最後はアレクサンダー=アーノルド裏のウッドで速攻を完結させる。またしてもリバプールは先制点を献上することとなった。
リバプールはまずはズレを作る作業から着手。ディアスが中央で降りるなど上下動にアクションを起こしつつ左右に降っていく。困った時のサラーからの対角クロスも健在で、この辺りの多様な引き出しはさすがは首位チームといったところだろう。
ただ、やはり中央の守備が堅いのが今のフォレスト。なかなかリバプールはインサイドにパスを差し込んでいくことができない。外をフリにしつつ中も!というのが今季のリバプールの良さなので、カウンターへの牽制もちらつかせながら中央を固めるフォレストの守備がシンプルに素晴らしかったと言えるだろう。
リバプールは解決策を見つけられないままハーフタイムへ。ビハインドのまま試合は後半を迎える。
後半も引き続きリバプールのポゼッション。だが、枠内シュートが詰めない状況が続いていってしまい、なかなか有効な攻撃を打ち切ることができない。
3バックにシフトしてリバプールは大外の攻撃のパターンを増やすことで味変。フォレストは中盤のサイドへの守備参加の割合を増やすことで対抗。この辺りの同じフォーメーションの中でのケアする割合の微妙な変化のスピード感と対応の精度はフォレストの上手いところでもある。リバプールもうまいけど、この試合では布陣は変えていた。
リバプールのおしこみが実ったのは66分。ジョッタのセットプレーからのゴールでついに追いつく。さらには逆転ゴールを狙いたいリバプール。左右からクロスの乱れ打ちで更なるゴールを目指すが、立ちはだかったのはセルスを中心とした堅い守備。最後まで攻撃を打ち込み続けたリバプールをフォレストは見事に受け切って見せた。
2試合通じて今季はリバプールに勝ち点3の献上はなしとなったフォレスト。見事な組織力を見せてリバプールのリベンジを阻止した。
ひとこと
レベルの高く、見応えのある一戦だった。
試合結果
2024.1.14
プレミアリーグ 第21節
ノッティンガム・フォレスト 1-1 リバプール
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
NFO:8′ ウッド
LIV:66′ ジョッタ
主審:クリス・カヴァナー
ニューカッスル【5位】×ウォルバーハンプトン【17位】
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手は尽くすも打ち崩せない完敗
上位のニューカッスルのホームスタジアムでありながらも、ボールを持つのは下位のウォルバーハンプトン。ウルブスは自軍の3バックでボールを動かすことで同数でプレッシャーをかけてくるニューカッスルの前線を交わしていく。
序盤はウルブスがボールを持つ展開だったが、5分経過すれば少しずつボールを持つのはニューカッスルのターン。横断を狙って薄いサイドに展開することでウルブスの守備の弱いところをついていく。ウルブスはサイドに圧縮を狙っていくがこれを外されてしまうという辛い流れに突入する。
プレスを強めるウルブス。だが、この流れを壊しにいくのがゴードンとマーフィーのWGのスピード。スピードに乗った状態での崩しは別格で、ウルブスのバックラインを徐々に追い込んでいく。
左サイドに流れたヒチャンでウルブスも反撃に出るが、優勢に立ったのはニューカッスル。ファストブレイクに成功したのはニューカッスル。イサクが仕掛けた速攻に対して、ウルブスは帰陣が間に合わず先制点を許してしまう。
このシーンを境にウルブスは中盤のスライドのゆるさが目立つ。リカルト・ゴメスのサイドからの速攻からウルブスもチャンスを作るが、ラーセンがこの絶好機を活かすことができず。試合は0-1でのビハインドでハーフタイムを迎えることとなった。
ウルブスはプレスを強めて勝負に出ることに。しかし、優勢なのはニューカッスル。強気なプレスをひっくり返すことで優位に立つ。追加点を奪ったのは57分。スローインからライン間にイサクが入り込み、あっさりとゴールをこじ開けることに成功する。前半のウルブスの守備はスライドの遅さが目立ったが、単純にこの守備はコンパクトではない。スローインに対して適切に準備が出ていなかったように思える失点だ。
ウルブスは対角のパスから広いサイドを駆使しての展開。守備においてはサイドで奪われたところから即時奪回を狙うなど工夫を施す。だが、なかなかチャンスまでは。クーニャの孤軍奮闘は際立つが、ゴールを奪うことができない。
広げながら勝負に出るウルブスだったが、またしてもひっくり返すところからニューカッスルが追加点。中盤の反転からイサクとゴードンの速攻から3点目を奪い取って見せた。
終わってみれば完勝なのはニューカッスル。あの手この手を尽くしたウルブスだったが、スコアを動かすことはできなかった。
ひとこと
ウルブスの微妙に歯車が噛み合っていない感じはちょっと怖い。
試合結果
2024.1.15
プレミアリーグ 第21節
ニューカッスル 3-0 ウォルバーハンプトン
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:34′ 57′ イサク, 74′ ゴードン
主審:ダレン・イングランド
エバートン【16位】×アストンビラ【8位】
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粗が失点に直結したのは?
