大胆な一手は初手から・・・
ラッセル・マーティンがこの試合をどういう位置付けに置いていたのかは今となってはわからない。確かなことはこの試合に4-3-1-2という大胆な一手で臨んだこと。そして、それが全くと言っていいほどトッテナムに対してハマらなかったことである。
遠慮なく言えば、1点目が決まった1分から前半が終了した45+5分まで延々とペースを握ったのはトッテナム。初手となったのは右のSBのスペンス。反転から中盤を引き剥がし、スルーパスを仕留めたのはマディソンだった。
このシーンのようにトッテナムはSBからのキャリーで敵陣に進撃。構造的な話として4-3-1-2で4バックに立ち向かう場合、まずはSBのところをどのように捌くかは初手である。しかしながら、この日のサウサンプトンはその初手も定まっていないように思えた。
トッテナムのポゼッションはとにかく自在。SBがボールを持ち、中盤を引き寄せるとインサイドに。中央を経由して逆サイドまで簡単に持っていくことができており、薄いサイドからさらなる進撃を重ねることでサウサンプトンに圧力をかけていく。
さらにことを悪くしているのはボックス内の軽い守備対応。相手に動かされてしまい、動かされた先では特に潰し切ることもしない。マーカーが変わればスイッチを切ってしまう。こうした対応の繰り返しで結果的には15分までに3失点を喫する。
サウサンプトンは3失点を喫したことで4-3-1-2をギブアップ。5バックにシフトし、いつも通りの5-4-1に回帰することに。しかし、トッテナムは止まらない。左サイドのソンを起点に攻撃を続け、サールが4点目のゴールを奪う。
5-4-1で下がってもチャンスがあればトランジッションの馬力を見せつけることができるサウサンプトンだが、この日は完全に不発。ホルダーが出ていく動きに対して呼応するメンバーは不在。40分にディブリングのタメ→マニング→アームストロングの決定機までチャンスを作るのは待つ必要があった。
後半は特に改めていうことはない。引き続き5-4-1で受けるサウサンプトンはサイドの裏からチャンスを作りにいくが、なかなかトッテナムをこじ開けることができず。トッテナムは無理にプレスをかけずに、リトリート優先でプランを構築する。
よく言えば穏やか、悪く言えば緊張感の薄い展開になり、終盤はゆったりとした時間が流れる中でサウサンプトンがゴールを狙うという流れだった。
最後まで展開は変わることはなくトッテナムが勝利。サウサンプトンはこの試合を最後に監督を交代することとなった。
ひとこと
相手が相手ということは踏まえないといけないがゲームメイクに奔走したベリヴァル、先制点の起点となったスペンスといった少ないプレータイムの選手が結果を出したのは良かったと思う。
試合結果
2024.12.15
プレミアリーグ 第16節
サウサンプトン 0-5 トッテナム
セント・メリーズ・スタジアム
【得点者】
TOT:1’ 45+5‘ マディソン, 12’ ソン, 14‘ クルゼフスキ, 25’ サール
主審:ダレン・イングランド