冷や汗いらずの上位崩し
ボールを持つのは当然チェルシー。3-1という後方の陣形をベースにSBの片側を上げる形でポゼッション。アンカーへのサポートが薄いのはプレスに強気で来ないチームに対してはもはやチェルシーの常套句となっている。
大外に立つのはククレジャとマドゥエケ。ライン間に入るような人を多く用意する形も今のチェルシーのお馴染み。イプスウィッチはシャドーを絞る形で守り、大外はWBが列を上げての迎撃。中央を固めにしつつ、サイドには強気のプレスで出て行く。
チェルシーはこのイプスウィッチの陣容に対抗するようにコルウィルがシャドーの外側で受けるなどポゼッションを微調整。この日は高い位置でもカイセドの積極的な顔出しやパーマーとマドゥエケの位置交換など、レーンの配置は通常よりも柔軟だったように思える。
イプスウィッチはボールを奪うアクションから一気にフィニッシュまでを狙っていくのが攻撃の手段。ショートパスで相手のプレスを自陣側に引き寄せることが出来たらそこから一気に加速していく。
違いを作ったのはやはりデラップ。12分に抜け出しからPKを獲得。これを見宇zからが仕留めて先行する。リードを奪って以降もイプスウィッチはリードを守りに行くのではなく、強気にプレスに行くことで勢いに乗っていこうというスタンスを見せる展開となった。
追いかけるチェルシーは崩しの局面は悪くないもののフィニッシュの精度が悪い。右から作り、左で仕留めるというスタンスを成立させられなかったのはフェリックス。大外位置でのクロスの待ち受けでオフサイドにかかるという痛恨のミスで得点機を逃してしまう。虚を突いたパーマーのFKも含めて、チェルシーはいつ得点をしてもおかしくない状況だった。一方のイプスウィッチは徐々にカウンターが単発に。苦しい状況のままハーフタイムを迎える。
後半も保持から勝負するチェルシー。エンクンクが上下動するなど前半はあまり崩しでも機能しなかった左サイドに変化をつけていく。
しかし、そんなチェルシーをあざ笑うかのようにイプスウィッチはカウンターで一発回答。ディザシのパスミスからハッチンソンとデラップでカウンターを完結する。ディザシはパスミスとそこからの守備対応で二度まずいことになってしまった感があった。
主力を投入して巻き返しを図るチェルシーだが、なかなか主導権を取り戻せず。イプスウィッチの前線は60~70分くらいはやや疲労が見えていたが、ここから先の時間帯は勢いを取り戻し、むしろ終盤は逆にチェルシー陣内に攻め込むことが出来ていた。
試合はそのままイプスウィッチが逃げ切り勝利。冷や汗もいらないセーフティリードで上位相手に勝ち点3を手にした。
ひとこと
ちょっと噛み合わないなという保持の状況とカウンターで大きな下手を打ってしまった非保持の状況が噛み合わなかったこの日のチェルシーだった。
試合結果
2024.12.30
プレミアリーグ 第19節
イプスウィッチ 2-0 チェルシー
ポートマン・ロード
【得点者】
IPS:12‘(PK) デラップ, 53’ ハッチンソン
主審:ジョン・ブルックス