ダイチを突如解任し、モイーズの招聘を発表したエバートン。レジェンド指揮官のグディソン・パーク帰還の初戦は全盛期にしのぎを削ったアストンビラとの一戦だ。
アストンビラの保持は3-2-5もしくは3バックにマルティネスを組み込んだ3-2-6のような状態。コンサのCB起用により、SBカラーが強い選手がSBになったため、マルティネスが3バックの一角としてビルドアップに参加するケースが多かった。
ただし、CBにパウ・トーレスがいない分、いつもよりは前進のコストがかかっていたアストンビラ。エバートンはそれを見て少しずつプレスを強めながら敵陣でプレッシャーをかけていく。
奪うところまでは悪くなかったエバートンだが、奪った後が不安定。いつもだったら大胆な持ち上がりが魅力のブランスウェイトのキャリーは逆噴射。安易なロストからカウンターを食らうことも。さらにはヤングのミスからピンチを迎えるなど、エバートンは怪しさが目立つ。
保持においては単純にキャルバート=ルーウィンをターゲットにする形であれば跳ね返されてしまっていたエバートン。しかし、裏抜けなど前後を使う形であれば効果はあり。フリーのバックスから後方へのフィードもしくはサイドの展開から裏を除く形でビラのバックスを揺さぶっていく。この辺りのシンプルさは監督交代などなかったかのようだけど、おそらくはやりたいことは同じでそこをきっちり落とし込むための交代なのだろうから問題ないのだろう。
ビラの保持局面主体で進む前半。終盤には互いに1つずつの決定機があったが、どちらもネットを揺らすことはできず。試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。
後半もビラのポゼッションベースで試合はスタート。エバートンは隙を見てハイプレスを狙う形だ。この形でアラが出たのはエバートン。トランジッション由来の残念なロストでアストンビラのカウンターを誘発。間に合わないタイミングで飛び出したピックフォードをすり抜けるようにワトキンスが先制ゴールを決める。
失点以降はゆったりとした保持の時間を刻むエバートン。しかしながら引いて受けるアストンビラ相手になかなかきっかけをつかむことが出来ない。セットプレーならばあるいは!という可能性は見せることが出来たが、マルティネスをゴール前から外すことが出来たシーンでもシュートをねじ込めず。
結局試合はそのまま終了。前半で見せた粗さが失点に直結したエバートンはモイーズの初陣を飾ることが出来なかった。
ひとこと
監督交代したかしてないかベンチを映さないとわからないレベルだと思う。
試合結果
2024.1.15
プレミアリーグ 第21節
エバートン 0-1 アストンビラ
グディソン・パーク
【得点者】
AVL:51′ ワトキンス
主審:サム・バロット
レスター【19位】×クリスタル・パレス【15位】
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目論見が外れて沼への招待に失敗
ファン・ニステルローイ就任以降も苦戦が続くレスター。残留争いのすぐ上にいるパレスはなんとしてでも沼に引き摺り込みたいところだろう。
試合はポンポンとボールが飛び交うスタート。序盤はマテタ、そしてヴァーディというそれぞれのCFが裏抜けすることで決定機を一気に作りにいく。
基本的にはパレスは前5枚がスライドしながら中盤で食い止めることがベース。レスターのバックスの組み立ては不安定と踏んだのか、徐々にパレスはプレスを強めていくように。レスターのバックスは前がかりなパレスの間を繋ぐように前進。シュートまで持っていくことができることもしばしばという感じだった。
だが、パレスもプレスが徐々に刺さるように。中盤ではヒューズが刈り取り役となり、ショートカウンターを成立させにいく。ハイプレスから少しずつパレスはチャンスを作る。
レスターは左サイドのマヴィディディが2枚抜きをするなどチャンスメイクが全くないわけではないが単発な感は否めない。よりチャンスを作ることができていたのはパレス。レスターのバックスはパレスの強気の姿勢を崩せないまま、機会の劣勢を抱えてハーフタイムを迎えることとなった。
後半は互いにゆったりとした保持でスタート。非保持側がブロックをきっちりと組むことでテンポは遅い状況を作り出す。
そうした中で試合を動かしたのは前半の序盤で見られたチャンスメイクから。抜け出したマテタが一発で仕留めて試合を動かす。レスターはヴェスターゴーアがラインコントロールを乱してしまったのが痛恨だった。
このゴールを機に試合は少しトランジッション色の濃い展開にシフト。互いにチャンスを作りあうが、リードをしているパレスの方がよりクリティカルなチャンスを作ることができていた。
流れを作れないレスターは3枚交代で前線を活性化。左右の押し下げからヴァーディのトリッキーなシュートやスマレのミドルからあわやというシーンを作り出す。
だが、試合を動かしたのはまたしてもパレス。エゼのFKに抜け出したグエイがダイナミックなボレーを仕留めて追加点を奪い取る。
レスターは前半のようにライン間を繋ぎながら前進ができる場面も作りつつ攻め立てていくが、最後までパレスの牙城は崩せず。目論見虚しくパレスが降格圏との勝ち点差を広げる完勝。暫定的に残留争いから脱する位置まで浮上したと言っていいだろう。
ひとこと
抜け出しのシャープさと頻度でレスターを上回ったパレス。レスターも無理なく繋げるようになってきてはいるけども、地力に跳ね返されている感がすごい。
試合結果
2024.1.15
プレミアリーグ 第21節
レスター 0-2 クリスタル・パレス
キング・パワー・スタジアム
【得点者】
CRY:52′ マテタ, 78′ グエイ
主審:アンディ・マドレー
アーセナル【2位】×トッテナム【12位】
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トロサールの左足が流れを変える
レビューはこちら。
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2つのカップ戦では苦しい結果となったアーセナル。リーグ戦での立て直しのチャンスの場として与えられたのはノース・ロンドン・ダービー。宿敵相手にシーズンダブルを決めるチャンスで何とか息を吹き返したいところだ。
苦しい日程ながらアーセナルはハイプレスを敢行。即興性の強い左サイドのユニットと出しどころに困るGKのキンスキーのところを狙い撃ちし、ショートカウンターを狙う。
自陣からのポゼッションも順調。WGの背後のケアが甘い状態でプレスに出て行くトッテナムをひっくり返す形で前進。ライン間のウーデゴールを使いながら加速していく。
ア―セナルにとって誤算だったのは両WGのノッキング。ここでのボールロストの多さが仕上げへの障壁となってしまい、攻撃を仕上げ切ることが出来ない。
20分にトッテナムはハイプレス回避に成功。押し込むチャンスを作ると、セットプレーからマークの甘くなったソンがミドルシュートで打開に成功。ワンチャンスからリードを奪う。
押し込むフェーズを続けながらもビハインドとなったアーセナル。流れが悪く細かい崩しをひっかけ、クロスはニアで跳ね返される状況が続く。この状況を打開したのはおなじみのセットプレー。ファーのガブリエウのゴールで試合を振り出しに戻す。
すると、前半終了間際にはトロサールがショートカウンターから左足を一閃。ボックス内に人が足りない中で足を振りぬき、逆転となるゴールを生み出して見せる。
トッテナムはハーフタイムに2枚替えを敢行。アタッキングサードで生きるタレントを中心に中盤を構成し、高い位置からのプレスに出てくる。だが、この高い位置からのプレスの運動量がついてこず、アーセナルにCHの背後を使われることもしばしば。
アーセナルからすればクローズドに試合を進める選択肢もあったはずだが、3点目を取れば試合を終わらせることが出来るという感覚もあったのだろう。オープンな展開に乗っかることでファストブレイクを中心に3点目を取りに行く。本来であればクローズの一手になりそうなティアニーもSHとして起用し、敵陣でのプレーを意識した対応となった。
スクランブル局面の多い終盤戦だったが、ゴールはこれ以上生まれず。前半のリードを生かして逃げ切ったアーセナルがプレミア通算5回目のNLDのシーズンダブルを達成した。
ひとこと
トロサールの左足、意外性抜群。復調のきっかけになれば。
試合結果
2025.1.15
プレミアリーグ 第21節
アーセナル 2-1 トッテナム
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:40′ ソランケ(OG) 44′ トロサール
TOT:25′ ソン
主審:サイモン・フーパー
イプスウィッチ【18位】×ブライトン【10位】
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ようやく成功した弱い者いじめ
ズルズルと残留圏内組から離されつつあるイプスウィッチ。今節の相手はトップハーフの常連と化しているブライトン。力関係としては苦しいが、弱きを助けることも多い彼らから何とか勝ち点を取りたいところだろう。
ボール保持はまずはブライトン。CB+RSBの3バックに変形する。LSBのエストゥピニャンは大外ではなく、ハーフスペースの高い位置に常駐。CHから列を上げるアヤリと共にライン間の住人として振る舞う。イプスウィッチはやや左右アシンメトリーな構造で右のSHのバーンズはWBとして入り、ハッチンソンとブロードヘッドが左右対称に並ぶ5-4-1にも見える守備の構造となった。
ライン間に入っている選手はそのスペースにとどまるだけでなく、ハーフスペースから裏に抜ける形で大外の三笘からDFの背後を狙う動きも。外に広げるアクションとDF間のチェーンが伸びるところを狙い撃ちするのがこの日のブライトンのプランのようだ。
イプスウィッチは一方的に押し込まれる苦しい展開。ハッチンソンは根性のオフザボールでなんとか相手を振り切ろうとするが、なかなか起点になれず。デラップもボールの収まりどころを作ることが出来ない。
一方的な展開になるかと思われたが、ブライトンは徐々に中盤のプレスラインの突破ができず、イプスウィッチに跳ね返される場面が増えていく。イプスウィッチは中央にボールを入れられても押し返すことが出来るように。
逆にイプスウィッチは自陣からのビルドアップと仕上げのフェーズの両面で幅を使う形でブライトンの守備を絞らせない。徐々に押し込むフェーズを作っていくイプスウィッチ。ブライトンが中盤を越えられず苦戦するところでハーフタイムを迎える。
後半も悪い入りではなかったイプスウィッチ。ボールを奪うとすぐに大外に展開し、ドリブルから押し下げることで主導権を確保する。
どこか活路が欲しいブライトンは左サイドにフォーカス。左サイドで三笘とジョアン・ペドロがタッグを組み、こちらのサイドから押し返しを狙っていく。
先制点は前半に狙っていた形から。大外からのアヤリのハーフスペースアタックで優位を取ると、ここからの折り返しを仕上げたのは三笘。60分手前でついに試合を動かす。
このゴールで試合は再びブライトンのペースに。ジョアン・ペドロを軸に押し下げ続けるブライトンに対して、イプスウィッチはカウンターで出て行くきっかけをつかめない。
ブライトンはラターの追加点で試合を決着。2-0の完勝でようやく弱い者いじめに成功した。
ひとこと
イプスウィッチは前半のいい時間にしとめたかったところ。
試合結果
2024.1.16
プレミアリーグ 第21節
イプスウィッチ 0-2 ブライトン
ポートマン・ロード
【得点者】
BHA:59‘ 三笘薫, 82‘ ラター
主審:トニー・ハリントン
マンチェスター・ユナイテッド【13位】×サウサンプトン【20位】
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ディアロが文字通りチームを救う
FA杯ではアーセナルにPK戦の末に勝利。カップ戦のタイトルを視野に入れつつ、リーグ戦では後手を踏み過ぎないようにしたいというのがアモリムの本音だろう。大目標に対してもう一刻の猶予も残されていないサウサンプトンはオールド・トラフォードだろうと勝ち点が欲しいところだ。
序盤から積極的な動きを見せたのはサウサンプトン。フィールドプレイヤーに対してはほぼマンツーのようなつき方をして、前から捕まえに行く。ユナイテッドはオナナを使いながらプレス回避をしていくが、なかなか中盤を越えることが出来ず。
時折、前からプレスに来るサウサンプトンをひっくり返すように、ライン間に入り込みCHの背後を狙う位置に入り込んだブルーノから前進を狙っていくユナイテッド。その一方で、基本的には主導権はサウサンプトン。ハイプレスに出て行くことで中盤からボールを奪い、ここからスピード感のあるカウンターに移っていく。
保持をしていてもサウサンプトンのフィーリングは良好。幅を使うポゼッションでユナイテッドの前5枚に揺さぶりをかけつつ、陣形を動かしてライン間に縦パスを入れていく。
時間経過でもサウサンプトンは優位に。ユナイテッドのパスワークを中盤より前で跳ね返しつつ、カウンターからチャンスを作りに行く。サイドからのスピード勝負ではユナイテッドは勝てそうではあるが、ワンツーで抜け出すタイミングは限定的。少ないチャンスはガルナチョが仕留めることが出来なかった。
前半終了間際にはセットプレーからサウサンプトンが先制。優位をリードに見事に結びつけることに成功する。
後半もサウサンプトンは優勢。左右に揺さぶりながらユナイテッドのプレスを外し前進。前さえ空いてしまえばきっちりと運ぶということを徹底することでユナイテッドを押し込んでいく。
ユナイテッドは左サイドからの仕掛けで反撃。ガルナチョからのクロスは後半立ち上がりの唯一の攻略手段だった。ガルナチョから押し返していくユナイテッドは徐々に保持ベースでの戦い方を身に着けていく
それでも粘るサウサンプトン。前からの守備でユナイテッドに各駅停車のポゼッションを強いる。ユナイテッドはザークツィーといった前線の体を張れるタイプへのダイレクトな展開の方が可能性がありそうであった。
膠着した終盤でユナイテッドの救いになったのはディアロ。右サイドからのカットインからひっかけながらもゴールにねじ込む。リアクションの速さというディアロの良さが際立ったゴールだった。
両軍ともにフォーメーションを変えたが、奏功したのはユナイテッド。交代で入ったエリクセンからの裏へのパスから再びディアロ。あっという間に逆転まで進む。
同点、勝ち越しもディアロならダメ押しもディアロ。相手のポゼッションをかすめ取り、見事にハットトリックを決めた。
終盤に帳尻を合わせる大量得点。ユナイテッドがディアロの活躍で勝ち点3を収めた。
ひとこと
ディアロ、フィフティーへのボールに対するリアクションがいい。
試合結果
2024.1.15
プレミアリーグ 第21節
マンチェスター・ユナイテッド 3-1 サウサンプトン
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:82′ 90′ 90+4′ ディアロ
SOU:43′ ウガルテ
主審:ジョン・ブルックス
今節のベストイレブン
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